開業届はオンライン(e-Tax)で提出できる?作成・提出方法を解説
個人事業主が事業を開始する際、税務署に提出する書類が開業届です。
従来、開業届は税務署の窓口に直接持参するか、郵送で提出する必要がありましたが、現在ではオンライン(e-Tax)での提出も可能となりました。
e-Taxを利用すれば、24時間365日いつでも自宅やオフィスから開業届を提出できるほか、書類の不備や記入漏れも防げます。
一方で、e-Taxを利用するには事前の準備が必要であり、利用者識別番号や電子証明書の取得など、手続きが不慣れな方にとってはハードルが高く感じるかもしれません。
この記事では、開業届のオンライン提出方法や注意点、あわせて提出できる関連書類について詳しく解説します。
- 【この記事のまとめ】
- 開業届はe-Taxを使ってオンラインで提出でき、24時間いつでも自宅やオフィスから手続きが可能です。日中に時間が取れない方にも便利です。
- オンライン提出では、書類の不備や記入漏れを防ぎつつ、郵送代や切手代の削減が可能です。税務署までの交通費も節約できます。
- e-Taxを利用するには、事前にマイナンバーカードやICカードリーダーなどの準備が必要です。利用者登録後、スムーズに手続きが行えます。
2024年11月1日より、フリーランス保護法が施行されます。
組織に所属せずに働くフリーランスが安心して働ける環境を整備するために、フリーランスと企業などとの発注事業者間の取引の適正化(契約書等により取引条件を明示する)が主な目的です。
詳しくは次の記事をご覧ください。フリーランス保護法の概要、制定された背景や具体的な内容などを解説しています。
「起業の窓口」では、AIインフルエンサーの茶圓氏とコラボをおこない、AIを活用してビジネスの効率化を図るための貴重な知識を提供しています。
特集ページ「AI×起業」では、最新のAI技術やツールを使った実践的なアプローチを紹介しており、起業家や個人事業主の業務をよりスマートにサポートします。
AIの力で業務の負担を軽減し、ビジネスの成長を加速させたい方に最適な情報が満載です。ぜひご覧ください。
開業届はオンラインで提出できる!
開業届は、個人事業主が事業を開始したことを税務署に届け出るための書類です。
従来は、開業届を税務署の窓口に直接持参するか、郵送で提出する必要がありましたが、現在ではオンライン(e-Tax)での提出も可能となっています。
e-Taxを利用すれば、自宅やオフィスからメンテナンス時間を除き24時間開業届を提出できるため、日中にまとまった時間が取れない方でもスムーズに提出できます。
また、e-Taxでの提出は書類の不備や記入漏れを防ぐことができるほか、切手や郵送代のコストを削減できる点もメリットの1つです。
オンラインで開業届を提出する際は、事前にe-Taxの利用者登録を行う必要がありますが、登録方法は比較的シンプルです。
開業届の提出期限は、開業日から1ヶ月以内となっているため、余裕を持って手続きを行うようにしましょう。
開業届の基本概要や提出するメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
開業届の提出方法は全部で3種類
開業届の提出方法には、オンライン(e-Tax)、税務署の窓口への直接持参、郵送の3種類があります。
オンライン(e-Tax)で提出する
オンライン(e-Tax)で開業届を提出する場合、まずはe-Taxの利用者登録を行う必要があります。
利用者登録には、マイナンバーカードとICカードリーダライタ、またはマイナンバーカード対応のスマートフォンが必要です。
登録完了後、e-TaxのWebサイトから開業届の書類をダウンロードし、必要事項を入力します。入力が完了したら電子署名を行い、送信ボタンを押せば提出完了です。
e-Taxでの提出は24時間いつでも可能で、書類の不備や記入漏れも防げることから、非常に便利な方法といえるでしょう。
税務署の窓口に直接持参する
開業届を税務署の窓口に直接持参する場合は、管轄の税務署を確認し、開業届の用紙を入手します。
用紙は税務署の窓口で受け取るか、「国税庁のホームページ」からダウンロードできます。
税務署の開庁時間は、月曜日から金曜日(祝日等を除く)の8:30〜17:00です。この時間内に必要事項を記入し、税務署の窓口に提出します。
窓口での提出は時間が限定されるものの、書類に不備がある場合はその場で指摘してもらえるなどのメリットがあります。
窓口への直接持参は、書類作成に不安がある方に向いている方法といえるでしょう。
郵送で提出する
開業届は税務署の窓口に直接持参しなくても、郵送で提出することも可能です。郵送の場合も、まずは管轄の税務署を確認して開業届の用紙を入手します。
開業届は「国税庁のホームページ」からもダウンロードできるため、都合の良い方法を選択しましょう。
直接持参する方法と同じように必要事項を記入した後、管轄の税務署宛てに郵送します。郵送の場合、税務署への到着日ではなく郵便局での消印が受領日となります。
郵送での提出は、税務署の窓口に行く時間がない場合に便利な方法です。
ただし、書類の不備や記入漏れがあった場合、再提出が必要となるため注意が必要です。
開業届をオンラインで提出するメリット
開業届をオンライン(e-Tax)で提出することには、以下のようにいくつかのメリットがあります。
24時間どこからでも提出できる
オンラインでの開業届の提出は、24時間365日いつでも可能です。税務署の開庁時間内に限定されないため、ご自身の都合に合わせて手続きを行えます。
また、自宅やオフィスなど、インターネット環境があればどこからでも提出できる点もメリットの1つです。
遠方に住んでいる場合や、多忙で税務署に行く時間がない場合に向いています。
作成・提出までのスピードが早い
オンラインでの開業届作成は、書類のダウンロードからデータ入力、提出まで一連の流れをスムーズに行えます。
紙の書類に手書きで記入する必要がないため、作成にかかる時間を大幅に短縮できるのです。
また、入力したデータは自動的にチェックされ、不備や記入漏れを防ぐことができるため、修正や再提出の手間も省けます。
開業届の提出期限がギリギリになってしまった場合でも、オンラインでの方法を用いればスムーズに提出できるでしょう。
コストを削減できる
開業届をオンラインで提出することで、切手代や郵送代などのコストを削減できます。
郵送で提出する場合、切手代や郵送料、印刷代がかかりますが、オンラインの提出ではこれらのコストが不要です。
また、税務署までの交通費も節約できるため、特に遠方に住んでいる場合は大きなメリットが得られます。
開業届の提出後に控えをデジタルで保存すれば、紙やコピーにかかる資源の無駄を防ぐことにも繋がります。
開業届をオンラインで提出する方法
ここでは、実際に開業届をオンライン(e-Tax)で提出する方法を段階的に解説します。
e-Taxで開業届を提出する準備を行う
まずは、e-Taxを利用するための準備を行います。
e-Taxの利用者登録には、マイナンバーカードとICカードリーダライタ、またはマイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンが必要です。
また、パソコンとインターネット環境も事前に準備する必要があります。
利用者識別番号と電子証明書を取得する
e-Taxで開業届を提出するには、利用者識別番号と電子証明書が必須です。
利用者識別番号は、e-Taxを利用するために必要な16桁の番号で、電子証明書は第三者(認証局)が本人であることを電子的に証明するものです。
利用者識別番号は以下のような方法で取得できます。
【利用者識別番号の取得方法】
- Webからマイナンバーカードを使ってアカウントを登録する
- Webから利用者識別番号を取得する
- マイナポータルの「外部サイトとの連携」機能からe-Taxを利用する
- WebからID・パスワード方式の届出を作成・送信する
- 税務署に行って、ID・パスワード方式の届出を作成・送信する
- 書面で利用者識別番号を取得する
- 税理士に依頼し、利用者識別番号を取得する
参考:ご利用の流れ|e-Tax
電子証明書はマイナンバーカードに格納されているため、一般的にマイナンバーカードを使って本人確認を行います。
電子証明書には有効期限があり、期限が切れている場合は手続き前に更新する必要があります。
利用者識別番号と電子証明書は、開業届の作成・提出に必須の情報なので、大切に管理しましょう。
e-TaXで開業届を作成・提出する
開業届を提出する準備ができたら、e-Taxソフトをインストールします。
e-Taxのホームページ「e-Taxソフトのダウンロードコーナー」からソフトをインストールし、完了したらe-Taxソフトを起動します。
その後、申請・申告等一覧から「個人事業の開業・廃業等届出書」を選択しましょう。開業届の作成画面で、必要事項を漏れなく入力していきます。
入力内容に誤りがないか、十分に確認することが大切です。
作成が完了したら、マイナンバーカードを読み取って電子署名を行い、送信ボタンを押して開業届を提出します。
提出後は受信通知を確認し、開業届が正常に届いたことを確認してください。
開業届とあわせてオンラインで提出できる書類
開業届の提出とあわせて、関連する書類をオンラインで提出することができます。以下、オンラインで提出できる書類を3つ紹介します。
所得税の青色申告承認申請書
個人事業主が青色申告を行うためには、所得税の青色申告承認申請書を提出する必要があります。
この申請書は、開業届と併せてe-Taxで提出することが可能です。
青色申告を行うことで、より有利な税制上の特典を受けられるため、開業時に申請しておくことをおすすめします。
なお、青色申告承認申請書の提出期限は開業日から2ヶ月以内です。
その年の1月15日までに開業した場合は、3月15日までの提出期限となり、1月16日以降に開業した場合は2ヶ月以内の提出が必要です。
提出期限を過ぎると、その年の青色申告の承認を受けられないため注意しましょう。
所得税の青色申告承認申請書についての詳細は、以下の記事で解説しています。これから提出する予定の方はぜひご確認ください。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
従業員を雇用する個人事業主は、源泉所得税の納付義務があります。
通常、源泉所得税は給与支払い月の翌月10日までに納付する必要がありますが、納期の特例を受けることで、年2回の納付に変更できます。
この特例を受けるには、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出が必要です。
開業届の提出後に納期の特例を受けたい場合は、できるだけ早めにe-Taxで申請書を提出しましょう。
提出期限については、特に定められていません。原則として、提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます。
提出方法は開業届と同じように、e-Taxソフトで申請書を作成・提出します。詳しい方法については、e-Taxホームページ「e-Taxソフトについて」をご確認ください。
申請書をダウンロードしたい場合は、国税庁のホームページ「A2-8 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」から行えます。
給与支払事務所等の開設届出書
従業員を雇用する場合、給与支払事務所等の開設届出書を提出する必要があります。この届出書は、開設や移転した日から1ヶ月以内に提出しなければなりません。
e-Taxを利用すれば、開業届と同時に給与支払事務所等の開設届出書を提出できます。
届出書の提出が遅れると、源泉徴収された所得税を納付するための用紙がもらえないため注意が必要です。できるだけ早めに給与支払事務所等の開設届出書を提出するようにしましょう。
届出書のダウンロードについては、国税庁のホームページ「A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」から行えます。
なお、開業届の「給与等の支払の状況」欄を記載している場合や、アルバイトや従業員がいない場合は、届出書を提出する必要はありません。
これから事業を始める個人事業主には「FREENANCE」がおすすめ!
出典:FREENANCE
開業届は、個人事業主が事業を開始したことを税務署に届け出るための重要な書類です。
従来は税務署への直接持参か郵送での提出が必要でしたが、現在ではオンライン(e-Tax)での提出も可能になりました。
e-Taxを利用した開業届の提出は、メンテナンス時間を除き24時間いつでもどこからでも行え、書類の不備や記入漏れを防げるため非常に便利です。
また、作成から提出までのスピードが速く、コストも削減できるというメリットがあります。
e-Taxで開業届を提出するには、事前の準備として利用者登録や利用者識別番号、電子証明書の取得が必要ですが、手順に沿って進めればスムーズに手続きを完了できます。
さらに、開業届と同時に青色申告承認申請書や源泉所得税の納期特例の申請書など、関連する書類もオンラインで提出可能です。
これから開業届を提出し、事業を始めたい個人事業主・フリーランスの方は、「FREENANCE」の利用をご検討ください。
お金や保険に関わるフリーランスの悩みについて、資金繰り支援やあんしん補償などでサポートいたします。
「起業の窓口」では、個人事業主の方々に向けて、業務効率化のヒントや成功事例、最新のビジネス情報など、お役立ち情報を提供しています。
ぜひ、「個人事業主」に関する他の記事もご覧ください。
起業や独立に興味を持ったら、まずは「起業の窓口」に登録してみよう!
「起業の窓口」では、起業に必要なノウハウや成功者のインタビューなど、さまざまなコンテンツを完全無料で提供しています。
会員特典として、起業・経営支援のプロ「V-Spirits」が監修するオリジナル冊子『会社設立完全ガイド』を無料プレゼント。さらに、V-Spritsによる1時間の無料起業相談や、GMOインターネットグループが展開するビジネスの立ち上げや拡大に役立つ各種サービスをおトクな特典付きでご紹介します。
あなたの夢の実現を全力でサポートします!
- 記事監修
-
- 中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
- 起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。