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開業届を出すメリット・デメリット|出さないとどうなる?副業の場合も徹底解説

開業届を出すメリット・デメリット|出さないとどうなる?副業の場合も徹底解説

2024年11月1日より、フリーランス保護法が施行されます。

組織に所属せずに働くフリーランスが安心して働ける環境を整備するために、フリーランスと企業などとの発注事業者間の取引の適正化(契約書等により取引条件を明示する)が主な目的です。

詳しくは次の記事をご覧ください。フリーランス保護法の概要、制定された背景や具体的な内容などを解説しています。

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個人事業主などが事業を始める際には、開業届を出す必要があります。ただし、出さない場合でも罰則はありません。

また、副業の場合は、継続的な事業とみなされるのであれば開業届が必要とされています。

開業届にはメリット・デメリットがあるため、本業はもちろんのこと、副業を行う方もあらかじめ基本情報を把握しておくことが大切です。この記事を読んで、開業届を提出する時の参考にしてください。

開業届を出すデメリット

開業届を出すデメリット

開業届を提出すると、以下のようなデメリットがあります。

  • 健康保険上の扶養に入れなくなる場合がある
  • 失業保険を受給できなくなる
  • 青色申告は手間がかかる

ここではデメリットについて詳しく解説しますので、開業届を提出する際の判断材料にしてください。

扶養に入れなくなる場合がある

扶養制度には税法と健康保険の2種類があり、税法では定められた額より所得が低ければ開業届の有り・無しに関わらず扶養の対象となります。一方で、健康保険の扶養は一定額未満の所得でも開業届を提出することで対象から外れる可能性があるため注意が必要です。

扶養に入れなくなると、今まで納める必要のなかった社会保険料の支払い義務が発生し、自分で国民健康保険に加入しなければならなくなります。加入手続きの手間がかかるだけでなく、保険料を支払うことになるため、金銭面の負担が増えるのが大きなデメリットです。

健康保険の扶養に入れるか否かは、各健康保険組合で定められた規約によって決まります。健康保険組合で「開業届を出した者は扶養の対象外」と定められているのであれば、開業届を提出した時点で扶養から外れてしまうため、あらかじめ規約を確認してください。

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失業保険を受給できなくなる

失業保険は、退職後、次の仕事が見つかるまでの生活を支援する制度です。失業保険の受給前に開業届を出した人は、その時点で失業者ではなく個人事業主となるため失業保険の受給ができなくなる可能性があります。

失業認定を受け、求職活動中に創業の準備や検討を行う場合は失業保険が受給できる可能性があります。しっかりと起業の状況を見極めてから開業届を出す必要があります。全く収入がない状態で失業保険を受けられなくなると、経済的な苦境に立たされてしまう可能性もあるためタイミングに気をつけてください。

また、開業届を出した後も失業保険を受け続けると不正受給とみなされることもあります。個人事業主として開業すると決めた場合は、失業保険を受け取った後に開業届を出すと良いでしょう。

青色申告は手間がかかる

開業届を提出すると、節税効果が見込める青色承認申請書の提出が可能になります。

しかし青色申告白色申告と比べて、事前に申請が必要になったり、簿記の原則に従って会計処理をしなければならなかったりなど、手間がかかります。また、不適切な会計処理が発覚すれば承認が取り消される可能性もあるのです。

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開業届を出すメリット

開業届を出すメリット

開業届には、以下のようなメリットもあります。

  • 青色申告承認申請手続きをすることで青色申告ができる
  • 小規模企業共済に加入できる
  • 助成金や補助金の申請ができる
  • 屋号で口座開設できる
  • 個人事業主としての証明になる
  • 赤字を繰り越せる

ここからは、各メリットの詳細について解説します。必要な情報を把握し、メリットを活かした円滑な事業運営に繋げるための参考にしてください。

青色申告承認申請手続きをすることで青色申告ができる

青色申告のメリットの一つに事業によって得た所得に対して最大65万円の特別控除があります。控除を受ければ節税に繋がり、全体の収入額を増やせるのが大きなメリットです。

ただし、控除額は達成した要件によって変わるため注意が必要です。例えば、複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を添付した上で期限内に確定申告を行えば55万円の控除になります。さらに、e-Taxを使って電子申告するか電子帳簿保存を実施すれば合計で65万円の控除が可能です。

上記の要件を満たさない場合は控除額が10万円となるため、あらかじめ確定申告の準備はしっかり行っておくと良いでしょう。

小規模企業共済に加入できる

小規模企業共済とは、個人事業主や小規模の会社を運営する経営者に向けて設けられた退職金制度です。掛金を毎月積み立てておけば、退職・廃業時に共済金を受け取れます。

また、共済に支払った掛金は全て控除の対象となるため、節税対策をしたい時にも良いでしょう。他には、掛金の範囲内であれば低金利で事業資金の貸付制度を使えるというメリットもあります。

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助成金や補助金の申請ができる

国や各自治体からは、災害などで一時的に所得が減った場合や、事業が軌道に乗る前に新たな資金が必要になった場合などに役立つ助成金や補助金の制度が設けられています。助成金や補助金の必要書類には開業届の控えが含まれているケースが多いです。助成金や補助金には一定の審査・条件があり、必ず受給できるものではありませんが、あらかじめ開業届を提出しておけばスムーズに申請できるのもメリットです。

屋号で口座開設できる

開業届で屋号を設定しておけば、屋号付きの銀行口座を開設できるようになります。取引先とお金のやり取りをする場合、個人名義の口座よりも屋号の口座の方が、信頼度が高く「安心して取引できる事業主だ」と認識してもらいやすいでしょう。

また、事業のお金は屋号の口座、プライベートのお金は個人名義の口座でそれぞれ管理しておけば、確定申告時の会計処理を効率化できます。お金の管理は事業運営に大きな影響を及ぼすため、屋号付きの口座できちんと管理しておくと良いでしょう。

個人事業主としての証明になる

開業届は、さまざまな面で個人事業主を証明する書類として使われます。例えば、銀行融資を受ける時、子供を保育園に入れるための就労証明などでは、開業届の控えが必要になるでしょう。

開業届は、個人事業主として円滑に事業運営を行うための大きなメリットをもたらしてくれます。開業届の控えがなければ必要な申請ができなくなる可能性があるため、開業届を提出する際には必ず控えをもらうようにしてください。

赤字を繰り越せる

開業届を出して青色申告を行えば、最長3年間赤字を繰り越せます。赤字を繰り越しておけば、将来的に事業で所得を得た際に損失分を控除できるのがメリットです。

例えば、開業1年目で100万円の赤字を繰り越し、2年目で100万円の所得を得た場合は赤字繰越分が控除され、所得は0円として扱われます。赤字の繰り越しを上手に使えば、大幅な節税対策になるでしょう。ただし、赤字を繰り越すためには確定申告が必要なため、赤字で収入なしだとしても必ず申告を行ってください。

開業届とは

開業届とは

そもそも開業届とは、事業をスタートしたことを税務署に知らせるためのものです。税法上では、事業を開始した事実があった日から1ヶ月以内に開業届を出すよう定められていますので、忘れないようにしてください。

開業届は出さないとどうなる?

開業届は出さないとどうなる?

開業届を出さない状態が続いても、罰則を受けることはありません。開業した年に税務署へ確定申告を行えば、開業届を提出したのと同じように扱われるのが基本です。

しかし、罰則がなかったとしても開業届は義務と定められているため、出した方が無難と言えるでしょう。

収入なしでも開業届は必要?

開業届の提出条件に所得額や収入の有無は含まれていないため、収入なしの場合でも開業届を提出する義務があります。事業を開始したら、なるべく早めに提出してください。

副業でも開業届は必要?

副業でも開業届は必要?

開業届は、事業によって継続的に収入を得ている場合に提出するものです。サラリーマンが副業を行っている場合も、継続的な事業とみなされるのであれば開業届が必要とされています。

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開業届を出したら会社にバレる?

なお、副業で収入を得ているサラリーマンの中には、開業届によって会社に知られることを恐れる方もいますが、開業届を出しただけで会社側に副業が発覚することはありません。しかし、住民税の額の増額が会社に知られることがあります。

住民税は副業で得た収入と会社で得た収入の両方にかかるため、特別徴収税額通知書が会社に届くと住民税が増額したことが会社に知られてしまいます。

ただ、住民税が増額されるケースは多岐にわたるため即座に副業がバレるわけではありません。会社に住民税の増額を知らせないためには、確定申告で住民税を会社に徴収してもらう特別調整を選ばず、自分で納税する普通徴収を選ぶのがよいでしょう。

開業届の提出方法

開業届の提出方法

開業届の提出方法は下記の通りです。オンラインの場合と税務署に直接提出・郵送の場合があるため、自分に合ったやり方で届けを出すようにしてください。

提出先 納税地を管轄している税務署
提出時期 事業を始めた開業日から1ヵ月以内
提出方法
  • オンラインで申請する
  • 税務署へ郵送する
  • 税務署窓口へ持参する

開業届の書き方

開業届の書き方は、こちらの記事で詳しく解説しています。事前に必要な書類もあるため、あらかじめ確認しておきましょう。

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まとめ

まとめ

開業届を出すと扶養に入れなくなったり、失業保険を受けられなくなったりといったデメリットがあるため、あらかじめ必要な情報を集めておくことが大切です。扶養に関しては、加入している健康保険組合の規定を確認してください。また、失業保険を受けている場合は、失業保険を受け取った後に開業届を出すと良いでしょう。

開業届は義務であり、青色申告による節税や小規模企業共済加入などのメリットもあります。税務署に直接提出する他にオンラインや郵送でも開業届を出せるため、事業を始める前に必要な書類を揃え、滞りなく手続きを終えましょう。

記事監修
中野裕哲
中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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