個人事業主は確定申告が必要!5つのステップで手続きの流れを分かりやすく解説!
個人事業主が所得を得た場合、確定申告を行って税金を納める必要があります。
しかし、確定申告の必要性は分かっていても、どうやって手続きしたらいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
慣れていないと複雑に感じますが、仕組みがわかれば自分だけでも確定申告は簡単にできます。
この記事では、個人事業主向けに確定申告の必要性や手順を詳しく解説します。確定申告のメリットやデメリットなども紹介しているため、確定申告を検討している方はぜひ参考にしてください。
- 【この記事のまとめ】
- 個人事業主は年間所得48万円超で確定申告が必要です。給与がある場合は20万円超で申告が求められます。経費の記録は必須です。
- 確定申告には青色と白色があり、青色は控除が大きく税金軽減が期待できます。所得が多い方には青色申告を推奨します。
- 確定申告をしないと延滞税や無申告加算税が発生します。青色申告の特別控除を受けるためにも、期限内の申告が重要です。
「確定申告」の期間は毎年2月16日から3月15日です。
「起業の窓口」では、青色申告や白色申告の基礎知識、手続きの流れ、節税のコツなどを詳しく解説しています。
ぜひ、「確定申告」に関する他の記事もご覧ください。
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個人事業主に確定申告は必要?
確定申告とは、事業で得た収入から経費を差し引いた所得を税務署に申告し、所得税などを納めるための手続きです。
確定申告した所得額は、住民税や国民健康保険料などを決める要素にもなります。確定申告を行う時期や対象は下記の通りです。
確定申告の対象となる期間 | 1月1日から12月31日までの1年間の所得 |
---|---|
確定申告の時期 | 翌年の2月16日~3月15日 |
確定申告を行う場所 | 税務署、オンライン |
2023年1月1日から12月31日までの所得に対する確定申告は、2024年の2月16日~3月15日の間に行う必要があります。
個人事業主も確定申告は必要対象ですが、所得によっては確定申告が不要のケースもあります。ここでは、個人事業主における確定申告の必要性を解説します。
確定申告が必要なケース
個人事業主において、確定申告が必要となるのは年間所得が48万円を超えるケースです。
また、給与所得が別にある個人事業主は、事業による年間所得が20万円を超えると確定申告が必要です。
給与所得とは、正社員やアルバイトとして働いた際に会社からもらう給料です。
例えば、個人事業主としての年間所得が30万円でも、アルバイトをして給与所得を得ている場合は確定申告が必要となるケースがあります。
確定申告が不要なケース
個人事業主において、確定申告が不要となるのは年間所得が48万円以下のケースです。
また、給与所得を得ている個人事業主の場合、給与以外の年間所得が20万円以下の場合は確定申告が不要です。
例えば、個人事業主としての年間所得が40万円で他に所得がない場合、確定申告は必要ありません。
青色申告と白色申告の違い
個人事業主が行う確定申告には、青色申告と白色申告の2種類があります。簡単に説明すると、青色申告は帳簿を細かくつける代わりに10万円または65万円(55万円)の控除があり、白色申告は帳簿が簡単な代わりに控除が受けられないというものです。
青色申告には10万円と65万円(または55万円)の控除が受けられる2種類がありますが、65万円(または55万円)の控除を受ける場合はその年の3月15日までに「青色申告承認申請書」と「開業届」を税務署に提出する必要があります。
所得が多い場合は、青色申告の方が納める税金が少なくなるためお得です。
例えば、年間に100万円の所得があるとします。白色申告は100万円に税金がかかるのに対し、65万円控除の青色申告は「100万円-65万円=35万円」に税金がかかります。青色申告の方が課税対象が小さくなるため、税金も少なくなります。
個人事業主が確定申告をする時の手続きの流れ
個人事業主の確定申告は自分自身で行うことができます。ここでは、確定申告をする時の手続きの流れを紹介します。
事前準備
確定申告を行う場合は、年間の収入と経費を合算して年間所得を算出しましょう。
年間所得が48万円を超えている場合は確定申告が必要となるため、必要書類の準備を進めます。年間所得が48万円未満の場合は確定申告が不要ですが、収入がある以上は税務署の監査が入る可能性もあるため、経費関連のレシートや領収証は破棄しないように注意してください。
また、確定申告を電子申告で行う場合はマイナンバーカードを用意しておきましょう。マイナンバーカードの発行には申請から約1ヶ月ほどかかるため、確定申告時期に間に合うように早めの準備が必要です。
必要書類の準備
確定申告を行う場合に必要な書類は下記の通りです。
提出する書類 | 備考 |
---|---|
確定申告書 | 帳簿や証明書をもとに作成。税務署もしくは国税庁ホームページから入手できる。また確定申告書等作成コーナーで作成もできる。 |
収支決算書(白色申告の場合) | 税務署もしくは国税庁ホームページから入手できる。また確定申告書等作成コーナーで作成もできる。 |
青色申告決算書(青色申告の場合) | 税務署もしくは国税庁ホームページから入手できる。また確定申告書等作成コーナーで作成もできる。 |
身分証明書 | マイナンバーカード、運転免許証、住民票の写し、保険証などから1点 |
控除証明書 | 社会保険、生命保険などの控除証明書 |
金融機関の口座 | 所得税の還付を受ける場合の振込先となる口座 |
確定申告書や収支決算書、青色申告決算書等の書類は、国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成できます。
電子申告で行う場合は、国税庁が用意しているフォーマットに必要事項を記入するだけであるため、ダウンロードする必要はありません。
郵送や税務署に提出する場合はダウンロードが必要です。この場合も、必要な情報をスマホやパソコンで入力したあとに書類をダウンロードできます。
確定申告書の作成
確定申告書や収支決算書、青色申告決算書などの作成はすべて確定申告書等作成コーナーで行うことができます。
最初に作成する書類は、収支決算書や青色申告決算書です。これらの書類を作成して年間所得を求めてから確定申告書の作成となるため、先に収支決算書・青色申告決算書の作成を進めます。
収支決算書や青色申告決算書の作成が終わると、そのまま確定申告書作成のコーナーに移行します。
作成途中にファイルの一時保存ができるため、バックアップを取っておくと途中で消した場合や再開したいときに便利です。
また、パソコンで作成する場合はOSやブラウザによっては非対応のケースがあるため、推奨環境を確認した上で作成を進めましょう。
確定申告書の提出
確定申告書の提出方法は下記の3通りあります。
- e-Taxでオンライン送付
- 郵送
- 管轄する税務署に直接提出
e-Taxはマイナンバー方式が簡単で便利ですが、マイナンバーカードを読み込めるスマホやマイナンバーカード用のカードリーダーが必要です。
また、確定申告書等作成コーナーまたはe-Taxソフトの「事前準備セットアップ」をパソコンにダウンロードしておく必要があります。
郵送や税務署に提出する場合は、確定申告書を住んでいる地域の管轄税務署に提出します。税務署でも作成はできますが、混雑する場合も多いため作成コーナーの利用がおすすめです。
納付または還付
確定申告が終わって納めるべき所得税がある場合、納付書で所得税を納めます。所得税の納付期限は確定申告と同じ3月15日で、納付方法は現金・クレジットカード・振込などに対応しています。
また、取引先からの報酬が源泉徴収されていると所得税の還付が受けられるケースもあります。
源泉徴収とは、報酬ごとに取引先が所得税を徴収することです。源泉徴収されるのは報酬に対して10.21%(1回の報酬が100万円以上なら20.42%)が原則です。
例えば、年間に10万円ほど取引先から源泉徴収されていたとします。経費がかさむなどして年間所得が0円だった場合、納める所得税は0円となり10万円を払いすぎていることになります。そして、確定申告をすると登録している口座に10万円が還付される仕組みです。
個人事業主が確定申告をするメリット
ここでは、個人事業主が確定申告をするメリットを3つ紹介します。
還付金を貰える可能性がある
取引先の会社が源泉徴収している場合、確定申告をすることで還付金が貰える可能性があります。
還付金は確定申告をしなければ受け取ることはできません。源泉徴収されている場合は、年間所得が48万円未満でも確定申告をして還付金を貰いましょう。
赤字を3年間繰り越すことができる
青色申告をすると、確定申告を行うことで赤字を3年間繰り越せるメリットがあります。例として、1年目に所得が50万円の赤字、2年目に所得が200万円の黒字になった場合で解説します。
本来、2年目は200万円の所得に対して税金が発生します。しかし、青色申告をしておくと1年目の50万円の赤字を200万円から差し引いて、課税対象が150万円となるため、本来よりも納める税金が少なくなるというわけです。
そのため、年間所得が48万円以下でも赤字が出ている場合は確定申告をおすすめします。しかし、白色申告の場合は赤字を繰り越せないため注意しましょう。
控除を使えば節税できる
確定申告では、控除制度を活用することで所得税が節税できるメリットがあります。所得控除には下記のような種類があります。
社会的な控除 | 人的な控除 |
---|---|
|
|
上の表に該当する場合は一定の控除を受けられます。例えば、保険や寄附金なども控除となるため、生命保険の新規加入やふるさと納税などを利用すると所得税の節税につながります。
個人事業主は確定申告をしないと損!デメリットを紹介
確定申告をしないで税金を納めない行為は脱税です。ここでは、個人事業主が確定申告をしないデメリットを3つ紹介します。
青色申告特別控除が受けられない
青色申告の場合は確定申告をしないと、下記のようなメリットが受けられません。
- 青色申告特別控除
- 赤字繰り越し
青色申告特別控除は大きいため、所得が多い場合は青色申告の申請をおすすめします。
また、翌年以降の課税対象所得を減らすためにも、赤字が発生している場合は青色申告を行いましょう。
白色申告は特別控除や赤字繰り越しなどの特権がないため、青色申告との違いを理解しておく必要があります。
延滞税が課せられる
納めるべき税金があるにも関わらず、期日までに確定申告を行わなかった場合は延滞税がかかります。延滞税の税率は下記の通りです。
- 確定申告の期日から2ヶ月以内に納付した場合:最大で年7.3%
- 確定申告の期日から2ヶ月過ぎて納付した場合:最大で年14.6%
期日から2ヶ月が経過すると延滞税の税率が2倍に増えます。確定申告を忘れていた場合は速やかに納税を行いましょう。
無申告加算税が課せられる
確定申告をしなかった場合、ペナルティとして無申告加算税が課せられます。
無申告加算税原則は、納付すべき税金に対して50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合で計算した金額に軽減されます。
しかし、申告期限から1ヶ月以内に申告している場合や期限内申告する意思があったと認められる場合は加算されません。
無申告加算税と延滞税は似ていますが、無申告加算税は納税しなかった事実に対するペナルティであるのに対し、延滞税は納付しなかった日数に応じてかかるペナルティです。
また、所得を隠すことや意図的に確定申告を行わずに納税から逃れる行為は脱税となり、さらに追徴税が課せられます。悪質性が高いと懲役や罰金になるケースもあるため、正しく納税を行いましょう。
まとめ
個人事業主は所得に対して確定申告を行い納税を行う義務があります。期限内に確定申告を行わないと、延滞税や無申告加算税などのペナルティを受けるため注意してください。時間にゆとりを持って確定申告の準備を進めましょう。
特に、開業した翌年の確定申告はわからないことが多く、中にはルールがわからずに申告を怠ってしまうという方もいます。どんな理由があっても、税金は自分で管理して納めなければなりません。
ペナルティを防ぐためにも、本記事を参考に確定申告の正しい知識を身につけましょう。
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- 記事監修
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- 中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
- 起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
- ※本記事は、起業の窓口編集部が専門家の監修のもとに制作したものです。
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