フリーランスの手取りはいくら?年収別に所得をシミュレーション!税金の計算方法も
「フリーランスは会社員よりも手取りが少ない?」 「フリーランスはどのような費用が引かれるの?」 など、フリーランスを検討している人の中には、上記のような不安を感じている人もいるでしょう。会社員の場合、健康保険や厚生年金保険などの社会保険料は会社と従業員で折半しますが、フリーランスの場合は全額自己負担です。他にも会社員よりも費用負担が大きくなることで手取りが少なくなる傾向があるので注意してください。
本記事では、フリーランスの手取りの計算方法、支払う税金の内訳、負担する社会保険料などを解説します。年収別の所得シミュレーションもあるので、ぜひ参考にしてみてください。
- 【この記事のまとめ】
- フリーランスの手取りは、売上から経費や税金、社会保険料を差し引いた金額で計算されます。手取りを把握するため、費用管理が重要です。
- フリーランスが負担する税金には、所得税、住民税、個人事業税、消費税があります。各税金は申告や納付のタイミングが異なるため、注意が必要です。
- 社会保険料は国民年金、国民健康保険、介護保険があり、フリーランスは会社員と異なり、全額自己負担となりますので注意が必要です。
- フリーランスの手取りの計算方法
- フリーランスの手取りはいくら?所得シミュレーション
- 青色申告特別控除前の事業所得300万円
- 青色申告特別控除前の事業所得400万円
- 青色申告特別控除前の事業所得500万円
- 青色申告特別控除前の事業所得600万円
- 青色申告特別控除前の事業所得700万円
- 青色申告特別控除前の事業所得800万円
- 青色申告特別控除前の事業所得900万円
- 青色申告特別控除前の事業所得1000万円
- フリーランスが支払う税金の内訳
- 所得税
- 住民税
- 個人事業税
- 消費税
- フリーランスが負担する社会保険料
- 国民年金保険料の見積もり
- 国民健康保険料の考え方
- 介護保険料の支払い方法
- お金に関して心配事があるフリーランスには「FREENANCE」がおすすめ!
- まとめ
2024年11月1日より、フリーランス保護法が施行されます。
組織に所属せずに働くフリーランスが安心して働ける環境を整備するために、フリーランスと企業などとの発注事業者間の取引の適正化(契約書等により取引条件を明示する)が主な目的です。
詳しくは次の記事をご覧ください。フリーランス保護法の概要、制定された背景や具体的な内容などを解説しています。
フリーランスの手取りの計算方法
会社員は税金や社会保険料などが源泉徴収されるため、振り込まれた給与がそのまま手取りとなります。
フリーランスは会社員とは異なり、以下のような計算方法で手取りを算出します。
手取り(所得)=売上(年収)-【経費+税金+社会保険料】
売上とは、取引先や顧客などから受け取ったお金です。そこから経費や税金、社会保険料などを差し引いて残った分が手取りです。差し引かれる税金や社会保険料などの詳細については以下で詳しく説明します。
フリーランスの手取りはいくら?所得シミュレーション
フリーランスの手取りは同じ売上であっても、青色申告と白色申告のいずれを選択するかによって異なります。
青色申告を選択した場合は、最大で65万円控除や赤字を3年間繰り越して翌年以降の所得と相殺できる純損失の繰越控除、家族に支払う給与を経費に計上できる青色事業専従者給与などの税制上の優遇措置を受けられます。
住民税は自治体によって異なるといったように、人によって実際の手取りが多少違うため、以下のシミュレーション結果は一例としてご覧ください。
青色申告特別控除前の事業所得 | 青色申告 | 白色申告 |
---|---|---|
300万円 | 232万8,240円 | 217万4,140円 |
400万円 | 302万7,140円 | 284万6,740円 |
500万円 | 369万9,740円 | 346万4,640円 |
600万円 | 428万5,240円 | 404万4,940円 |
700万円 | 486万5,540円 | 462万4,940円 |
800万円 | 544万5,540円 | 520万5,140円 |
900万円 | 602万6,340円 | 577万9,240円 |
1000万円 | 661万2,040円 | 639万4,440円 |
今回のシミュレーションは、以下の条件で行っています。
【前提条件】
- 2024年4月時点の制度
- 東京都世田谷区在住20~39歳の独身
- 所得控除は基礎控除のみ
- 前年度と同水準の所得
- 個人事業税の税率は5%
- 消費税は業種で差が大きいので未反映
以下で、年収ごとの詳細を見ていきましょう。
青色申告特別控除前の事業所得300万円
青色申告特別控除前の事業所得300万円の手取りは、以下のとおりです。
項目 | 青色申告 | 白色申告 |
---|---|---|
所得税 | 7万3,200円 | 10万7,000円 |
住民税 | 15万3,400円 | 21万2,300円 |
個人事業税 | 5,000円 | 5,000円 |
国民年金保険料 | 20万3,760円 | 20万3,760円 |
国民健康保険料 | 23万6,400円 | 29万7,800円 |
差し引かれる金額合計 | 67万1,760円 | 82万5,860円 |
手取り金額 | 232万8,240円 | 217万4,140円 |
青色申告特別控除前の事業所得400万円
青色申告特別控除前の事業所得400万円の手取りは、以下のとおりです。
項目 | 青色申告 | 白色申告 |
---|---|---|
所得税 | 13万9,300円 | 19万9,500円 |
住民税 | 24万4,000円 | 30万2,800円 |
個人事業税 | 5万5,000円 | 5万5,000円 |
国民年金保険料 | 20万3,760円 | 20万3,760円 |
国民健康保険料 | 33万800円 | 39万2,200円 |
差し引かれる金額合計 | 97万2,860円 | 115万3,260円 |
手取り金額 | 302万7,140円 | 284万6,740円 |
青色申告特別控除前の事業所得500万円
青色申告特別控除前の事業所得500万円の手取りは、以下のとおりです。
項目 | 青色申告 | 白色申告 |
---|---|---|
所得税 | 23万1,800円 | 34万6,600円 |
住民税 | 33万4,500円 | 39万3,400円 |
個人事業税 | 10万5,000円 | 10万5,000円 |
国民年金保険料 | 20万3,760円 | 20万3,760円 |
国民健康保険料 | 42万5,200円 | 48万6,600円 |
差し引かれる金額合計 | 130万260円 | 153万5,360円 |
手取り金額 | 369万9,740円 | 346万4,640円 |
青色申告特別控除前の事業所得600万円
青色申告特別控除前の事業所得600万円の手取りは、以下のとおりです。
項目 | 青色申告 | 白色申告 |
---|---|---|
所得税 | 41万1,300円 | 53万1,400円 |
住民税 | 42万5,100円 | 48万3,900円 |
個人事業税 | 15万5,000円 | 15万5,000円 |
国民年金保険料 | 20万3,760円 | 20万3,760円 |
国民健康保険料 | 51万9,600円 | 58万1,000円 |
差し引かれる金額合計 | 171万4,760円 | 195万5,060円 |
手取り金額 | 428万5,240円 | 404万4,940円 |
青色申告特別控除前の事業所得700万円
青色申告特別控除前の事業所得700万円の手取りは、以下のとおりです。
項目 | 青色申告 | 白色申告 |
---|---|---|
所得税 | 59万6,100円 | 71万6,400円 |
住民税 | 51万5,600円 | 57万4,500円 |
個人事業税 | 20万5,000円 | 20万5,000円 |
国民年金保険料 | 20万3,760円 | 20万3,760円 |
国民健康保険料 | 61万4,000円 | 67万5,400円 |
差し引かれる金額合計 | 213万4,460円 | 237万5,060円 |
手取り金額 | 486万5,540円 | 462万4,940円 |
青色申告特別控除前の事業所得800万円
青色申告特別控除前の事業所得800万円の手取りは、以下のとおりです。
項目 | 青色申告 | 白色申告 |
---|---|---|
所得税 | 78万1,100円 | 90万1,200円 |
住民税 | 60万6,200円 | 66万5,100円 |
個人事業税 | 25万5,000円 | 25万5,000円 |
国民年金保険料 | 20万3,760円 | |
国民健康保険料 | 70万8,400円 | 76万9,800円 |
差し引かれる金額合計 | 255万4,460円 | 279万4,860円 |
手取り金額 | 544万5,540円 | 520万5,140円 |
青色申告特別控除前の事業所得900万円
青色申告特別控除前の事業所得900万円の手取りは、以下のとおりです。
項目 | 青色申告 | 白色申告 |
---|---|---|
所得税 | 96万5,900円 | 110万5,000円 |
住民税 | 69万6,200円 | 75万7,000円 |
個人事業税 | 30万5,000円 | 30万5,000円 |
国民年金保険料 | 20万3,760円 | 20万3,760円 |
国民健康保険料 | 80万2,800円 | 85万円 |
差し引かれる金額合計 | 297万3,660円 | 322万760円 |
手取り金額 | 602万6,340円 | 577万9,240円 |
青色申告特別控除前の事業所得1000万円
青色申告特別控除前の事業所得1000万円の手取りは、以下のとおりです。
項目 | 青色申告 | 白色申告 |
---|---|---|
所得税 | 118万7,200円 | 133万9,800円 |
住民税 | 79万2,000円 | 85万7,000円 |
個人事業税 | 35万5,000円 | 35万5,000円 |
国民年金保険料 | 20万3,760円 | 20万3,760円 |
国民健康保険料 | 85万円 | 85万円 |
差し引かれる金額合計 | 338万7,960円 | 360万5,560円 |
手取り金額 | 661万2,040円 | 639万4,440円 |
フリーランスが支払う税金の内訳
フリーランスが支払う税金の内訳は、以下のとおりです。
- 所得税
- 住民税
- 個人事業税
- 消費税
各税金について、詳しく解説します。
所得税
所得税とは、所得に対して課される税金です。所得税は以下の計算式で算出します。
所得税=(売上-経費-青色申告控除-所得控除)×税率
課税所得に乗じる税率は所得によって変化します。また、税率を乗じて算出した所得税から各種税額控除を引くため、所得税額と納付税額は異なります。
フリーランスの所得税の納付方法は、以下の7つです。
- e-Tax
- インターネットバンキング
- クレジットカード
- スマホアプリ
- コンビニ
- 振替
- 金融機関や税務署の窓口
自由に選択できるので自分に合った方法を選択しましょう。
住民税
住民税とは、その年の1月1日時点で市町村に住所がある人に対して課される税金です。所得割と均等割の2つに分類されます。
両者の違いは、以下のとおりです。
所得割=前年の所得金額で算出
均等割=所得に関係なく定額で算出
住民税は各地域で異なります。均等割(市町村:3,000円、都道府県:1,000円、森林環境税1,000円)、所得割(市町村:6%、都道府県:4%)のケースの住民税の計算式は以下の通りです。
住民税=(前年の売上-前年の経費-青色申告特別控除-所得控除)×10%+5,000円
会社員は特別徴収という給与からの天引きが通常ですが、フリーランスは普通徴収という自分で納める方法となります。普通徴収の場合は、通常6月頃に届く納付書で6月・8月・10月・翌年1月に納めます。
個人事業税
個人事業税とは、個人事業主が都道府県に対して納付する地方税のことです。所得によって控除がある、業種によって課税されない場合があります。
対象となるのは事業所得が290万円を超える個人事業主で、以下の法定業種に当てはまるケースです。
- 物品販売業や製造業などに代表される37業種の第1種事業
- 畜産業・水産業・薪炭製造業といった3業種の第2種業種
- 医業や弁護士業に代表される30業種の第3種事業
区分によって適用される税率が異なります。原則年2回(8月・11月)が納付時期で、確定申告を済ませていれば特に手続きをしなくても都道府県から納付書が郵送されます。
消費税
消費税とは、消費者が負担し、事業者が納税する税金のことです。
消費税を支払う対象となるのは以下の条件です。
- 基準期間:2年前の1月1日~12月31日の課税売上高が1,000万円を超える
- 特定期間:前年の1月1日~6月30日の課税売上高が1,000万円を超える
- 適格請求書発行事業者に登録している
個人事業主の売上高や適格請求書発行事業者への登録状況によって、計算方法が異なります。申告が必要な年の3月31日までに確定申告を行って納税します。
フリーランスが負担する社会保険料
会社員の場合は社会保険料の負担は会社と従業員で折半ですが、フリーランスの場合は全額が自己負担となります。
フリーランスが実際に全額を負担する社会保険料として、以下の3つが挙げられます。
- 国民年金保険料
- 国民健康保険料
- 介護保険料
それぞれの社会保険料について、詳しく説明します。
国民年金保険料の見積もり
国民年金保険料とは、日本の公的年金制度の一部である国民年金に加入するために支払う保険料です。保険料を控除対象にすることが可能です。
会社員は厚生年金保険を支払いますが、フリーランスであれば支払う必要はありません。そのため、支払金額は会社員よりも少ないですが、受給額も少なくなるので注意してください。国民年金基金や確定拠出型年金などを利用し、老後資金を確保しましょう。
国民健康保険料の考え方
国民健康保険料とは、日本の公的医療保険制度である国民健康保険に加入するのに支払う保険料です。
会社員は健康保険組合や全国健康保険協会などが保険者である一般被用者保険に加入しますが、フリーランスは市区町村が保険者である国民健康保険に加入しなくてはなりません。
国民健康保険料は収入や住んでいる地域で異なります。年収によって13~35万円程度の保険料がかかります。
介護保険料の支払い方法
介護保険料とは、日本の公的介護保険制度に基づき、介護サービスを受けるために支払う保険料です。40歳になる月の分から前年の収入に基づく保険料1年分を月割りで計算、40歳になる月の翌月から国民健康保険料と一括で納付します。
40歳になる月の翌月に納付通知書が送られてきます。なお、介護保険料は住んでいる地域や収入によって異なるので注意してください。
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出典:FREENANCE
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まとめ
フリーランスの手取りは、取引先や顧客などから受け取ったお金である売上から、経費や税金、社会保険料などを引いて残った分です。
会社員の場合は社会保険料が会社と折半ですが、フリーランスの場合は全額自己負担しなくてはなりません。そのため、費用負担の大きさから手取りが少なくなるのが一般的です。
また、フリーランスの場合は、同じ年収でも青色確定申告と白色確定申告では手取り収入に差が生じます。会社員は源泉徴収で税金や社会保険料が自動的に引かれますが、フリーランスの場合は自分で納めなくてはなりません。納付を忘れないように注意しましょう。
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- 記事監修
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- 中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
- 起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。