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個人事業主にかかる税金の種類と計算方法|節税対策も徹底解説

個人事業主にかかる税金の種類と計算方法|節税対策も徹底解説

個人事業主が支払う主な税金は、所得税・復興特別所得税、住民税、消費税、個人事業税があります。しかし、各税金の概要や計算方法を詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。


そこで、本記事では税金の種類と計算方法、節税対策について紹介します。これから個人事業主となる方や税金について詳しく知りたい方に役立つ情報を解説しますので、ぜひ参考にしてください。

【この記事のまとめ】
  • 個人事業主が支払う税金には、所得税・住民税・消費税・個人事業税があります。各税金の納税方法は、インターネットバンクやクレジットカードなど、便利な手段が用意されています。
  • 所得税は事業所得に基づき課税され、復興特別所得税も併せて納付します。税率は所得金額によって異なり、計算方法も明確に定められています。
  • 住民税は住所地の自治体に納め、均等割と所得割が含まれます。消費税は売上に基づき、特定の売上を超えた事業主に課され、計算方法は2通りあります。

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ぜひ、「確定申告」に関する他の記事もご覧ください。

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個人事業主にかかる税金の種類

個人事業主にかかる税金の種類

個人事業主が支払う税金には、以下のような種類があります。

税金の種類 内容 納税方法 対象者
所得税・復興特別所得税

所得税:1年間の事業所得に対する税金

復興特別所得税:東日本大震災の復興に必要な財源を確保するための所得税

インターネットバンク・クレジットカード・ダイレクト納付・税務署や金融機関での税金納付 事業所得を得た個人事業主
住民税 住所地の都道府県・市区町村に納める税金 納付書を基に一括または4期分割で現金納付(インターネットバンクやクレジットカードなどに対応している自治体もある) 1月1日時点で市区町村内に住所がある個人事業主、住所はないものの事務所や事業所がある個人事業主
消費税 商品やサービスの消費に対して発生する税金 インターネットバンク・クレジットカード・ダイレクト納付・コンビニ納付・税務署や金融機関での税金納付 前々年の売上が1,000万円を超えた個人事業主
個人事業税 各都道府県ごとに定められた一定の業種に対する税金 クレジットカード・口座振替・コンビニ納付・税務署や金融機関での税金納付 各都道府県ごとに定められた業種に当てはまる個人事業主

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所得税・復興特別所得税

所得税とは、1年間の収入から経費や控除分を差し引いた事業所得に発生する税金を指します。復興特別所得税は、東日本大震災の復興に必要な財源を確保するために創立された所得税のことです。

事業所得を得た個人事業主が対象で、主な納税方法はインターネットバンク・クレジットカード・ダイレクト納付・税務署や金融機関での現金納付です。また、事業所得金額によって所得税の税率や控除額が変わります。

所得金額 税率 控除額
195万円未満 5% 0円
195万円~330万円未満 10% 97,500円
330万円~695万円未満 20% 42万7,500円
695万円~900万円未満 23% 63万6,000円
900万円~1,800万円未満 33% 153万6,000円
1,800万円~4,000万円未満 40% 279万6,000円
4,000万円超 45% 479万6,000円

所得税・復興特別所得税の計算方法

所得税と復興特別所得税の計算式は、以下の通りです。

【計算式】
  • 所得税:事業所得×税率-税額控除額
  • 復興特別所得税:所得税額×2.1%
【事業所得600万円の場合の計算例】
  • 所得税:600万円×20%-42万7,500円=77万2,500円
  • 復興特別所得税:77万2,500円×2.1%=1万6,200円(100円未満切り捨て)

住民税

住民税とは、住所地の都道府県・市区町村に納める税金です。納付書を基に一括または4期分割で現金納付できるほか、自治体によってはインターネットバンクやクレジットカードなどに対応している場合もあります。

対象者は、1月1日時点で市区町村内に住所がある個人事業主、住所はないものの事務所や事業所を有する個人事業主です。均等割と所得割の2種類があり、これらを合算した額を住民税として納付することになります。

均等割

所得額に関わらず、全ての人に対して均等に発生する税金額のことです。市町村民税3,500円、道府県民税1,500円で合計5,000円が課せられます。

所得割

所得に対して発生する税金額のことです。税率は、都道府県税4%+市区町村民税6%=10%と一律で定められています。(政令指定都市は都道府県税2%、市町村民税8%)

住民税の計算方法

均等割は同じ額が課されますが、所得割は以下の計算式を用いて算出します。

【計算式】
所得割:事業所得×10%(都道府県税4%+市区町村民税6%)
【事業所得600万円の場合の計算例】
  • 所得割:600万円×10%=6万円
  • 所得割+均等割:6万円+5,000円=6万5,000円

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消費税

商品やサービスの消費に対して発生する税金のことを指します。インターネットバンク・クレジットカード・ダイレクト納付・コンビニ納付・税務署や金融機関での税金納付を選択でき、対象者は前々年の売上が1,000万円を超えた個人事業主です。

消費税の計算方法

消費税の計算は、原則課税方式と簡易課税方式の2種類があります。原則課税方式は計算方法が複雑なため、基準期間の売上額が5,000万円以下の場合は簡易課税方式の選択が可能です。ここでは、簡易課税方式の計算方法を紹介します。

【計算式】

簡易課税方式:(1年間の売上金額(税抜)×消費税率)- {(1年間の売上額(税抜)×消費税率)×みなし税率}

みなし税率は、業種によって変わります。

業種 みなし税率
第1種事業(卸売業) 90%
第2種事業(小売業) 80%
第3種事業(農業、漁業等) 70%
第4種事業(飲食店業等) 60%
第5種事業(運輸業、金融業等) 50%
第6種事業(不動産業) 40%
【売上600万円の場合の計算例(卸売業の場合)】

(600万円×10%)- {(600万円×10%)×90%}=6万円

個人事業税

都道府県ごとに定められた一定の業種に対する税金です。納税方法は、クレジットカード・口座振替・コンビニ納付・税務署や金融機関での税金納付があります。各都道府県指定の業種に当てはまる個人事業主が対象です。地域によって各業種の税率は変わりますが、こちらでは東京都のケースを確認しましょう。

区分 税率 事業の種類
第1種事業 5% 物販販売業、保険業、飲食店業等
第2種事業 4% 畜産業、水産業等
第3種事業 5% 医業、士業、デザイン業等
3% マッサージ・指圧などその他の医業に類する事業

個人事業税の計算方法

個人事業税には、所得に関わらず290万円の控除があります。そのため、事業所得(青色申告特別控除の適用前)が290万円以下なら個人事業税を払う必要はありません。

【計算式】

個人事業税:(事業所得-290万円)×税率

【事業所得600万円の計算例(飲食店業の場合)】

(600万円-290万円)×5%=15万5,000円

個人事業主ができる節税対策

個人事業主ができる節税対策

個人事業主として事業を行う際には、節税対策を考えることも大切です。主な節税対策をチェックしましょう。

  • 青色申告をする
  • 控除を利用する
  • 経費を見直す

各対策の基礎知識を把握することで、今までより税金を抑えられる可能性が高まります。詳細を確認し、節税に役立ててください。

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青色申告をする

青色申告とは、確定申告の申告方法の一つです。税務署に所定の期限までに「個人事業主の開業・廃業等届出書」と「所得税の青色申告承認申請書」を提出すれば、青色申告対象事業者として認められます。

青色申告の特徴は、最大65万円の控除を受けられることです。また、通常は個人事業主が家族に払った給与は経費計上できませんが、青色事業専従者給与制度を利用すれば家族に払った給与を経費として計上できます。さらに、1年間の赤字分を翌年以降3年間繰り越せるのに加え、前年に繰り戻せるのも嬉しいポイントです。青色申告対象事業者となることは、大きな節税に繋がるといえるでしょう。

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控除を利用する

控除とは収入や税金から差し引く金額のことで、所得控除と税額控除の2タイプがあります。どちらの控除もうまく利用することで節税効果を得られるでしょう。

所得控除は、課税対象所得を減額できる制度のことです。控除額が大きければ課税対象所得が減り、税額も下がります。例えば、所得控除40万円で所得税率20%となった場合、単純計算で40万円×20%=8万円の節税に繋がるのが基本的な考え方です。

税額控除は、支払う税金自体を減らせる制度です。所得税が40万円の場合、税額控除が30万円であるならば40万円-30万円=10万円へと税金が減額されます。なお、控除の主な例は以下の通りです。

【控除の例】
  • 所得控除:医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除、小規模企業共済等掛金控除など
  • 税額控除:住宅借入金等特別控除、配当控除など

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経費を見直す

経費とは、事業運営のために使用した費用のことです。事業所得は1年間の収入から経費と控除を差し引いた額になるため、必要な経費を計上することも節税に繋がります。主な経費の事例は以下の通りです。

【経費の例】
  • 消耗品費:事務所で使うペンやメモ帳の備品代
  • 旅費交通費:タクシー代、電車代
  • 接待交際費:取引先との飲食代
  • 通信費:事業用携帯電話の通信費やプロバイダー費
  • 水道光熱費:事務所や店舗の電気代、水道代、ガス代
  • 地代家賃:事務所や店舗の賃料

なお、自宅兼事務所で水道光熱費や通信費、地代家賃などが発生した場合は、仕事で使用した分だけ家事按分として計上できます。本来経費として計上できる費用に抜け漏れがあると税率も高くなるため、経費となるものは全て把握するようにしてください。

まとめ

まとめ

個人事業主として払うべき税金は、所得税・復興特別所得税、住民税、消費税、個人事業税があります。いずれの税金も事業所得や売上高によって支払うべき額が変わるため、節税対策も意識しながら会計を行うことが重要です。青色申告や控除、経費をうまく利用して、スムーズな事業運営に繋げていきましょう。

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記事監修
中野裕哲
中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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  • ※本記事は、起業の窓口編集部が専門家の監修のもとに制作したものです。
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