起業アイデアの見つけ方5つ!発想法・具体例・事業にする手順を起業家の実例つきで解説
起業アイデアは、「自分の好きなこと・得意なこと」「既存の商品・サービスのニーズ」「時代や社会の変化」「ビジネスの掛け合わせ」「世の中の課題」の5つの入口から探すと見つかりやすくなります。
日本政策金融公庫の調査では、起業に関心はあるものの、まだ起業していない人が挙げた理由の一つに「ビジネスのアイデアが思いつかない」(31.0%)がありました。アイデアで足踏みしているのは、めずらしいことではありません。
【この記事のまとめ】
起業アイデアは、好きなこと・得意なこと、既存のニーズ、時代や社会の変化、掛け合わせ、世の中の課題の5つの入口から探せます。思いついたアイデアは、「誰の」「どんな課題を」「どう解決するか」をアイデアシートに書き出して整理し、競合や実現性を確かめてから事業計画書に進みましょう。アイデアは最初の形のまま続くとは限らず、事業を進めながら変わることもあります。
- 記事監修
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- 中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
- 起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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起業アイデアの見つけ方5つ
アイデアを探すときは、次の5つの入口を順番に試していきます。1つの入口で行き詰まっても、別の入口から見ると案が出ることがあります。
1. 自分の好きなこと・得意なことから考える
好きなことや得意なことを追求すると、どの分野で起業するかが見えてくることがあります。動画配信で収益を得るYouTuberや、専門分野に特化したカウンセラーは、好きなことや得意なことを事業にした例です。これまでの経験やキャリアをもとに考えるのもよい方法です。
ただし、好きなことだけで成功するとは限りません。お金を払ってくれる人がいるのか、ビジネスとして成り立つのかを冷静に確かめましょう。この入口から起業した実例は、後半の「起業アイデアの実例」で紹介します。
2. 既存の商品・サービスのニーズや価値から考える
既存の商品やサービスが売れているのは、そこに何らかの価値があるからです。人気のある商品やサービスをリサーチし、多くの人を惹きつける価値がどこにあるのかを考えると、消費者が求めているものの本質が見えてきます。
反対に、売れていない商品やサービスには何が足りないのかを考えるのも有効です。消費者の潜在的なニーズを見つけるつもりで、あらゆる分野の商品やサービスを観察してみましょう。
3. 時代や社会のニーズから考える
時代や社会の変化は、新しいアイデアの種になります。たとえば2020年以降は、新型コロナウイルスの影響で在宅の需要が高まり、テレワークやメタバースなどが起業アイデアのキーワードとして注目されました。社会が何を求めているのかをキーワードにして書き出すと、アイデアを出しやすくなります。
ただし、時代や社会のニーズは移り変わります。流行の移り変わりが早い分野では、事業として続けられるかを考えたうえで起業する必要があります。
4. 複数のビジネスを掛け合わせる
既存のビジネスを複数掛け合わせて、新しいビジネスを作る方法もあります。ゼロからアイデアを出すよりもハードルが低く、気軽に試せます。たとえばスマートフォンは、電話・インターネット・音楽プレイヤーなど既存の機能を掛け合わせています。動画配信サービスも、インターネットと映像コンテンツの掛け合わせから生まれました。
既存のビジネスだと面白みがないと感じても、意外な組み合わせで新しいアイデアになることがあります。さまざまなビジネスを書き出して、組み合わせてみましょう。
5. 世の中の課題を解決する
労働生産性の低下、少子高齢化、環境問題、地方の過疎化など、世の中にはさまざまな課題があります。こうした課題を解決しながら収益を得る事業は、ソーシャルビジネスと呼ばれます。
課題を探すには、ネットニュースや新聞で話題のテーマを確認する、周りの人に生活上の悩みを聞く、自分が住む地域の課題を調べるなど、身近なところから始めるとよいでしょう。自分の経験や知識を活かせる課題が見つかれば、深掘りしてアイデアにします。地域の課題から考えたい方は、田舎で起業するアイデアや地方起業のメリット・デメリットも参考になります。
起業アイデアの具体例
具体的なアイデアは、何を元手にするかで4つの方向性に分けると選びやすくなります。実際に始める前に、市場の状況や必要な許認可を確認してください。
スキルや知識を活かす
これまでの仕事や資格、趣味で身につけた知識を、サービスとして提供する方向です。Web制作、ライティング、デザイン、オンライン講師、コンサルティングなどが例です。仕入れや設備が少なくて済むため、始めやすいのが特徴です。
モノを作る・仕入れて売る
ハンドメイド作品や食品・雑貨のネット販売、地域の特産品の販売などが例です。食品を扱う場合は、営業許可などが必要になることがあります。事前に扱う商品の規制を調べておきましょう。
場所や設備を活かす
空いている部屋やスペースを貸すレンタルスペース、キッチンカーでの飲食の提供などが例です。場所や設備を持っていることが強みになります。用途によっては許認可が必要なため、始める前に確認しましょう。
インターネットやコンテンツで届ける
ブログ、YouTube、note、オンライン講座、Webサービスの開発などが例です。自分の知識や経験を、時間や場所を問わずに届けられます。成果が出るまでに時間がかかることもあるため、他の収入源と並行して始める方も多くなっています。
目的や状況に合わせてさらに探す
もっと具体的なアイデアを知りたい方は、状況に合わせて次の記事を参考にしてください。
- 業種・職種の一覧から選びたい:初心者向け起業おすすめ業種・職種一覧24選
- 元手を抑えたい:0円起業アイデア23選
- 一人で始めたい:ひとり起業のビジネスモデルと成功例
- 女性の場合:起業する女性におすすめの職種7選
- 学生の場合:学生起業のやり方
発想が止まったときのヒントとフレームワーク
アイデアが出ないときは、一人で考え込まず、視点を変える方法を試します。
まず試したい4つのヒント
1つ目は、顧客の立場に立つことです。顧客が求める商品やサービス、価格帯、使いやすさを考えると、ニーズに合った案が出ます。2つ目は、身近な人に困りごとを聞くことです。一人では気づかない視点が得られます。3つ目は、起業家向けのイベントやセミナーに参加して、外部の意見を聞くことです。4つ目は、XやInstagram、YouTubeなどで、ターゲットとなる人が何に困っているかを探すことです。
実現性を考えすぎず、まずは数を出すことも大切です。はじめから「無理だ」と切り捨てず、たくさん書き出してから絞ります。それでも思いつかない場合は、起業したいけどアイデアがないときの対処法で、実践のポイントを紹介しています。
マンダラート
9×9のマスを用意し、中央にテーマ(「起業」「好きなこと」など)を書きます。周囲のマスに関連するキーワードを連想ゲームのように埋めていく手法です。思考を視覚的に整理でき、意外な組み合わせが見つかりやすくなります。
SCAMPER(スキャンパー)法
既存のアイデアや商品を、次の7つの視点から変化させて新しい価値を作る方法です。
| 頭文字 | 視点 | 問いかけの例 |
|---|---|---|
| S(Substitute) | 代用する | 他のものに代えられないか |
| C(Combine) | 組み合わせる | 他のものと組み合わせられないか |
| A(Adapt) | 適応させる | 他のアイデアを応用できないか |
| M(Modify) | 修正する | 形や性質を変えられないか |
| P(Put to other uses) | 他の用途に使う | 別の使い道はないか |
| E(Eliminate) | 削除する | 無駄を省けないか |
| R(Reverse / Rearrange) | 逆転・再構成する | 逆にしたり、並べ替えたりできないか |
逆転発想法
「高いと売れない」を「高いからこそ価値がある」と考えるように、常識をあえて逆にして考える手法です。競合が気づいていない市場を見つけるきっかけになります。ここまでのフレームワークは、AIに指示して案を出してもらう方法もあります。
起業アイデアの実例
起業の窓口が実際に取材した起業家のうち、アイデアの出どころがわかる3人を紹介します。
上形秀一郎さん:アルバイトで得意だった呼び込みを事業に
ボンディッシュ株式会社(旧:株式会社ノンピ)の代表取締役社長・上形秀一郎さんは、大学生のときに、飲食店向けの販促支援事業で起業しました。就職活動がうまくいかず、1社からもらった内定も辞退を求められたことがきっかけです。
アイデアの出どころは、ゼミで研究していたドラッカーの「経営の本質は、強みを生かして成果を出すこと」という考え方でした。自分の強みを考えたとき、アルバイトで得意だった飲食店の呼び込みを思いつき、そのノウハウを体系化した研修プログラムを作って売りました。詳しくは上形さんのインタビュー記事をご覧ください。
石井賢介さん:大手で当たり前だった知識が、外では求められていた
株式会社MDの石井賢介さんは、P&Gジャパンを退社して、2020年に起業しました。P&Gでは当たり前のように共有されている知識や会話が、一般的な会社にとっては欲しい情報であることに気づき、この情報の差を商品にしようと考えたのが最初のアイデアです。
P&G流のマーケティングをまとめた記事をnoteで公開すると、問い合わせが相次ぎました。一方で、自分が稼働し続ける必要があるコンサルティングは頭打ちになると感じ、創業から数年後に自社の化粧品ブランドへ事業を広げています。アイデアは、最初の形のまま続くとは限りません。詳しくは石井さんのインタビュー記事をご覧ください。
山崎琴乃さん:イベントで感じた「支えたい」を事業に
「Cafe&Bar Palette」の経営者・山崎琴乃さんは、看護師として働きながら、自分が企画したイベントでファンと交流する中で「クリエイターの活動をイベントの運営で支援したい」と考え、起業を決意しました。夜勤の前後に準備を進め、2021年11月に創業し、現在は3店舗を運営しています。詳しくは山崎さんのインタビュー記事をご覧ください。
3人に共通するのは、アイデアの出発点が自分の経験や強み、現場で感じたことだったということです。特別な発明ではなく、身近なところから始まっています。
アイデアを事業にする手順
アイデアが出たら、そのまま起業するのではなく、整理して確かめる段階に進みます。
アイデアシートに整理する
思いついたアイデアを書き出し、数が集まったらアイデアシートを作ります。「誰の」「どんな課題を」「どう解決するか」の3点を書くのが基本です。特に「誰の」、つまり将来の顧客像を決めておくと、提供するサービスや商品を具体化しやすくなります。似たアイデアをグループにまとめたり、イラストで表したりすると、事業のイメージがわきやすくなります。

事業にする前に確認する5つのこと
- ビジネスモデルにするアイデアを決める:技術や資金の面で提供を続けられるか、ビジネスとして成り立つ市場があるかを確認します。この段階では1つに絞らず、明らかに合わないものだけ除きます。
- コンセプトを設計する:ターゲット、解決する課題、解決方法、ゴールを言葉にします。
- 競合との違いを見つける:検索や商品リサーチ、現地の確認で競合を調べ、競合サービスや商品の課題から自分の強みを探します。
- 実現できるかを見極める:自分の人材・設備・資金と、協力してくれる相手を含めて、必要な活動を実現できるかを確認します。
- 収益モデルを決める:単発販売、継続課金、広告収益、仲介手数料など、どの形で売上が発生するかを整理します。顧客が払う対価と、事業にかかる費用も書き出します。
事業計画書と起業の手順に進む
アイデアが固まったら、事業計画書にまとめます。書き方は「事業計画書の書き方」で解説しています。起業全体の流れは「起業のために最初にやること」、必要な知識は「起業に必要な知識とスキル13選」、失敗しやすい点は「起業に失敗する原因」で確認できます。
起業アイデアに関するよくある質問
Q. 起業アイデアが思いつかないときは、何から始めればいいですか?
A. まず、自分の好きなこと・得意なこと、これまでの経験を書き出してください。次に、身近な人の困りごとを聞き、SNSで人が何に悩んでいるかを探します。それでも出ない場合は、マンダラートやSCAMPER法などのフレームワークが役立ちます。詳しくは「起業したいけどアイデアがないときの対処法」を参照してください。
Q. 起業アイデアに、新しさや独自性は必要ですか?
A. 革新的なアイデアは必須ではありません。誰もやったことのない事業は、市場や収益の見通しが立てにくく、リスクも高くなります。既存の商品やサービスを組み合わせて便利にする、身近な課題を解決するなど、小さな工夫から始める方法もあります。
Q. 思いついたアイデアが事業になるかは、どう確かめますか?
A. アイデアシートに「誰の」「どんな課題を」「どう解決するか」を書き、そのうえで、競合の状況、実現性、収益の形を確認します。顧客になりそうな人に話を聞くことも、確かめる方法の一つです。
Q. 元手がなくても始められるアイデアはありますか?
A. 自分のスキルや知識を提供するサービスなど、初期費用を抑えやすいアイデアはあります。ただし、業種によっては許認可が必要です。具体例は「0円起業アイデア」の記事を参考にしてください。
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まとめ
起業アイデアは、好きなこと・得意なこと、既存のニーズ、時代や社会の変化、掛け合わせ、世の中の課題の5つの入口から探せます。発想が止まったときは、顧客の立場に立つ、身近な人に聞く、マンダラートやSCAMPER法を使うなど、視点を変えてみてください。取材した起業家3人のように、自分の経験や強み、現場で感じたことがアイデアの出発点になります。思いついたら、アイデアシートで整理し、競合や実現性を確かめてから、事業計画書に進みましょう。
さらに起業や独立に関する情報を知りたい方は、ぜひ「起業の窓口」にご登録ください。最新の起業情報や役立つアドバイスをお届けします。
- ※本記事は、起業の窓口編集部が専門家の監修または独自調査(アンケート)に基づいて制作したものです。
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