個人事業主におすすめの領収書の保管方法とは?保管期間と3つの注意点を解説
個人事業主にとって領収書は、節税のために必要不可欠な書類です。領収書の保管期間は、明確にルールが定められており、守る必要があります。
本記事では、個人事業主が覚えておくべき領収書の大切さや保管時の注意点、コツを網羅的に解説しています。個人事業主として活動を開始したばかりの人は、本記事を参考にして自分に合う領収書の保管方法を見つけましょう。
- 【この記事のまとめ】
- 個人事業主が領収書を保管する理由は、経費の証拠として税務署に提出する必要があるためです。領収書には日付や宛名、金額、発行者の氏名が正確に記載されているか確認が必要です。
- 個人事業主におすすめの領収書保管方法として、ノートやコピー用紙に貼る、封筒やホルダーに入れる、電子化するなどの3つの方法が紹介されています。自分に合った方法を選ぶことが重要です。
- 領収書の保管期間は、白色申告では5年、青色申告では7年です。特に感熱紙の保管には注意が必要で、電子帳簿保存法に基づく電子化も選択肢となります。
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個人事業主が領収書を保管しなければならない理由
領収書は、個人事業主が税務署に経費を認めてもらうための証拠です。確定申告で経費をまとめる際には、領収書が必要になるため、丁寧に保管しておかなければなりません。
領収書をもらう際は、以下の要素をチェックしましょう。
- 日付に間違いがないか
- 宛名は正しいか
- 金額に間違いがないか
- 発行者の氏名が記載されているか
上記の項目が記載されていない場合や誤りがある場合は、経費の証拠として認められない可能性があります。十分に注意しましょう。
個人事業主におすすめの領収書の保管方法3選
次に、個人事業主におすすめの領収書保管方法を3つ紹介します。
- ノートやコピー用紙にのりで貼って保管する
- 封筒や領収書ホルダーに入れて保管する
- 領収書を電子化して保管する
領収書は、所得税法により長期間の保管が義務付けられています。自分に合った保管方法の選択が、経理業務のストレス軽減につながるため、吟味して決めましょう。
ノートやコピー用紙にのりで貼って保管する
ノートやコピー用紙にのりで貼り付けて領収書を保管すれば、束のままにしておくよりも確認しやすくなります。領収書単体で保管するよりも、ノートに貼ることで近くの余白にメモ書きできるため、どのような目的で支払った経費であるか一目瞭然です。
また、コピー用紙にのりで貼り、日付ごとに保管すれば、膨大な領収書の中から必要な領収書を探す手間が削減できます。税務署の調査を受ける場合も、スムーズに対応できるため好印象を受けられるでしょう。
テープで領収書を貼り付けてしまうと、劣化により剥がれてしまう可能性が高くなります。バラバラになった領収書を再度まとめるのは、時間の無駄です。領収書を整理する際は、のりを用意するのがおすすめです。
封筒や領収書ホルダーに入れて保管する
のりでコピー用紙やノートに領収書を貼るのが面倒くさい方は、封筒や領収書ホルダーを利用しましょう。封筒や領収書ホルダーを12個用意し、何月の領収書をまとめているか理解できるようにペンでメモしておきます。
その後、確定申告で必要になる領収書を封筒やホルダーに入れていきます。のりを使用する手間が省けるため、忙しい個人事業主の方におすすめの方法です。
封筒や領収書ホルダーは、各種100均で取り扱われています。複数のポケットが用意されているファイルを使えば、月ごとに領収書を分けて保管しやすくなります。
領収書を電子化して保管する
電子帳簿保存法により、領収書を電子化して保管することが認められています。電子化することで領収書を紙ベースで保管する必要がなくなるため、場所を取りません。
また、パソコン上でファイルを作成しながら、月や項目ごとに細分化して領収書を管理できます。そのため、領収書を探す手間を削減できるでしょう。
しかし、領収書を電子化して保管するためには、質の高い機材の導入や手間のかかる申請をしなければなりません。あまり多くの領収書がでない個人事業主の方には、紙ベースでの保管がおすすめです。
個人事業主が領収書を保管しなければならない期間とは?
本章では、個人事業主が領収書を保管しなければならない期間を紹介します。
- 白色申告で確定申告をしている場合
- 青色申告で確定申告をしている場合
確定申告を白色申告でしている場合と青色申告で行っている場合で保管期間が変わります。まずは、自分の確定申告方法を把握しましょう。
また、まだ確定申告をしたことがない個人事業主の方には、節税効果の高い青色申告がおすすめです。
白色申告で確定申告をしている場合
白色申告で確定申告をしている個人事業主は、領収書を5年間保管する必要があります。その他、決算に関して作成した書類も5年の保管期間が定められています。
注意点として、法定帳簿と呼ばれる収入金額や必要経費を記載した帳簿に関しては、白色申告であっても7年間保管しなければなりません。保管期間は、確定申告提出期限日の翌日から換算します。
青色申告で確定申告をしている場合
青色申告で確定申告をしている個人事業主は、領収書を7年間保管する必要があります。前々年度の事業所得が300万円以下の個人事業主は、保管期間が5年に短縮されます。
青色申告と白色申告で領収書の保管期間に違いがある理由は、青色申告の領収書が現金預金取引関係書類に分類されるためです。
白色申告でも、7年間保管しなければならない書類は存在するため、確定申告や書類の種類にかかわらず、すべて7年間保管しておくのが確実でしょう。
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個人事業主が領収書を保管する際の注意点やコツ
本章では、個人事業主が領収書を保管する際の注意点やコツを3つ紹介します。
- 感熱紙の長期保管には注意する
- 電子帳簿保存法への理解を深めておく
- 経費にならない領収書は捨てておく
領収書は、7年間という長い期間保管しなければならないため、注意点やコツが多く存在します。年末の確定申告をスムーズに終わらすためにも、ぜひ参考にしてください。
感熱紙の長期保管には注意する
領収書の中には、感熱紙が使用されている場合があります。感熱紙とは、表面に特殊な薬品が塗られている紙のことであり、温度変化や日光に弱いのが特徴です。
そのため、日光が当たる場所に感熱紙の領収書を長期間保管しておくと、文字が消えて見えなくなる可能性があります。
温度変化にも弱いため、できるだけ空気に触れないように折り畳んで保管するのがおすすめです。
電子帳簿保存法への理解を深めておく
領収書を電子化して保管する場合は、電子帳簿保存法への理解を深めておく必要があります。電子帳簿保存法とは、国税に関する書類を電子データで保管する際に、守るべきルールを定めた法律です。
電子帳簿保存法には、3つの保存制度が用意されています。
- 電子帳簿等保存
- スキャナ保存
- 電子取引
電子帳簿保存法に違反した場合は、重加算税や青色申告の取り消しなどのペナルティが発生する可能性があります。領収書を電子データで保存できるメリットの大きい法律になるため、個人事業主の方も知識を蓄えておきましょう。
経費にならない領収書は捨てておく
経費に計上できないと判断した領収書をいつまでも保管しておく必要はありません。いらない領収書を捨てることで、確定申告で経費をまとめる際に、混乱することなくスムーズに計算できるでしょう。
間違って、経費に計上できる領収書を捨てないように注意してください。間違って捨ててしまった場合でも、支払いの事実が証明できる明細書がそろっていれば、経費として精算可能です。
個人事業主の領収書保管方法に関するよくある質問
個人事業主の領収書保管方法に関する、よくある質問に回答していきます。
個人事業主がとっておくべき領収書とは?
先述した通り、個人事業主は経費として計上できる領収書以外必要ありません。そのため、経費として計上できるものとできないものを見極める知識が必要になります。
経費として計上できるお金の判断基準は、売上に貢献しているかどうかです。取材先までの電車賃や取材時の宿泊費は、売上に貢献しているため、経費に計上できます。
しかし、取材時に着るスーツの費用や化粧品は、仕事以外でも使用するため、経費として認められない可能性があります。経費に明確なルールは存在しないため、自分自身で判断しましょう。
交通費や冠婚葬祭費など領収書がでない場合の対応は?
交通費は、基本的に領収書が発行されません。領収書が発行されない場合は、出金伝票を利用しましょう。出金伝票は、100均で販売されているため簡単に入手できます。
また、冠婚葬祭費も領収書がでませんが、出金伝票と招待状やお礼状を合わせて保管するのがおすすめです。
まとめ
本記事では、おすすめの領収書保管方法や個人事業主が領収書を保管しなければならない期間について、詳しく解説しました。領収書の保管は、所得税法で定められている決まりです。そのため、個人事業主は、必ず理解を深めておかなければなりません。
きちんと領収書をまとめておけば、経費として計上できる金額が増え、結果として節税効果が見込めるでしょう。
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- 記事監修
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- 中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
- 起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。