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個人事業主の年収はどれくらい?税金の種類や会社員との違いも解説

個人事業主の年収はどれくらい?税金の種類や会社員との違いも解説

個人事業主の平均年収がどのくらいかご存知でしょうか。

年収とは、その人の1年間の総収入額のことで、個人事業主の場合は利益だけでなく経費や税金なども考慮します。そのため、年収の定義や意味合いが会社員とは異なります。

この記事では、個人事業主の年収や考え方、計算方法や税金について解説します。

年収の増やし方についても紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

【この記事のまとめ】
  • 個人事業主の年収は、年間の収入から経費を差し引いた所得金額です。例えば、収入が1,000万円で経費が400万円の場合、年収は600万円となります。
  • 個人事業主の平均年収は419.9万円で、年収300万円~500万円の層が最も多いです。全体の91.5%は年収1,000万円以下で、1,000万円以上の層は少数派です。
  • 職種によって年収に違いがあり、弁護士や税理士などの士業が高収入です。一方で、美容業や教育支援業の年収は比較的低く、業種により収入の幅があります。

2024年11月1日より、フリーランス保護法が施行されます。

組織に所属せずに働くフリーランスが安心して働ける環境を整備するために、フリーランスと企業などとの発注事業者間の取引の適正化(契約書等により取引条件を明示する)が主な目的です。

詳しくは次の記事をご覧ください。フリーランス保護法の概要、制定された背景や具体的な内容などを解説しています。

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個人事業主の年収の定義と平均年収

個人事業主の年収の定義と平均年収

個人事業主と会社員の年収は計算方法が異なります。

ここでは、個人事業主の年収の定義や平均年収を解説します。

所得金額が年収

個人事業主の年収は、1月1日から12月31日までの期間に得た収入から経費を差し引いた所得金額を指します。

例えば、年間の収入が1,000万円あり、経費が400万円かかっている場合、年収は「1,000万円−400万円=600万円」です。

収入が多くても経費が多いと年収は低くなります。

個人事業主の平均年収

国税庁が公開した「標本調査結果-(第22表)所得者区分別の平均所得金額及び平均税額の累年比較」では、令和3年における個人事業主の平均年収は「419.9万円」だったと発表されています。

また下の表は、個人事業主が確定申告をした際の所得別の人数や割合です。

所得 人数 割合
100万円以下 134,000人 7.6%
100万円超~200万円以下 397,000人 22.6%
200万円超~300万円以下 351,000人 20.0%
300万円超~500万円以下 402,000人 22.9%
500万円超~1,000万円以下 324,000人 18.4%
1,000万円超~2,000万円以下 101,000人 5.7%
2,000万円超~5,000万円以下 37,000人 2.1%
5,000万円超~1億円以下 7,000人 0.4%
1億円超 2,000人 0.1%

【出典】国税庁-標本調査結果(※PDFのP15の表をもとに加工して作成)

個人事業主の年収は300万円〜500万円がもっとも多く、次いで100万円〜200万円が多くなっています。また年収1,000万円以下の割合は全体の91.5%となっており、1,000万円以上の年収がある個人事業主は少数です。

職種別に見る個人事業主の年収

ここでは、職種別に個人事業主の年収を紹介します。

職種 年収
金融保険業 317万円
旅館・飲食業 533万円
医療保険業 292万円
士業(弁護士・税理士等) 932万円
美容業 222万円
自動車整備業 306万円
教育学習支援業 229万円
娯楽業 382万円

【出典】国税庁-令和3年統計年報 ※P162(所得種類別(業種別)人員、所得金額(申告納税額のある者))の所得金額から人員を割って算出

弁護士や税理士など専門知識を有している士業の年収が特に高くなっています。また、旅館や飲食業も他の職種に比べると年収は多く、娯楽業や自動車整備業なども300万円を超えています。

個人事業主が納める税金と年収の関係

個人事業主が納める税金と年収の関係

個人事業主が納める税金は年収に応じて高くなります。ここでは、税金の種類と年収の関係を紹介します。

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所得税

所得税とは、年間の所得に応じて発生する税金であり、確定申告時に所轄の税務署に納付します。

所得税の税率は下の表をご覧ください。

所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 15% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

【出典】国税庁

個人事業主の所得税は、年収が高くなると税率も高くなる仕組みです。他の税金と合わせた場合、年収1,000万円を超えると年収の約半分以上を税金として納めることになります。

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住民税

住民税とは、都道府県や市町村に納める税金のことで、毎年6月に納付書が届きます。

住民税は年間所得に対してかかる税金であり、税率は市町村税が6%、都道府県が4%です。例えば、年間所得が200万円だった場合、市町村税を12万円、都道府県税を8万円納めなければなりません。

所得税のように年収の額に応じて税率が変化することはありませんが、年収に比例して納める税金も多くなります。

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個人事業税

個人事業税とは、個人事業主が都道府県に対して納める地方税の一つです。該当者には、8月と11月に納付書が届きます。

個人事業税は、法定業種という法律で定められた70の業種が対象となり、税率は年間所得に対して3%〜5%です。

個人事業税は年間290万円の控除が認められているため、年収が290万円以下の場合は課税されません。

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個人事業主と会社員の年収の違い

個人事業主と会社員の年収の違い

個人事業主と会社員の年収にはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、それぞれの年収の違いについて詳しく解説します。

個人事業主と会社員の年収の定義の違い

会社員の年収は、1月1日から12月31日までに会社から支給された給料と賞与の合計金額であり、社会保険や税金が控除される前の総支給額です。

一方で個人事業主の場合、収入から経費を差し引いた金額が年収となります。会社員は給料明細書の総支給額の合計が年収にあたり、個人事業主のように経費を差し引いた金額ではありません。

いずれにしても年収に社会保険や税金は含まれないため、同じ年収であれば手元に入ってくる金額は大きく変わりません。

有給の違い

会社員には有給休暇制度があるため、個人事業主の年収と比較する場合には有給も考慮しなければなりません。

有給休暇制度とは企業が従業員に対し、「心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するための休暇」を与える制度のことで、労働基準法によって定められています。

年間に与えられる有給休暇は、勤続年数に応じて最大で約20日間です。また、有給は休んでも給料が発生するため、すべて消化すると1ヶ月分の給料を働かずに受け取ることが可能です。

個人事業主にはない制度であるため、年収と働く日数・時間が同じであれば、有給がプラスで使える会社員の方が年収は多いといえます。

控除の違い

個人事業主の場合、収入から経費を差し引いた金額に対して所得税が発生し、会社員の場合、年間の給料から給与所得控除額を差し引いた金額に対して所得税が発生します。

給与所得控除は、給料等の収入金額に応じて以下のようになります。

給与等の収入金額 給与所得控除額
1,625,000円まで 550,000円
1,625,001円から1,800,000円まで 収入金額×40%-100,000円
1,800,001円から3,600,000円まで 収入金額×30%+80,000円
3,600,001円から6,600,000円まで 収入金額×20%+440,000円
6,600,001円から8,500,000円まで 収入金額×10%+1,100,000円
8,500,001円以上 1,950,000円(上限)

出典:国税庁-給与所得控除

例えば、年間の給与が200万円だった場合、所得税が課税される金額は「200万円-55万=145万円」です。

会社員の場合、経費を正しく算出できないため、経費の計上ができない代わりに給与所得控除が認められています。

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税金の違い

個人事業主にも会社員にも、所得税や住民税を納める義務が生じますが、納め方が異なります。

個人事業主は、1月1日〜12月31日までの所得に対し、翌年2月16日〜3月15日の間に自身または税理士に依頼して確定申告を行い、納税しなければなりません。

一方で会社員は、会社が税金の管理を行うため、確定申告を行う必要はなく、給料から税金が引き落とされる形になっています。

控除の適用となる支払いがあったり条件を満たしている場合は、年末調整時に必要書類を提出することで節税ができる仕組みです。

年収の確認方法の違い

年収を確認する方法は、個人事業主が確定申告書で会社員は源泉徴収票です。

個人事業主の場合は、確定申告書Bに記載されている所得金額が年収になります。

また、収入から経費を差し引いて年収を計算する書類は、青色申告決算書や収支内訳書などです。

会社員の場合は、年末に会社から交付される源泉徴収票の支払金額から、社会保険料や源泉所得税などを差し引いた金額が年収です。

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個人事業主が年収を増やすためには

個人事業主が年収を増やすためには

個人事業主が年収を増やすためには経費の計上・青色申告・所得控除の活用があります。

ここでは、それぞれの方法を詳しく解説します。

漏れなく経費を増やす

個人事業主が年収を増やすためには、漏れなく経費を計上して納める税金を減らす方法があります。

「経費が増えると年収は減るのでは?」と思う方も多いでしょう。経費を計上してもしなくても年間の収入は変わりませんが、計上しなかった場合は税金をそれだけ多く納める必要があります。

経費を漏れなく適切に計上することで、結果的に自由に使えるお金が増えるわけです。

ただし、経費の不正計上は犯罪行為となるため、必ず事業に関係のある支払いのみを経費とし、証拠となる領収証やレシートなどを保管しておきましょう。

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青色申告を行う

青色申告とは、帳簿を備えて記帳を行ってその記録に基づいて確定申告を行う方法で、下記のようなメリットや節税効果があります。

  • 10万円~65万円の特別控除が受けられる
  • 配偶者やその他の親族に支払った給料を経費にできる
  • 翌年以降3年間にわたって赤字の繰越ができる

このように、青色申告には所得から控除を差し引いて節税できることや、損失が大きかった場合は赤字が最大3年間繰り越せるメリットがあります。

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配偶者やその他の親族を従業員として雇う場合も支払った給料を経費にできるため、世帯単位でも大きな節税効果が期待できるでしょう。

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青色申告を受ける場合は、申告を行う年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」と「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する必要があります。

また、申請が必要であったり、正規の簿記の原則に従って会計処理が必要だったり、白色申告に比べると手間がかかりやすい点に注意しましょう。

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所得控除を行う

所得控除とは、年間所得から差し引くことができる控除のことです。適切に申告することによって節税効果が期待できます。

控除の種類によっては、書類を用意して自身が申請することが必要です。該当する控除があるか確認したうえで、確定申告を行いましょう。

下記は所得控除の一例です。

  • 生命保険料控除:生命保険や介護医療保険などの保険料の一部を控除
  • 医療費控除:自身や親族にかかった医療費の一部を控除
  • 雑損控除:災害や盗難で納税者の資産に損害が生じた場合に一定額の控除
  • 寄附金控除:国や自治体に寄附金を支出した場合に一定額の控除
  • 社会保険料控除:年間に支払った社会保険料を全額控除

所得控除で年収が増えるわけではありませんが、納税額が減ることによって手元に残るお金が増えます。

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出典:FREENANCE

この記事では、個人事業主の年収や税金の種類、会社員との違いを解説しました。

個人事業主の年収は、年間の収入から経費を差し引いた金額のことで、年間所得と年収は同じ意味となります。

年収そのものを増やすことは簡単ではありません。しかし、適切に経費の計上を行って青色申告制度や所得控除額制度を活用することで、納税額を減らし手元に残すお金を増やすことは可能です。

損をしないためにも、年収の仕組みや税金のルールを正しく理解しましょう。

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記事監修
中野裕哲
中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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