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個人事業主と合同会社の7つの違いとは?特徴やメリット・デメリットも紹介

個人事業主と合同会社の7つの違いとは?特徴やメリット・デメリットも紹介

これまで会社勤めをしてきた方がフリーランスとして独立する場合、個人事業主になるか、それとも株式会社などを設立して法人化すべきか悩むこともあるでしょう。


法人形態は株式会社だけでなく、合同会社・合資会社・合名会社と多種多様です。中でも、2006年の会社法改定と共に生まれた新しい法人形態「合同会社」は、設立数が増加傾向にあります。


本記事では、個人事業主と合同会社の違い、個人事業主が合同会社を設立するメリットとデメリットを解説します。ぜひ参考にしてみてください。


【この記事のまとめ】
  • 合同会社は、2006年の会社法改定で設立された新しい法人形態で、設立費用が株式会社よりも安く、経営の自由度が高いです。
  • 個人事業主は法人化していないため、事務手続きが簡単ですが、社会的信用度が合同会社に比べて低く、税制面でも異なる特徴があります。
  • 個人事業主が合同会社を設立することで、節税や意思決定のスピード向上などのメリットが得られますが、設立費用や社会保険加入の義務が発生します。

2024年11月1日より、フリーランス保護法が施行されます。

組織に所属せずに働くフリーランスが安心して働ける環境を整備するために、フリーランスと企業などとの発注事業者間の取引の適正化(契約書等により取引条件を明示する)が主な目的です。

詳しくは次の記事をご覧ください。フリーランス保護法の概要、制定された背景や具体的な内容などを解説しています。

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合同会社の定義と特徴

合同会社の定義と特徴

合同会社とは、2006年の会社法改定によって生まれた新しい法人形態です。それまで有限会社と呼ばれていた形態が廃止され、代わりに合同会社が登場しました。

アメリカのLLC(Limited Liability Company)がモデルになっており、大きな特徴は出資者である社員と経営者である役員が同じという点です。

株式会社の場合は、出資者と経営者は別で区別されていますが、合同会社は同一になるので株式会社よりも経営の自由度が高く、自分たちでさまざまな決定を下すことができます。また、株式会社よりも設立費用が抑えられる、決算の報告義務がない、などの点も大きな特徴です。

Apple社の日本法人である「Apple Japan」、インターネット関連サービスに特化した「Google」、Amazonの日本法人である「アマゾンジャパン」など、大手の外資系企業も合同会社に組織変更しています。

個人事業主の定義と特徴

個人事業主の定義と特徴

一方で個人事業主は、法人化せずに個人で事業を営んでいる人のことです。フリーランスも会社に属さず、個人で仕事を請け負いますが、“個人で事業を営んでいる人”ではなく、その“働き方”を意味します。

自営業も個人で事業を営むという点ではフリーランス・個人事業主と同じですが、自営業は自ら会社を立ち上げ事業を展開している会社経営者・自営業者も含まれています。

合同会社と個人事業主の7つの違い

合同会社と個人事業主の7つの違い

では、合同会社と個人事業主には、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

主な違いは以下の7点です。

  • 社会的信用度
  • 事務手続き
  • 費用
  • 税金の種類
  • 責任の範囲
  • 経費の適用範囲
  • 経理の難易度

それぞれの違いについて、詳しく解説していきます。

社会的信用度

前述したように、合同会社は個人事業主よりも社会的信用が高い傾向があります。

個人事業主だからといって社会的信用がないわけではありませんが、「法人でないと信頼性に欠けて取引できない」という会社も一定存在しているのが現状です。そのため、合同会社と比べると個人事業主の社会的信用度はまだ低いといえるでしょう。

事務手続き

個人事業主は「開業届」を税務署へ提出するだけで済みますが、合同会社は法人用の実印や定款、登記申請書類を作成し法務局で申請手続きを行う必要があります。

また、合同会社を設立した場合、代表1人だけの合同会社であっても社会保険への加入が必要です。個人事業主でも適用業種かつ従業員5人以上を雇用している場合は強制加入となりますが、基本は任意加入となります。

そのため、事務手続きに関しては、個人事業主よりも合同会社のほうが手間はかかるでしょう。

費用

個人事業主は「開業届」の提出に費用はかかりません。一方、合同会社を設立する際は、諸々の手続きが必要になるので費用がかかります。費用の目安は、定款の印紙代で4万円、登録免許税で6万円と総額10万円ほどです。

また、合同会社を設立するには、出資金(資本金)を出資者の個人口座へ払い込む必要があります。会社法では資本金の下限がないので1円からでも可能ですが、現実的ではありません。

会社として評価してもらうには、最低でも100万円は資本金として入れたいところです。

税金の種類

合同会社を含めた法人は、たとえ赤字になったとしても年間7万円の住民税を納める義務があります。一方、個人事業主が赤字の場合は納税義務が発生しません。

確定申告も不要ですが、赤字でも確定申告を行えば、最長3年間赤字を繰り越すことができる「繰越欠損金の控除」が可能です。将来、黒字になった際は節税できるので、赤字になったとしても個人事業主は確定申告をしたほうがよいでしょう。

なお、個人事業主と合同会社では、節税の選択肢も変わります。合同会社の役員は自身が受け取る役員報酬について給与所得控除の適用が可能です。

責任の範囲

個人事業主は個人で事業を営んでいるので、本人がすべての責任、負債を追うことになります。

一方、合同会社は負債を出してしまったとしても、出資額の範囲内だけ責任を負うことになるので、個人事業主よりも責任の範囲は狭くなります。

経費の適用範囲

経費の適用範囲は、個人事業主よりも合同会社のほうが広くなります。経費計上の範囲が広くなるからこそ、合同会社のほうが節税の選択肢も増え、節税面で優れているといえるでしょう。

なお、合同会社が経費として落とせる主な項目は、以下のとおりです。

  • 広告宣伝費
  • 交際費
  • 会議費
  • 旅費交通費
  • 通信費
  • 消耗品費
  • 事務用品費
  • 水道光熱費
  • 地代家賃
  • 福利厚生費
  • 給料賃金
  • 役員報酬
  • 保険料

経理の難易度

個人事業主は自力で対応できるケースがほとんどですが、合同会社になると経理・事務作業が複雑になり、自力で対応するには限度があります。

社会保険や法人税の扱いは専門知識が必要になるため、会計士・税理士事務所へ経理を外注したり、経理担当者を雇ったりしている合同会社がほとんどです。

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個人事業主が合同会社を設立するメリット

個人事業主が合同会社を設立するメリット

個人事業主が合同会社を設立するメリットとして、主に以下の3つが挙げられます。

  • 株式会社よりも設立しやすい
  • 節税ができる可能性がある
  • 意思決定がスピーディーにできる

株式会社よりも設立しやすい

合同会社よりも株式会社のほうが、設立時の手続きに時間と手間がかかります。

株式会社は株式を発行し、その株式を購入した出資者から集めた資金で経営する法人形態です。出資者と経営者が同一人物のケースもありますが、出資者と経営者の役割がはっきりと区別されている点が特徴となります。

また定款作成後は公証役場で認証を受ける必要があり、認証手数料もかかるので、合同会社のほうが設立しやすいといえるでしょう。

節税ができる可能性がある

個人事業主のまま事業を続けるよりも、合同会社を設立したほうが節税できる可能性があります。

前述したように、合同会社になると、経費として認められる範囲が広くなるからです。法人税が適用されるので経費として取り扱えるものが増えるほか、最大10年間の赤字繰越もできます。

また、すでに2年前に1,000万円超の課税売上がある場合、確定申告より前に合同会社を設立して事業を移すことで、合同会社設立後の消費税が免除される可能性があります。

参考:国税庁|消費税のしくみ

意思決定がスピーディーにできる

合同会社は出資者と経営者が同一になっているため、意思決定がスピーディーです。しかし、株式を発行している株式会社は、会社にとって大切な方針や物事を決める場合、株式総会を開催する必要があります。

わざわざ株式総会を開き、株主の意見を仰がずとも、自分たちの好きなように事業を展開できます。経営の自由度を重要視する個人事業主は、株式会社よりも合同会社のほうがよいでしょう。

個人事業主が合同会社を設立するデメリット

個人事業主が合同会社を設立するデメリット

一方で、個人事業主が合同会社を設立するデメリットには、主に以下の3つがあります。

  • 設立時の費用がかかる
  • 社会保険に加入する必要がある
  • 株式会社より社会的信用度が低い

設立時の費用がかかる

個人事業主が合同会社を設立するデメリットとして、設立時の費用があります。個人事業主は税務署に「開業届」を提出するだけなので、費用はかかりません。

一方、合同会社を設立する場合は、前述したように総額10万円ほどかかります。司法書士など専門家に代行してもらう場合も、数万円ほど費用がかかるでしょう。

社会保険に加入する必要がある

合同会社は、従業員の数にかかわらず、社会保険(健康保険・厚生年金)に加入する必要があります。社会保険への加入が義務付けられているため、加入しないと年金事務所等から警告文が届き、立入検査が実施される可能性もあるので注意が必要です。

社会保険に加入することで、業務外でケガ・病気をしても医療サービスの提供や現金の給付が可能になったり、将来の老後生活が安定したりとさまざまなメリットがあります。従業員が安心して仕事をするためにも、個人事業主が合同会社を設立する際は、社会保険への加入が必要です。

株式会社より社会的信用度が低い

年々設立数が増えてきている合同会社でも、やはり株式会社より社会的信用度は低い状態です。いまだ「合同会社」の知名度は低く、日本で「会社」を指すときは「株式会社」のイメージが強い傾向にあります。

また、合同会社は株式を発行していないので資金の調達が難しく、取引先から「資金が足りていないのでは」と誤った先入観を持たれてしまうこともあります。

まとめ

まとめ

今回は、個人事業主と合同会社の違い、個人事業主が合同会社を設立するメリットとデメリットについて説明してきました。合同会社は株式会社よりも設立の手間と費用がかからない、経営の自由度が高いというメリットがありますが、個人事業主と比較すると設立時に費用がかかるほか、社会保険への加入など必要な手続きも出てきます。メリットだけでなく、合同会社のデメリットもしっかりと把握することで、設立すべきか客観的に判断できるはずです。

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記事監修
中野裕哲
中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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