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個人事業主が住所変更した場合の手続き方法を紹介!開業届の有無も

個人事業主が住所変更した場合の手続き方法を紹介!開業届の有無も

個人事業主が引っ越しをする際は、住所変更の手続きに加えて、事業に関連する手続きを行う必要があります。

事業の状況によって手続き方法が異なるため、どのような準備が必要になるか事前に把握しておきましょう。

この記事では、個人事業主が住所変更した場合の手続き方法や開業届の有無を紹介します。

【この記事のまとめ】
  • 個人事業主が引越しする場合の手続きや必要書類をまとめています。
  • 引越しする場合は開業届の再提出が必要です。
  • 引越しにかかる費用は経費にできる場合があります。

個人事業主が住所変更する場合の手続きをケース別に紹介

個人事業主が住所変更する場合の手続きをケース別に紹介

個人事業主が引越しを行う場合は、税務署に届け出をしなければなりません。

必要な手続きや書類は、「自宅と事務所が一緒」か「自宅以外に事務所がある」かによっても変わります。

下の表に引越しのパターンと税務署に提出する書類をまとめています。

事務所の納税地 引越しのケース 事業に関する提出書類
自宅が納税地

(自宅兼事務所)

同市町村内の引越しで管轄の税務署が変わらない 個人事業の開業・廃業等届出書
市町村外の引越しで管轄の税務署が変わる 個人事業の開業・廃業等届出書

※振替納税の場合は振替依頼書

自宅以外が納税地

(自宅以外に事務所がある)

事務所の住所は変わらない なし
事務所の住所も変わるが管轄の税務署は変わらない 個人事業の開業・廃業等届出書
事務所の住所も管轄の税務署も変わる 個人事業の開業・廃業等届出書
海外に1年以上引越しをする
  • 個人事業の開業・廃業等届出書
  • 所得税の青色申告の取りやめ届出書
  • 確定申告

まずは、自分に該当するパターンを確認しておきましょう。

なお、2023年1月1日以降については確定申告時に納税地の変更を記載することで、「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」の提出は不要となっています。

また、従業員がいる場合は提出書類が追加で必要になるケースもあります。

引越し後に慌てないためにも、早めに準備を行いましょう。

納税地に変更が生じた場合

自宅を納税地にしている場合、引越しで所轄の税務署が変わっても変わらなくても、開業・廃業等届出書の届出が必要です。

所轄の税務署が新たに変わって、税務署から配布される文書の送付先を新しい住所にしたい場合は、「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」を提出します。

納税地が変わらない場合も、開業・廃業等届出書の提出が必要となるため注意しましょう。

事業所の住所を変更する場合

引越しに伴い事務所の住所が変更になる場合は、開業・廃業等届出書の提出が必要です。

また、事務所を移転せずに自宅のみの引越しであれば提出書類はありません。

このケースだと一般的な転居時の手続きのみが必要となります。

振替納税を利用している場合

振替納税を利用している場合は、管轄の税務署が変更になると転居先の税務署に「振替依頼書」を提出する必要があります。

振替納税とは、納税者自身の預貯金口座から所得税や個人事業税を納付することです。

金融窓口に納付書を持参しなくても便利に納税できるため、利用している方も多いでしょう。

申告所得税や消費税の申告書の振替納税希望欄に「〇」を記載して提出することもできます。

同市町村の引越しで管轄の税務署が変わらない場合は、振替依頼書を提出する必要はありません。

海外に引越しする場合

個人事業主が海外に引越しする際、1年を超える場合は廃業届を提出して事業を廃業にしてから各種手続きを行う必要があります。

青色申告をしている個人事業主は「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を作成し、所轄の税務署に提出しなければなりません。

提出期限は、青色申告を取りやめる予定の年の3月15日までとなります。

また、海外に転居するまでに発生した所得と、海外転居後に日本で発生した所得については、日本国内での確定申告が必要です。

確定申告は日本国内在住の代理人にしてもらう「納税管理人の選任」と、納税管理人がいない場合は出国日までに「準確定申告」を行う必要があります。

準確定申告を行った後に日本国内で所得が発生した場合は、翌年の確定申告も日本で行う必要があるため、想定される場合は納税管理人を探しておきましょう。

個人事業主が住所変更する場合の開業届について

個人事業主が住所変更する場合の開業届について

個人事業主が引越しを行う場合、事務所の住所が変わらないケースを除いて開業届の再提出が必要です。ここでは、開業届の再提出について詳しく解説します。

開業届を再提出する

個人事業主が住所変更する場合は、すでに提出していても開業届の再提出が必要です。

開業届の再提出は住所を変更してから1ヶ月以内に、「個人事業の開業・廃業等届出書」を作成して所轄の税務署に提出することが定められています。

開業届の再提出方法はe-Tax、もしくは書面で届出書を作成してから持参・郵送で提出することもできます。

書面で提出する場合は本人確認書類の提示や写しが必要ですが、e-Taxの場合は不要です。

再提出期限を超えてしまった場合

開業届の再提出は住所が変更してから1ヶ月以内と期間が定められていますが、期限を過ぎてしまったからといって罰則はありません。

期限を過ぎてからも提出することもできるため、再提出を忘れていた場合は早めに再提出を行いましょう。

また海外に引越しする場合の廃業届については、廃業してから1ヶ月以内と定められているため、忘れないように提出しましょう。

住所変更する場合の開業届の注意点

住所変更で開業届を作成する場合は、下記の点に注意しましょう。

  • 納税地:移転前の住所地を記載(移転後の納税地を記載しないように注意)
  • 届出の区分:「開業」と「移転」をチェックする
  • 屋号:これまで使っていた屋号で問題なし
  • 新増設、移転後の所在地:移転後の住所と電話番号を記入
  • 移転、廃止前の所在地:移転前の住所を記入

なお、開業届で変更が必要になるのは納税地が変わったときのみです。

他の情報に誤りや変更があった場合は、確定申告を行う際に正しい内容で記載すれば問題ありません。

税務署以外で個人事業主が住所変更する場合に必要な手続き

税務署以外で個人事業主が住所変更する場合に必要な手続き

個人事業主が住所変更する場合は、税務署以外での手続きも必要です。

ここでは、住所変更時に必要な書類を紹介します。

国民年金の住所変更手続き

国民年金に加入している個人事業主は、住所が変更してから14日以内に市町村役場で住所変更の手続きを行いましょう。

マイナンバーと基礎年金番号をひもづけている場合であれば、住所変更の届出は不要です。

それぞれひもづいているか分からない場合は、年金事務所や年金ネットで確認できます。

従業員の社会保険、労働保険に関する手続き

従業員を雇っている個人事業主が社会保険や労働保険に加入している場合は、日本年金機構に変更届を提出しなければなりません。

提出が必要となる書類は下記の二つです。

提出期限は引越しが完了してから5日以内と定められており、提出方法は年金事務所の窓口への持ち込みや郵送、電子申請による届出ができます。

従業員の保険に関する手続きとなるため、従業員に迷惑がかからないように速やかに手続きを行いましょう。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

引越しによって事務所の住所が変わる場合は、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を所轄の税務署に提出しなければなりません。

提出時期は、事務所の開設や移転、廃止の事実があった日から1ヶ月以内と定められています。

しかし、所得税法では事務所の移転があった場合には「個人事業の開業・廃業等届出書を提出すること」になっているため、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書の提出」は不要です。

参照元:国税庁-[手続名]給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出

引越し先の事務所で新たに従業員を雇って給料の支払いが発生する場合は、給与支払事務所等の開設手続きを行いましょう。

個人事業主が引越しする場合は経費にも注意

個人事業主が引越しする場合は経費にも注意

個人事業主が引越しをして住所変更する場合にかかる費用が、経費になるか気になる方もいるでしょう。ここでは、個人事業主が引越しする場合の経費について解説します。

引越し費用は経費になる

個人事業主の引越しにかかった費用は経費として計上できます。

引越しのパターンによって、経費にできる支払いは以下のようになります。

  • 事務所から事務所の引っ越し:全額経費
  • 自宅兼事務所から事務所のみ引越し:全額経費
  • 自宅兼事務所から自宅兼事務所に引越し:一部経費
  • 自宅兼事務所から自宅のみ引越し:経費不可
  • 自宅から自宅のみ引越し:経費不可

開業届に記載している事業所が自宅と同じことを自宅兼事務所といいます。

自宅兼事務所から自宅兼事務所への引越しは、事務所として使っている割合を計算し、引越しにかかった費用に対して事務所の割合を経費として計上できます。

例えば、自宅兼事務所の割合が[自宅7:事務所3]だったとして、引越し費用が30万円かかった場合、経費として計上できる金額は9万円です。

引越しで経費にならない支払い

「自宅兼事務所から自宅兼事務所」のように、自宅として使用する場合だとプライベートな支払いは経費にならないため注意しましょう。

経費として認められるのは事業と関わりがある部分のみとなるため、絵画やピアノ、ペットなどのように、引越しのオプション料金は経費になりません。

しかし、事業内容がピアノのレッスンであればピアノの輸送費も経費に含まれます。事業用とプライベート用の支払いをしっかり分けたうえで経費を計算しましょう。

経費を計上する場合の注意点

引越し費用の経費を確定申告で計上する場合は、税務調査に注意しましょう。

引越し費用を経費として計上する場合、普段はない支払いとなるため、確定申告時に計上する経費が例年よりも多くなります。

事務所から事務所の移転であれば全額経費にできるため、税務調査が入ったときに説明しやすいでしょう。

しかし、自宅兼事務所から自宅兼事務所のように一部を経費にできる場合は要注意です。

プライベート用の支払いも経費にすると、脱税になる可能性もあります。

税務調査が入ったときに、きちんと説明できるようにしておきましょう。

個人事業主が住所変更する場合は速やかに手続きを行う

個人事業主が住所変更する場合は速やかに手続きを行う

個人事業主が引越しで住所変更を行う場合は速やかに手続きを行い、新しい住所でスムーズに事業を始められるようにしましょう。

引越しを行う場合は新しい場所での生活や事業の準備に追われることになり、手続きを忘れてしまったり、後回しになることもあります。

しかし、引越し後に必要となる手続きの多くは期限が定められており、特に従業員を雇っている場合は保険の手続きが遅れることで、生活に影響が出る可能性もあるため注意が必要です。

引越しの手続きで慌てないためにも、引越しが決まったタイミングや準備の段階から必要な手続きや書類を把握して、スケジュールを立てておきましょう。

まとめ

個人事業主が住所変更を行ったら、個人事業の開業・廃業等届出書を1ヶ月以内に所轄の税務署に提出する必要があります。

また海外に引越しする場合は、「所得税の青色申告の取りやめ届出書」や「確定申告」も必要です。従業員を雇っている場合は、社会保険、労働保険に関する手続きも必要となります。

引越しを行う場合は準備や片付けをはじめ、関係各所への挨拶や連絡なども必要となるため、多忙となって手続きや書類の準備を忘れがちです。

スムーズに住所変更や手続きを終えるためにも、計画性を持って早め早めに行動しましょう。

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記事監修
中野裕哲
中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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