起業のために最初にやることは?3つの準備と手順・手続き・資金までわかりやすく解説
近年は、社会人だけでなく主婦や高校生など幅広い層で起業する人が注目を集めています。しかし起業するには何が必要かわからない方も多いのではないでしょうか。そこで、こちらでは起業でまず行うことや手続き、リスクを避けるために知っておきたいことなどを解説します。
- 記事監修
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- 中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
- 起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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「起業」「開業」「会社設立」の違い

新しく事業を始めようと思ったとき、最初に出会うのが「起業」「開業」「会社設立」という言葉です。似ていますが、指す範囲が異なります。
3つの言葉の意味
「起業」は、新しく事業を起こし、サービスや物の提供を始めること全般を指す、最も広い言葉です。「開業」は、主に個人が事業を始めることを指し、税務署に開業届を出して個人事業主として活動を始める場合が一般的です。「会社設立」は、株式会社や合同会社などの法人を作ることで、法務局で登記の手続きを行います。
起業の中にある2つの手段
整理すると、「起業」という大きな目的の中に、個人で行う「開業」と、法人を作る「会社設立」という2つの手段があります。どちらを選ぶかは、この後の「個人事業主と法人、どちらで始める?」で詳しく見ていきます。起業の種類を先に知りたい方は、起業の種類や形態を紹介した記事も参考になります。
起業のために最初にやること3つ
「起業したい」と思ったら、まず次の3つを順番に決めていきます。
1. どうして起業したいのか理由を明確にする
事業を続けるには、明確な理由が必要です。「会社で働くのが嫌だから」「どんな手段でも社長になってみたい」といった曖昧な理由だと、難しい局面でモチベーションを保ちにくくなります。「事業を通じて社会を豊かにしたい」のように理由が言葉になっていれば、迷ったときの判断の軸になります。
理由を言葉にするときは、ChatGPTやGeminiなどのAIに自分の価値観や興味のある課題を質問してもらい、整理する方法もあります。同じような理由で起業した人の事例を調べると、参考になるでしょう。
2. 何で起業するかを決める
次に、理由を叶えるためにどんな事業を起こすかを考えます。実際に動く前に、収益の見込める現実的な計画にしておくことが失敗を防ぐ近道です。自分の経験やスキル、好きなことから考えると、続けやすい事業を選べます。
属性別の選び方は、専用の記事で詳しくまとめています。女性の場合は起業する女性におすすめの職種7選、学生の場合は学生起業のやり方が参考になります。アイデアが浮かばないときは、起業アイデアの見つけ方やアイデアがないときの対処法を確認してみましょう。
起業に革新的なアイデアは必須ではありません。誰もやったことのない事業は市場や収益の見通しが立てにくく、リスクも高くなります。既存の商品やサービスを組み合わせて便利にする、興味のある分野の事業のやり方を参考にする、といった身近なところから始めるのも一つの方法です。
3. どうやって起業するか形態を決める
起業の形態は、大きく個人事業主と法人設立の2つです。手段としては、フランチャイズやM&Aで既存の仕組みを活用する方法もあります。
個人事業主と法人、どちらで始める?
まずは一人で、できるだけ費用を抑えて手軽に始めたいなら個人事業主、最初から取引先や金融機関の信用を得たい、将来的に外部から出資を受けたいなら法人が候補になります。自分のやりたいことが、自分のペースで進めるスモールビジネスなのか、組織として大きく成長させるものなのかを考えることが、選ぶための近道です。

迷ったときの3つの判断基準
「個人事業主」か「法人」かで迷ったときは、次の3点を基準にします。
| 判断基準 | 個人事業主 | 法人 |
|---|---|---|
| 設立コスト | 開業届の提出に費用はかからない | 株式会社は定款認証や登録免許税などで20万円前後からが目安(合同会社はより少額) |
| 手続きの複雑さ | 開業届などの書類提出が中心 | 定款作成と設立登記が必要 |
| 社会的信用 | 実績を積んで信用を築く | 登記情報が公開され、大手企業との取引や銀行融資で有利になる傾向 |
初期費用を抑えたい方は、まず個人事業主として始め、利益が安定してから法人化を検討する方が多くなっています。設立費用の詳細は株式会社の設立費用、法人化のタイミングは法人化のタイミングで確認できます。
個人事業主で始める場合
個人事業主は、法人を設立せず、個人で事業を起こす形態です。税務署に開業届を提出すると、個人事業主として認められます。法人に比べて開業の手続きが簡単で、事業の規模に合わせて後から法人化することもできます。
法人として始める場合
法人の形態には、株式会社・合同会社・合資会社・合名会社の4種類があり、新しく設立する場合は株式会社か合同会社を選ぶ方が多くなっています。合同会社は運営の自由度が高く、株式会社より少額の設立コストで済むのが特徴です。違いは合同会社と株式会社の違いや会社の種類で詳しく解説しています。
個人事業主にするか法人にするかで迷い、税金面の判断が必要なときは、税理士などの専門家に相談すると安心です。起業の窓口に会員登録すると、V-Spiritsによる1時間の無料起業相談を利用できます。
フランチャイズとM&Aという手段
フランチャイズは、運営本部からサービスや商品、経営のやり方を提供してもらい、対価としてロイヤリティを支払う方法です。経営のノウハウが整っているため未経験でも挑戦しやすい一方、マニュアルに沿った運営が求められ、自由度は下がります。M&Aは、既存の事業を買い取って始める方法で、事業の多角化や新規参入のきっかけになります。フランチャイズについては起業フランチャイズの記事も参考にしてください。
起業の手順4ステップ
形態まで決まったら、次の4つの手順で準備を進めます。
1. 起業のアイデアをまとめる
思いついたアイデアをすべて書き出し、似たジャンルでグループにまとめます。次に、各アイデアの「解決したい課題」と「解決方法」を文章やイラストで整理し、長所や課題を見つけます。そのうえで、顧客のニーズがあるか、同じサービスがすでにないかを市場調査で確認し、「誰の」「どんな課題を」「どう解決するか」をアイデアシートにまとめて、最も将来性のあるアイデアを選びます。
2. 事業計画書を作成する
事業計画書は、これからどう事業を展開するのかを具体的に示したものです。アイデアをもとに計画書をまとめると、事業を始めるために何をすればよいかが明確になり、融資を受ける場合も事業内容を説明しやすくなります。事業の概要やビジネスモデルに加え、販売・マーケティング戦略、競合との比較、資金計画などを、整合性が取れるように記載するのがポイントです。書き方は事業計画書の書き方で解説しています。
市場データや競合情報の収集、売上予測などの計算はAIに手伝ってもらうと効率的です。
3. ヒト・モノ・カネの準備をする
ヒトは人材、モノは事業に必要な設備、カネは運営資金のことです。従業員を雇う場合は、必要な人数と技術、育成の方法を考えておきます。設備は起業費用の大部分を占めやすいため、費用対効果を考えて取り入れましょう。カネは、出資者を募る、金融機関から融資を受けるなどの方法があり、先々を見据えた資金計画を立てることが大切です。
4. 手続きをして事業をスタートさせる
準備が整ったら公的な手続きを行います。個人事業主は税務署への開業届、法人は設立登記の申請です。手続きが終わればいよいよ事業のスタートですが、起業後も従業員の雇用や資金調達など、やることは続きます。起業はゴールではなくスタートだと考えて進めましょう。
起業に必要な手続き
手続きは、個人事業主か法人かで異なります。
個人事業主として起業する場合
主な届出は、開業届(個人事業の開廃業等届出書)と青色申告承認申請書です。
開業届の提出期限は、事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までとされています。開業後、早めに提出しておくとその後の手続きが進めやすくなります。書き方は開業届の書き方で確認できます。
青色申告承認申請書は、青色申告を選ぶと各種の特典を受けられる届出です。提出期限は、原則として青色申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に新たに事業を始めた場合は、事業開始日から2か月以内)です。青色申告特別控除は、55万円(電子申告などの要件を満たす場合は65万円)または10万円で、簿記の方法などによって異なります。詳しくは青色申告と開業届の記事を参照してください。
従業員を雇う場合は、給与支払事務所等の開設届出書を、開設の事実があった日から1か月以内に出します。参照:国税庁「No.2090 新たに事業を始めたときの届出など」、同「No.2072 青色申告特別控除」(2026年9月20日確認)
法人として起業する場合
法人は、法務局に設立登記を申請します。登記情報は一般に公開されるため、取引先の信頼度向上につながります。設立登記に期限はなく、登記を申請した日が会社の設立日になります。
定款の作成や登記申請書類など必要なものが多く、登記手続きは司法書士などの専門家に代理してもらうのが一般的です。流れと必要書類は法人登記の流れと会社設立に必要な書類を参考にしてください。
起業に必要な資金
起業では、開業のための費用に加えて、当面の運転資金を用意しておく必要があります。
必要な資金の算出方法
まず、必要な費用の項目と金額を、大小にかかわらずすべて書き出します。次に、設備投資に必要な設備資金と、事業の運営に必要な運転資金に区分します。設備資金と運転資金の3か月分ほどの合計が、開業に必要な資金のおおよその目安です。詳しい金額の考え方は起業資金の記事で解説しています。
資金の調達方法
主な調達方法は、金融機関からの融資、個人投資家やベンチャーキャピタルからの出資、出資型クラウドファンディング、補助金・助成金の活用です。補助金と助成金の違いや、使える制度は補助金と助成金の違いと起業時の補助金・助成金ガイドを参照してください。
起業のリスクと対策
起業では、前もってリスクと対策を考えておくことが大切です。
法的なリスク
許認可の不足、契約トラブル、損害賠償請求などがあります。必要な許認可を事前に調べ、契約は書面で確認し、法令を守る体制を整えておくことが対策になります。
金銭的なリスク
売上不足、売掛金の回収、税金、資金繰りなどです。取引先を選ぶ、経費を見直す、銀行融資を活用するといった対策があります。
雇用のリスク
給与や責任、労務トラブルなどです。従業員を雇うときは十分に話し合い、事前に専門家へ相談しておくと安心です。相談先は起業相談の記事で紹介しています。起業の失敗原因については、起業に失敗する原因も参考になります。
起業家の実例
起業の窓口が実際に取材した起業家の、最初の一歩の実例を紹介します。
Cafe&Bar Palette 山崎琴乃さんの最初の一歩
「Cafe&Bar Palette」の経営者・山崎琴乃さんは、大学病院などで看護師として働きながら、自分が企画したイベントでファンと交流する中で「クリエイターの活動をイベントの運営で支援したい」と考え、起業を決意しました。起業の知識はほとんどない状態でしたが、必要な知識を一人で学びながら事業計画書を作り、日本政策金融公庫の最初の面談で満額の融資を得たといいます。
看護師の夜勤の前後に仕入れや契約などの準備を進め、2021年11月に創業。現在は3店舗を運営しています。「走り出してから肉はついてくる」という言葉のとおり、まず理由とやりたいことを決めて動き出したことが、最初の一歩になりました。詳しくは山崎さんのインタビュー記事をご覧ください。
起業に関するよくある質問
Q. 起業するのに最低いくら必要ですか?
A. 業種と形態によって大きく変わります。個人事業主として始める場合、開業届の提出に費用はかかりません。設備や仕入れ、当面の生活費・運転資金が主な費用になります。法人の場合は、設立費用が別途かかります。金額の考え方は起業資金の記事で確認してください。
Q. お金がない場合でも起業できますか?
A. 小さく始めれば可能です。初期費用を抑えられる事業から始める、補助金・助成金や融資を活用するといった方法があります。0円起業アイデアの記事も参考にしてください。
Q. 一番起業しやすい業種はありますか?
A. 「この業種が最も起業しやすい」と言い切ることはできません。自分の経験やスキルを活かせる分野のほうが、続けやすく、質も高めやすい傾向があります。選び方は起業アイデアの記事で紹介しています。
Q. 起業前に資格は必要ですか?
A. 多くの業種で特別な資格は必要ありませんが、飲食店や美容室など、業種によっては許認可や資格が求められます。始める業種に必要な許認可を事前に調べておきましょう。
まとめ
起業で最初にやるのは、起業の理由・事業の中身・起業の形態の3つを決めることです。形態は、費用と手軽さを重視するなら個人事業主、信用を重視するなら法人が候補になります。決まったら、アイデアの整理、事業計画書、ヒト・モノ・カネの準備、手続きの順に進めましょう。個人事業主は開業届と青色申告承認申請書、法人は設立登記の手続きが中心です。資金は設備資金と運転資金に分けて算出し、リスクには事前に備えておくと安心です。
さらに起業や独立に関する情報を知りたい方は、ぜひ「起業の窓口」にご登録ください。最新の起業情報や役立つアドバイスをお届けします。
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- ※本記事は、起業の窓口編集部が専門家の監修または独自調査(アンケート)に基づいて制作したものです。
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