個人事業主が人を雇うなら手続きが必要!主な内容やメリット・デメリットを解説
個人事業主の皆さん、事業拡大に伴い従業員の雇用を考えていませんか?実は、個人事業主でも従業員を雇うことは可能です。
しかし、雇用には様々な手続きが必要で、メリットとデメリットも存在します。本業に集中できる反面、保険料負担や管理義務が発生するなど、検討すべき点は多岐にわたります。
このコラムでは、個人事業主が従業員を雇う際に必要な手続きや注意点を詳しく解説します。雇用のメリット・デメリットを理解し、適切な判断ができるよう、ぜひ最後までお読みください。従業員雇用の準備が整い、事業拡大への第一歩を踏み出せるはずです。
- 【この記事のまとめ】
- 個人事業主が従業員を雇用する際には、労働条件の通知や社会保険加入、税務手続きなど多くの義務があります。
- 従業員を雇用することで、業務効率が向上し、売上アップや事業拡大につながる可能性があります。
- 手続きの負担や保険料負担、教育などのリスクを軽減するため、FREENANCEのような補償サービスを活用することが推奨されます。
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個人事業主が人を雇う際に行うべきこと
個人事業主が外部の人材を雇用する際には、以下の手続きが必要です。
- 従業員へ労働条件を通知する
- 社会保険・労働保険の手続きをする
- 必要書類を税務署に提出する
- 源泉徴収を用意する
労働条件通知では、雇用期間や賃金、労働時間などを書面で明示します。社会保険は常時5人以上雇用する場合に必須で、労働保険は1人でも雇用すれば加入が必要です。税務署には「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を提出し、源泉徴収の準備も行います。
これらの手続きを適切に行うことで、個人事業主も安心して従業員を雇用できます。以下では、それぞれについて詳しく説明します。
従業員へ労働条件を通知する
労働条件の通知とは、労働基準法に基づき、雇用主が従業員に対して労働条件を明示することです。これは「労働条件通知書」という書面で行います。記載が必要な主な項目は以下の通りです。
- 就業場所、従事する業務内容
- 労働契約の期間
- 労働時間、休憩時間、休日、休暇
- 賃金の決定・計算・支払方法、締切日・支払日
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
これらの項目を明確に記載し、従業員に交付することが義務付けられています。
社会保険・労働保険の手続きをする
社会保険と労働保険は、従業員を守るための重要な制度です。
- 【社会保険】
-
- 健康保険と厚生年金保険を指します。
- 常時5人以上を雇用する場合は加入が義務付けられます。
- 5人未満の場合は任意加入となります。
- 【労働保険】
-
- 労災保険と雇用保険を指します。
- 1人でも従業員を雇用する場合、加入が必要です。
- 労災保険は業務上の災害や通勤災害に対する補償、雇用保険は失業時の給付などを行います。
それぞれ加入条件が異なるため、注意が必要です。手続きは所轄の年金事務所や労働基準監督署、ハローワークで行います。
必要書類を税務署に提出する
従業員を雇用して給与を支払う場合、税務署への届出が必要です。具体的には、初めて従業員を雇用した日から1カ月以内に「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を提出しなければなりません。この届出書には以下の情報を記載します。
- 事業主の氏名・住所
- 給与支払事務所の名称・所在地
- 給与支払開始年月日
- 従業員数など
この手続きにより、源泉徴収義務者として正式に登録されます。
源泉徴収を用意する
源泉徴収とは、従業員に給与を支払う際に、所得税をあらかじめ差し引いて国に納付する制度です。準備すべきことは以下になります。
- 「給与所得者の扶養控除等申告書」を従業員に提出してもらう
- 源泉徴収税額表を用意し、適切な税額を計算できるようにする
- 毎月の給与支払時に源泉徴収を実施し、翌月10日までに納付する
また、従業員が10人未満の場合、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出することで、年2回(7月と翌年1月)の納付に変更することができます。
これらの手続きを適切に行うことで、個人事業主も安心して従業員を雇用し、法令を遵守した事業運営が可能となります。
個人事業主が人を雇うメリット
個人事業主が従業員を雇用することには、様々なメリットがあります。
- 事務作業などを任せられる
- 売上アップや事業拡大につながる
- 青色申告なら家族への給与を経費にできる
以下、主要なメリットについて詳しく見ていきましょう。
事務作業などを任せられる
個人事業主にとって、経理や事務作業は避けて通れない業務ですが、多くの方が苦手意識を持っています。従業員を雇用することで、これらの作業を任せることができるようになります。
従業員に事務作業を任せることで、個人事業主は本業に集中できる時間が増えます。例えば、請求書の作成や経理処理、電話対応やメール返信といった業務を従業員に任せることで、自身は核となる業務や営業活動に注力できるようになります。
また業務効率が上がるだけでなく、個人事業主自身のストレス軽減にもつながります。特に不得意な分野を任せることで、精神的な負担が大きく軽減される可能性があります。
さらに、従業員が慣れてくれば、より高度な業務も任せられるようになり、さらなる効率化が期待できます。
売上アップや事業拡大につながる
従業員を雇用することで、個人事業主の事業拡大の可能性が大きく広がります。事務作業などを従業員に任せることで浮いた時間を、営業活動や新規事業の開拓、サービス品質の向上などに充てることができます。
つまり、直接的な売上アップにつながる可能性が高まるのです。例えば、営業活動に注力することで新規顧客の獲得につながったり、サービス品質の向上によりリピート率が上がったりする可能性があります。
また、従業員を増やすことで、個人事業主一人では対応しきれなかった規模の仕事や、より多くの案件を請け負うことが可能になります。これは、事業の多角化や規模の拡大につながる重要な要素です。
さらに、従業員それぞれの専門性や経験を活かすことで、新たなサービスの提供や事業領域の拡大も期待できます。このように、従業員の雇用は事業の成長と発展に大きく寄与する可能性があります。
青色申告なら家族への給与を経費にできる
個人事業主が家族を従業員として雇用する場合、青色申告を選択することで「青色事業専従者控除」を受けられるというメリットがあります。これにより、家族への給与を経費として計上できるため、節税効果が期待できます。
青色事業専従者控除とは、事業主と生計を一にする配偶者やその他の親族で、事業に専ら従事する人(青色事業専従者)に支払う給与を、一定の要件のもとで必要経費として認める制度です。この制度を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 青色申告者であること
- 「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出していること
- 適正な給与額を、適正な方法で支払っていること
申告の際は、青色事業専従者の給与額が妥当であるか、実際に業務に従事しているかなどが問われます。不自然に高額な給与設定や、実態のない給与支払いは認められませんので注意が必要です。
この制度を適切に活用することで、家族の労働力を正当に評価しつつ、節税効果も得られる可能性があります。
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個人事業主が人を雇うデメリット
個人事業主が従業員を雇用することには、様々なメリットがある一方で、考慮すべきデメリットも存在します。
- 各種通知や手続きが発生する
- 保険料の負担が発生する
- 教育に時間と労力がかかる
これらのデメリットは、事業運営に追加の負担やリスクをもたらす可能性があります。以下、主要なデメリットについて詳しく見ていきましょう。
各種通知や手続きが発生する
個人事業主が従業員を雇用する際には、様々な法的手続きや通知が必要となります。これらの手続きは時間と労力を要し、事業主にとって負担となる可能性があります。
まず、労働条件通知書の作成と交付が必要です。これは労働基準法で義務付けられており、雇用契約の期間、就業場所、業務内容、労働時間、賃金などの重要事項を明記しなければなりません。
次に、税務署への届出が必要です。具体的には、従業員を雇用してから1ヶ月以内に「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する必要があります。これにより、源泉徴収義務者としての登録が行われます。
さらに、社会保険や労働保険の手続きも必要です。従業員数や雇用条件によって加入する保険が異なるため、適切な判断と手続きが求められます。
これらの手続きは複雑で時間がかかるため、本業の時間を削って対応しなければならず、事業主の負担となる可能性があります。
保険料の負担が発生する
個人事業主が従業員を雇用する際には、各種保険料の負担が発生します。これらの保険料は事業主の経費となるため、売上から支払う必要があり、経営に影響を与える可能性があります。
労働保険(労災保険と雇用保険)は、従業員を1人でも雇用した時点で加入が義務付けられています。労災保険料は全額事業主負担、雇用保険料は事業主と従業員で負担します。
社会保険(健康保険と厚生年金保険)は、常時5人以上の従業員を雇用する場合に強制加入となります。保険料は事業主と従業員とで、折半で負担します。
これらの保険料は、従業員の給与に応じて計算されるため、給与が高くなればそれだけ保険料負担も増加します。特に事業規模が小さい場合や利益率が低い事業の場合、この負担は大きく感じられる可能性があります。
また、保険料の計算や納付の手続きも事業主の業務となるため、時間的な負担も考慮する必要があります。
教育に時間と労力がかかる
個人事業主が従業員を雇用する際、教育に関する時間と労力の投資は避けられません。この過程は事業の成長に不可欠ですが、短期的には大きな負担となる可能性があります。
新しい従業員を雇用した直後は、業務内容や会社のルール、システムの使い方など、基本的なことから教育する必要があります。この間、事業主自身の業務時間が削られ、生産性が一時的に低下する可能性があります。
また、教育の効果は個人の適性や学習能力によって異なるため、期待通りの成果が得られるまでに時間がかかることもあります。さらに、採用時には分からなかった不適合が明らかになり、再度採用活動を行う必要が生じる可能性もあります。
従業員の定着率も課題となります。教育に時間と労力をかけても、従業員がすぐに退職してしまうと、その投資が無駄になってしまいます。また、突然の退職は業務の滞りを引き起こし、事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクを最小限に抑えるためには、採用段階での慎重な選考と、効果的な教育プログラムの準備が重要です。しかし、これらの準備自体も事業主の負担となる点に注意が必要です。
個人事業主が人を雇うならFREENANCEへの加入がおすすめ
出典:FREENANCE
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FREENANCEを活用することで、個人事業主の方々は従業員雇用に伴うリスクを軽減し、より安心してビジネスに集中できる環境を整えることができます。
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- 記事監修
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- 中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
- 起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
- ※本記事は、起業の窓口編集部が専門家の監修のもとに制作したものです。
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