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【個人事業主向け】インボイス制度に登録しないとどうなる?登録するメリットと影響について解説

【個人事業主向け】インボイス制度に登録しないとどうなる?登録するメリットと影響について解説

インボイス制度により、消費税の仕組みが大きく変わりました。個人事業主にとっては、取引先との契約や売上に直接影響するため、対応を誤ると大きな不利益を被る可能性があります。

登録するかどうかを判断するには、制度の仕組みやメリット・デメリットを正しく理解することが不可欠です。

この記事では、インボイス制度の概要から登録の必要性、経過措置や背景に至るまで詳しく解説します。

【この記事のまとめ】
  • インボイス制度は消費税の流れを明確にし、公平な取引を実現するために導入されました。
  • 未登録だと取引減少や値下げ要請のリスクがあり、法人取引では特に影響が大きくなります。
  • 登録すれば信頼性や効率が高まり、事業拡大にも有利ですが、納税や事務負担は増えます。
INDEX
  1. インボイス制度とは
  2. 適格請求書(インボイス)の要件
  3. 仕入れ税額控除に関する経過措置あり
  4. インボイス制度の導入背景と目的
  5. 【注意】インボイス制度に登録しない場合に受ける影響
  6. 取引減少に伴い仕事が減る可能性がある
  7. 消費税分の値下げを要求される場合がある
  8. 課税事業者との取引継続に支障が出ることも
  9. 将来的に取引先を失うリスクが高まる
  10. インボイス制度が個人事業主に与える業種別の影響
  11. フリーランス・クリエイター・ライター業界
  12. 建設業・一人親方などの下請け構造
  13. IT系やコンサルタント業など無形サービス業
  14. インボイス制度に登録するメリット
  15. 電子インボイスによって業務の効率化が可能
  16. インボイス制度開始後は取引が有利になる可能性も
  17. 仕入れ先からの信頼性が高まる
  18. 事業拡大時の信用力向上につながる
  19. インボイス制度対応に必要な実務とコスト
  20. 記帳・請求書発行の手間が増加する
  21. 消費税の納税義務が発生する
  22. 税理士やクラウド会計ソフトの活用も視野に入れる
  23. 【重要】個人事業主はインボイス制度への登録は必須?
  24. インボイス制度に登録して適格請求書発行事業者となる
  25. インボイス制度に登録しないで免税事業者となる
  26. 取引先や業界構造による判断基準を持つことが重要
  27. 開業したばかりの個人事業主は登録のタイミングに注意
  28. インボイス制度導入で注意すべき実務ポイント
  29. 登録事業者の記載義務と保存義務
  30. 帳簿・請求書の管理体制を見直す必要性
  31. 税理士との連携や経理ソフトの導入も視野に
  32. 【結論】長期的に経営するならインボイス制度への登録が望ましい

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インボイス制度とは

インボイス制度とは

インボイス制度を簡単に説明すると、請求書の発行や保存、消費税納税の仕組みが変更となる制度のことです。

正式には「適格請求書等保存方式」と呼ばれ、仕入税額控除額を適用するためには、一定の要件を満たした適格請求書(インボイス)が必要になります。

インボイス制度が開始される背景には、2019年10月から導入された軽減税率が関係しています。現在の日本では、標準税率の10%と軽減税率が適用される8%の2つの税率が混在するようになりました。

商品・サービスに対して、標準税率・軽減税率のどちらが適用されているかを正確に把握することが必要です。そのため、商品・サービスに課せられる税率・消費税額を適格請求書(インボイス)に明記するインボイス制度が実施されることになったのです。

適格請求書(インボイス)の要件

従来の請求書発行のプロセスとは異なり、インボイス制度に登録した適格請求書発行事業者は、以下の要件を守って適格請求書を発行しなければいけません。

  • 適格請求書発行事業者の氏名または名称および、登録番号
  • 取引年月日
  • 取引の内容
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜きまたは税込み)および、適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額等
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

これらの要件が満たされた請求書を適格請求書(インボイス)といいます。

今までは売り手が免税事業者だった場合でも、仕入税額控除が受けられていました。しかし、インボイス制度が始まる2023年10月以降は、仕入税額控除の際に適格請求書発行事業者が発行する適格請求書(インボイス)が必要です。

つまり、「適格請求書発行事業者」として登録が認められていない事業者からの請求書では、仕入税額控除を受けられなくなります。

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仕入れ税額控除に関する経過措置あり

インボイス制度の導入により、現在免税事業者との取引がある課税事業者には大きな負担がかかると考えられます。

インボイス制度の実施から6年間は、免税事業者からの仕入れについても一定割合を控除可能にする経過措置が設けられており、段階的に控除額が下がる形です。

2026年9月までは80%、2029年9月までは50%の控除が受けられるため、免税事業者はこの期間に課税事業者への転換などを考えていかなければいけません。

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インボイス制度の導入背景と目的

インボイス制度が導入された背景には、消費税の公平な負担と適正な徴収を実現する目的があります。

従来は、免税事業者との取引において仕入れ税額控除が認められていたため、実際には消費税を納めていない分まで控除されるケースがありました。

制度導入によって、適格請求書を通じて消費税の流れを明確化し、事業者間の取引を透明にすることが狙いです。

結果として、税務処理の適正化と市場全体の公正な競争環境の確保につながるとされています。

【注意】インボイス制度に登録しない場合に受ける影響

【注意】インボイス制度に登録しない場合に受ける影響

インボイス制度への登録は義務化されてはいないものの、登録しない場合にはさまざまな影響を受ける可能性が考えられます。

特に2年前の課税売上高1,000万円以下の免税事業者は、インボイス制度への登録によって消費税の納税が必要になるため、インボイス制度への登録を検討しなければならないでしょう。

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ここでは、インボイス制度に登録しない場合に受ける影響を解説します。

取引減少に伴い仕事が減る可能性がある

インボイス制度に登録していない免税事業者は、取引先からもらえる仕事が減ってしまう可能性があります。

特に課税事業者と取引をしている個人事業主や中小企業は注意が必要です。

インボイス制度に登録していない免税事業者は、適格請求書発行事業者として認められていないため、適格請求書(インボイス)の発行ができません。つまり、課税事業者は免税事業者との取引で仕入税額控除ができなくなり、消費税の負担が高くなります。

その結果、課税事業者は税金の負担を減らすために、免税事業者との取引を控えたり、適格請求書発行事業者のみとの取引に転換してしまったりする可能性があります。

インボイス制度開始後の一定期間は経過措置があるため、「免税事業者のままでいても大きな影響はないのでは?」と考える人もいるかもしれません。しかし、営んでいる事業によっては負担が大きくなるため、インボイス制度への登録を前向きに検討しておきましょう。

主な取引が一般消費者と行うBtoCであれば、比較的少ない影響で済みます。BtoBの取引を主に行っている事業主の場合は、より大きな影響を受けやすいと考えられます。

また、取引先が免税事業者である場合簡易課税制度を利用している場合は、適格請求書(インボイス)の発行が不要です。

消費税分の値下げを要求される場合がある

インボイス制度に登録しなかった個人事業主や中小企業は、取引先の課税事業者から消費税分の値下げを要求される可能性があります。

インボイス制度に登録していない個人事業主や中小企業との取引は、課税事業者にとってはメリットが少ないです。仕入税額控除ができないため、免税事業者との取引はインボイス制度に登録した事業者と比べると10%(経過措置の期間を除く)の税負担が増えます。

そのため、課税事業者は適格請求書発行事業者との差を埋めるために、消費税分の値下げや他の部分での優遇を求める交渉をしてくる可能性が考えられます。

また、特別なスキルやノウハウの必要がない業務を請け負っている場合、適格請求書発行事業者との取引をしたほうが税負担が減少するため、適格請求書発行事業者との取引を優先する可能性が十分に考えられます。

インボイス制度に登録しなかった個人事業主は、結果的に収入減少などの影響を受けてしまう可能性があることを十分に理解しておかなければなりません。

課税事業者との取引継続に支障が出ることも

大手企業や課税事業者は、仕入れ税額控除を前提に経理を行っていることが多いため、適格請求書を発行できない相手とは積極的に取引を続けにくくなります

特に、仕入れ額が大きい業種ではこの傾向が顕著です。取引先が負担を避けるために、登録事業者に切り替える動きが広がる可能性もあります。

結果として、個人事業主が長年築いた取引関係に支障が生じ、事業の存続自体に影響が出ることもあり得ます。

将来的に取引先を失うリスクが高まる

インボイス制度には経過措置が設けられているため、当面は未登録のままでも一定割合の控除が認められます。

しかし、この猶予は段階的に縮小され、最終的には控除が一切できなくなります。つまり、時間が経つほどに未登録事業者との取引コストが増す構造です。

したがって、長期的に見れば取引先が離れていくリスクが避けられません。短期的な判断ではなく、将来を見据えた対応が不可欠です。

インボイス制度が個人事業主に与える業種別の影響

インボイス制度が個人事業主に与える業種別の影響

インボイス制度は、すべての個人事業主に同じ影響を与えるわけではありません。業種ごとに取引構造や顧客層が異なるため、リスクや対応の必要性に差があります。

ここでは、代表的な業界別の影響について詳しく解説します。

フリーランス・クリエイター・ライター業界

ライターやデザイナー、映像編集者などのフリーランスは、クライアントが法人であることが多く、インボイス制度の影響を強く受けやすい業種です。

登録をしていないと、発注元が仕入れ税額控除を受けられず、継続的な取引を敬遠される可能性が高まります

特に競合が多い分野では、同じスキルを持つ登録済みの事業者に案件が流れやすくなるでしょう。

未登録のままでは、値下げを迫られるリスクもあり、安定した収入を維持するうえで不利になりやすいのが実情です。

建設業・一人親方などの下請け構造

建設業は元請けと下請けの階層構造が明確であり、インボイス制度の影響が特に大きい分野です。

元請けが課税事業者の場合、下請けが登録していなければ消費税の控除ができないため、契約上の立場が弱い一人親方ほど影響を受けやすくなります

その結果、登録を条件とした契約や、消費税分の値引きを求められるケースが増えることが予想されます。

建設業界は取引金額も大きいため、制度に対応できていないと仕事を失うリスクが一段と高くなりやすいです。

IT系やコンサルタント業など無形サービス業

ITエンジニアやコンサルタントといった無形サービス業も、インボイス制度による影響は軽視できません。

クライアントの多くが法人や組織であり、仕入れ税額控除を前提に契約を進めるのが一般的なため、未登録の事業者は敬遠されやすく、長期的な顧客関係に悪影響が及ぶ恐れがあります。

また、専門的な知識を武器に活動していても、制度に対応していないことで信頼性を疑われる可能性もあります。高単価案件を安定して受注するためには、登録しておくことが望ましいです。

インボイス制度に登録するメリット

インボイス制度に登録するメリット

インボイス制度に不安を抱える方もいますが、インボイス制度に登録することでさまざまなメリットの恩恵を受けられます。

ここでは、インボイス制度に登録するメリットを解説します。

電子インボイスによって業務の効率化が可能

インボイス制度では、電子データ形式の電子インボイスの送付や保管が認められています。

電子インボイスは、適格請求書発行事業者が発行できる適格請求書(インボイス)を電子化したデータのことを指します。

電子インボイスは、請求書や発注書などをインターネット上でやり取りする世界標準規格Peppol(ペポル)が採用されると発表がありました。書式が統一されることによって、異なるシステムを利用する企業から発行された請求書でも自動で取り込めるため、業務の効率化が可能です。

基本的にシステムを使って自動的に請求書を取り込むため、人為的なミスやデータの改ざんなども防ぐことが可能であり、信頼性の高い請求書を発行できます。

また、電子インボイスは、請求書の印刷や郵送の費用がかからず、費用削減にも貢献します。さまざまな物価の高騰が止まらないなかで、少しでも無駄なコストを減らしたいと考える個人事業主にとっては大きな助けとなるでしょう。

インボイス制度開始後は取引が有利になる可能性も

インボイス制度開始後は、インボイス制度に登録した適格請求書発行事業者の取引が有利になる可能性が考えられます。

課税売上高1,000万円以下の個人事業主は、インボイス制度に登録しないで業務を継続することも可能です。ただし、課税事業者は税負担等を考慮した結果、「インボイス制度に登録した仕入税額控除が可能な個人事業主のみと取引したい」と考えてもおかしくありません。

つまり、個人事業主はインボイス制度への登録の有無が課税事業者との取引継続のポイントになります。インボイス制度はすべての個人事業主が登録するわけではないため、登録したという事実が企業へのアピールポイントとなるでしょう。

インボイス制度へ登録した場合は、適格請求書発行事業者であることを積極的にアピールして営業をかけていくことも可能です。

仕入れ先からの信頼性が高まる

インボイス発行事業者として登録することは、税務において適正な処理を行っている証でもあります。仕入れ先や取引先にとっては、安心して契約できる相手かどうかを判断する一つの基準になるのです。

未登録の事業者よりも登録済みの事業者を選ぶのは自然な流れであり、信頼性の差が取引継続の鍵となります。

また、登録事業者であることを名刺やホームページで明示すれば、外部からの信用度も高まり、長期的な関係構築につながる点は大きなメリットといえます。

事業拡大時の信用力向上につながる

将来的に事業を拡大したいと考える個人事業主にとって、インボイス制度への登録は信用力を高める有効な手段です。

金融機関から融資を受ける際や新規の法人取引を開拓する場面では、登録事業者であることが一種の信頼材料として評価されやすくなります

特に大規模な取引や長期契約を結ぶ際には、制度対応しているかどうかが条件に含まれる場合もあります。

つまり、登録は現在の取引を守るだけでなく、将来のビジネスチャンスを広げるための投資ともいえるのです。

インボイス制度対応に必要な実務とコスト

インボイス制度対応に必要な実務とコスト

インボイス制度に登録すると、取引上のメリットを得られる一方で、日々の業務や税務処理に新たな負担が発生します。特に事務作業や納税管理の手間が増えるため、事前にコストを把握して備えることが重要です。

ここでは、具体的に必要となる実務とコストについて詳しく解説します。

記帳・請求書発行の手間が増加する

適格請求書発行事業者になると、取引ごとに発行する請求書へ記載すべき項目が増えます。

取引先の登録番号や税率ごとの消費税額などを正確に記録しなければならず、従来の請求書発行よりも事務作業が複雑になります

さらに、帳簿にも取引の詳細を記録し、保存期間を守る必要があるため、作業量が増えるのは避けられません。

こうした事務負担は小規模な個人事業主にとって大きな課題となり得るため、効率化の仕組みを導入する工夫が求められます。

消費税の納税義務が発生する

インボイス制度に登録した時点で、免税事業者であっても課税事業者として扱われるようになり、売上にかかる消費税を顧客から預かり、原則として税務署へ納める義務が発生します。

従来は納税が不要だった個人事業主にとって、新たな資金繰りや納税計画の策定が不可欠です。特に消費税は年間で大きな額になることも多いため、納付資金を事前に確保しておくことが重要になります。

この点を理解せず登録してしまうと、思わぬ資金負担に直面する可能性があります。

税理士やクラウド会計ソフトの活用も視野に入れる

増加する事務負担や納税対応を一人でこなすのは容易ではありません。そのため、多くの個人事業主は税理士に依頼したり、クラウド会計ソフトを導入したりする方法を検討しています

税理士に依頼すれば正確な申告や節税のアドバイスを受けられる一方で、顧問料が発生します。

クラウド会計ソフトであれば、請求書発行から帳簿管理までを自動化でき、コストを抑えながら効率化が可能です。

いずれにしても、制度対応に伴う追加コストを想定して計画を立てることが欠かせません。

【重要】個人事業主はインボイス制度への登録は必須?

【重要】個人事業主はインボイス制度への登録は必須

個人事業主は、課税売上高によってインボイス制度への登録は必須ではありません。

課税売上高1,000万円を超えていなかった場合、インボイス制度への登録は任意であり、適格請求書発行事業者となるか、免税事業者となるかを選択可能です。

インボイス制度に登録して適格請求書発行事業者となる

インボイス制度が始まる2023年10月1日から登録を受ける場合は、2023年9月30日までに国税庁に登録申請が必要です。

インボイス制度に登録した個人事業主は、インボイス制度に対応した適格請求書(インボイス)の準備が必要です。適格請求書(インボイス)には、登録事業者番号などの記載が必要になるため、スムーズな取引のためにも事前に準備しておきましょう。

また、課税売上高が1,000万円以下の個人事業主は、今まで免税されていた消費税の納付が必要です。ただし、2026年9月30日までは小規模事業者の負担を軽減させるための措置「2割特例」が実施されます。この措置では、本来かかる消費税を2割軽減できるため、今まで免税事業者だった場合は有効活用しましょう。

個人事業主の課税期間は、1月1日から12月31日の1年間です。2023年10月1日からインボイス制度の登録を受けた場合は、翌年3月31日までに消費税の確定申告と納付を忘れずに行いましょう。

インボイス制度に登録しないで免税事業者となる

課税売上高1,000万円以下の個人事業主がインボイス制度に登録しない場合は、今までと同様に免税事業者となります。

消費税は免税されますが、発行する請求書に登録事業者番号を記載することができません。

課税事業者へ提出した請求書から、インボイス制度に登録していないことが発覚した場合、消費税分の値下げや契約の解除を求められる可能性があります。他の個人事業主などに依頼できないような仕事を受けているのではない限り、適格請求書発行事業者との取引を優先されてしまう可能性もあるでしょう。

インボイス制度に登録せずに取引を続ける場合は、仕入税額控除以上に取引先へメリットを与えられるように動いていかなければいけません。

2026年9月までは80%、2029年9月までは50%の控除が可能になる経過措置があるため、急に取引を打ち切られるリスクは少ないと考えられます。

将来的に取引が減少する可能性は十分にあるため、早い段階でインボイス制度への登録を検討しましょう。

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取引先や業界構造による判断基準を持つことが重要

登録の要否は、事業者の状況や取引先の性質によって大きく変わります。

例えば、顧客が法人中心であれば登録はほぼ必須ですが、個人客が大半であれば未登録でも大きな問題は生じにくいでしょう。

建設業や下請け構造の強い業界では、登録が条件とされるケースが増えると予想されます。

つまり、自分の業種や取引関係を冷静に分析し、最適な判断基準を持つことが重要です。安易に「登録しない」と決めるのは避けましょう。

開業したばかりの個人事業主は登録のタイミングに注意

新たに開業した個人事業主にとっては、登録のタイミングを見極めることが欠かせません。

開業直後は売上が基準を下回るケースが多く、免税事業者として活動する方が資金面で有利なこともあります。

しかし、今後法人取引を増やしたい場合は、早めに登録して信頼を得ておく方が有効です。加えて、登録には一定の手続き期間がかかるため、必要な時期から逆算して準備を進めることが望まれます

戦略的に登録のタイミングを選ぶことが成功のカギとなります。

インボイス制度導入で注意すべき実務ポイント

インボイス制度導入で注意すべき実務ポイント

インボイス制度は登録さえすれば終わりではなく、日常の経理業務に新しいルールを取り込む必要があります。特に、記録や保存に関する義務が強化されるため、適切な管理体制が欠かせません。

ここでは、導入後に注意すべき実務ポイントについて詳しく解説します。

登録事業者の記載義務と保存義務

適格請求書発行事業者になると、取引ごとに請求書へ登録番号や税率ごとの消費税額を記載しなければなりません。さらに、発行した請求書を7年間保存する義務も課されます。

違反してしまうと、取引先が仕入れ税額控除を受けられず、信頼を損なう恐れがあります。

正確な記載と適切な保存は、制度対応の基本であると同時に取引先への責任でもあるため、事業を継続するうえで欠かせない義務として捉える必要があります。

帳簿・請求書の管理体制を見直す必要性

インボイス制度の下では、従来よりも請求書や帳簿の内容を厳密に管理する必要が生じます。税率ごとに区分した記録や、仕入れ先の登録番号の確認など、従来よりも細かい作業が求められるのです。

紙のまま管理を続けるとミスや紛失のリスクが増えるため、電子化やクラウド化の導入を検討することが有効です。

効率的な体制を整えておくことで、制度対応をスムーズにし、余計なトラブルを防ぐことが可能になります。

税理士との連携や経理ソフトの導入も視野に

インボイス制度に対応するためには、専門的な知識や仕組みを活用することが効果的です。税理士に相談すれば、記帳方法や節税のアドバイスを受けられ、安心して業務を進められます。

一方で、コストを抑えたい場合は、経理ソフトやクラウドサービスを導入することで自動化を進める方法もあります

特に電子インボイスとの連携が可能なサービスを使えば、日々の処理を効率化でき、負担軽減につながります。自分の事業規模に合ったサポート体制を整えることが重要です。

【結論】長期的に経営するならインボイス制度への登録が望ましい

インボイス制度は、取引先の信頼性や継続的な仕事の確保に直結する重要な仕組みです。登録によって事務負担やコストは増えるものの、長期的に安定した事業を営むためには避けて通れません。

業種や取引構造によって判断の余地はあるものの、多くの個人事業主にとって登録は将来の信用力を高める投資といえるでしょう。制度を正しく理解し、準備を進めることが成功への第一歩となります。

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記事監修
中野裕哲
中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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