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廃業届の書き方とは?必要な手続きや提出方法も解説

廃業届の書き方とは?必要な手続きや提出方法も解説

個人事業主が廃業する場合に必ず書かなくてはならないのが、廃業届です。しかし、普段生活している中で、廃業届について知る機会はほとんどないと言えるでしょう。


そこで本記事では、書き方や提出先、提出方法に至るまで廃業届のことを網羅的に解説します。

本記事を読めば、自身が廃業届を提出するときにやるべきことが明確になり、安心して次のステップに進めるでしょう。現在、個人事業主で廃業届について詳しく知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

【この記事のまとめ】
  • 廃業届は、個人事業主が事業を終了し、営業活動を停止する際に提出する必要がある書類です。法的義務の解消に重要です。
  • 廃業時には、事業終了を国や地方自治体に通知するため、廃業届や他の関連書類の提出が必要です。手続き漏れに注意しましょう。
  • 廃業届を提出しないと、税務署は事業が継続中と見なし、確定申告が求められます。提出し忘れには注意が必要です。

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ぜひ、「確定申告」に関する他の記事もご覧ください。

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廃業届とは

廃業届とは

廃業届とは、個人事業主が事業を終了し、営業活動を停止することを通知する書類です。一般的に、個人事業主が廃業する場合は、納税地を所轄する税務署長に廃業届を提出する必要があります。

廃業届は、法的な手続きの一部として提出されることが多く、個人事業主が法的な責任や税金の支払いなどに関する義務を解消するために必要です。また、廃業届を提出することで、事業主は事業の終了を公にできます。

廃業届の提出時期や提出方法には、細かな規則があります。加えて、提出しなくてはならない書類は廃業届だけではありません。次章以降でそれらを詳しく解説しているので、廃業を考えている場合は、そのまま読み進めてください。

廃業にあたって必要な手続き

廃業にあたって必要な手続き

個人事業主が廃業する際、法人とは異なり解散や清算は必要ありません。
ただし、廃業したことが国や都道府県に伝わらないと、納税義務や徴収義務がなくなったことが通知されず、税金に関する問題が発生する可能性があります。

ここでは、廃業にあたって必要な以下の2つの手続きを紹介します。

  • 廃業手続きに必要な書類をそろえる
  • 必要書類を提出する

正しい手続きの流れを把握して、自身が廃業するときに、手早くかつ不備がないようにしましょう。

1.廃業手続きに必要な書類をそろえる

廃業手続きには、まず必要な書類をそろえる必要があります。ただし、全員が紹介する書類のすべて必要なわけではありません。

対象者の欄を参考に、自分に必要な書類を手元にそろえることから始めましょう。

必要書類 対象者 備考
個人事業の開業・廃業等届出書 全員 国税庁のWebサイト

で入手できる

事業廃止届出手続 個人事業税を納めている事業者
青色申告の取りやめ届出書 青色申告をしている事業者
消費税の事業廃止届出書 消費税を支払っている事業者
所得税および復興特別所得税の予定納税額の減額申請書 予定納税をしている事業者
給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書 従業員への給与支払いを

おこなっていた事業者

本人確認書類 全員 マイナンバーカードを持っていない場合は、2種類の書類を

準備する必要があり

マイナンバーカードを持っていない場合は、2種類の書類を用意しなくてはなりません。

以下の①と②からそれぞれ1つをコピーして提出しましょう。

①マイナンバーを確認するための書類
  • マイナンバー通知カード
  • マイナンバーが記載された住民票の写し
  • マイナンバーが記載された住民票記載事項証明書
②本人確認のための書類
  • 運転免許証
  • 公的医療保険の被保険者証
  • パスポート
  • 身体障害者手帳
  • 在留カード

参考:国税庁|個人事業の開業届出・廃業届出等手続

2.必要書類を提出する

廃業手続きに必要な書類をそろえて記入まで完了したら、書類を提出しましょう。

必要書類を提出する方法は、以下の3つです。

  • 税務署の窓口へ持参する
  • 税務署宛に郵送する
  • e-Taxを利用する

これから紹介する3つの提出方法は、それぞれメリット・デメリットがあるので、自分に適した方法を選択しましょう。

税務署の窓口へ持参する

必要書類をそろえて、税務署の窓口へ直接持参します。窓口の受付時間は、平日8時半〜17時までです。窓口の受付時間外であっても、税務署に設置されている時間外収受箱に投函すれば提出が受理されます。

窓口へ直接持参するので、目の前で受理を確認できるうえ、疑問があれば直接聞くことができるのがメリットです。

一方、直接足を運ばなければならないので、なかなか時間を割けない人には難しい方法かもしれません。記載内容に不安が残るなど、窓口で相談したいことがある方におすすめの提出方法です。

税務署宛に郵送する

管轄の税務署に必要書類を郵送で送付します。郵送方法は、配達記録が確認できるレターパックや簡易書留などを利用すると、紛失の心配がなく安心です。

郵送は、直接税務署の窓口に足を運ぶ必要がないため、郵便局やポストまでの生活圏内で事が済むのがメリットです。一方、書類の漏れがあった場合は、再送必要があり面倒なことがデメリットでしょう。税務署に直接足を運ぶ時間を割くのが難しい方におすすめの提出方法です。

e-Taxを利用する

パソコンからe-Taxソフトで届出書を作成することで、e-Taxから提出できます。

e-Taxソフトとは、申告書等の様式に沿った入力画面に必要事項を入力すると申告等データを作成するソフトのことを指します。

オンラインで提出が完結するので、時間や手間をほとんど取りません。

一方、パソコンの操作が不慣れな方には不向きな方法と言えます。パソコン作業に抵抗がない方におすすめの提出方法です。

なおe-Taxの詳しいやり方は、e-Taxホームページの「e-Taxソフトについて」を見てください。

廃業届の書き方

廃業届の書き方

ここでは、廃業届の書き方を項目ごとに紹介します。

廃業届は大きく2つのブロックに分かれており、上のブロックには主に個人授業主の個人情報を記入し、下のブロックには主に廃業する事業の詳細を記入します。

「個人事業の開業・廃業等届出書」

画像引用元:国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書」

以下の表で、廃業届の項目ごとの記載内容と注意点を解説しているので、自身が記入する際の参考にしてください。

項目 記載内容
届出名称:「個人事業の開業・廃業等届出書」 「開業届」の部分に二重線を引く
税務署名 事業の納税地を管轄する税務署
提出年月日 税務署に廃業届を提出する年月日
納税地 開業届の提出のときに、納税地とした住所
※郵便番号、住所、電話番号の記載が必須
上記以外の住所等 上記の納税地以外に事業所がある場合は、その住所を記入
氏名・生年月日 廃業する個人事業主の氏名と生年月日
個人番号 廃業する個人事業主のマイナンバー
職業・屋号 開業届や確定申告で記載していた職業
※屋号を持っている場合は、屋号も記入
届出の区分 廃業の箇所を丸で囲む
事由の欄には廃業する理由を記入
所得の種類 廃業する事業の所得の種類を丸で囲む
開業・廃業等日 事業を廃業した年月日
事業所等を新増設、移転、廃止した場合 空白
※個人事業を廃業する場合は記入する必要なし
廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合 法人名や代表者、法人の納税地や設立登記の年月日
※法人設立により個人事業主を廃業する場合は記入が必要
開業・廃業に伴う届出書の提出の有無 有または無
青色申告を取りやめ届出書を提出する、または消費税の支払いをしている課税事業者は「有」を囲む
白色申告をしている、または消費税の支払いが不要だった場合は「無」を囲む
事業の概要 個人事業として実施していた事業の内容
給与等の支払の状況 雇用人数・給与形態・税額の有無
※個人事業主として従業員を雇用していた場合は記入が必要

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廃業届を提出しないとどうなる?

廃業届を提出しないとどうなる?

日本では廃業する際、廃業届の税務署への提出が義務付けられています。

廃業の際に廃業届を提出しないと、税務署では事業が継続していると判断され、確定申告の時期に申告書の提出を求められます。

廃業届を出さないこと自体は、特別な罰則はありませんが廃業した場合は必ず提出するようにしましょう。

また、青色申告者が廃業届を提出する際は「所得税の青色申告の取りやめ届出書」の提出を忘れないようにしましょう。廃業届を出していても、青色申告は取りやめ届出書を提出しない限り適用が継続されるので、注意が必要です。

廃業届に関してよくある質問

廃業届に関してよくある質問

ここでは、廃業届に関してよくある質問に回答していきます。

法人の廃業手続きは個人事業主とは違う?

法人の廃業手続きは、個人事業主の場合と大きく異なります。特に明確な違いと言えるのが、法人が廃業する際の重要なプロセスである「解散」と「清算」です。

解散とは、法人が事業活動を終了し、債権債務を整理する手続きに入ることを意味します。解散が決定されると、次に行われるのが清算です。清算とは、法人が所有している財産の処分、および債務の返済を行い、残った資産を株主などに分配するプロセスを指します。

清算は、法人の債権者や株主の利益を保護するために重要です。清算が終了すると、法務局に清算終了の登記を行い、その法人は完全に消滅します。法人は、個人事業主と異なり株主が存在します。そのため、廃業の可否を個人の判断だけでは判断できません。株主の意思も尊重したうえで、廃業まで進めなくてはならないのです。

廃業届を出すタイミングはいつ?

廃業届は原則として、廃業した日から1ヶ月以内に所轄税務署に提出しなくてはいけません。

ただし、提出期限の日が土日祝日等に当たる場合は、その翌日の開庁日が提出期限になります。

また、書類に不備がある場合、受理されないことがあります。再提出も考慮して、提出期限より前に提出しましょう。

参考:国税庁|個人事業の開業届出・廃業届出等手続

廃業手続きにかかる費用はいくら?

個人事業主が廃業手続きを行う際に必要な直接的な費用は、基本的にありません。日本の税法に基づき、個人事業主は事業を廃業する場合、税務署に廃業等届出書を提出する必要がありますが、この届出にかかる費用は特に発生しません。

ただし、以下のような間接的な費用が発生する可能性があります。

  • 税務相談:提出する書類の作成や税金の清算に関する相談費用
  • 残存資産の処分:事業を行うために所有していた設備や在庫の処分に関する費用
  • 未払いの税金や社会保険料:未払いの税金や社会保険料の清算費用
  • 借入金の返済:事業を行うために借り入れていた金額の返済費用

具体的な費用は、各個人事業主の状況により異なるため、廃業を考えている場合は、税務署や専門家に相談することをおすすめします。

廃業ではなく休業したい場合も届出は必要?

日本の所得税では、個人事業主が一時的に事業を休止する場合、休業届を税務署に提出する必要はありません。所得税の観点においては、個人事業主には休業の概念がないと言えます。

仮に事業を休業するとしても、事業が勝手に廃業扱いになることはありません。そのため今後、事業を再開する可能性がある場合には、廃業届や青色申告の取りやめ届出書の提出は控えましょう。

廃業届や青色申告の取りやめ届出書を提出してしまうと、将来事業を再開する際に再度それらを提出しなければならず、大きく手間がかかります。

一方、自治体によっては、個人事業税において「事業休止届」の提出が求められます。例えば、岡山県や神奈川県は提出が求められるようです。

自身が開業した自治体が、休業する際に事業休止届が必要か事前に確認しましょう。

参考:岡山県庁|個人事業税(よくあるご質問)

参考:神奈川県庁|申請・届出様式ダウンロード

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まとめ

本記事では、廃業届の書き方や提出先、提出方法について解説しました。

廃業の手続きを怠り、廃業届を提出しないと、多くの弊害が生まれます。例えば、納める必要のない税金を払うことになったり、税務調査の対象になったりするのです。

廃業を決めたら、すみやかに手続きを進めるようにしましょう。

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記事監修
中野裕哲
中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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