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会計

雑所得とは?雑所得の範囲や計算方法と確定申告の留意点

雑所得とは?雑所得の範囲や計算方法と確定申告の留意点
日本における税制は複雑で、多くの人々がその詳細を理解するのに苦労しています。特に、雑所得に関する知識は、副業を行う場合にとても重要です。

この記事では、「雑所得とは何か?」から始めて、雑所得の種類、計算方法、そして確定申告における留意点について、わかりやすく紹介していきます。

現在副業をしている方や、これから副業を始めようと思っている方はぜひ記事をチェックしてみてください。
【この記事のまとめ】
  • 雑所得とは、他の9種類の所得のいずれにも該当しない所得のことです。
  • 副業や公的年金などの収入は雑所得に該当し、収入を得るための費用は経費にできます。
  • 雑所得は赤字の繰り越しができず、1,000万円を超えると消費税の課税業者となります。

2024年11月1日より、フリーランス保護法が施行されます。

組織に所属せずに働くフリーランスが安心して働ける環境を整備するために、フリーランスと企業などとの発注事業者間の取引の適正化(契約書等により取引条件を明示する)が主な目的です。

詳しくは次の記事をご覧ください。フリーランス保護法の概要、制定された背景や具体的な内容などを解説しています。

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雑所得とは?

雑所得とは?

雑所得とは、所得税法で分類される10種類の所得区分のうち、他の9種類の所得に該当しない所得のことです。
税法上、所得は得た理由によって10種類に分けられますが『利子所得・給与所得・配当所得・譲渡所得・一時所得・事業所得・不動産所得・山林所得・退職所得』のいずれにも当てはまらなければ、雑所得となります。

所得の種類

所得の種類

所得税法で定められた所得区分は、以下の10種類です。

  1. 利子所得
  2. 給与所得
  3. 配当所得
  4. 譲渡所得
  5. 一時所得
  6. 事業所得
  7. 不動産所得
  8. 山林所得
  9. 退職所得
  10. 雑所得

ここでは、所得税法で定められた10種類の所得についてそれぞれ詳しく見ていきましょう。

利子所得

利子所得とは、銀行の預貯金や公債・社債の利子、合同運用信託や公社債投資信託などの収益の分配によって得る所得のことです。

給与所得

給与所得は、会社や組織に雇用されている個人が労働に対して得る給料や賞与などの収入を指します。基本給のほか、残業手当や役職手当、家族手当など、さまざまな形態の給付が含まれることがあります。

配当所得

配当所得は、株式投資等を通じて得られる配当金を指します。投資家が株式等を保有することにより、企業の利益分配の一部を受け取る収入のことです。
保有する株式の数、企業の配当政策、業績によって配当金は変わります。

譲渡所得

譲渡所得は、不動産や株式、その他の資産を売却した際に得られる利益を指します。資産を購入した価格と売却価格の差額、つまり売買差益が譲渡所得です。
不動産の売却や株式、投資信託の売却の他、美術品や貴金属などの貴重品の取引からも発生することがあります。譲渡所得は、資産の価値が購入時より高くなった場合にのみ生じ、市場の動向や資産価値の変動に大きく左右されるものです。

一時所得

一時所得は、保険金の受け取り、宝くじの当選金、賞金など、特定の出来事によって一度だけ得られる収入を指します。
一時所得は、通常の収入とは異なり、予期せぬタイミングや特別な状況で得られるため、計画的な収入とは区別されるのが一般的です。

事業所得

事業所得は、自営業者やフリーランスが自らの事業活動から得られる収入のことです。商売、サービス提供、コンサルティング、クリエイティブな作業など、多岐にわたる活動が含まれます。
事業所得は、企業に雇用されるのではなく、個人が独立して事業を運営することにより得られるものです。

不動産所得

不動産所得は、アパートやマンション、オフィスビルなどの賃貸物件から得られる家賃収入のことです。
不動産を所有し、他人に貸し出すことで定期的に得られる収入として定義されます。

山林所得

山林所得は、所有する山林から木材を伐採し、販売することによって得られる収入です。
木材の種類や品質、市場の需要などによって変動します。

退職所得

退職所得は、退職時に企業から支払われる退職金や給付金を指します。この所得は、長年の勤務を終えた際に労働者に対して一時的に支払われるものです。
退職所得の額は、勤続年数や役職、企業の退職金規程によって異なります。

雑所得

ここまでの1〜9種類の所得のどれにも当てはまらない所得全般は、雑所得に分類されます。
副業収入は「雑所得」に分類されることが多いです。

雑所得の範囲

雑所得の範囲

ここでは、雑所得の範囲に含まれる具体的な収入の種類と特徴について詳しく解説していきます。

アフィリエイト収入

アフィリエイト収入は、ウェブサイトやブログを通じて広告を掲載し、その成果に応じて報酬を得る仕組みです。
インターネットの普及により、個人や企業にとって重要な収入源となっています。訪問者が広告リンクをクリックしたり、広告経由で商品を購入したりすることで、広告主から報酬が支払われます。
副業のアフィリエイト収入で得た所得は、雑所得に分類されます。ただし、事業に該当する規模のアフィリエイト収入を得ている場合、「事業所得」に区分されるケースもあります。

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ネットショップの収入

オンラインで商品を販売し、そこから得られる売上であるネットショップの収入は、本業でない場合は雑所得に分類されることが多いです。
物理的な店舗を持たず、ウェブサイト上で商品を展示・販売可能なため、個人も気軽に収入を得られる手段となっています。

ネットオークションやフリーマーケットの収入

多くの人にとって手軽な副収入源となったネットオークションやフリーマーケットによる収入も雑所得です。
商品の仕入れやハンドメイドの材料費、経費などを差し引いた金額が所得となり、20万円を越えた場合は確定申告が必要です。

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なお、自宅にあった家財などの不用品売却によって得た所得の場合は確定申告は不要です。

講演料・印税

セミナーやイベント、教育機関での講演や講義に対する報酬となる講演料や、本・電子書籍の印税は、副業として収入を得ている場合は雑所得に該当します。
これらによる収入が一時的であった場合「一時所得では?」と迷ってしまうかもしれませんが、営利目的の行為で生じた所得は一時所得ではなく、雑所得に該当するため注意しましょう。

オプション取引・先物取引

オプション取引・先物取引とは、金融市場における取引手法です。
オプション取引は、将来特定時点での資産の買い売り権利を取引するもので、株式、通貨、商品などが対象です。先物取引は、将来特定日に決められた価格で資産を売買する契約で、価格変動リスク回避や投機的目的で利用されるケースが多いでしょう。
ここで得られる収益は雑所得に分類され、売買益の決済確定分が課税対象になります。

個人的な貸金で発生した利子

貸金業者のように事業としてお金を貸すことで得た利子は事業所得となりますが、個人間の貸金で発生した利子は雑所得に該当します。
具体的には、友達や家族に貸した10万円に対して、1,000円の利子を得た場合などです。

年金収入

公的年金による収入は雑所得に該当するため、課税の対象になります。
公的年金(国民年金・厚生年金・共済組合・恩給など)を受け取った場合は、年金収入から「公的年金等控除額」を差し引いたものが雑所得です。
公的年金等控除額は、受給者の年齢・年金額・年金以外の所得によって変動します。
なお、満期保険金は一時所得に分類され、雑所得には含まれません。

雑所得の計算方法

雑所得の計算方法

雑所得の計算は大きく「公的年金等の雑所得」と「公的年金等以外の雑所得」の2つに分けられます。
公的年金等の雑所得では、収入から公的年金等控除額を差し引いて計算します。

【収入額ー公的年金等控除額=公的年金等の雑所得】

公的年金等以外の場合は、収入から必要経費を差し引いて計算します。

【総収入額ー必要経費=公的年金等以外の雑所得】

「必要経費」とは、収入を得るために直接支出した費用のことで、交通費や材料費、広告費などが該当するのが一般的です。
たとえば、ネットショップ運営では、商品仕入れ費や配送費、サーバー費用が必要経費になります。フリーランスの場合は、機材購入費や事務所家賃、通信費も該当するでしょう。
収入を得るために必要な費用は経費と認められますが、プライベートな支出は経費にはできません。
副業の場合は自宅を作業場としていることも多く、この場合の家賃や通信費などは事業で使用した分だけを計上する「家事按分」を行う必要があります。
経費計上には、領収書や契約書などの支出証明書類の保管が必要です。年間を通じての保管が必要なため、大変ではありますが、適切な申告のために保管するようにしてください。

雑所得で計上可能な経費

雑所得で計上可能な経費

雑所得は事業所得・不動産所得と同様に、経費計上が認められています。
ここでは計上可能な経費の種類や、計上するときの条件について見ていきましょう。

計上可能な経費の種類

雑所得の計算において、経費として計上できる項目は多岐にわたります。
一例を挙げると、副業に関連する移動のための交通費、商品製作やサービス提供に必要な材料の購入費用、ネットショップやブログの宣伝にかかる広告費、そしてインターネットや電話の使用に関わる通信費などです。
この他、クライアントとのミーティング時の飲食費、コワーキングスペースの利用料、文房具などの事務用品購入費用なども経費として計上可能です。

経費計上の条件

雑所得における経費計上には、いくつかの条件があります。
まず、経費は収入獲得に直接関連するものでなければなりません。例えば、副業で使用する機材の購入費やビジネス関連の交通費が該当します。
次に、支出の証拠となるレシートや請求書を適切に文書化し、保管することが重要です。これらは税務調査時に経費の正当性を証明するために必要になります。
また、個人的な支出とビジネス関連の支出は明確に区別することが必要です。個人的な旅行費用など、ビジネス活動と関連しない支出は経費として計上できません。

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確定申告における雑所得の注意点

確定申告における雑所得の注意点

雑所得に関する確定申告では、いくつかの点に注意する必要があります。ここでは、 確定申告における雑所得の注意点について解説します。

雑所得が20万円を超えたら確定申告が必要

雑所得が年間20万円を超えると、確定申告が必要です。
給与所得など他の所得と雑所得をあわせて計算し、控除分を差し引いた額に所定の税率を掛けて算出します。
また、課税売上高が1,000万円を超えると、雑所得であっても消費税の納税義務が生じるため注意が必要です。
消費税は、課税売上高が1,000万円を超えた年の2年後から発生します。

赤字の繰り越しができない

雑所得では赤字の繰り越しが認められていないため、生じた損失はその年度内でしか計上できません。事業所得や不動産所得とは異なり、翌年度以降の所得に対して損失相殺は不可能です。
開業から間もない場合は赤字が生じるケースも多く、赤字の繰越は節税対策の一つとなりますが、雑所得の場合は適用できないため注意しましょう。

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まとめ

雑所得の基本から計算方法、確定申告の際の留意点まで、幅広く紹介してきました。
アフィリエイト収入やネットショップの収入など、インターネットを活用した副業収入が増えている現代では、これらの収入がどのように雑所得として扱われるのかを知ることが不可欠といえます。
税務に関する知識は、特に自営業者やフリーランス、副業を行う方々にとっては、事業運営の基盤となります。適切な税務知識を持つことで、不必要な税金の支払いを避け、事業の健全な運営につながるでしょう。
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記事監修
中野裕哲
中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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