個人事業主の事業税「個人事業税」とは? 計算方法と控除される4つの条件
個人事業主が支払わなければならない税金のひとつに、個人事業税があります。
個人事業税は、消費税や所得税と違い、業種によって税率が変化するため複雑な税金といえるでしょう。
本記事では、個人事業税の納付方法・納付時期や個人事業税の業種ごとの税率を詳しく解説しています。
- 【この記事のまとめ】
- 個人事業税は、一部の個人事業主が支払う地方税で、所得が290万円を超える場合に課税されます。納付先は国税庁ではなく、居住地の都道府県税事務所となります。
- 個人事業税は、2月16日から3月15日までに申告が必要で、廃業した場合は1か月以内に申告します。所得税の確定申告を行った場合、別途報告は不要です。
- 個人事業税の税率は業種によって異なり、第1種事業が5%、第2種事業が4%、第3種事業は3%または5%です。非課税業種には農業や一部の芸術活動が含まれます。
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個人事業税とは?
個人事業税とは、一部の個人事業主が支払わなければならない事業税の1種です。
住民税や固定資産税と同様に、地方税に分類されます。
そのため、納付先は国税庁ではなく、住んでいる地域の都道府県税事務所です。
個人事業税は、いくらから支払う義務が生じるのか疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
個人事業税は、290万円超の所得がある個人事業主が支払う制度です。
個人事業税が設けられた理由として、個人事業主も法人同様に、多種多様な行政サービスを活用していると判断されたためです。
個人事業税は、個人事業主が支払う必要のある税金として覚えておきましょう。
個人事業税の申告・納付方法
次に、個人事業税の申告・納付方法について解説します。
- 申告方法
- 納付方法・納付時期
納付方法や納付時期を理解しておけば、納税で慌てる心配がなくなります。
ぜひ、本記事を参考にして税金に関する知識を蓄えましょう。
申告方法
個人事業税は、2月16日~3月15日の間に、住んでいる地域の都道府県税事務所に申告する必要があります。
年の途中で廃業した場合は、廃業の日から一ヶ月以内に申告しましょう。
個人事業税は、所得税の確定申告をした方に限り、別途事業税の報告をする必要がありません。
都道府県税事務所が確定申告の内容を元に、金額を算出してくれるためです。
個人事業税の申告や所得税の確定申告に関しては、e-Taxを利用して申告するとスムーズに完了します。
e-Taxとは、各種税金に関する届け出がインターネットで提出できるサービスです。
e-Taxは、セキュリティ対策も万全を期しているため、個人情報が流出する心配もありません。
納付方法・納付時期
個人事業税の納付は、都道府県税事務所から送られてくる納税通知書に従って、納付します。納税通知書は、8月と11月の2回に分けて送付されるため、分割して納めましょう。
個人事業税の税額が10,000円以下の個人事業主には、納付書が1枚しか届きません。
8月に届く納税通知書を使用して、一度に全額を納付してください。
また、個人事業税は、預金口座振替納税制度に対応しています。
預金口座振替納税制度とは、口座引き落としで税金を納められる制度です。
忙しい個人事業主の方は、ぜひ活用してみましょう。
個人事業主における事業税の対象業種と税率
本章では、個人事業税の対象業種と業種ごとの税率について解説します。
- 第1種事業|税率5%
- 第2種事業|税率4%
- 第3種事業|税率3または5%
- 非課税の業種
自分がどの業種に該当するかわからない場合は、住んでいる地域の都道府県税事務所に相談しましょう。
第1種事業|税率5%
第1種事業に該当する37の業種は、以下の通りです。
物品販売業 | 運送取扱業 | 料理店業 | 遊覧所業 |
保険業 | 船舶定係場業 | 飲食店業 | 商品取引業 |
金銭貸付業 | 倉庫業 | 周旋業 | 不動産売買業 |
物品貸付業 | 駐車場業 | 代理業 | 広告業 |
不動産貸付業 | 請負業 | 仲立業 | 興信所業 |
製造業 | 印刷業 | 問屋業 | 案内業 |
電気供給業 | 出版業 | 両替業 | 冠婚葬祭業 |
土石採取業 | 写真業 | 公衆浴場業(むし風呂等) | |
電気通信事業 | 席貸業 | 演劇興行業 | |
運送業 | 旅館業 | 遊技場業 |
第1種事業の個人事業税は、税率が5%です。
個人事業税の中では、最も高額な税率になっており、該当する業種も最多といえます。
第2種事業|税率4%
第2種事業に該当する3つの業種は、以下の通りです。
畜産業 | 水産業 | 薪炭製造業 |
第2種事業の個人事業税は、税率が4%です。第1種事業に比べると多少税率が軽減されます。
第3種事業|税率3または5%
第3種事業に分類される30の業種は、以下の通りです。
医業 | 公証人業 | デザイン業 | 測量士業 |
歯科医業 | 弁理士業 | 諸芸師匠業 | 土地家屋調査士業 |
薬剤師業 | 公認会計士業 | 理容業 | 海事代理士業 |
獣医業 | 計理士業 | 美容業 | 印刷製版業 |
弁護士業 | 社会保険労務士業 | クリーニング業 | あん摩・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復
その他の医業に類する事業 |
司法書士業 | コンサルタント業 | 公衆浴場業(銭湯) | 装蹄師業 |
行政書士業 | 設計監督者業 | 歯科衛生士業 | |
税理士業 | 不動産鑑定業 | 歯科技工士業 |
第3種事業の個人事業税は、税率が3または5%です。
あん摩・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復その他の医業に類する事業と装蹄師業に関しては、税率が3%になります。
そのほかの事業は、税率が5%と最も高額な部類になるため、覚えておきましょう。
非課税の業種
個人事業税が非課税となる業種は、先述した第1~第3種事業以外の法定業種に該当しない事業です。
非課税の業種に該当するのは、主に以下の通りです。
農業 | 林業 | 鉱物採掘業 |
さらに以下の業種はそもそも事業税の対象外となります。
日本国外での事業 | 通訳・翻訳業 | 画家 |
漫画家 | 文筆業 | 音楽家 |
作詞・作曲家 | スポーツ選手 | 芸能人 |
注意しなければならないのが、業種の区別が各都道府県税事務所の判断に委ねられる点です。
アフィリエイターは、基本的に広告業として分類されますが、都道府県税事務所に確認の電話をして文筆業と判断されれば、個人事業税は非課税となります。
もちろん、嘘の発言をして非課税の業種を偽るのは、絶対にやめましょう。
個人事業主の事業税の計算方法
個人事業税の計算方法は、以下の通りです。
引用:東京都主税局
個人の事業税の事業専従者給与(控除)額とは、親族に給与を支払っている個人事業主が利用できる控除制度です。
青色申告の場合は、給与として支払っている全額が控除できます。また、白色申告の場合は、50〜86万円が限度額です。
各種控除額は、以下の控除が該当します。
- 繰越控除
- 事業主控除
個人事業税の計算方法を理解することで、8月と11月に納めなければならない税額が把握可能です。税額の見通しが立つことにより、安心してお金を工面できるでしょう。
個人事業主の事業税が控除される条件
本章では、個人事業税が控除される4つの条件に付いて解説します。
- 事業所得が290万円以下である
- 非課税の業種で働いている
- その他の繰越控除がある
- 過去3年の赤字の繰り越しがある
基本的に、第1~第3種事業に従事している個人事業主が290万円超の所得を得ている場合は、事業税を非課税にできません。
事業で赤字や損失をだしている個人事業主は、ぜひ参考にしてください。
事業所得が290万円以下である
事業所得控除は、年間で290万円です。
そのため、事業所得が290万円以下の個人事業主は、全額控除となるため、事業税が非課税となります。
あくまで、1年間継続して事業を行った場合の控除額が290万円です。
事業の営業期間が1年未満の場合は、月割で控除額が算出されます。
事業を行った月数 | 事業主控除額 |
---|---|
1ヶ月 | 242,000 |
2ヶ月 | 484,000 |
3ヶ月 | 725,000 |
4ヶ月 | 967,000 |
5ヶ月 | 1,209,000 |
6ヶ月 | 1,450,000 |
7ヶ月 | 1,692,000 |
8ヶ月 | 1,934,000 |
9ヶ月 | 2,175,000 |
10ヶ月 | 2,417,000 |
11ヶ月 | 2,659,000 |
12ヶ月 | 2,900,000 |
引用:東京都主税局
非課税の業種で働いている
先述した非課税の業種に従事している個人事業主も、個人事業税が非課税になります。
自分の職種が非課税の対象になるか判断が付かない場合は、住んでいる地域の都道府県税事務所に、直接確認しましょう。
基本的に、ライター兼デザイナーとして働いている場合は、デザイン業とみなされ個人事業税を支払う必要があります。
その他の繰越控除がある
個人事業税では、さまざまな控除額が用意されています。
- 被災事業用資産の損失の繰越控除
- 譲渡損失の控除と繰越控除
被災事業用資産の損失の繰越控除とは、震災や火災によって、事業に関する資産に損害が起きた場合、翌年から3年間の繰越控除ができる制度です。
しかし、白色申告で確定申告をしている方のみ適応されます。
譲渡損失の控除と繰越控除とは、事業に関する資産を譲渡したことが原因で発生した損失額を、翌年から3年間繰越控除ができる制度です。
個人事業主は、何かしらの損失があった場合に、控除制度を利用することで節税対策ができます。
過去3年の赤字の繰り越しがある
過去3年で事業の所得が赤字の個人事業主は、繰越控除を利用できます。
ただし、赤字の繰り越しを利用するためには、青色申告で確定申告をする必要があります。
そのため、個人事業主は、所得が赤字の場合でも忘れずに確定申告をしましょう。
個人事業主の事業税に関するよくある質問
最後に、個人事業税に関するよくある質問に回答していきます。
個人事業税の仕訳と勘定項目は何?
個人事業税は、租税公課という勘定項目を利用して仕訳を行います。
仕訳の具体例は、以下の通りです。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
租税公課 | 50,000 | 現金 | 50,000 |
個人事業主は、1月1日から12月31日までの1年間で生じた所得金額と所得税等の額を、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告をする必要があります。
期日までに余裕を持って提出できるよう、日頃から経費の仕訳を進めるのがおすすめです。
個人事業税を払わないとどうなる?
個人事業主が個人事業税を支払わない場合は、延滞税や財産差し押さえ等のペナルティが発生します。
個人事業税を支払わなかった後の流れは、以下の通りです。
- 期限の翌日から延滞税が発生する
- 督促状が届く
- 延滞処分手続きが実行される
個人事業税が支払えない場合は、住んでいる地域の都道府県税事務所に、必ず相談しましょう。
まとめ
本記事では、個人事業税について網羅的に詳しく解説しました。
まずは、自分の仕事における個人事業税の税率を把握しましょう。その後、正しく確定申告をすれば、8月と11月に届く納付書に従うだけで納税が完了します。
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ぜひ、「個人事業主」に関する他の記事もご覧ください。
- 記事監修
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- 中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
- 起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
- ※本記事は、起業の窓口編集部が専門家の監修のもとに制作したものです。
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