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飲食店を開業するまでの流れ|必要な資格や手続きを徹底解説

飲食店を開業するまでの流れ|必要な資格や手続きを徹底解説

「自分で考えた理想的な飲食店を切り盛りしたい」という夢を持つ人は多くいます。しかし、開業までにやるべきことの流れを把握し、着実に準備を進めなければ成功は望めません。特に、お店全体の方向性を定めるコンセプトづくりは非常に重要です。

こちらでは、飲食店開業までの流れや必要な資格・手続きを解説します。飲食店を開業し、お客さんに長く愛されるお店にしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

【この記事のまとめ】
  • 次に、事業計画の策定が重要です。既に決めたコンセプトを具体化するため、開業の動機や店舗情報、資金計画などを含む事業計画書を作成します。この計画書は融資を受ける際や協力者の理解を得るためにも必要です。しっかりとした計画を持つことで、開業準備がスムーズに進むでしょう。
  • 次に、事業計画の策定が重要です。既に決めたコンセプトを具体化するため、開業の動機や店舗情報、資金計画などを含む事業計画書を作成します。この計画書は融資を受ける際や協力者の理解を得るためにも必要です。しっかりとした計画を持つことで、開業準備がスムーズに進むでしょう。
  • 最後に、開業準備には手続きや資金調達が欠かせません。物件を決めた後、金融機関への融資申請や内外装施工、厨房設備の購入などを行います。また、開業に必要な手続きとして、保健所からの営業許可や税務署への届け出が必須です。これらの準備を整え、円滑な開業を目指します。

起業の窓口」では、AIインフルエンサーの茶圓氏とコラボをおこない、AIを活用してビジネスの効率化を図るための貴重な知識を提供しています。

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飲食店を開業するまでの流れ

飲食店を開業するまでの流れ

長く続く飲食店を開業するには、綿密な準備が必要です。開業準備のステップは大きく分けて8つあり、すべてを遂行するには短くても半年~1年程度はかかるでしょう。

開業までにやるべき準備は、次の図のような流れで進んでいきます。

飲食店を開業するまでの流れ

1.コンセプト設計

コンセプト設計は、飲食店開業準備において最初に行うべき最重要工程です。

コンセプトが定まっていないと後の準備が円滑に進められなくなってしまいます。

ですが物件が決まらないとカッチリしたコンセプトは固められないため、物件が決まるまでは想定で進めていきましょう。物件が決まってから1ヶ月後には完了させておきたい工程です。

コンセプト設計では、店舗の雰囲気だけでなく「誰がターゲットなのか」「どのようなメニューを提供するのか」といった具体的な目標まで決めます。次の7W2Hをもとに設計してみてください。

コンセプト設計の7W2H

  1. Why(理由・目的)・・・ どうして、何のために開業するのか
  2. When(開業時期)・・・ いつまでに開業するのか
  3. Where(場所)・・・ どの地域・立地で開業するのか
  4. Who(関係者)・・・ 誰と開業するのか
  5. Whom(ターゲット層)・・・ どのような客層を想定しているのか
  6. What(提供メニュー)・・・ どのような食べ物・飲み物を提供するのか
  7. Which(おすすめ商品)・・・ どのメニューがおすすめなのか
  8. How(宣伝方法)・・・ どのように宣伝するのか
  9. How much(費用)・・・ どれだけの費用をかけて開業するのか

7W2Hのなかでも、Why(開業の理由・目的)をしっかり定めておくと、他の項目も決めやすくなります。

2.事業計画の策定

物件が決まり資金調達に進む前までに準備しておきたいのが、事業計画の策定です。

事業計画の策定では、既に決めたコンセプトを客観的に明確化・具体化するために、書類を作成します。

事業計画書に最低限まとめるべき項目は、次の7点です。

  • 開業の動機
  • 経営者の略歴
  • 店のコンセプト
  • 店舗情報(立地と競合状況・営業時間・取引先など)
  • 雇用計画(雇用予定の従業員数・人件費)
  • 資金計画(資金調達方法・返済計画など)
  • 損益計画(売上や経費の見込み)

事業計画書は融資を受けたい金融機関や、従業員などの協力者からの理解を得る際にも役立ちますので、必ず作成してください。

起業の窓口」の特集ページ「AI×起業」では、AIを活用して事業計画書を簡単に作成する方法を紹介!

詳しくは「【できるのか?】ChatGPTを使ってたった1時間で事業計画書を書くアラフォー起業家。《小説「AI起業」シリーズ#01》」をご覧ください。

3.物件探し

開業を決めたら店舗として利用する物件を探し出し、6ヶ月前には物件を決めましょう。飲食店として適した物件を探すうえで特に重要なポイントは、以下の3つです。

  • アクセスがよく競合の少ない立地であるか
  • コンセプトに合っているか
  • 飲食店に必要な設備が備わっているか

多くのお客さんを集めるには、立地のよさやコンセプトとの調和が重要です。また、設備や間取りが飲食店として適していないと、営業許可が下りないため気をつけてください。

物件探しは、開業までの全ステップのなかでも特に時間がかかります。現地調査や内見を行い慎重に決めなければいけません。また好条件の物件を探すにあたって、動き出しが遅いと先に他の人に押さえられてしまう可能性があります。

4.資金調達

物件が決まり申し込みを入れたら、店舗の契約や内外装の工事費、運転資金など開業に必要な資金を調達するために金融機関へ融資申請します。必要額は店舗の規模にもよりますが、約1,000万円が目安です。

自己資金だけで足りなければ、金融機関や親族などから借り入れて調達します。融資や借金で資金を集めた場合、期限付きの返済義務が発生しますので、利子も考慮して返済計画を立てておかなければいけません。

国や自治体の補助金や助成金を活用するのも、資金調達のひとつの手段です。ただし、開業後にしか利用できない制度や支払いまでに時間がかかる制度が多く、開業時の資金すべては賄えないことに注意してください。

5.店舗内外装施工、メニュー開発

資金調達に目処がつき、物件を契約したら、店舗内外装施工とメニュー開発を同時並行で行います。内外装とメニューに関しても、お店に統一感が出るようコンセプトに合わせることが前提です。

内外装施工を依頼する業者を選ぶ際は、ホームページなどに掲載されている施工実績が大きな判断材料になります。おすすめは、自身のお店と同じ業態の店舗を施工した実績が豊富な業者です。

提供する食べ物・飲み物は、ターゲット層のニーズに合わせたうえで近隣の他店と差別化する必要があります。材料の仕入れを減らし、作業効率を高めるために、最初はメニュー数を抑えておくのもポイントです。

6.厨房設備・什器・備品購入

続いて、運営の効率化はもちろん、店内の細かな演出にも役立つ厨房設備や什器、備品を購入します。時期の目安は開業2~3ヶ月前です。

コンロ、冷蔵庫、オーブンレンジなどの厨房設備は、予算や厨房の広さに合わせて用意します。スムーズに料理を提供するには、移動に十分なスペースを確保したり、仕込み場・調理場・洗い場などを分けたりといった配置の工夫が必要です。

テーブルや椅子などの什器は、ターゲット層や店内の雰囲気に適したものを用意します。例えばファミリーの客層を想定しているのであれば、子ども用の椅子を用意しておくとよいでしょう。おしぼり、調理器具、掃除用具などの備品も忘れずに購入してください。

7.開業に必要な手続き

1ヶ月前くらいからは、開業に必要な手続きを準備していきましょう。法律上必要な手続きもあるため、このステップを怠ると開業できません。

飲食店の開業手続きとして、保健所での飲食店営業許可を得ることが必須です。その他に店舗の状況や営業形態、提供サービスにより、消防署や警察署への手続きが必要になります。個人事業主として開業する場合には税務署への手続きも必要です。詳しい手続き内容は、後ほど詳しく解説します。

8.開店準備

開業手続きと同時期に、スタッフ採用やマニュアル作成、お店の宣伝といった開店のための準備を進めておくことも必要です。

ホールスタッフや調理スタッフが必要な場合、求人を募集して社員やアルバイトを採用し、接客方法や調理・盛り付けの指導をします。業務ごとに作業内容やマナーを示したマニュアルを作成しておくと、スムーズに指導できるでしょう。

開業2週間ほど前からは、集客のために近隣住民に向けた宣伝活動を行います。SNSやチラシ、グルメ系サイトへの情報掲載をはじめ、さまざまな宣伝方法がありますので、ターゲット層に合った方法に注力することが大切です。

飲食店を開業するために必要な資格

飲食店を開業するために必要な資格

飲食店を開業するためには、特定の資格を取って専門知識や技術を会得する必要があります。ほとんどのケースで取得必須の資格は食品衛生責任者で、場合によっては防火管理者が必要です。

  • 食品衛生責任者
  • 防火管理者

それぞれどのような資格で、取得するためにどのくらいの期間や費用がかかるのか見ていきます。

食品衛生責任者

食品衛生責任者は、その名のとおり食品を取り扱ううえでの衛生管理を担当します。飲食店の営業許可を取るには、食品衛生責任者の有資格者が店舗ごとに1人は必要です。

資格を取得するには、各都道府県の食品衛生協会が行う約6時間の養成講習会を受講します。受講費用は地域や時期によって異なりますが、おおよそ1万円です。なお、栄養士、調理師、製菓衛生士、船舶料理士などの資格があれば、受講不要で食品衛生責任者になれます。

取得自体は簡単ですが、開業直前に受講しようとすると予約枠が埋まっている可能性があるため、スケジュールに余裕を持って取得することが重要です。

防火管理者

防火管理者は、人が多く集まる施設で火災を予防するための業務にあたります。

防火対象物全体の収容人員が30人以上の場合は防火管理者が必要です。建物全体で人員を判定しますので、飲食店の収容人員が30人未満だとしても建物の収容人員が30人以上の場合は防火管理者が必要です。

建物によっては防災管理者も必要な場合がありますので、不動産管理会社に確認しましょう。

学識経験者以外が取得するには、日本防火・防災協会や各市町村の消防長が開催する講習を受けます。建物の延床面積によって取得すべき資格が異なり、300㎡未満の場合は甲種または乙種防火管理者、300㎡以上の場合は甲種防火管理者の講習を受けなければいけません。乙種の講習は約5時間で、5,000~7,000円程度かかります。甲種の講習は2日にわたって合計約10時間行われ、受講費は約6,000~8,000円程度です。

飲食店を開業するために必要な手続き

飲食店を開業するために必要な手続き

飲食店を開業するためには、税務署・保健所・警察署での手続きが必要です。こちらでは、それぞれの手続き内容や必要書類、かかる期間を解説します。

税務署での手続き

個人事業主として開業する場合には、税務署に開業関係の書類を提出して事業を開始する旨を届け出ます。

個人事業主が提出を義務付けられている書類は、「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」です。提出期限は開業から1ヶ月以内で、提出しなくても罰則などはありません。

節税のために青色申告制度を活用したい方は「所得税の青色申告承認申請書」、従業員を雇う方は「給与支払事業所等の開設届出書」の提出も必要です。

手続きは書類を提出するだけですので、書き損じなどがなければ基本的に1日で完了します。

保健所での手続き

保健所では、食品を扱う営業の許可証をもらうための手続きを行います。

営業許可証を取得するには、店舗完成予定の約10日前に必要書類を提出し、設備の検査に通らなければいけません。必要書類は、次の4点です。

  • 営業許可申請書
  • 食品衛生責任者の資格を証明するもの(食品衛生責任者手帳など)
  • 施設の構造及び設備を示す図面
  • 水質検査成績書(貯水槽や井戸水を使用する場合)
  • 許可申請手数料

手続きは、内装工事前に保健所で事前相談してから書類を提出し、施設検査で問題がなければ許可証交付という流れで進みます。営業許可証が交付されるまで、2週間以上かかる場合も多いことに留意してください。

警察署での手続き

飲食店の営業形態によっては、警察署での手続きも必要です。

バーや居酒屋など、夜0時以降に営業して主にお酒を提供する店舗は、「深夜酒類提供飲食店営業開始届」の申請が義務付けられています。手続きするには、開業10日前までに以下の必要書類(一例)を提出してください。

  • 深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書
  • 営業の方法を記載した書面
  • 営業所の平面図
  • 住民票のコピー

クラブ、スナックなどの接待や遊興サービスを伴う店舗は、「風俗営業許可」を取得しなければいけません。主な必要書類は、以下のとおりです。

  • 許可申請書
  • 営業の方法を記載した書類
  • 営業所の平面図及び営業所の周囲の略図
  • 住民票・身分証明書・誓約書
  • 選任する管理者に関する書類

「風俗営業許可」の手続きは審査を含め約2ヶ月かかるため、なるべく早く申請することをおすすめします。

飲食店の開業で失敗しないためのポイントとチェックリスト

飲食店の開業で失敗しないためのポイントとチェックリスト

飲食店の開業で失敗しないためには、次の2つのポイントが重要です。

  • コンセプトを綿密に練る
  • 競合店を調査したうえで事業計画を策定する

準備の初期段階から真剣に取り組み、自分の理想だけでなく近隣の競合店との差別化を意識すれば、成功の可能性は高まります。

飲食店の開業で失敗しないためのチェックリスト

そのほかにも細かな注意が必要ですが、開店が近づいて忙しく、確認がおろそかになりがちな方も多いでしょう。

そこで、簡易的な【飲食店の開業で失敗しないためのチェックリスト】を作成しましたので、ぜひお役立てください。

【飲食店の開業で失敗しないためのチェックリスト】
開業に必要な手続き
保健所で営業許可を取得した
防火管理者の資格を取得した
個人事業の開業届出書を税務署に提出した
設備・備品・什器
厨房設備が正常に動作する
水道・ガスが正常に使える
換気扇・空調・冷暖房が正常に動作する
照明が適切な明るさである
消火器・防犯システムが正常に動作する
電話・インターネットが使える
レジの商品登録が済んでいる
厨房用の備品(包丁・まな板・鍋など)が十分にある
ホール用の備品や消耗品(メニュー・食器類・おしぼりなど)が十分にある
お手洗い用の消耗品(トイレットペーパー・ハンドソープなど)が十分にある
オペレーション
スタッフがレジ操作に対応できる
ホールスタッフが適切にオーダーをとれる
調理スタッフがメニューに使う食材や調理法を理解している
販促・集客関連
Webサイト・SNSアカウントを作成して運用者を決めた
グルメサイトへの登録を行った
近隣にあいさつ回りをした

飲食店の開業に関するよくある質問

飲食店の開業に関するよくある質問

最後に、飲食店の開業に関するよくある質問を、Q&A形式で紹介します。

Q.資金ゼロで飲食店は開業できる?

資金ゼロで飲食店を開業することは不可能ではないものの、実際には非常に難しいでしょう。

なぜなら、開業資金を全額借り入れるのは、金融機関や親族からの相当な信用が必要なためです。日本政策金融公庫をはじめ、一定額の自己資金を用意しなければ、融資が受けられない機関も多くあります。

Q.1人で飲食店は開業できる?

1人での飲食店開業は可能です。必要な資格や許可証を取得していれば、法人または個人事業主として開業できます。

Q.自宅で飲食店は開業できる?

用途地域や設計上の問題がなければ、自宅で飲食店を開業できます。

用途地域とは、建築できる建物や土地の用途制限を定めたルールです。自宅の所在地が適切な用途地域内にあり、保健所の施設検査に通れば、開業可能です。

Q.飲食店を開業するのに許可や届出は必要?

飲食店を開業する際は、保健所の営業許可が必須となります。個人事業主として開業する場合は、税務署に開業届を提出する必要があります。ただし、提出しなくても罰則はありません。その他、消防署への届出も必要となります。

また、0時以降にお酒を提供するお店は、警察署への「深夜酒類提供飲食店営業開始届」の提出が必要です。

Q.飲食店を開業するのに資格は必要?

飲食店を開業するには、最低限「食品衛生責任者」の資格が必要です。建物の収容人員が30人以上であれば店舗の収容人員に関わらず防火管理者が必要です。

まとめ

まとめ

飲食店を開業する際は、半年~1年ほどの念入りな準備が重要であることをお伝えしました。

最初に決めたコンセプトをもとに、競合に負けないような事業計画を策定してから物件探しやメニュー開発を行うことで、一貫したテーマのお店づくりができます。

また、必要な資格の取得や、税務署・保健所・警察署での手続きも忘れてはいけません。最後まで気を抜かずに注意すべきポイントの確認を進めましょう。

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記事監修
中野裕哲
中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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