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個人事業主なら小規模企業共済の所得控除で節税を!加入方法やメリット・デメリットを詳しく解説

個人事業主なら小規模企業共済の所得控除で節税を!加入方法やメリット・デメリットを詳しく解説

個人事業主には退職金制度がないため、廃業後や定年後の生活に不安を抱える方もいるのではないでしょうか。

心配を払拭するには、退職金制度の代わりになる小規模企業共済への加入がおすすめです。

小規模企業共済は退職金の代わりになるだけでなく、高い節税効果が見込まれ、個人事業主にとっては大きな助けとなる制度です。

この記事では、小規模企業共済の基本概要や加入するメリット・デメリット、加入方法について詳しく紹介します。


【この記事のまとめ】
  • 小規模企業共済は個人事業主の退職金の代わりになります。
  • 小規模企業共済は高い節税効果が見込まれます。
  • この記事では、小規模企業共済のメリット・デメリット加入方法を解説。
  • 小規模企業共済以外にもiDeCoや国民年金も所得控除の対象になります。

2024年11月1日より、フリーランス新法(フリーランス保護法、フリーランス保護新法)が施行されます。

組織に所属せずに働くフリーランスが安心して働ける環境を整備するために、フリーランスと企業などとの発注事業者間の取引の適正化(契約書等により取引条件を明示する)が主な目的です。

詳しくは次の記事をご覧ください。フリーランス新法の概要、制定された背景や具体的な内容などを解説しています。

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小規模企業共済とは

小規模企業共済とは

小規模企業共済とは、中小企業の経営者や役員、個人事業主を対象にした積立による退職金制度です。

中小企業の経営者や個人事業主は、一般の雇用者と比較して社会保険の恩恵を受けられることが少なかったため、小規模企業共済を通してそれらを補填することを目的としています。

また、廃業や退職をする際に、その後の生活を安定させたり、事業の再建に供えられるようにする目的もあります。

国の機関である独立行政法人中小企業基盤整備機構によって運営され、令和4年時点では162万人が在籍し、共済受給額は約5,333億円、共済金受給額の平均は1,116万円と、多くの経営者や個人事業主に活用されている制度です。

小規模企業共済に加入するメリット

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小規模企業共済への加入は、中小企業の経営者や役員、個人事業主の退職金の代わりになるだけではありません。節税対策などさまざまなメリットがあります。

ここでは、小規模企業共済に加入するメリットを解説します。

所得控除によって節税対策になる

小規模企業共済へ加入して支払った掛金は、小規模企業共済等掛金控除として全額所得控除の対象です。

確定申告や年末調整の際には、所得から支払った掛金を差し引くことができるため、節税対策になります。

結果的に所得税住民税を納める金額が少なくなるため、大きな助けとなる制度です。

例えば課税所得が400万円だった場合は、小規模企業共済への加入によって、以下のような節税効果が見込まれます。

小規模企業共済の掛金(月額) 小規模企業共済控除額 加入後の節税額
10,000円 120,000円 36,500円
30,000円 360,000円 109,500円
50,000円 600,000円 182,500円
70,000円 840,000円 241,300円

毎月70,000円の掛金を支払っていれば、241,300円の節税が可能です。

また、所得が高いほど高い節税効果が期待できるため、より効果的な節税効果を受けるためにも所得に応じて適切な掛金を支払いましょう。

いざという時に低金利の貸付制度を利用できる

小規模企業共済への加入者は、低金利の貸付制度を利用可能です。今までの掛金納付期間に応じた範囲内で、事業資金等の貸付けを受けられます。

個人事業主として経営を進めているなかで、新規事業の展開や売上の減少など、資金繰りが必要になる場面でも事業資金を借り入れできる便利な制度です。

貸付には以下7つの種類があり、状況や用途によって使い分けることができます。

貸付の種類 借り入れの限度額 利率
一般貸付制度 10万円以上2,000万円以内 年1.5%
緊急経営安定貸付け 50万円以上1,000万円以内 年0.9%
傷病災害時貸付け 50万円以上1,000万円以内 年0.9%
福祉対応貸付け 50万円以上1,000万円以内 年0.9%
創業転業時・新規事業展開等貸付け 50万円以上1,000万円以内 年0.9%
事業承継貸付け 50万円以上1,000万円以内 年0.9%
廃業準備貸付け 50万円以上1,000万円以内 年0.9%

自由に掛金の変更が可能

小規模企業共済の掛金は、月額1,000円から70,000円までの範囲内であれば500円単位で自由に設定が可能です。

加入後でも経営状況に合わせて増額や減額ができるため、無理のない範囲で支払いができます。

また、納付方法も月払い、半年払い、年払いから選択でき、掛金を前納した場合は一定割合の前納減額金を受けることができます。

共済金の受け取り方法を選択できる

共済金の受け取り方は、「一括」と「分割(10年・15年)」、もしくは「一括と分割の併用」から選択が可能です。

「一括」で共済金を受け取る場合は「退職所得扱い」、「分割」で共済金を受け取る場合は「公的年金等の雑所得扱い」となります。

どちらを選択しても、「事業所得」と比較すると税金の負担が大きく軽減されます。

一般的な退職金のようにまとめて受け取るか、年金のように分割して受け取るか、自分に最適な受け取り方法を選択しましょう。

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小規模企業共済に加入するデメリット

小規模企業共済に加入するデメリット

小規模企業共済への加入は、すべてがメリットになるわけではありません。特に加入期間によっては損をしてしまう場合があります。

ここでは、小規模企業共済に加入するデメリットについて解説します。

12ヶ月未満の掛金納付は掛け捨てになるリスクがある

小規模企業共済は、12ヶ月未満の掛金納付では共済金を受け取れず掛け捨てになるリスクがあります。

個人事業主が掛金納付期間に応じて掛け捨てになる共済金は以下の通りです。

掛金納付期間 掛け捨てとなる共済金の種類 請求自由
6ヶ月未満 共済金A 個人事業主が廃業した場合や契約者が亡くなった場合
6ヶ月未満 共済金B 65歳以上で180ヶ月以上掛金を支払った方
12ヶ月未満 準共済金 法人成りしことにより、加入資格がなくなり解約した場合
12ヶ月未満 解約手当金 任意解約や機構解約(掛金を12ヶ月以上滞納した場合)が行われた場合

6ヶ月未満だった場合は共済金A・B、12ヶ月未満だった場合は準共済金および解約手当金が掛け捨てとなります。

節税対策になるとはいえ、短期的な加入は結果的に損をしてしまう可能性もあります。

加入期間が20年未満だと元本割れのリスクがある

小規模企業共済の加入期間が20年(240ヶ月)未満だった場合、元本割れのリスクがあります。

個人事業主にとっては退職金の代わりになる制度ですが、20年にわたって事業を継続していけるかどうか分からないため、掛金を20年以上支払えるかどうかの判断は難しいものです。

納付期間が20年を超えたタイミングから、以下の表のように解約手当金の支給率は100%を超えていきますが、20年未満で個人事業主を廃業して支払えなくなると元本割れしてしまいます。

掛金区分ごとの納付月数 支給率
1月〜11月 0%
12月〜83月 80.00%
84月〜89月 80.50%
90月〜95月 81.25%
240月〜245月 100%
474月〜479月 109.75%
480月〜 110.00%
720月〜 120.00%

小規模企業共済は、20年以上納付を続けられるかどうかを基準に加入を考えていくとよいでしょう。

受け取る共済金は課税対象

受け取る共済金は課税対象です。「退職所得」または「雑所得」となり、本来の事業所得と比較すると税負担は少なくなるものの課税されてしまいます。

小規模企業共済等掛金控除になるように、前もって支払っていた部分の税金を後から支払わなければいけません。

また、受け取る共済金および解約手当金は、受け取る際の年齢や受け取り方法などで税務上の取り扱いが異なります。

受け取り方法 税務上の扱い
共済金または準共済金を一括で受け取る場合 退職所得扱い
共済金を分割で受け取る場合 公的年金等の雑所得扱い
共済金を一括・分割併用で受け取る場合
  • (一括分)退職所得扱い
  • (分割分)公的年金等の雑所得扱い
遺族が共済金を受け取る場合(死亡退職金) (相続税法上)みなし相続財産
65歳以上の方が任意解約をするまたは65歳以上の共同経営者が任意退任をする場合 退職所得扱い
65歳未満の方が任意解約をするまたは65歳未満の共同経営者が任意退任をする場合 一時所得扱い
12か月以上の掛金の未払いによる解約(機構解約)で解約手当金を受け取る場合 一時所得扱い

小規模企業共済への加入方法

小規模企業共済への加入方法

ここでは、小規模企業共済への加入方法を解説します。小規模共済へ加入を検討している方は参考にしてください。

小規模企業共済の加入資格

小規模企業共済は、個人事業主または中小企業の経営者や役員、共同経営者などが加入可能です。ただし、あくまでも小規模企業を対象にした制度となっており、営む業種によって加入資格が異なります。

業種 常時使用する従業員数
建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業など 20人以下
商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) 5人以下
事業に従事する組合員の数が20人以下の企業組合の役員 20人以下
農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員 20人以下
弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員 5人以下

基本的に営利目的で経営を行っている方が対象です。医療法人や学校法人、宗教法人やNPO法人といった直接利益を目的にしていない場合は加入資格がありません。

小規模企業共済の加入に必要な書類

小規模企業共済への加入には、中小機構の様式書類として「契約申込書」と「預金口座振替申出書」の提出が必要です。

また、場合によって以下の公的書類等が必要になります。

必要書類
個人事業主
  • 確定申告書の控え
法人の役員
  • 履歴事項全部証明書など
共同経営者
  • 確定申告書の控え
  • 個人事業主と締結した共同形成契約書の写し
  • 報酬の支払い事実が確認できる祖類

小規模企業共済に加入する流れ

小規模企業共済に加入する流れは以下の通りです。

  1. 立場に応じた必要書類を用意
  2. 書類へ記入
  3. 窓口へ提出
  4. 申込みから約40日後に「小規模企業共済手帳」と「小規模企業共済制度加入者のしおり及び約款」を受け取り

以上で小規模企業共済への加入が完了となります。

加入する際に注意してほしいのが書類提出先の窓口です。郵送での提出は受け付けておらず、中小機構が業務委託契約を結ぶ以下の団体または、窓口に提出してください。

  • 商工会
  • 商工会議所
  • 中小企業団体中央会
  • 事業協同組合
  • 青色申告会
  • 損害保険ジャパン株式会社
  • アクサ生命保険株式会社
  • 都市銀行
  • 信託銀行
  • 地方銀行
  • 第二地方銀行
  • 信用金庫
  • 信用組合
  • 商工組合中央金庫
  • 農業協同組合(34都道府県)

また、審査の結果、加入資格がないと判断された場合は、約2ヶ月後に中小機構から加入を断る通知が届きます。

小規模企業共済の類似制度

小規模企業共済の類似制度

小規模企業共済以外にも、所得控除や将来の備えとなる類似の制度がいくつかあります。個人事業主は社会保険等の恩恵が少ないため、さまざまな制度を活用して将来に備えるのがおすすめです。

ここでは、小規模企業共済の類似制度について紹介します。

iDeCo

iDeCoは、自分で選んだ金融商品に掛金を積み立てて運用を行う「個人型確定拠出年金」です。積み立ては65歳まで、年金は60歳以降に受け取れます。

iDeCoは小規模企業共済と同様に、運用した掛金が「小規模企業共済等掛金控除」となり、全額が所得控除の対象となります。

また、金融商品の運用によって発生した利益が非課税なこともiDeCoの最大のメリットです。

最終的な受け取り金額は選択した金融商品によって異なりますが、退職金代わりや節税対策になる制度です。

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国民年金

国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満の方が加入義務のある制度です。

受け取れる年金は退職金にはおよばないものの、令和5年4月からは老齢基礎年金(満額)が66,250円となりました。

また、年金保険料は「社会保険控除」として全額が所得控除の対象となるため、確定申告の際は忘れずに申請をして節税対策を行ってください。

その他、国民年金に上乗せして加入できる年金制度「国民年金基金」があります。国民年金だけでは不安のある方は、老後のために加入を検討するのもよいでしょう。

お金に関して心配事がある個人事業主には「FREENANCE」「GMOフリーランスファクタリング」がおすすめ!

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出典:FREENANCE

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FREENANCEでは、あんしん補償サービスで万が一のときの資金繰りに対応できる、急な資金不足にはファクタリングを利用できるといったように、お金に関するサポートをしています。

また、保険サービスや福利厚生などのサービスも提供しており、フリーランスや個人事業主を包括的にサポートしています。

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出典:GMOフリーランスファクタリング

また、個人事業主の場合、業務を受託してから、納品、請求書を発行し、実際に支払いが行われるまでに1~2か月ほど時間がかかることも少なくありません。

その間にも経費の支払いや他の資金繰りがあり、口座に入金されるのを待っていられないケースもあるでしょう。そんなときにおすすめなのが、GMOフリーランスファクタリングのサービスです。

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まとめ

小規模企業共済は、退職金制度のない個人事業主にとっては退職金の代わりになる制度です。

事業を行っている以上、リスクなどの将来のことを考えておく必要があり、小規模企業共済は将来の助けとなってくれることでしょう。

また、小規模企業共済は全額が所得控除の対象となっているため、掛金の納付が節税対策につながります。

社会保険などの恩恵を受けられない個人事業主は、小規模企業共済へ加入し、節税対策を行いながら将来に向けた備えをしておくことが大切です。

『起業の窓口』では、起業に必要な基礎知識から会計、税金についてなどビジネスを始める方に役立つサービスを提供しています。

小規模企業共済の活用など、節税対策や将来の備えに悩んでいる方は、ぜひお気軽にご相談ください。

記事監修
中野裕哲
中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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