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個人事業主の決算とは?確定申告との違い、青色申告決算書の作成について解説

個人事業主の決算とは?確定申告との違い、青色申告決算書の作成について解説

個人事業主として独立したばかりで、決算がいつなのか、何をすれば良いのか気になっている人もいるのではないでしょうか。個人事業主の決算は確定申告をする前に必ず必要になる業務なので、怠ると最終的にペナルティが課される可能性があります。

この記事では個人事業主の決算とは何か、決算と確定申告の違いや、青色申告白色申告の手続きのやり方についても解説しています。


【この記事のまとめ】
  • 個人事業主の決算は1年間の売上や経費を集計し、確定申告に必要な所得額を計算する作業です。確定申告は、その決算結果を基に納税額を計算するための手続きです。
  • 青色申告は税制面でのメリットがあり、帳簿の作成に複式簿記が必要です。白色申告は簡素化されていますが、税制上の優遇措置はありません。
  • 個人事業主の会計期間は毎年1月1日から12月31日までです。この期間の売上や経費を決算書にまとめ、確定申告を行います。

確定申告」の期間は毎年2月16日から3月15日です。

起業の窓口」では、青色申告白色申告の基礎知識、手続きの流れ、節税のコツなどを詳しく解説しています。

ぜひ、「確定申告」に関する他の記事もご覧ください。

2024年11月1日より、フリーランス保護法が施行されます。

組織に所属せずに働くフリーランスが安心して働ける環境を整備するために、フリーランスと企業などとの発注事業者間の取引の適正化(契約書等により取引条件を明示する)が主な目的です。

詳しくは次の記事をご覧ください。フリーランス保護法の概要、制定された背景や具体的な内容などを解説しています。

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個人事業主の決算とは?時期はいつ?

個人事業主の決算とは?時期はいつ?

個人事業主の決算とは、1年間の売上や経費などを決算書にまとめる作業を指します。個人事業主は決算書を作成する義務があります。つまり、個人事業主も必ず決算をしなければなりません。

しかし個人事業主の決算に関して、次のような疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。よくある質問について回答していきます。

【目的】個人事業主の決算は何のため?

もともと決算は「対外的な目的」と「対内的な目的」があります。

決算を行う対外的な目的とは、自社の財政状態や経営成績を決算書という形で利害関係者(株主・債権者・取引先など)に開示することにより、社会的な信用を確保することです。決算内容が利害関係者から評価されれば、さらなる融資、出資、取引拡大につながります。

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一方、対内的な目的とは、自社の財政状態や経営成績を可視化し、自社の問題点抽出、改善に役立てることです。

しかし個人事業主は法人のような、報告すべき株主や投資家がいません。そのため個人事業主が決算を行う目的は専ら「対内的な目的」と「確定申告時に所得税の申告をするため」の2つになります。

決算と確定申告の違い

決算は1年間の利益額を明確にすることを目的としているのに対し、確定申告は利益からどれくらい所得税がかかるのかを計算し納税するために行います。

個人事業主は決算書の売上や売上原価、経費などから所得金額を計算し、確定申告をします。そのため個人事業主の場合、決算と確定申告が混同されがちです。

本来、決算と確定申告は異なるものということは、押さえておきましょう。

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【時期】個人事業主の決算はいつ?

個人事業主の会計期間は毎年1月1日~12月31日の1年間と税法で決まっています。会計期間とは決算書を作成するときの対象となる期間のことです。つまり個人事業主は、1月1日~12月31日の売上や経費を決算書にまとめることになります。

なお会計期間の初日のことを「期首」、最後の日のことを「期末あるいは決算日」、決算日の属する月のことを「決算月」と言います。

また個人事業主の会計期間は税法で決まっていますが、法人は決算月を自由に設定可能です。ただし会社法により、「年次決算」の作成は義務となっています。

決算は年次決算にも種類があります。決算の種類には、期間で分ける方法と、グループで分ける方法があります。

【決算の種類(期間で分ける方法)】

決算の種類(期間) 行うタイミング 任意か必須か
月次決算 1ヵ月に1回 任意
四半期決算 3ヶ月に1回 上場企業は必須
中間決算(半期決算) 6ヶ月に1回 上場企業は必須
本決算(年次決算) 1年に1回 必須

【決算の種類(グループで分ける方法)】

決算の種類(グループ) 概要
単独決算 企業単体で計算する
連結決算 グループ企業全体で報告する

個人事業主の確定申告には青色申告と白色申告がある!

個人事業主の確定申告には青色申告と白色申告がある!

個人事業主の確定申告は、青色申告白色申告の2種類があります。青色申告をするためには、所轄の税務署に「青色申告承認申請書」の提出が必要です。提出していない場合は、自動的に白色申告となります。

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青色申告はe-Tax(電子申告)の利用で最大65万円の特別控除が受けられる、個人事業主の場合は赤字を翌年以降3年にわたって繰り越せる、家族への給料を経費にできるといったメリットがあります。ただし複式簿記で帳簿を付ける必要があるため一定の簿記の知識が必要、提出書類が多いといった点はデメリットと言えるでしょう。

一方、白色申告は青色申告に比べて書類が簡素化されています。その代わり青色申告のような税制メリットはありません。

青色申告に必要な書類

青色申告に必要な書類

青色申告に必要な書類は以下の通りです。

書類 概要
確定申告書 収入や所得、控除額などをもとにして計算した所得税額を計算し、税務署に提出する書類
青色申告決算書 青色申告をする場合に、確定申告書と一緒に提出する書類。賃借対照表や損益計算書などで構成される
総勘定元帳 すべての取引を、勘定科目ごとに分類して整理・計算した帳簿
仕訳帳 日々の取引を発生順に記した帳簿。総勘定元帳を作成するときのもとになる帳簿
現金出納帳 事業用の現金の出し入れを取引順に記入する帳簿
固定資産台帳 各固定資産の取得年月日、取得価額、「減価償却」額、未償却残高などを記載してまとめた書類
各種帳簿(売上帳、仕入帳など) 売上帳や仕入帳といった補助記入帳や、商品有高帳や得意先元帳といった補助元帳

青色申告のみで必要になる、青色申告決算書についてもう少し詳しく解説します。

青色申告決算書の作成方法

青色申告決算書とは、事業のすべての売上や経費を決算書の形式で記入する書式で、青色申告をする際は必ず提出が必要です。

青色申告決算書は税務署の窓口で受け取れる他、国税庁のホームページからダウンロードすることもできます。また、国税庁ホームページの「確定申告書作成コーナー」や確定申告ソフトで確定申告書を作成すれば、インターネット上で青色申告決算書が作成できます。

必要事項を記入したら、確定申告に添付をして管轄の税務署に提出します。管轄の税務署に足を運んで、直接提出することもできますが、郵送、あるいはインターネット上で作成してオンラインでデータ送信をすれば、税務署に行かなくて済むので便利です。

青色申告決算書の記入内容

青色申告決算書は、「一般用」「不動産所得用」「農業所得用」「現金主義用」の4種類があります。それぞれ事業内容や会計処理の方法に適した書式になっていますが、多くの場合、一般用を使用します。また現金主義用を使用するときは、事前に届出書の提出が必要です。

なおここでは、もっともポピュラーな「一般用」の書類をもとに、青色申告決算書の記入内容について解説します。一般用は、1~3枚目が損益計算書及び関連項目、4枚目が賃借対照表という構成になっています。

まず1ページ目に、全体の収入金額と必要経費、1年間の利益を記載。2ページ目は月別の売上金額や仕入金額、給与賃金や専従者給与の内訳を記載します。3ページ目は固定資産ごとに減価償却費の名称、取得価額、減価償却額、未償却残高などを記入し、4枚目の賃借対照表は会計帳簿の内容をもとに、決算時点の賃借対照表の内容を記載します。原価計算を行っているときは「製造原価の計算」の欄にも記入をしましょう。

参考:No.2070 青色申告制度|国税庁 (nta.go.jp)

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白色申告に必要な書類

白色申告に必要な書類

白色申告に必要な書類は以下の通りです。収支内訳書は、青色申告の青色申告決算書にあたります。

書類 概要
確定申告書 収入や所得、控除額などをもとにして計算した所得税額を計算し、税務署に提出する書類
収支内訳書 帳簿の内容をもとに1月1日から12月31日までの売上や経費、収入、支出などをまとめた書類
収入金額や必要経費を記載した帳簿 現金出納帳、預金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳など

白色申告でのみ必要になる収支内訳書について、もう少し詳しく解説します。

収支内訳書の作成方法

白色申告を選択している人で以下のいずれかの要件を満たす人は、確定申告書と併せて収支内訳書の提出が必要です。

入手方法、提出方法は青色申告と変わりません。

  • 事業所得・不動産所得・山林所得がある人
  • その年の前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が、1,000万円を超える場合

収支内訳書の記入内容

収支内訳書は一般用・不動産所得用、農業所得用の3種類があり、いずれも2ページで構成されています。

まず1枚目に自身の氏名や住所といった基本情報を記入し、収入、売上原価、経費、専従者控除などの金額を記載します。2枚目は売上金額や仕入金額の明細、減価償却費の状況などの情報を記入します。

白色申告に記載する内容は、青色申告決算書ほど多くはありません。

個人事業主で決算書がないとどうなる?

個人事業主で決算書がないとどうなる?

個人事業主は確定申告をする工程で、決算書の作成が必要です。したがって決算書がないということは、確定申告をしていない可能性があります。

確定申告をしていない個人事業主は、税務調査の対象になりやすいと言われています。

理由としては、お金を支払った取引先が、誰にお金をいくら支払ったかを申告しているためです。取引先が申告しているのに、報酬を受け取った側が確定申告をしていないことが分かれば、当然、税務署の調査対象になる可能性が高くなるでしょう。

仮に確定申告を怠った、あるいは期限までに確定申告をしていないことが発覚すると、重たいペナルティが課されます。例えば確定申告が期限を過ぎた場合、納付期限翌日から完納するまでの日数に応じて、最大14.6%の延滞税が課されます。

また、最大65万円の青色申告の特別控除が10万円に減額されるといったデメリットもあるため、個人事業主として事業を営んでいる人は、必ず決算書を作成して期限内に確定申告を済ませましょう。

個人事業主には「FREENANCE」がおすすめ!

お金に関して心配事がある個人事業主には「FREENANCE」がおすすめ!

出典:FREENANCE

個人事業主は法人のように、株式や投資家に決算内容を報告することがありません。しかし、確定申告をするタイミングで決算を行っており、決算をしなくても良いわけではありません。仮に決算をした覚えがない場合、確定申告もしていない可能性があります。

無申告が発覚すると重たいペナルティが課されるかもしれません。また決算になれていないと、確定申告でミスをしてしまい、追徴課税が課されるリスクもあります。お金のことで悩んだら、大きなトラブルになる前に専門家に相談してみましょう。

すぐに専門家に相談するのは敷居が高いと感じるときは、フリーランス・個人事業主向けのお金と保険のサービス「FREENANCE」の利用がおすすめです。FREENANCEは開業届が提出済の個人事業主であれば、屋号付きの収納代行用口座が作れるため、収支報告が楽になります。資金繰りに困ったときは、請求書を業者に買い取ってもらい、本来の売掛金の支払期日よりも前倒しで資金化できるファクタリングも利用できます。

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記事監修
中野裕哲
中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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