個人事業主も事業計画書は作成すべき!作成する5つのメリットや書き方を紹介
将来展望や戦略、財務予測などを明確化できる事業計画書は、個人事業主だけではなく起業時も、役所への提出が義務づけられているわけではありません。これは個人事業主としての起業と法人を設立しての起業の両方に共通します。
しかし、頭の中にあるビジネスプランや資金調達計画を明確化することで、事業のコンセプトや強みだけではなく課題を発見できるなど、さまざまなメリットがあります。
この記事では、個人事業主が事業計画書を作成すべき理由や作成するメリット、書き方や注意点などを詳しく紹介します。
2024年11月1日より、フリーランス新法(フリーランス保護法、フリーランス保護新法)が施行されます。
組織に所属せずに働くフリーランスが安心して働ける環境を整備するために、フリーランスと企業などとの発注事業者間の取引の適正化(契約書等により取引条件を明示する)が主な目的です。
詳しくは次の記事をご覧ください。フリーランス新法の概要、制定された背景や具体的な内容などを解説しています。
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個人事業主も事業計画書を作成するべき理由
事業計画書とは、ビジネスアイデアの詳細なプランや収益予測などを記載した書類です。
主に事業内容や経営戦略、同業他社と比較した際の強みや収益の見込みなどを記載します。決まった形式はありませんが、融資申し込み時は各金融機関のフォーマットを使う場合が多いようです。
個人事業主は開業届があれば始められるため、必ずしも事業計画書が必要なわけではありません。実際に、「一人で事業を行うのだから必要ない」という理由で作成していない方も多いでしょう。
しかし、収益を上げるための行動が明確化できる、他者にビジネスプランを説明する際に活用できる、資金調達の際に利用ができるなど、個人事業主が事業計画書を作成するべき理由は多くあります。
売上を上げるためのさまざまなメリットを受けられる事業計画書は、法人だけではなく個人事業主でも作成しておいて損はありません。
個人事業主が事業計画書を作成する5つのメリット
近年では、新型コロナウイルス感染拡大や働き方改革の推進により、自身の資格やスキルを武器に個人事業主で生計を立てたいと考える方は少なくありません。
一般的に事業計画書は、資金調達時に必要な書類というイメージですが、それ以外にもさまざまなメリットがあります。
- 資金調達の際に活用できる
- 事業の全体像が明確になる
- 販路の開拓方法が明確になる
- 収益を上げるためにすべきことを把握できる
- 事業を計画的に運用できる
ここでは、個人事業主が事業計画書を作成するメリットを5つ紹介します。
資金調達の際に活用できる
個人事業主は事業計画書を作成すると、資金調達に活用することができます。
事業計画書は、銀行や投資家などの資金提供者に対して、事業の詳細情報を伝える重要な手段です。資金提供者は事業計画書により、事業の将来性や収益性を評価しやすくなります。
また、事業に関する詳細な情報や調査結果が含まれている計画書を提供することで、自身の信頼性が向上し、事業に対して真剣に取り組んでいることを示すことができます。
新しく事業を開始する際には、設備や在庫の購入、マーケティング活動の費用など、さまざまな場面で資金が必要です。
個人事業主は法人に比べて信頼性が低くみられがちですが、事業計画書を作成することで対外的な評価が高くなる可能性があります。
事業の全体像が明確になる
個人事業主は事業計画書を作成すると、事業の全体像を明確にすることができます。
事業計画書を作成することで、事業の方向性や目標を明確化でき、そのための戦略やアクションプランを策定しやすくなります。
事業全体のビジョンが明確になることで経営方針や日々の活動が一貫性をもち、市場分析や顧客ニーズの理解などを通じて適切な実行計画の立案が可能です。
また、一人で事業を運営する個人事業主の場合は、事業計画書を作成することで必要リソースの評価と最適化を行うことができます。
全体像を明確にすることで、必要リソースの欠如や不足に対して早期に気づけるため、対策を講じて万が一の事態を回避することも可能です。
販路の開拓方法が明確になる
個人事業主は事業計画書を作成すると、販路の開拓方法を明確にすることができます。
事業の成長と拡大に販路拡大は不可欠です。多様な販路を確保しておくことで、売上を増やすだけではなく、リスクを分散して事業の安定性を高める効果も期待できます。
事業計画書には、ターゲット市場へのアプローチ方法やプロモーション活動などを具体的に記載するマーケティング戦略が含まれるのが一般的です。
これにより、自身の商品やサービスが位置する市場ニーズの把握が可能になり、その結果、新たな販路や需要のある市場を特定しやすくなります。
また、投資家や販売代理店などの重要な取引関係者を説得させるためのツールとしても活用できるため、ビジネスパートナーに協力してもらいやすい状況を作ることが可能です。
収益を上げるためにすべきことを把握できる
事業計画書では、収益目標の設定、収益源の分析、価格戦略の詳細を記載するため、コスト管理と収益最適化の視点を強化できます。
これにより個人事業主は、収益を上げるためにすべきことの把握につながります。
具体的な収益目標と収益源を分析することで、どの部分が収益に大きく貢献しているかを可視化でき、収益最大化のために重点的に取り組むべき領域を特定できます。
また、詳細な事業計画書を作成していると、市場や顧客ニーズの変化、新たなトレンドの出現に気づきやすくなるため、新たな収益機会の発見にもつながりやすいです。
事業を計画的に運営できる
事業計画書は、長期的な目標設定や戦略的な行動計画の策定に役立ちます。長期的な目標を設定することで、事業の方向性を把握しながら計画的な行動を取ることが可能です。
長期的な目標や指標を設定することで、必要な活動や取り組み、スケジュール、予算などを計画的に立てることができ、必要なアクションを取ることができます。
また、長期的な目標を設定することでリスク管理と対策の立案にも役立ちます。
リスクの発生確率や影響度を事前に評価することでリスクに備えることができ、目標や指標を定期的にモニタリングすることで、事業の進捗状況を細かく把握することができます。
事業計画書の書き方
事業計画書は、事業内容や収益計画を具体化するために作成する資料であり、基本的に決められたフォーマットはありません。
そのため、初めて事業計画書を作る個人事業主の方は、「何を書けばよいか分からない」と悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
ここでは、事業計画書に盛り込むべき内容を詳しく紹介します。
事業概要・内容・コンセプト
事業概要・内容・コンセプトは、市場やターゲット、提供する商品やサービスを詳細に記載し、事業の全体像となるコンセプトを紹介する項目です。
事業計画書の冒頭で記載する事業概要では、誰に、何を、どのように提供していくのかを簡潔に記載します。
事業内容では、商品やサービスの特徴・利点・付加価値を明確にしたうえで、ターゲットの属性や特徴、どのようにニーズを満たすかを記載します。
事業コンセプトでは、他社にはない自社ならではの特徴を強調するのが一般的です。
創業者の経歴・プロフィール
創業者の経歴・プロフィールでは、学歴や職歴などの背景だけではなく、情熱やビジョン、信念や価値観など、創業者のパーソナルな要素も含めるのが重要です。
主に以下のような項目を記載します。
- 学歴
- 職歴
- 資格
- 専門知識
- スキルセット
- 起業への思い
- 過去の起業経験や成果
- 情熱やビジョン
- 信念や価値観
サービス・商品の概要
事業計画書では、事業で提供するサービス・商品の概要を明確に記載することが重要です。
具体的にはサービス・商品の名前、種類、カテゴリー、ターゲット、価格設定などで、顧客に対してどのような価値をもたらすかを説明します。
また、競合他社との比較や独自のユニークな特徴などを強調すると、より投資家や取引関係者に伝わりやすい事業計画書となります。
さらに、生産方法や材料の調達、品質管理などの工程を詳細に記載することで、サービスや商品の信頼性と品質の高さを強調することができます。
事業の強みと弱み
事業計画書には、強みだけではなく客観的かつ具体的な弱みを記載することが重要です。
事業の強みでは、自社の製品やサービスが競合他社と比較して優れている点を記載します。具体的にはデザイン、品質、機能、性能、技術などです。
事業の弱みでは、改善が必要な点、リスク要因、認識しているスキルや資源の不足などを、客観的かつ具体的に記載することが重要です。
具体的な弱みを明示することで、適切な戦略の立案や問題点の改善ができ、顧客や投資家からの信頼性向上を図ることができます。
販売戦略・財務計画
ターゲット市場と顧客を明確に定義した販売戦略では、具体的なマーケティング手法や販売目標などを記載します。
売上目標、市場シェア、顧客獲得数などの具体的な数値目標を示すことで、適切な戦略やアクションプランの策定に役立ちます。
財務計画では、まず基盤となる収益予測を作成します。
商品やサービスの収益見込み、価格設定、市場の成長率を考慮して見込み額を算出し、広告料や原材料など、事業にかかると予想される費用を列挙しながら合理的な予測を行います。
また、資金調達の必要性がある場合は、必要な資金の額や方法、目的などを明確に記載しておくことが重要です。
事業計画書の詳細な書き方やテンプレート例はこちらの記事を参考にしてください。
個人事業主が事業計画書を作成する際の注意点
最後に、個人事業主が事業計画書を作成する際の注意点を3つ紹介します。
5W3Hを使い具体的に作成する
個人事業主が事業計画書を作成する際は、具体性と詳細性を確保するために『5W3H』の活用をおすすめします。
5W3Hとは、具体的な情報を整理する手法です。
- Who(誰):事業に関与する人物や役割
- What(何):達成したい目標や事業内容
- Why(なぜ):事業を行う理由や目的
- When(いつ):事業のスケジュールやタイムライン
- Where(どこ):事業の所在地や展開する範囲
- How(どのように):事業を実現する具体的な方法
- How much(いくら):事業を実施するために必要な予算や資金計画
- How to measure(どのように評価するか):KPIや評価基準の設定
事業計画書に記載するビジネスプランやビジョンを可視化する際は、5W3Hを基に整理していくと具体化しやすくなります。
5W3Hを使い、具体的かつ詳細な事業計画書を作成しましょう。
読み手が理解しやすい説明をする
個人事業主が事業計画書を作成する際は、言葉の選び方や明確さ、目次や見出しを活用し、読み手が理解しやすい説明をすることが重要です。
事業計画書はさまざまな異業種の方が読む可能性のある書類です。専門用語や業界特有の言葉はできるだけ避け、分かりやすい表現にする必要があります。
また、複雑な文章や冗長な表現は避け、主要なポイントを端的にまとめることで冗長な説明を省き、読み手の理解を促進する書き方も重要です。
さらに、読み手が必要な情報を迅速に見つけられるように、目次や見出しを書くことや、一
目でデータが把握できる図表やグラフを活用し、情報の理解を容易に行えるように工夫しましょう。
専門家からアドバイスを貰う
個人事業主が事業計画書を作成する際は、専門家からアドバイスを貰うのもおすすめです。
専門家は、特定の分野や業界における知識や経験が豊富であるため、事業計画書の作成における重要な情報を提供してくれます。
計画書の構成や内容について的確なフィードバックが貰えるため、初めて作成する個人事業主の方でも安心して進めることができます。
また、専門家は資金調達のプロセスや要件に関する知識もあるため、ビジネスプランや財務計画の妥当性を客観的に評価したうえで、適切な戦略を助言してくれます。
自分一人だけで完結させるのではなく、専門家からのアドバイスも取り入れたうえで事業計画書は作成しましょう。
「起業の窓口」の特集ページ「AI×起業」では、AIを活用して事業計画書を簡単に作成する方法を紹介!
詳しくは「【できるのか?】ChatGPTを使ってたった1時間で事業計画書を書くアラフォー起業家。《小説「AI起業」シリーズ#01》」をご覧ください。
まとめ
個人事業主も事業計画書を作成すべき理由、作成するメリット、書き方、注意点などを詳しく紹介していきました。
事業計画書は事業内容やアイデア、事業の強みや弱み、販売戦略や販路計画などを記載するものですが、必ず作成すべき書類ではありません。
しかし、個人事業主は事業計画書を作成することで、資金調達をスムーズに、販路開拓方法や事業の全体像を明確にできるため収益を上げる行動をとりやすくなります。
事業計画書を作成する際は5W3Hを使い、具体性と詳細性を確保しつつ、専門外の読み手が理解しやすいような表現を心がけましょう。
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- 記事監修
-
- 中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
- 起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。