創業融資は銀行から受けられる?難しい理由と受けやすくするポイント
創業時に必要な資金は、大きく分けて運転資金と設備資金があります。
すべての費用を自己資金で賄うことができれば問題ありませんが、多くの方は銀行から融資を受けて資金を調達したいと考えるのではないでしょうか。
この記事では、創業融資の基本概要や民間銀行から融資を受けるのが難しい理由、受けやすくするポイントや銀行以外の選択肢を詳しく紹介します。
- 【この記事のまとめ】
- 創業融資とは、新しいビジネスを始める際に必要な資金を外部から調達するための融資です。自己資金だけでは賄えない場合に利用され、一般的には日本政策金融公庫の制度が多く知られています。
- 民間銀行からの創業融資は、実績のない新規事業に対して審査が厳しく、貸し倒れリスクを避けるために難しいことが多いです。そのため、創業者は十分な将来性を証明することが求められます。
- 創業融資を受けやすくする方法には、信用保証協会の利用や地方自治体との連携があります。特に地方銀行や信用金庫は地域経済の活性化を目的に創業融資を積極的に行っており、迅速な審査が期待できます。
2024年11月1日より、フリーランス保護法が施行されます。
組織に所属せずに働くフリーランスが安心して働ける環境を整備するために、フリーランスと企業などとの発注事業者間の取引の適正化(契約書等により取引条件を明示する)が主な目的です。
詳しくは次の記事をご覧ください。フリーランス保護法の概要、制定された背景や具体的な内容などを解説しています。
「起業の窓口」では、AIインフルエンサーの茶圓氏とコラボをおこない、AIを活用してビジネスの効率化を図るための貴重な知識を提供しています。
特集ページ「AI×起業」では、最新のAI技術やツールを使った実践的なアプローチを紹介しており、起業家や個人事業主の業務をよりスマートにサポートします。
AIの力で業務の負担を軽減し、ビジネスの成長を加速させたい方に最適な情報が満載です。ぜひご覧ください。
創業融資とは
創業融資とは、新しいビジネスを始める際に利用できる融資のことです。
多くの場合、創業直後は十分な売上実績がありません。しかし、事業に必要な備品やオフィスの賃貸料、人件費は必要です。
これらをすべて自己資金だけで賄えれば問題ありませんが、足りない分は外部から調達しなければいけません。その際に利用するのが、創業融資です。
一般的に創業融資は、日本政策金融公庫の融資制度を指す場合が多いですが、民間の銀行から融資を受けることもできます。
創業融資を民間銀行から受けるのは難しい!理由は?
経営や事業を行ってきた実績のない人が民間の銀行からなんの保証もなく融資を受けるのは難しいです。
なぜなら、事業の実績が少ない創業間もない会社では判断材料が不足しており、融資をしても確実に返済されるという根拠が著しく欠けているからです。
民間企業である銀行が最も恐れているリスクは貸し倒れです。リスクを最小限に抑えるため、成功する保証がない創業間もない会社には慎重な姿勢を見せるのが一般的です。
銀行は不確実性が高い企業に対して融資を行わない傾向にあるため、将来の見通しや収益性に対する十分な証拠を提供できない企業では、融資審査は通過しにくくなります。
民間銀行から創業融資を受けやすくするポイント
ここでは、民間銀行から創業融資を受けやすくするためのポイントを2つ解説します。
信用保証協会の利用
民間銀行からの創業融資の大半は信用保証協会の保証を利用して融資が行われます。
信用保証協会とは、中小企業や小規模事業者の資金調達を円滑にすることを目的に運営している公的機関です。中小企業や小規模事業者が返済出来なくなった場合に代わりに金融機関に返済することを約束することで、融資を受けやすくなるようサポートしています。
信用保証協会は、債務を保証する役割を担います。そのため、事業者が借入金を返済できなくなった場合は、事業者に代わり信用保証協会が金融機関へ弁済します。
金融機関からすれば、信用保証協会を利用している企業へ融資をすれば貸し倒れリスクはないため、創業融資を受けられる可能性が上がるということです。
しかし、信用保証協会から保証を受ける際は信用保証料を支払う必要があります。詳しくは、下記のページをご覧ください。
地方自治体と連携している民間銀行を利用
民間銀行の多くは、地方自治体と連携して創業融資を取り扱っています。
例えば、みずほ銀行や三井住友銀行など多くの民間金融機関が連携している東京都中小企業制度融資では、東京都内で起業する個人や法人を対象とした融資を行っています。
他にも、東京都千代田区の千代田区創業支援事業では、千代田区が利子の一部を負担することで創業者の負担を軽減する融資制度を提供しています。
地方自治体は、地域内の産業を活性化させる目的で積極的に創業者を支援しているため、連携している銀行に相談し創業融資を受けることになります。
創業融資を受けやすい銀行
ここでは、創業融資を受けやすい民間の銀行を2つ紹介します。
地方銀行
地域に根付いたサービスを行っている地方銀行は、創業融資を受けやすいです。
地方銀行は、地域経済に深く関与しているため新規事業のニーズやポテンシャルを把握しやすく、柔軟に相談にも乗ってくれます。創業融資にも積極的な場合が多いです。
また、地方銀行は地域の企業や団体とのつながりを大切にし、小口取引でも積極的に対応してくれるため、担保や実績がなくても相談に乗ってくれるケースが多いです。
信用金庫
信用金庫は、地方銀行よりもさらに深く地域に密着した金融機関です。
その特性上、地域の中小企業や個人事業主のニーズを深く理解しているため、より親身になって相談に乗ってくれる傾向があります。創業融資も積極的な場合が多いです。
また、信用金庫は大手銀行に比べて規模が小さいため、審査や融資の判断プロセスが大手銀行よりも早く、スピーディーに審査や融資を受けられることが多いです。
地方銀行で創業融資を受けるメリット・デメリット
ここでは、地方銀行で創業融資を受けるメリットとデメリットを紹介します。
メリット
地方銀行には、地域経済を活性化させるために地元の企業を支援するという性質があるため、大手銀行よりも創業融資に積極的という点がメリットです。
デメリット
メインバンクが地方銀行だと、メガバンクに比べやや信用度が低下するという点がデメリットです。ただしこれは都市部についてであり、地方では地方銀行の力が絶大なので必ずしもそうではありません。
いくら大手銀行よりも地方銀行の方が融資に積極的とはいえ、必ず融資を受けられるわけではありません。また、申し込みから融資までの期間も長いです。
さらに、地方銀行は地域経済の発展を第一の目的にしているため、他地域での事業まではフォローしてもらいにくいという特徴があります。
事業を他地域へと拡大していく予定がある場合は、これらの点をデメリットと感じる場面が出てくるかもしれません。
信用金庫で創業融資を受けるメリット・デメリット
続いては、信用金庫で創業融資を受けるメリットとデメリットを紹介します。
メリット
地域経済の発展と地域住民の利便性促進を目的に設立されている信用金庫は、地方銀行よりもさらに創業融資に積極的な点がメリットです。
民間企業である銀行が優先するのは利益ですが、信用金庫は地域経済を発展させることを目的にしているため、地域発展をサポートする創業融資を惜しまない傾向があります。
また、銀行に比べて小規模な場合が多いため、審査や融資実行が迅速かつスピーディーであり、柔軟な対応が期待できる点もメリットです。
デメリット
信用金庫で創業融資を受けるデメリットは、対応エリアが限定的な点が挙げられます。
信用金庫は地域に特化しているため、他地域への支援は地方銀行よりも厳しく見られます。
他地域への事業拡大や、まとまった額の資金調達を考えている場合は、メガバンクへの相談も視野に入れておけなければいけません。
民間銀行以外の創業融資の選択肢
創業融資を受けられるのは民間銀行だけではありません。ここでは、民間銀行以外の創業融資の選択肢を紹介します。
日本政策金融公庫
日本の政府系金融機関の1つである日本政策金融公庫では、創業期に利用できるさまざまな融資制度を提供しています。
主な融資制度は以下の通りです。
- 新創業融資制度
- 女性、若者/シニア起業家支援資金
- 中小企業経営力強化資金
- 新規開業資金
- 一般貸付
それぞれで要件や該当者、融資限度額が異なりますが、創業期の会社を対象とした融資制度が多くあるため、売上実績がなくても利用できます。
また、民間銀行で創業融資を受ける際は、代表者の連帯保証が必要になりますが、日本政策金融公庫の新創業融資制度では原則として代表者の連帯保証や担保は必要ありません。
比較的金利も低い傾向にあり、「創業計画書」の作成支援や悩み相談も受け付けているため、資金調達だけではなく創業期のさまざまな悩みを総合的にサポートしてくれます。
注意点としては、日本政策金融公庫は創業者をサポートする姿勢が強いため融資は受けやすいものの、融資を利用するには必ず審査を通過する必要があるということです。
民間の金融機関同様、審査に通過しなければ融資は受けられないため事前準備が必要となります。
「起業の窓口」の特集ページ「AI×起業」では、AIを活用して事業計画書を簡単に作成する方法を紹介!
詳しくは「【できるのか?】ChatGPTを使ってたった1時間で事業計画書を書くアラフォー起業家。《小説「AI起業」シリーズ#01》」をご覧ください。
まとめ
民間銀行から創業融資を受けるのが難しい理由や、受けやすい銀行のメリットとデメリット、民間銀行以外の選択肢を詳しく紹介していきました。
創業期の企業はまだ売上実績が乏しいため、民間銀行は貸し倒れリスクを避けるため、創業融資を受けられない場合が多くあります。
しかし、地域に根付いた運営を行う地方銀行や信用金庫は、地域経済を活性化させるために創業融資を行う場合があります。
また、創業期の支援を目的に運営している日本政策金融公庫では、さまざまな融資制度が提供されています。創業融資を受ける際は民間銀行だけではなく、複数の選択肢のなかから検討することが重要です。
起業や独立に興味を持ったら、まずは「起業の窓口」に登録してみよう!
「起業の窓口」では、起業に必要なノウハウや成功者のインタビューなど、さまざまなコンテンツを完全無料で提供しています。
会員特典として、起業・経営支援のプロ「V-Spirits」が監修するオリジナル冊子『会社設立完全ガイド』を無料プレゼント。さらに、V-Spritsによる1時間の無料起業相談や、GMOインターネットグループが展開するビジネスの立ち上げや拡大に役立つ各種サービスをおトクな特典付きでご紹介します。
あなたの夢の実現を全力でサポートします!
- 記事監修
-
- 中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
- 起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。