スタートアップ必見!小さな企業でもできる商標とブランド保護

せっかく新たに立ち上げたブランド、商標登録をしていなければ、他者に先に登録されてしまい、自社で使えなくなるリスクがあります。
そのような事態を避けるためにも、事業の初期段階で、ブランドをしっかり保護する方法を3つのステップでご紹介します。
- 【この記事のまとめ】
- 商標は「早い者勝ち」の制度です。知名度が低いうちでも先に登録することで、他社による横取りや訴訟リスクを未然に防げます。
- 有名な「モンシュシュ事件」のように、たとえ長年使用していた名称でも商標登録がなければ他者に奪われる可能性があります。
- スタートアップこそ、事業の初期段階で商標登録を行い、ドメイン確保やSNS対策と併せてブランド全体を守る体制を整えるべきです。
ブランド保護、商標登録は「先行者優位」(早い者勝ち)
スタートアップや中小企業にとって、最も重要な資産の一つが「ブランド」です。 しかし、事業を立ち上げたばかりの企業にとっては、ブランド保護まで手が回らないという声も少なくありません。
「いつか大きくなったら」「お金に余裕ができたら」……そう思っている間に、ブランド名やサービス名を他者に先に商標登録されてしまうケースは決して珍しくないのです。
本記事では、スタートアップでもすぐに取り組める、現実的かつ効果的なブランド保護の考え方と実践ステップをわかりやすく紹介します。
実例:「モンシュシュ事件」に学ぶ商標とドメインの落とし穴
有名な「モンシュシュ事件」は、大阪の洋菓子店が展開していた人気ブランド「Mon chou chou(モンシュシュ)」をめぐって発生した商標トラブルです。
この店舗は、「モンシュシュ」という名称を社名・ブランド名として用い、商品を展開していました。さらにオンライン販売のために「monchouchou.jp」というドメイン名も取得していました。
しかし、他社が「モンシュシュ」の商標を先に取得していたため、このドメイン名の使用が商標権を侵害するとして訴訟に発展しました。裁判所は、ドメイン名の使用も商標の使用に該当すると判断し、商標権侵害が認められました。
この事案のポイントは「長年自社で使っていた名称」であっても、商標登録をしていなければ、他者に先に権利を取られてしまう可能性がある」ということです。
ブランドが広く認知されてからでは遅く、まだ知名度が高くない段階でも、商標を先に押さえておくことが極めて重要であることを、この事件は教えてくれます。
スタートアップが今すぐできる3つのステップ
ステップ1:ブランド名・ロゴを棚卸ししよう
まずは、自社で現在使用している名称やデザイン要素を整理しましょう。
- 会社名・屋号
- 商品・サービス名
- ロゴ・シンボルマーク
- キャッチコピー・スローガン
これらが他者の商標と競合していないかを簡易的に調査することが、ブランド保護の第一歩です。
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を使えば、無料で検索が可能です。
ただし、判断が難しい場合や不安がある場合には、弁理士などの専門家による事前調査(先行商標調査)の依頼をおすすめします。 特に将来のブランド戦略に直結する名称であれば、専門家の目を通すことでリスク回避の精度が格段に高まります。
ステップ2:優先順位をつけて出願する
すべての名称やロゴを一度に商標登録するのは、予算面で難しい場合もあるでしょう。そのため「最も市場に出す機会が多い名称」や「使用頻度の高いブランド名」からすることをおすすめします。
- ECサイトで販売する商品の名称
- 広告などで頻繁に露出するブランド名
- 海外展開を見据えている場合は、国際商標の取得も視野に入れる
費用を抑えたい場合は、文字商標(標準文字)での出願を基本とし、後から図形やロゴの商標を追加で出願する方法もあります。
ステップ3:登録後は「活用」する
商標は登録して終わりではありません。 SNSプロフィールや商品パッケージ、Webサイトなどに登録商標(™や®)を明記し、正規品であることを顧客にしっかり伝えることが重要です。
さらに、万が一なりすましアカウントや偽サイトが出現した場合にも、「商標権者」として正当な削除申請を行えることは、大きな強みとなります。
商標登録以外にもできるブランド保護対策
商標登録はブランド保護において非常に重要な手段ですが、それだけでは防ぎきれないリスクも存在します。
そのため、以下のような対策を組み合わせることで、ブランド全体の防御力をより強化することが可能です。
- ドメイン名の早期取得(.jp や .com など、複数のドメインを確保)
- SNSアカウントの仮押さえ(Twitter/Instagram/TikTokなど)
- (X〈旧Twitter〉、Instagram、TikTok など)
- 商品パッケージやWebサイトの著作権表示(© 表記など)
- 不正競争防止法の活用(デザインや表示の模倣に対する法的対応)
「大企業の話」ではなく「いま自分たちの話」として
スタートアップにとって、ブランドはまさに「アイデンティティ」そのものです。 そして、誰よりもそのブランドに価値を感じているのは、他ならぬ創業者自身ではないでしょうか。
だからこそ、ブランドを守るための取り組みは、事業の初期段階から「必要な経費」として前向きに捉えるべきです。
まとめ:小さな一歩が、大きな損失を防ぐ
商標登録やブランド保護は、後回しにすればするほど対応が難しくなり、増大します
一方で、早期に動くことで、将来のリスクを抑え、安定した事業基盤を築くことが可能です。
「予算が限られているからこそ、優先的に守るべきものは何か?」
その視点を持って、今すぐできるところから、一歩踏み出してみてください。
- 記事監修
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GMOブランドセキュリティは、「すべてのブランドにセキュリティを」というスローガンを掲げ、インターネット上のブランド侵害リスクに対して、監視サービスや権利行使のサポートを行っています。権利行使の前提となる商標・ドメインの取得や管理も提供しており、ワンストップでブランドを守ることが可能です。2023年12月時点で約1,800社にサービスをご利用いただいています。
GMOブランドセキュリティ株式会社
https://brandsecurity.gmo/
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