個人事業主になるには?なり方や向いている人を徹底解説!
働き方が多様化し、数多くの企業が新たな雇用制度を導入する中で、個人事業主という事業形態にも注目が集まるようになりました。
そこでこの記事では、個人事業主の基礎知識や適性をはじめ、メリット・デメリット、開業の流れについて徹底解説していきます。
「個」としてのスキルアップや収入増を図りたい一方で、個人事業主になれるかどうかが心配な方もぜひ参考にしてください。
- 【この記事のまとめ】
- 個人事業主になるためには特別な資格や条件はなく、ほとんどの人が開業届を提出するだけで可能です。ただし、公務員は副業が禁止されているため、個人事業主にはなれません。
- 個人事業主は働く時間や場所の自由度が高く、収入が直接努力に反映される反面、収入の安定性が低く、自己責任の負担が大きくなります。また、労働法の保護を受けにくい点にも注意が必要です。
- 個人事業主に向いている人は、専門スキルや交渉力があり、自分でモチベーションを維持できる人です。反対に、計画性がなく柔軟に対応できない人は、不向きとされています。
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個人事業主になるには
個人事業主になるためには、共通して以下2種類の手続きを踏む必要があります。
- 【個人事業主になるにあたって必要な手続き】
-
- 開業届の提出
- 国民健康保険・国民年金の手続き
各項目の詳細や届け出る際の方法を、以下に記述します。
開業届の提出
開業届とは、個人が事業を開始または事業所を新設する際に、税務署に差し出す書類のことです。
正式名称は「個人事業の開業・廃業等届書」であり、開業から原則1ヶ月以内に提出することが求められています。
はじめに、個人事業主として開業届を提出する流れや書類の書き方について解説します。
開業届の提出方法
開業届の提出方法は、大きく分けて以下3つのパターンがあります。
- 税務署の窓口に持参する場合
管轄の税務署に直接持参する方法にあたります。窓口で開業届を記入し、そのまま提出することも可能です。開庁時間は平日8時~17時となっており、「印鑑」「本人確認書類」「マイナンバーの分かる書類」の3点を持参する必要があります。なお、税務署には時間外収受箱が設置されているため、24時間いつでも投函・提出ができることも覚えておくとよいでしょう。 - 税務署宛に郵送する場合
最寄りの税務署に郵送し、開業届を申請する方法も認められています。郵送時に同封する書類は、「本人確認書類の写し」「マイナンバーの分かる書類の写し」「返信用封筒(切手貼付と宛先を記入の上)」の3点です。 - インターネットから申し込む場合
自宅にいながら、国税庁が運営する「e-Tax」にて開業届を提出することもできます。オンライン環境が整っていれば、最も手軽かつスピーディーに申し込むことが可能です。
必要書類と書き方
開業届は、所轄の税務署の窓口や国税庁のサイトから取得・ダウンロードすることができます。
書類の記入方法については、以下①~⑧の手順をご参照ください。
- 【開業届を記入する流れ】
-
- 「個人事業の開業・廃業等届出書」のうち、「開業」を〇で囲う
- 所轄の税務署名および書類の提出日を記入する
- 納税地・氏名・生年月日・マイナンバー・職種・屋号をそれぞれ記入する
- 届出区分の「開業」に○をつける
- 開業日を記入する
- 「青色申告承認申請書」を提出する場合は「有」を、消費税に関する各種届出書は通常「無」を選択する
- 具体的な事業内容を記入する
- 青色事業専従者や従業員に給与を支払う場合は、「給与等の支払の状況」について記入する
国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書(提出用・控用)PDF」
同時にやっておくといいこと
開業届の提出と同時に行っておくといいものとして青色申告承認申請書の提出があります。
青色申告とは、白色申告と同じく、所得金額や税額を正しく申告するための制度のこと指します。
青色申告は白色申告と比較して、手間が掛かりますが、最大で65万円の「青色申告特別控除」を受けられるのが大きなメリットです。
「青色申告特別控除」を受けるには、「所得税の青色申告承認申請書」を所轄の税務署に届け出て青色申告を行う必要があります。
なお、必要書類は開業届と同様に、税務署または国税庁のホームページで入手することが可能です。
健康保険・年金の手続き
個人事業主は、国民健康保険や国民年金への加入を独自に行わなくてはなりません。
手続きはいずれも、会社を退職した翌日から14日以内に、下記の書類を持って住所地の区役所にて済ませる必要があります。
- 【国民健康保険の加入に必要な書類】
-
- 健康保険の資格喪失日が分かる証明書(離職票や退職証明書など)
- マイナンバーが確認できるもの
- 身分証明書(マイナンバーカードや運転免許証、パスポートなど)
- 印鑑
- 【国民年金の加入に必要な書類】
-
- 退職日が分かる証明書(雇用保険被保険者離職票や雇用保険受給資格者証など)
- 年金手帳
- 身分証明書(マイナンバーカードや運転免許証、パスポートなど)
- 印鑑
個人事業主になるために必要な費用
開業手続きに掛かる手数料は0円ですが、事業を開始するための設備や準備における資金が必要です。
一般的に、オフィスの賃貸料やパソコンなどのOA機器、回線通信料、備品や雑貨などの購入に費用が発生します。
また、開業資金を準備するのと同時に、3ヶ月~半年分の運転資金の用意があると安心です。
これらを鑑みると、業種にもよりますが一般的に数百万円~1,000万円を資金調達しておくとよいでしょう。
自己資金では足りない場合などは、以下の機関や制度を活用して足りない資金を補うことを検討するといいでしょう。
- 【資金調達先の例】
-
- 金融機関からの借入
- 親族からの借入
- 国や自治体の補助金・助成金
- 日本政策金融公庫の創業融資
- クラウドファンディング
個人事業主が受けられる補助金など
個人事業主を対象とした補助金などは、数多くの種類があります。
中には開業まもない個人事業主でも申請ができるものもあります。
代表的な制度を以下に記しましたので、用途や条件を確認の上、該当する場合にのみ申請を検討してください。
- 【開業まもない個人事業主でも申請が可能な補助金・助成金】
-
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 創業助成事業(東京都)
- 【その他の個人事業主が申請可能な補助金の例】
-
- 事業再構築補助金
- IT導入補助金
補助金・助成金の違いについては、次の記事をご覧ください。
なお、補助金の内容は各省庁や地方自治体によって異なるため、各自治体のホームページなどで詳細を確認しましょう。
個人事業主になる前にやること
個人事業主になりたい方を対象に、開業時にやるべきこととやったほうがいいことをリストアップしました。
ぜひ参考にしてください。
- 【開業時にやることリスト】
-
- 「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出する
- 国民健康保険と国民年金に加入する
- 事業用のクレジットカードや銀行口座を申し込む
- 事業用の印鑑や名刺、HPなどを作成する
- 開業後の計画や資金を確認する
- お金の準備をする
個人事業主になったらやること
個人事業主として独立後は、次のようなことを行う必要があります。
通常業務の合間に、少しずつ運用や事務処理を進めていきましょう。
- 【個人事業主になった後にやることリスト】
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個人事業主のメリット
個人事業主になるメリットは、一般的に以下の点が挙げられます。
- 【個人事業主のメリット】
-
- 自らの資質や専門スキル、培ってきた経験を活かせる
- 働くスペースや就業(営業)時間を自由に選択できる
- アイデアや工夫次第で、直接的な報酬アップが見込める
- 法人に比べて開業手続きや経理上の負担が少ない
個人事業主の利点は、働き方・収入面・実務面など多岐にわたります。
開業から経営の方針・戦略、仕事の取り組み方までが自己管理となり、自由度が高まることが大きな特徴です。
働く時間や場所などの融通が利きやすく、スキルや専門性がそのまま売上に活かされるため、大きなやりがいを感じられるでしょう。
また、法人を設立するよりも、開業手続きがスムーズです。
個人事業主のデメリット
個人事業主として働くデメリットは、以下の通りです。
- 【個人事業主のデメリット】
-
- 収入のアップダウンがあり安定しにくい
- 労働法(労働基準法など)の保護を受けられない
- 自己責任のためオーバーワークになりやすい
- 法人に比べて社会的な信用度が低い
個人事業主として働くと、自由と引き換えにさまざまな責任を負うことになります。
大きなデメリットは、給料制の安定を失い、毎月の報酬が変動制になることです。
業務成果が収入に直結するため、場合によっては金銭的な面で生活の保証をなくし、厳しい時期を経験することにもなりかねません。
個人事業主に雇用関係はないため、労働法の適用外になることも要注意です。
個人事業主自身は労災保険・雇用保険・厚生年金保険への加入は原則不可となります。
ただし労災保険は特別加入制度があるため個人事業主自身でも加入が可能です。
副業で個人事業主の場合は、本業の会社雇用保険・厚生年金保険に加入できる場合があります。
また、法人ではないことを理由に取引が難航したり、金融機関からの融資を受けたりしにくいなどのデメリットもあります。
個人事業主と自営業の違い
そもそも個人事業主とは、法人を設立せずに、個人で事業を営んで収入を得る事業形態のことです。
自営業もその名の通り、自ら事業を営むことを指していますが、この場合「法人を設立した個人経営者」や「家業を継いだ二世経営者」も含まれます。
これらは法人を設立していない個人事業主とは異なる点です。
一方で、「ひとり社長」を例とした法人経営者の場合は、自営業ではないとする見方もまたあります。
ゆえに昨今では、個人事業主と自営業の境界線は薄くなっており、両者は同一視される傾向にあります。
個人事業主になれない人とは?
基本的に、個人事業主になれない人はほとんどいません。
そもそも個人事業主になるための特別な資格・条件はなく、学生や専業主婦、サラリーマン、法人経営者など、どのような立場の方であっても開業届を出すことで事業をスタートさせることができます。
しかし、公務員は副業が法律で禁止されていることもあり、個人事業主になることはできません。
もし副業で継続的な収入を得ていることがバレてしまうと、減給などの処分を科されることもあります。
また、そのほかの業態と同じように、個人事業主になるには向き・不向きが存在することも事実です。
個人事業主として働くことに対して適性がない人は、新規の事業を軌道に乗せることが難しいといえます。
明確なビジョンや方針、戦略を持つことができず、経営的な課題を抱えている個人事業主は多くいるのが現状でしょう。
個人事業主に向いている人の特徴
個人事業主に向いているとされる人には、次のような共通項が見て取れます。
- 【個人事業主に向いている人】
-
- 一定以上の専門・交渉スキルがある
- 初志貫徹して物ごとを進めていくことにやりがいを感じる
- 幅広い視点と冷静な対応スキルを持つ
- 自分自身で仕事のモチベーションを保つことができる
個人事業主として活躍できる人には、総じて計画性があり、多面的なビジョンやアイデアを持ち合わせています。
仕事の納期や約束ごとをきちんと守るなど、社会人としての基本姿勢を大切にしているかどうかもポイントです。
自分のやり方にこだわりすぎなければ、培ってきた専門性や感性で勝負できる方も、個人事業主向きといえます。
また何より、好奇心が強く失敗から学べる方、情熱や意欲にあふれる方などは、長く事業を継続していきやすいでしょう。
個人事業主に向いていない人の特徴
個人事業主に不向きである人は、おおむね以下の特徴を持っていると考えられます。
- 【個人事業主に向いていない人】
-
- 新規事業の立ち上げを不得意としている
- 業務内容や成果に細かくこだわりすぎる
- 企業が定める方針や契約の範囲内で仕事をしたい
- 自己判断やリスク管理ができない
自ら経営判断やリスクの想定ができない人は、個人事業主として成功しにくいでしょう。
自分1人で仕事の段取りから事務処理までをこなすマルチタスク能力が低い方も、基本的には不向きであるといえます。
性格的にも、計画性がなく柔軟に物ごとを考えられない傾向のある方は、個人事業主以外のほうが適しているかもしれません。
また、決められた仕事のほうがやりやすいという方も独立は避けるべきでしょう。
個人事業主をやめるには
何らかの事情によって個人事業主をやめる際は、廃業に関する事務処理を行わなくてはなりません。
手続きに必要な各種書類および申請先は、下表をご参照ください。
必要書類 | 提出先の機関 |
---|---|
個人事業の廃業等届出書 | 所轄の税務署・都道府県税事務所 |
所得税の青色申告の取りやめ届出書 | 所轄の税務署 |
事業廃止届出書(消費税の納税をしていた場合のみ) | 所轄の税務署 |
給与支払事務所等の廃止届出書 | 所轄の税務署 |
所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書(予定納税額が発生している場合のみ) | 所轄の税務署 |
個人事業主に関するよくある質問
最後に、個人事業主に関してよくある質問と回答を紹介します。会社からの独立に対する不安や疑問の解消にも、ぜひお役立てください。
会社員でも個人事業主になれる?
会社員と並行して本格的な独立をすることは難しいものの、所轄の税務署に開業届を提出すれば個人事業主になることができます。
働き方改革以降は掛け持ちで開業するケースが増えています。
一般的には、副業収入が年間で数十万~数百万になった段階で、個人事業主化を検討することが多いようです。
ちなみに、副業の所得が20万円以上になると確定申告をする必要がある点も、同時に押さえておくとよいでしょう。
個人事業主と法人はどちらがお得?
取引先の創出や売上の目処が立っていない方は、個人事業主として小規模経営からスタートするのがおすすめです。
反対に自己資金が潤沢で、概ね5~600万円以上の利益が見込めるのであれば、法人化した方がメリットが大きい場合があります。
いずれも、初期費用や社会的信用度、税額、事業構想、売上規模など、多角的な視点から経営スタイルを検討する必要があります。
個人事業主とフリーランスの違いは?
フリーランスとは、特定の組織に所属せず、案件に応じて自由に契約する働き方のことです。
フリーランスも独立した事業主と見なされますが、あくまで働き方における一つの呼称にすぎません。
個人事業主は開業届を提出していることから、税法上で定められた呼称となっています。
仮に、フリーランスとして業務を請け負っている人が開業届を申請すると、税務上の個人事業主に分類されることになります。
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本記事では個人事業主になるメリット・デメリットのほか、独立に向いている人の特徴などについて解説しましたが、実際に個人事業主として働くとなった場合の心配がぬぐえない方も多いでしょう。
特に、資金繰り・情報漏洩・納期遅延などのトラブルでお悩みを抱えているフリーランスの方は多いでしょう。
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- 記事監修
-
- 中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
- 起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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