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起業時に受けられる融資一覧|自己資金なしでも起業できるのか解説

起業時に受けられる融資一覧|自己資金なしでも起業できるのか解説

起業を検討しているものの、「資金が足りない」「一度廃業してしまい資金が少ない」といった悩みを抱えている人はいませんか。

起業資金が少ない方は、新創業融資制度や新規開業資金などの融資を受けることで、起業に必要な資金を集められる可能性があります。とはいえ、どんな制度なのか詳しく知ってからでないと利用を検討しづらいと感じる方もいるでしょう。

本記事では、起業時に利用できる融資や融資の際に気をつけるポイントについて解説します。自己資金が足りなくて起業できない方や一度廃業した方でも、今回紹介する融資に通ることで、起業ができるようになります。ぜひご一読ください。

【この記事のまとめ】
  • 新創業融資制度や新規開業資金など、起業時の資金不足に対応するための6つの融資制度を解説します。各制度は担保不要や低金利で利用しやすく、起業家を支援します。
  • 女性やシニア向け融資、再挑戦支援資金、地方自治体の制度融資など、起業状況や個別のニーズに応じた融資制度が豊富に用意されています。各自に適した制度を選びましょう。
  • 起業時の融資を申請する際、事業計画や資金使途の明確化が重要です。明確な計画があることで、審査通過の可能性が上がり、スムーズな資金調達が期待できます。

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起業時に受けられる融資一覧

起業時に受けられる融資一覧

起業する際に、資金面の問題を抱えている事業者は多いでしょう。起業する際には、開業資金や商品の購入費などが必要になります。

起業する際に資金不足などお金の問題を抱えないためにも、今回紹介する以下6つの融資を活用してください。

  • 新創業融資制度
  • 新規開業資金
  • 女性、若者/シニア起業家支援資金
  • 再挑戦支援資金
  • 新事業活動促進資金
  • 地方自治体の制度融資

それでは、順番に解説します。

新創業融資制度

新創業融資制度は新規に創業する人向けの融資制度で、2001年7月にできました。できた当時は国民生活金融公庫の制度でしたが、現在は日本政策金融公庫へ引き継がれています。新創業融資制度は、担保や代表者による保証人が必要ない点がメリットです。

起業する際には、代表者個人が保証人になる必要がないため、新規起業家にとっては利用しやすい融資制度でしょう。

対象者
  1. 対象者の要件
    新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方
  2. 自己資金の要件
    新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方
資金の使用用途 新たに事業を始める、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金
融資限度額 3,000万円(うち運転資金1,500万円)
金利 基準利率 2.27〜3.30%(令和5年5月1日現在、年利%)
返済期間 各融資制度に定める返済期間以内

利用がおすすめの人の特徴は以下の通りです。

  • 初めて起業する人
  • 代表者として連帯保証人になりたくない人

新規開業資金

新規開業資金は、日本政策金融公庫が新規開業者のために設けている融資制度です。新規開業資金は、事業をはじめるために必要な備品の購入費用や事業を継続するために必要な資金に使えます。

新創業融資制度と一緒に活用することで、無担保・無保証人で融資を受けられるため、初めて起業する方におすすめの制度です。

対象者 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方
資金の使用用途 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金
融資限度額 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
金利 基準利率 1.97~3.00%(令和5年5月1日現在、年利%)
返済期間 設備資金:20年以内<うち据置期間2年以内>
運転資金:7年以内<うち据置期間2年以内>

利用がおすすめの人の特徴は以下の通りです。

  • 新たに事業を始める人
  • 事業を継続するために資金が必要な人

女性、若者/シニア起業家支援資金

女性、若者/シニア起業家支援資金は、女性または35歳未満か55歳以上の方向けの日本政策金融公庫の融資制度です。設備資金が20年以内と返済期間が長く金利が安いです。新創業融資制度と組み合わせられる点が特徴の1つになります。

新創業融資制度と一緒に活用することで、無担保・無保証人で融資を受けられるため、女性、若者、シニアに該当する方にはおすすめの制度です。

対象者 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方のうち、女性または35歳未満か55歳以上の方
資金の使用用途 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金
融資限度額 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
金利 特別利率A 1.57~2.60%(令和5年5月1日現在、年利%)
返済期間 設備資金:20年以内<うち据置期間2年以内>
運転資金:7年以内<うち据置期間2年以内>

利用がおすすめの人の特徴は以下の通りです。

  • 新たに事業を始める人のうち女性、若者、シニアに該当する人
  • 事業を継続するために資金が必要な人

再挑戦支援資金

再挑戦支援資金は、一度廃業した人や再起を図りたい人が利用できる融資です。事業を立ち上げて失敗した人が再度チャレンジできるような資金制度であるため、魅力的ですが、一度廃業していることから、審査のハードルは高くなります。

また、再挑戦支援資金を利用できる人は、廃業した経験が必要です。再挑戦支援資金を申し込む際は、担保や保証人が必要となる場合があるため、事前に検討しておきましょう。

対象者 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方のうち、
下記のすべてに該当する方

  1. 廃業歴等を有する個人または廃業歴等を有する経営者が営む法人であること
  2. 業時の負債が新たな事業に影響を与えない程度に整理される見込み等であること
  3. 廃業の理由・事情がやむを得ないもの等であること
資金の使用用途 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金(前事業に係る債務を返済するために必要な資金を含みます。)
融資限度額 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
金利 基準利率1.97~3.00%(令和5年5月1日現在、年利%)
返済期間 設備資金:20年以内<うち据置期間2年以内>
運転資金:15年以内<うち据置期間2年以内>

利用がおすすめの人の特徴は以下の通りです。

  • 廃業歴がある人
  • 再起を図りたい人

新事業活動促進資金

新事業活動促進資金は、新規事業を立ち上げるときに利用できる融資制度です。優れた独自技術やノウハウを活用した新規事業や、経営革新計画や経営力向上計画の認定を受けた事業に活用する資金について利用できます。

新事業活動促進資金の申請に通るためには、技術やノウハウに新規性があるかどうかを第三者の客観的な判断も重要な要素です。

対象者
  1. 「経営革新計画」の承認を受けた方
  2. 農林水産業支援サービス業を営む方であって、農商工等連携事業を行う方のうち、3年間で2%以上の付加価値額の伸び率が見込まれる方
  3. 「基盤確立事業実施計画」の認定を受けた方
  4. 「経営力向上計画」の認定を受けた方
  5. 小企業等経営強化法に基づく中小企業等の経営強化に関する基本方針に定める新たな取り組みを行い、2年間で4%以上の付加価値額の伸び率が見込まれる方
  6. 技術・ノウハウ等に新規性がみられる方
  7. 上記1~6に該当しない方で、新たに第二創業(経営多角化、事業転換)を図る方または第二創業後おおむね5年以内の方
資金の使用用途 「該当者」に該当する方が、当該事業を行うために必要とする設備資金および運転資金
融資限度額 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
金利 基準利率 1.97~3.00%
特別利率A(1.57〜2.60%)
特別利率B(1.32〜2.35%)
特別利率C(1.07〜2.10%)
特別利率D(1.32〜2.05%)
(令和5年5月1日現在、年利%)
返済期間 設備資金:20年以内<うち据置期間2年以内>
運転資金:7年以内<うち据置期間2年以内>

利用がおすすめの人の特徴は以下の通りです。

  • 新しく事業を立ち上げる人
  • 独自の技術やノウハウを持っている人

地方自治体の制度融資

地方自治体の制度融資は、中小企業や起業家などに対して、地方自治体が提供している融資制度です。各自治体は、中小企業の経営安定化、創業支援、地域経済の発展のために、融資制度を設けています。

例えば、東京都の制度融資では、DXの推進に取り組む方に融資するDX・イノベ・産業育成支援融資(DX)や中小企業が抱える様々な社会課題の解決を支援する社会課題解決融資(社会課題)などがあります。

地方自治体の制度融資は、各自治体のWebページで確認でき、制度融資の対象者は、中小企業者です。地方自治体の制度融資のメリットは、金融機関独自の融資に比べて、低金利であることが多いです。

自分に適している融資制度を探して、申し込みを進めていきましょう。

利用がおすすめの人の特徴は以下の通りです。

  • 起業したばかりで信用が低い起業家
  • 長期間の借入したい人

起業で融資を受ける際に気をつけるポイント

起業で融資を受ける際に気をつけるポイント

起業で融資を受ける際には、融資を受ける目的をはっきりさせることが大切です。

目的をはっきりさせるためには、事業計画や財務計画を作成し、融資の資金使途や返済方法を明確にしなければなりません。融資の審査をする方も、起業の目的や融資の使い道が不明確な人にお金を貸すことは不安でしょう。

また、審査担当の方は、貸したお金がきちんと戻ってくるかどうかを考えます。融資の審査を通りやすくし、起業の方向性を決めるためにも、融資を受ける目的を決める必要があります。

起業の窓口」の特集ページ「AI×起業」では、AIを活用して事業計画書を簡単に作成する方法を紹介!

詳しくは「【できるのか?】ChatGPTを使ってたった1時間で事業計画書を書くアラフォー起業家。《小説「AI起業」シリーズ#01》」をご覧ください。

融資以外の資金調達方法

融資以外の資金調達方法

起業する際に融資を借りようとしても、審査に落ちる場合があります。審査に落ちると、資金が少なく起業ができないと考える方も多いでしょう。

審査に落ちた方に向けて、融資以外の資金調達の方法を4つ紹介します。

  • 自己資金を使う
  • 出資を受ける
  • 借入をする
  • 補助金や助成金を受ける

下記の表ではメリット・デメリットをまとめています。ぜひ参考にしてみてください。

資金調達方法 メリット デメリット
自己資金を使う 融資の利息や返済に関するリスクを回避できる 自分で資金を貯める必要がある
出資を受ける 返済不要の資金が受けられる 経営に対して意見され、思い通りに行かない可能性がある
借入する 誰でも資金調達ができる可能性がある 人間関係を壊す可能性がある
補助金や助成金を受ける 原則返済をする必要がない 誰でも必ずもらえるわけではない

自己資金を使う

起業に必要な資金調達方法の1つに、自己資金を使う方法があります。自己資金を使うことで、融資の利息や返済に関するリスクを回避できます。

融資を受ける際に必要な担保や保証人を用意する必要がなく、手続きが簡単になる点もメリットです。自己資金を活用することで、自分の身銭を切っているという感覚から、事業に真剣に取り組めるようになるでしょう。

出資を受ける

出資とは返済不要の資金を受けることです。

出資の種類には主に下記の3つがあります。

  • ベンチャーキャピタル
  • エンジェル投資家
  • 出資型クラウドファンディング

出資を受けるためには、事業が成長する見込みがないといけません。

ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家は、事業投資として行っているため、成長性や将来性がないと判断された場合は、出資してもらえません。ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から出資してもらえると、経営のアドバイスをもらえるのも大きなメリットです。

出資型クラウドファンディングは金融機関と異なり、商品やサービスに共感してもらえると、ネット上で拡散し、資金調達が早くできます。しかし、ネット上に情報が残るため、商品を真似される可能性があるでしょう。

借入する

起業する際の資金を集める1つの方法として、他者から借入する方法があります。借入をする場合、家族や知り合いに依頼する人もいるでしょう。家族や知り合いから借入する場合、銀行と異なり誰でも資金調達できる可能性があります。

しかし、金の切れ目は縁の切れ目と言うように、人間関係が壊れてしまうことも考えられます。家族や知り合いから借入を行う際も、きちんと契約をかわし、決められた通りに返済するなど人間関係が壊れないようにしましょう。

補助金や助成金を受ける

国や地方自治体が行っている補助金・助成金を利用することも、資金調達の方法です。融資はお金をもらったわけではなく借りている状態であるため、必ず返済しなければならず、経営を圧迫する可能性があります。

しかし補助金や助成金を上手く使えば、返済の心配がなく経営を圧迫することもありません。

補助金や助成金は下記の通りです。

補助金や助成金によって、申請の条件が異なるため、利用できるのかどうか確認した上で、申請しましょう。

自己資金なしでも起業できる?

自己資金なしでも起業できる?

結論から言うと、自己資金なしでも起業はできます。仕入れが必要ない事業やパソコンがあればできる事業の場合、自己資金は必要ありません。

しかし、店舗や事務所を借りた事業をする場合は、まとまった資金が必要になり、自己資金がないとできません。店舗や事務所を借りた事業を行いたい場合には自己資金を用意しましょう。

今回紹介した融資制度は、自己資金要件がない制度もあり、自己資金なしでも申請要件を満たすことはできますが、実際に融資を受けるのは困難な場合がほとんどです。融資を受けるためには自己資金を準備しておきましょう。

まとめ

今回は、起業時に受けられる融資制度や融資を受ける際のポイントなどについて解説しました。起業する際に、自己資金が少ない場合は融資を受けて資金を集めましょう。

融資によって申請できる条件が異なるため、条件に適しているかどうか判断した上で手続きを行ってください。

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記事監修
中野裕哲
中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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