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個人事業主でも家族の扶養に入れる?メリットやデメリット、手続きの方法を解説

個人事業主でも家族の扶養に入れる?メリットやデメリット、手続きの方法を解説

個人事業主であっても、配偶者や家族の扶養に入ることが可能です。ただし、所得税務上の扶養は48万円、社会保険上の扶養は130万円と年間合計所得のボーダーがあり、要件を満たさなければ扶養には入れません。

個人事業主として開業したばかりなどで収入が低い場合は、節税や社会保険料の節約のためにも、扶養に入ることをおすすめします。

この記事では、個人事業主が入れる2つの扶養の種類、扶養に入るメリット、扶養に入る際の手続き方法や注意点について解説します。

【この記事のまとめ】
  • 個人事業主の扶養には、所得税と社会保険の2種類があります。所得税上の扶養は配偶者や親族が対象で、控除により課税所得を減少させ、節税が可能です。
  • 社会保険上の扶養は、主に世帯の収入を支える方が加入する保険に被扶養者として入る制度です。収入が130万円未満で、被保険者の収入で生計を維持する必要があります。
  • 個人事業主が扶養に入ることで、配偶者や家族は所得税の控除を受けて課税所得が減少します。また、社会保険の扶養に入ると、国民年金や健康保険料が不要になりますが、所得調整が必要です。

2024年11月1日より、フリーランス保護法が施行されます。

組織に所属せずに働くフリーランスが安心して働ける環境を整備するために、フリーランスと企業などとの発注事業者間の取引の適正化(契約書等により取引条件を明示する)が主な目的です。

詳しくは次の記事をご覧ください。フリーランス保護法の概要、制定された背景や具体的な内容などを解説しています。

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個人事業主が入れる2つの扶養の種類

個人事業主が入れる2つの扶養の種類

個人事業主が入れる扶養には、「所得税務上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2つがあり、それぞれ扶養に入るための条件が異なります。

ここでは、個人事業主が入れる2つの扶養の種類の概要とともに扶養へ入る条件を解説します。

所得税務上の扶養

所得税務上の扶養とは、世帯の家計を主に支える納税者の配偶者や子供、その他の親族が扶養の対象になることで納税者の所得から控除を受けられる制度です。

納税者は扶養人数に応じた金額の控除を受けられるため、課税所得が減り、結果的に住民税や所得税の節税が可能になります。

所得税務上の扶養を大きく分けると、配偶者が対象の「配偶者控除」や「配偶者特別控除」、子どもや両親などが対象となる「扶養控除」があります。それぞれ、その年の12月31日時点で以下の条件を満たすことが必要です。

扶養の種類 条件
配偶者控除
  • 納税者のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること
  • 民法の規定による配偶者であること
  • 納税者と生計を一にしていること
  • 年間の合計所得金額が48万円以下であること(給与のみの場合は103万円以下)
  • 青色申告者の事業専従者として給与の支払を受けていないこと
  • 白色申告者の事業専従者でないこと
配偶者特別控除
  • 納税者のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること
  • 民法の規定による配偶者であること
  • 納税者と生計を一にしていること
  • 配偶者が配偶者特別控除を適用していないこと
  • 年間の合計所得金額が48万円~133万円以下であること
  • 青色申告者の事業専従者として給与の支払を受けていないこと
  • 白色申告者の事業専従者でないこと
  • 配偶者が、給与所得者の扶養控除等申告書または従たる給与についての扶養控除等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として、源泉徴収されていないこと
  • 配偶者が公的年金等の受給者の扶養親族等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として、源泉徴収されていないこと
扶養控除
  • 配偶者以外の親族(6親等内の血族、3親等内の姻族)または、都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること
  • 納税者と生計を一にしていること
  • 年間の合計所得が48万円以下であること(給与のみの場合は103万円以下)
  • 青色申告者の事業専従者として給与の支払を受けていないこと
  • 白色申告者の事業専従者でないこと

例えば、配偶者のいる方が個人事業主として開業している場合、年間の合計所得を48万円以下に抑えることができれば「配偶者控除」、133万円以下であれば「配偶者特別控除」の対象です。

また、配偶者がいない場合でも年間の合計所得が48万円以下であれば、生計を一とする親族(6親等内の血族、3親等内の姻族)の「扶養控除」の対象となります。

個人事業主が条件を満たして所得税務上の扶養対象となれば、納税者は親族や配偶者の扶養人数に応じて住民税や所得税の控除を受けられます。

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社会保険上の扶養

社会保険上の扶養とは、主に世帯の収入を支える方が加入する社会保険に被扶養者として加入する制度です。

所得税法上の扶養のように控除を受けられるわけではないものの、被扶養者は社会保険料を支払わなくても被保険者と同様に医療機関で保健医療を受けられます。また、第3号被保険者として扱われたりすることにより、国民年金保険料の支払い義務がなくなります。

社会保険上の扶養は、主に世帯の収入を支える方の配偶者および、3親等内の親族が該当し、以下の条件を満たすことが必要です。

なお、個人事業主が被扶養者として社会保険に加入できる条件は、被保険者が加入する社会保険によって異なります。

以下は、全国健康保険協会を例に挙げた条件です。

  • 被保険者の直系尊属、配偶者(事実婚を含む)、子、孫、兄弟姉妹であること
  • 被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持している人
  • 被保険者と同一世帯に属している場合、被扶養者の収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)かつ、被保険者の年間収入に2分の1未満であること
  • 被保険者と同一世帯に属していない場合、被扶養者の収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)かつ、収入が被保険者からの収入額未満

例えば、年間の合計所得が130万円未満の個人事業主であれば、両親や配偶者、子どもが被保険者として加入する社会保険に被扶養者として加入できます。

また、所得税務上の扶養とは異なり、要件を満たせば事実婚の配偶者も控除の対象になります。

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個人事業主が家族の扶養に入るメリット

個人事業主が家族の扶養に入るメリット

個人事業主が収入を抑えて家族の扶養に入ると、さまざまなメリットがあります。

ここでは、個人事業主が家族の扶養に入るメリットについて解説します。

配偶者や家族が控除を受けられる

個人事業主が配偶者や家族の扶養に入ることで、配偶者や家族は所得税務上の控除を受けられます。

「配偶者控除」「配偶者特別控除」「扶養控除」が適用されることにより、課税所得が下がるため、所得税や住民税の節税が可能です。

例えば、個人事業主の年間合計所得が48万円以下であれば「配偶者控除」の対象となり、配偶者は以下の金額の控除を受けられます。

配偶者の年間合計所得 一般の控除対象者 70歳以上の控除対象者
900万円以下 38万円 48万円
900万円超950万円以下 26万円 32万円
950万円超1,000万円以下 13万円 16万円

なお、住民税の控除額も配偶者の年間合計所得によって異なり、最大38万円です。

国民年金の支払い義務がなくなる

個人事業主が配偶者の社会保険上の扶養に入ると、国民年金の支払い義務がなくなるメリットがあります。

扶養に入る前の個人事業主は「国民年金第1号被保険者」として国民年金の支払い義務がありましたが、厚生年金や共済組合等に加入している配偶者の扶養に入ると、「国民年金第3号被保険者」に変更となります

保険料は「国民年金第2号被保険者」である配偶者が加入する厚生年金や共済組合等が負担しています。そのため「国民年金第3号被保険者」となった個人事業主は、国民年金の支払い義務がなくなります。

国民健康保険料の支払いが必要なくなる

社会保険の扶養に入ることで、国民健康保険料の支払いが必要なくなります。

配偶者や家族が被保険者として加入する健康保険に被扶養者として加入ができるため、健康保険料は追加で保険料の支払いなしで医療機関で保健医療を受けることができます。

個人事業主は、所得に応じて国民健康保険料を支払う義務がありますが、年間合計所得を130万円以下に抑えて扶養に入れるのであれば、国民健康保険料の節約も可能です。

個人事業主が扶養に入るための手続き

個人事業主が扶養に入るための手続き

個人事業主が扶養に入るための手続きは、税務上の扶養と社会保険上の扶養で手続き方法が異なります。

ここでは、個人事業主が扶養に入るための手続きについて解説します。

税務上の扶養に入るための手続き

個人事業主が税務上の扶養に入るためには、扶養者が務める会社を通して給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の提出が必要です。

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書によって、給与の支払いを受ける方の扶養控除や所得控除を確認します。

年末調整で書類を受け取った際は、給与所得者の扶養控除等(異動)申告に個人事業主に関する必要事項を記入して提出しましょう。

社会保険上の扶養に入るための手続き

社会保険上の扶養に入るためには、被保険者が務める会社を通して健康保険被扶養者(異動)届の提出が必要です。

また、会社の担当者を通して提出するか、自身で所轄の年金事務所や自社の健康保険組合の事務所に提出するのかは会社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

被扶養者として条件を満たしているのかを確認するために、以下の書類が必要になる場合があります。

  • 被扶養者の住民票や戸籍謄本など写し
  • 確定申告書や収支内訳書などの写し

開業したばかりの個人事業主の場合は、収入を証明する確定申告書がありません。そのため、場合によっては被扶養者として認められない可能性があるため、確定申告が済んでから申請するようにしましょう。

個人事業主が扶養に入る際の注意点

個人事業主が扶養に入る際の注意点

個人事業主が扶養に入る際は、年間合計所得によっては扶養から外れてしまうため、収入面を調整していかなければいけません。

ここでは、個人事業主が扶養に入る際の注意点を解説します。所得税務上、社会保険上の扶養となるボーダーの所得を把握しておきましょう。

年間合計所得が48万円を超えると扶養控除から外れる

個人事業主の年間合計所得が48万円を超えると、所得税務上の控除である「扶養控除」や「配偶者控除」から外れてしまいます。

この48万円は個人事業主の基礎控除となる部分で、所得が48万円以下であれば課税所得が0円となり、「扶養控除」や「配偶者控除」の対象となります。

「配偶者特別控除」に関しては、年間合計所得が48万円超133万円以下であれば控除の対象です。

そのため、所得税務上の扶養に入る際は、配偶者がいなければ48万円、配偶者がいれば133万円以内に年間合計所得を抑える必要があります。

社会保険の扶養に入るには「130万円」の壁に注意する

社会保険上の扶養に入るためには130万円の壁に注意が必要です。

個人事業主の年間所得合計が130万を超えると、家族や配偶者が加入する社会保険の被扶養者の条件外となってしまい、社会保険上の扶養に入ることができません。

また、130万円の収入制限は、基礎控除や社会保険料控除、青色申告特別控除などを差し引く前の金額で判断されます

提出する確定申告書の「課税される所得金額」の項目が130万円以下であったとしても、場合によっては被扶養者として認められないため注意してください。

まとめ

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個人事業主は要件さえクリアできれば、家族や配偶者の扶養に入ることが可能です。

扶養に入ることで、節税や社会保険料の節約にもつながり、多くの恩恵を受けられます。

ただし、個人事業主が扶養に入るためには、所得税務上の扶養は48万円、社会保険上の扶養は130万円と、収入のボーダーがあります。収入を抑えて扶養の範囲内で働くのか、扶養から外れることを前提に事業拡大を目指すのかは、納税額や国民年金保険料などを考慮して、最終的に手取りとなる金額を考えながら検討するようにしましょう。

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記事監修
中野裕哲
中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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