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個人事業主でも源泉徴収は行う?徴収義務者について詳しく解説!

個人事業主でも源泉徴収は行う?徴収義務者について詳しく解説!
個人事業主でも従業員を雇用している場合は源泉徴収が必要な場合があります。

また、取引先によっては自身が源泉徴収の対象となる場合もあるため、所得税を正しく納めて損をしないためにもルールを把握しておく必要があります。

なかには、源泉徴収の仕組みや手続きの仕方がわからないという方もいるのではないでしょうか。

この記事では、個人事業主でも源泉徴収が必要になるケースをはじめ、源泉徴収票の作り方や還付の仕組みなどを詳しく紹介します。
【この記事のまとめ】
  • 個人事業主でも従業員を雇うと給与から所得税を源泉徴収する義務が発生します。
  • 支払額に応じた源泉徴収税率を適用し、控除や過不足の調整は確定申告で行います。
  • 報酬として支払われた金銭や物品は源泉徴収の対象で、未納税には加算税が課されます。

確定申告」の期間は毎年2月16日から3月15日です。

起業の窓口」では、青色申告白色申告の基礎知識、手続きの流れ、節税のコツなどを詳しく解説しています。

ぜひ、「確定申告」に関する他の記事もご覧ください。

2024年11月1日より、フリーランス保護法が施行されます。

組織に所属せずに働くフリーランスが安心して働ける環境を整備するために、フリーランスと企業などとの発注事業者間の取引の適正化(契約書等により取引条件を明示する)が主な目的です。

詳しくは次の記事をご覧ください。フリーランス保護法の概要、制定された背景や具体的な内容などを解説しています。

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源泉徴収とは

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源泉徴収とは、年間の所得に対してかかる所得税を報酬や給与から徴収する制度です。源泉徴収を行うことで、確定申告の時期に多額の所得税を納めなくて済みます。

ここでは、源泉徴収についてさらに詳しく解説します。

対象範囲

個人事業主は源泉徴収をする側とされる側の2パターンがあります。源泉徴収をされる側の場合、下記のような報酬が源泉徴収の対象です。

  • 原稿料
  • デザイン料
  • 講演料
  • 弁護士や税理士などの士業に支払う報酬
  • スポーツ選手
  • タレント、モデル
  • バーやキャバレー、ホステスに支払う報酬

これらの仕事で報酬を得た場合は源泉徴収されたお金を受け取ることになります。

このケースだと源泉徴収を行うのは報酬を支払う側となるため、受け取る側は特別な手続きや計算などは不要です。

しかし、確定申告時期には自身で確定申告を行って所得税の過不足がある場合、納付したり、還付を受けたりします。

注意事項

源泉徴収を行う場合の注意点として、実際の内容が報酬であるものを取材費や車代、謝礼の名目で支払っても源泉徴収の対象となることです。

しかし、報酬を支払う人が交通機関やホテルなどに支払った費用は請求書等で実費であることが明記されていれば報酬に含める必要はありません。また、お金の代わりに物品で支払いを行った場合も報酬とみなされて源泉徴収の対象となります。

計算方法

源泉徴収の計算方法は1回に支払う金額が100万円以下の場合は「支払金額×10.21%」、1回に支払う金額が100万円を超える場合は「(支払金額-100万円)×20.42%+102,100円」です。

例えば、原稿料で10万円の報酬を受け取る場合、源泉徴収される金額は下記のようになります。

さきほどの計算式に数字を当てはめると「10万円×10.21%=1万210円」が源泉徴収される額となるため、実際に受け取る金額は「10万円-10,210円=8万9,790円」です。

また、講演料で110万円の報酬を受け取った場合はどうでしょうか。

さきほどの計算式に数字を当てはめると「10万円×20.42%+10万2,100円=122,520円」が源泉徴収される額となるため、実際に受け取る金額は「110万円-122,520円=977,480円」となります。

個人事業主の源泉徴収義務について

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個人事業主も従業員を雇っている場合は源泉徴収をしなければなりません。ここでは、個人事業主の源泉徴収義務について詳しく解説します。

源泉徴収義務者になるケース

個人事業主が源泉徴収義務者になるケースは、従業員を雇って給与を支払っている場合です。

所得税を給与から差し引いて国に納める義務のある者を源泉徴収義務者といいます。国税庁では源泉徴収義務者について、会社や個人だけでなく、学校や官公庁、人格のない社団や財団も含むとしています。

また、従業員を雇って源泉徴収義務者となった場合は「給与支払事務所等の開設届出書」の提出が必要です。ただ、個人が事業を始めるために事務所を開設した場合は「個人事業の開業届出書」を所轄の税務署に提出することになっています。

源泉徴収義務者となって給料を支払うと源泉徴収の計算が毎月必要になるため、税理士や事務員に計算してもらうのが一般的です。

源泉徴収義務者にならないケース

個人事業主は下記のいずれかのケースに当てはまると源泉徴収義務者にはなりません。

  • 給与の支払いがなく税理士報酬などの報酬だけを支払っている
  • 常時2人以下でお手伝いさんなどのような家事使用人に給与を支払っている

突発的に源泉徴収の対象となる支払いが発生し、その度に所得税を納付するのは手間がかかることから源泉徴収の義務が免除されます。

従業員がいなくて1人で仕事をしている個人事業主の場合は源泉徴収義務者には該当しません。

源泉徴収義務者に該当する個人事業主は源泉徴収を行う必要がある

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従業員を雇って源泉徴収義務者に該当する個人事業主は源泉徴収を行う必要があります。

源泉徴収義務者になったら、給料や報酬から源泉徴収をして翌月の10日までに税務署に納税しなければなりません。

しかし、個人事業主の場合は雇用する人数が10人未満の場合は給与や税理士等への報酬については年2回の納付で構わないという特例が定められています。

源泉徴収をせずにいると、本来納付しなければならない源泉所得税額の10%が不納付加算税として課税されることになり、納付が遅れてしまった場合には延滞税もかかるため注意が必要です。

しかし、不納付加算税が5,000円未満の場合や過去1年間に延滞がなく、納付期限の翌日から1カ月以内に納めると不納付加算税は免除です。

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源泉徴収票の作り方

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個人事業主が源泉徴収票を作成する場合は国税庁よりダウンロードできる給与所得の源泉徴収票が便利です。ここでは、従業員を雇って源泉徴収が必要になったら必要になる源泉徴収票の作り方を紹介します。

給与所得控除後の金額

源泉徴収票の支払金額に、源泉徴収や控除額が差し引かれる前の年収を支払金額に記入します。

支払金額の横にある「種別」については給与や収入とするのが一般的です。この中には、通勤手当のように非課税の手当は含みません。

次に、支払金額をもとに給与所得控除後の金額を計算します。給与所得控除とは、収入から差し引くことができる控除のことです。給与所得者は個人事業主やフリーランスのように経費の計上ができないことから、このような控除制度を設けています。

給与所得控除の計算方法は下の表を参考にしてください。

給与所得 給与所得控除
162万5,000円以下 55万円
162万5,000円超え180万円以下 収入金額×40%-10万円
180万円超え360万円以下 収入金額×30%+8万円
360万円超え660万円以下 収入金額×20%+44万円
660万円超え850万円以下 収入金額×10%+110万円
850万超え 195万円

参考:国税庁-給与所得控除

これとは別にすべての納税者には基礎控除48万円が適用されることから、給与所得控除額の55万円と合算して年収103万円以下の場合は所得税がかかりません。

所得控除後の合計額

所得控除後の合計額は、給与所得控除以外の控除額の合計を記入します。

また、所得税の対象となる課税所得とは、給与所得から控除額を差し引いた所得のことです。

所得控除には下記のような種類があります。

  • 雑損所得
  • 医療費控除
  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済掛金控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 寄附金控除
  • 障害者控除
  • 寡婦控除
  • ひとり親控除
  • 勤労学生控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 扶養控除

このうち、地震・生命保険などは従業員が個人的に支払うものなので、証明書を回収する必要があります。源泉徴収票は12月に行われる年末調整後に発行するのが一般的であるため、書類の回収は年末調整の前には集めましょう。

また、従業員が複数人いる場合はそれぞれに年末調整が必要となるため、かなりの時間と労力を費やすことになります。自分だけでは限界もあるため、事務員や税理士にお願いして対応するのもよいでしょう。

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源泉徴収税額

源泉徴収額は、1年間で従業員から徴収した所得税の合計額を記載します。

所得税の算出方法は、給与所得控除後の金額から所得控除額の合計額を差し引いた金額に所得税率をかけます。

所得税率は下記の通りです。

所得金額 税率 控除
1,000円から150万円未満 5% 0円
150万円以上330万円未満 10% 9万7,500円
330万円以上695万円未満 20% 42万7,500円
695万円以上900万円未満 23% 63万6,000円
900万円以上1,800万円未満 33% 153万6,000円
1,800万円以上4,000万円未満 40% 279万6,000円
4,000万円以上 45% 479万6,000円

参考:国税庁-所得税の税率

また、2037年までは復興特別所得税として2.1%が上乗せされます。

例えば、控除を差し引いた年間所得が200万円の場合、復興特別所得税も含めた所得税は「200万円×12.1%+9万7,500円=33万9,500円」となります。

控除対象配偶者の有無等

控除対象配偶者とは、合計所得額が48万円以下の配偶者のことです。従業員に控除対象配偶者がいる場合は、控除対象配偶者の有無等の記入欄に丸をつけます。

また、配偶者の所得が給与のみである場合、納税者の所得が900万円以下であることや納税者と一緒に生計を立てていることを条件に、合計所得金額が95万円以下の配偶者も控除対象配偶者に該当します。

控除対象扶養親族の数

控除対象扶養親族がいる場合、その人数を源泉徴収票に記入します。控除対象扶養親族とはその年の12月31日時点での年齢が16歳以上の親族です。

参考:国税庁-令和5年分以降の給与所得の源泉徴収票の控除対象扶養親族の区分爛の記載方法

扶養親族の数によって控除額が異なるため、給与を支払っている従業員の家族構成を確認しておく必要があります。

払いすぎた源泉徴収は確定申告で還付される

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源泉徴収は所得税の前払いになるため、1年間を通してみると過不足が発生するケースがあります。

源泉徴収額が本来の所得税よりも多ければ確定申告で還付が受けられ、本来の所得税よりも少なければ足りない分を納めなければなりません。

自身が源泉徴収する立場にある場合は、年末調整後を行った後に従業員が源泉徴収を多く納めている場合は翌月の給料に上乗せ、源泉徴収が足りない場合は翌月の給料から天引きします。

自身が源泉徴収される側にある場合は、2月16日~3月15日までの間に確定申告を行いましょう。

個人事業主の場合は年間所得が48万円を下回ると確定申告の必要はありません。しかし、所得税の還付を受けるのであれば確定申告は必要です。

また、個人事業主が副業で給料を得ている場合、年末調整で所得税が還付されても、生命保険や地震保険に関する書類の提出忘れがあると、改めて申告して所得税の還付を受けることも可能です。

還付金の受け取り方法は郵便局の窓口で受け取る方法と口座に入金してもらう方法があります。振込の場合は、確定申告を行ってから2週間~4週間以内に振り込まれます。

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まとめ

個人事業主が源泉徴収しなければならないケースとして、自身が従業員を雇って源泉徴収する場合と、副業で給与所得がある場合や取引先から自身が源泉徴収される2パターンがあります。

事業の形態によっては、源泉徴収する側とされる側の両方になるケースもあります。特に事業を始めた直後だと、源泉徴収の方法や流れがわからないという方も多いでしょう。しかし、源泉徴収を正しく行わないと所得税の納付忘れや還付金を受け取れない場合もあるため注意が必要です。

正しく納税するためにも、本記事を参考に源泉徴収の正しい知識を身につけましょう。

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記事監修
中野裕哲
中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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