フリーランスに開業届は必要?提出するメリット・デメリットを詳しく紹介!
働き方が多様化する現代では、企業から個人で案件を請け負っているケースは少なくありません。
フリーランスがビジネスを始めるうえで開業届は欠かせませんが、必要性を知りたい、何から始めればいいかわからないと悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
この記事では、フリーランスが開業届を提出する必要性やメリット・デメリット、提出する時期や流れを詳しく紹介します。
- 【この記事のまとめ】
- 開業届は、個人事業主やフリーランスが事業を開始する際に必要な手続きです。事業の所在地や氏名などの情報を役所に届けることで、法律上の義務を果たします。提出後は14日以内に登録され、税務署や社会保険事務所などでも必要な書類となります。
- フリーランスが開業届を提出する必要があるのは、事業所得を得ている場合です。副業やアルバイトの場合は、開業届は必須ではありません。しかし、収益が大きい場合は提出が求められることもあります。税金関連の手続きは別途必要です。
- 開業届を提出するメリットには、社会的信用の向上、小規模企業共済への加入、補助金・助成金の申請が可能になることがあります。一方で、扶養制度に影響が出るデメリットもあるため、事前に確認が必要です。
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開業届とは
開業届とは、個人事業主やフリーランス、法人などが新しい事業を開始する際に、事業の所在地や種類、氏名や生年月日などの個人情報を役所に届ける手続きです。
開業届の提出は法律上の義務です。提出後は自己申告制度に基づき、事業の開始日から14日以内に所轄の役所に登録されます。
開業届は税務署や社会保険事務所など、さまざまな行政手続きに必要な書類です。また、フリーランスや法人などの形態を問わず、どのような事業でも必要な手続きです。
フリーランスが開業届を提出する必要性
フリーランスや法人などの形態を問わず、どのような事業でも開業届は必要な手続きであることを紹介しました。しかし、全てのフリーランスに該当する訳ではありません。
ここでは、開業届が必要なケースと必要がないケースを紹介します。
開業届が必要なケース
事業所得を得ているフリーランスは開業届を提出する必要があります。
多くのフリーランスは、個人・法人を相手に個別で仕事を請け負っていますが、その際に得た利益は事業所得として扱われます。
所得税法229条には、『事業所得を生ずべき事業を開始した場合は、届出書を提出し税務署長に提出しなければいけない』と記載されています。
事業所得を得ているフリーランスは、個人事業主として扱われます。そのため、多くのフリーランスは開業届を提出する必要があるというわけです。
開業届の必要がないケース
本業が別にあり、副業やアルバイトとしてフリーランスの業務を行っている場合、開業届は提出しなくても問題ありません。
例えば、普段はサラリーマンとして働いている人が週末だけデザイン作成を請け負い収益を得ている場合、副業で得た収益は事業所得ではなく雑所得として計上されます。
しかし、自身は片手間で行っているアルバイト感覚でも、収益が大きい場合や事業内容によっては開業届の提出が必要となる場合もあります。
また、開業届を提出していなくても所得税や消費税の申告・納税など、税金関連の手続きは別途必要です。
フリーランスが開業届を提出する3つのメリット
フリーランスは事業開始後、開業届の提出が義務化されていますが、仮に出さなくても罰則を課せられるわけではありません。
罰則がないのであれば面倒な手続きはしたくないと考える方もいますが、フリーランスは開業届を提出することで多くのメリットを受けられます。
- 社会的信用の向上
- 小規模企業共済への加入が可能
- 補助金・助成金の申請が可能
ここでは、具体的に一つずつメリットを解説します。
社会的信用の向上
フリーランスは、開業届を提出することで自身の事業に法律上の位置づけを持たせることができるため、対外的な社会的信用が向上します。
開業届を提出すると法的に個人事業主と認められ、法律上の義務や権利が発生します。これにより、自身の事業が社会的に認められビジネスにおいての信用度が高くなります。
フリーランスは個人で案件を獲得しなければいけないため、社会的信用が高いという点は大きなメリットになります。
また、事業主としての経営管理能力を示すことができるため、取引先からの依頼だけではなく金融機関からの融資も得やすくなる効果が期待できます。
小規模企業共済への加入が可能
フリーランスは開業届を提出すると、小規模企業共済へ加入できるようになります。
小規模企業共済は国が定める社会保障制度の一つで、個人事業主や小規模企業が加入することができます。
小規模企業共済へ加入することで得られるメリットは以下の通りです。
- 掛金が安い
- 自身に合った掛金を選ぶことができる
- 死亡した場合には遺族へ一定の給付金が支払われる
フリーランスは万が一のリスクに備えた対策を自身で行う必要があるため、小規模企業共済へ加入できるというのは大きなメリットです。
しかし、事業収入が一定額以下であることや掛金を一定期間支払わないと給付が受けられないなどの制限に注意しておきましょう。
補助金・助成金の申請が可能
フリーランスが開業届を提出すると、国や地方自治体が行う補助金・助成金への申請が可能になります。
自営業やフリーランス向けに設定された補助金・助成金を申請するためには、自身が個人事業主であることを証明する必要があり、そのためには開業届が不可欠です。
補助金・助成金を利用することで、経費削減やスキルアップに役立てることができます。申請には一定の手間や条件があるため、事前に確認しておきましょう。
フリーランスが開業届を提出するデメリット
フリーランスが開業届を提出すると、配偶者の扶養に関する制度が適用されなくなる可能性がある、というデメリットもあります。具体的には、扶養家族手当の支給などです。
また、配偶者に限り適用される保険の加入費用割引なども、扶養者から外れる影響で割引が受けられなくなる可能性があります。
しかし、扶養から外れるかどうかは収入や規模により異なります。扶養であることの恩恵を受けている場合は、事前に確認しておいた方がよいでしょう。
フリーランスが開業届を提出する時期
フリーランスが開業届を提出する時期は、開業してから1か月以内です。
フリーランスが開業届を提出する流れ
フリーランスが開業届を提出する流れは、大きく分けて以下の3つです。
- 開業届を入手する
- 開業届に必要事項を記入する
- 開業届を提出する
ここでは、具体的に一つずつ流れを解説します。
開業届を入手
開業届は、国税庁のホームページからダウンロードして入手することができるほか税務署にも用紙が置いてあります。
開業届に必要事項を記入
開業届入手後は必要事項を記入していきます。記入する内容は主に以下の通りです。
- 氏名・名称
- 所在地
- 職業
- 開業日
開業届を提出
必要事項を記入した開業届と共に、マイナンバー確認書類などの書類を用意します。
これらの必要書類は、住民票のある市区町村を管轄する税務署へ提出します。提出方法は窓口、郵送、電子申請、オンライン申請などがあります。
開業届提出後の必要事項
最後に、フリーランスが開業届を提出した後に行うべき必要事項を紹介します。
国民健康保険への切り替え
会社員時代に社会健康保険へ加入していた場合は、他者の健康保険の扶養に入るケースを除いて国民健康保険へ切り替えなければいけません。
国民健康保険は所得に応じて保険料が課せられるため、開業後の所得状況次第では保険料が変わる可能性があります。
国民年金に加入する
開業届提出後は国民年金に加入しなければいけません。国民年金は一定の条件を満たした人が加入し、年金を受け取ることができる制度です。
国民年金の加入は自己申請が必要で、本人確認書類などが必要です。必要書類は、住民票のある市区町村役場へ提出します。
確定申告
フリーランスは、開業届の提出有無に関わらず確定申告が必要となります。
1年間の収入、経費、所得税額、社会保険料額などの必要情報を集め、確定申告書を作成し、原則として翌年3月15日までに提出しなければいけません。
“e-Tax”という電子申告システムを使えば、送信や納税がオンラインで行えます。
フリーランスは毎年の確定申告が不可欠であるため、“e-Tax”の利用をおすすめします。
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まとめ
フリーランスが開業届を提出するメリットとデメリット、提出時期や流れ、提出後に行うべき必要事項を詳しく紹介していきました。
開業届は新しく個人事業を始める際の区切りのようなもので、社会的信用の向上、青色申告が使えるようになる、小規模企業共済への加入など、さまざまなメリットがあります。
フリーランスとして事業を開始する際は、できるだけ早く開業届を提出するようにしましょう。
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- 記事監修
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- 中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
- 起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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