ビジネスローンとは?個人事業主が利用するメリットやデメリットを解説
個人事業主の資金調達手段として注目を集めるビジネスローンは、銀行融資よりも審査がゆるく、借り入れまでの時間が短い特徴があります。
そのため、急な資金需要に対応できる便利なサービスですが、高金利や借りすぎのリスクなど、注意すべきポイントもいくつか存在します。
この記事では、ビジネスローンの特徴、個人事業主が利用する際のメリットやデメリット、注意点について解説します。
- 【この記事のまとめ】
- ビジネスローンとは事業活動に特化した金融商品です。
- 銀行融資よりも審査がゆるく、融資実行スピードも早い特徴があります。
- 総量規制対象外であるため借りすぎには注意が必要です。
- 個人事業主が利用するビジネスローンとは
- カードローンとの違い
- 銀行融資との違い
- ファクタリングとの違い
- 個人事業主がビジネスローンを利用するメリット
- 利用時に書類の準備が少なくて済む
- 融資までの時間が短い
- 担保や保証人不要でも利用できるケースがある
- 総量規制対象外のため年収が関係ない
- 個人事業主がビジネスローンを利用するデメリット
- 金利が高く総支払額が増える
- 借入限度額が低く十分な資金調達ができない
- 総量規制対象外であるため借りすぎるおそれがある
- 個人事業主がビジネスローンを利用する際の注意点
- 借りすぎに注意して返済シミュレーションを考える
- 開業したばかりだと借り入れできない可能性が高い
- 金融事故を起こした履歴があると審査通過が難しい
- 複数の会社からの同時借り入れは危険
- 金利が低めの銀行系ビジネスローンは審査が厳しい
- 個人事業主には「FREENANCE」がおすすめ!
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個人事業主が利用するビジネスローンとは
個人事業主向けのビジネスローンは、事業資金を調達するための金融商品です。
銀行やノンバンクが提供しており、一般的な個人向けローンとは違って事業活動に特化した融資を対象としています。
審査基準は個人事業主の資金ニーズに応えるため比較的ゆるく、融資実行までの時間が短いのが特徴です。
利用可能額は数十万円から1,000万円程度で、金利は年3%から18%程度と幅広く設定されています。
担保や保証人が不要な商品も多く、事業拡大や運転資金の調達に柔軟に対応できる点が魅力です。
カードローンとの違い
ビジネスローンとカードローンはどちらも個人が利用できる融資サービスです。
しかし、最も大きく違うのは利用目的です。ビジネスローンは事業資金の調達に特化しているのに対し、カードローンは生活資金など幅広い用途に利用できます。
また、ビジネスローンは総量規制の対象外となるため、年収の3分の1を超える借入が可能です。一方、カードローンは総量規制の対象となり、借入額に制限があります。
金利面ではビジネスローンが若干高めに設定されているケースが多いですが、事業用途であれば経費としての計上も可能です。
銀行融資との違い
ビジネスローンと銀行融資はどちらも事業資金の調達手段ですが、主な違いは審査の厳しさと融資実行までの時間です。
ビジネスローンは比較的審査がゆるく、最短で即日融資が可能な商品もありますが、銀行融資は審査が厳格で、融資実行までに数週間から数ヶ月かかるケースもあります。
金利面では一般的に銀行融資の方が低く設定されていますが、ビジネスローンは高めの金利と引き換えに、迅速な資金調達が可能です。
また、銀行融資では担保や保証人が必要なケースが多いのに対し、ビジネスローンは無担保・無保証人で利用できる商品が多くあります。
ファクタリングとの違い
ビジネスローンとファクタリングは、仕組みが大きく異なります。
ビジネスローンは借入金として資金を調達するため、返済義務が生じます。一方、ファクタリングは売掛金の買取によって資金を得るため、返済の必要はありません。
また、ビジネスローンは融資額の制限や審査があるのに対し、ファクタリングは売掛金の額に応じて資金を得られるため、審査は厳しくない傾向にあります。
ファクタリングは手数料が高く、短期的な資金需要に向いている一方、ビジネスローンは比較的長期の資金調達に最適です。
事業の状況や資金需要の性質に応じて、適切な方法を選ぶ必要があります。
個人事業主がビジネスローンを利用するメリット
ここでは、個人事業主がビジネスローンを利用するメリットを解説します。
利用時に書類の準備が少なくて済む
ビジネスローンは、利用時に必要な書類の準備が比較的少なく済みます。
銀行融資では事業計画書や詳細な財務諸表など、多くの書類が要求されますが、ビジネスローンでは最小限の書類で申し込みが可能です。
一般的に本人確認書類と直近の確定申告書、銀行の通帳コピーなど、基本的な書類のみで手続きを進められます。
結果、書類準備の負担が軽減されるため、事業に集中できる時間が増えるでしょう。
「起業の窓口」の特集ページ「AI×起業」では、AIを活用して事業計画書を簡単に作成する方法を紹介!
詳しくは「【できるのか?】ChatGPTを使ってたった1時間で事業計画書を書くアラフォー起業家。《小説「AI起業」シリーズ#01》」をご覧ください。
融資までの時間が短い
ビジネスローンのメリットは、融資までの時間が非常に短いことです。
通常の銀行融資では審査に数週間から数ヶ月かかる場合もありますが、ビジネスローンは最短即日、遅くても数日程度で融資が実行されます。
この速さがあれば、急な資金需要や予期せぬ支出に柔軟に対応できます。
たとえば、大口の注文に対応するための材料費や突発的な設備の修理費用など、即座に資金が必要な場面で高い効果を発揮するでしょう。
また、ビジネスチャンスを逃さず、タイミングよく事業拡大を図ることも可能です。迅速な融資実行は、個人事業主の資金繰りをサポートする大きなメリットといえます。
担保や保証人不要でも利用できるケースがある
ビジネスローンのメリットは、担保や保証人が不要でも利用できるケースがある点です。
銀行融資では不動産などの担保や第三者の保証人が求められる場合が一般的ですが、ビジネスローンでは不要になるケースがあります。
担保となる資産を持たない事業主や保証人を立てるのが難しい場合でも、事業の将来性や返済能力を評価基準として融資を受けられる可能性があります。
このような特徴により、個人事業主が必要な資金を調達し、ビジネスを成長させる機会を得られるはずです。
総量規制対象外のため年収が関係ない
ビジネスローンは総量規制の対象外です。
個人向けローンでは年収の3分の1を超える借入が制限される総量規制が適用されますが、事業資金を目的としたビジネスローンは規制の対象外になります。
個人事業主は年収に関係なく、事業に必要な資金を借り入れ可能です。たとえば、年収300万円の事業主でも、事業拡大のために500万円の融資を受けられる可能性があります。
そのため、成長期の事業や大型プロジェクトに取り組む際には特に有益です。
個人事業主がビジネスローンを利用するデメリット
ここでは、個人事業主がビジネスローンを利用するデメリットを解説します。
金利が高く総支払額が増える
ビジネスローンのデメリットは金利設定が比較的高いことです。ビジネスローンの金利は一般的に年3%から18%程度と幅広く、銀行融資と比べると高めに設定されています。
高金利は長期間の借入れを行う場合、総支払額を大幅に増加させる原因です。
たとえば、500万円を5年間借りた場合、金利10%では総支払額が約635万円になり、元金に加えて135万円以上の利息を支払わなければなりません。
事業の収益性に大きな影響を与える可能性があるため、個人事業主はこの影響を十分に考慮し、借入期間や金額を慎重に検討する必要があります。
借入限度額が低く十分な資金調達ができない
ビジネスローンは、借入限度額が低く設定されている点がデメリットとして挙げられます。
多くのビジネスローンは借入限度額が数十万円から1,000万円程度に設定されていますが、大規模な設備投資や事業拡大を計画している個人事業主にとっては不十分な場合があります。
たとえば、新店舗の出店や高額な機械の購入など数千万円規模の資金が必要な場合、ビジネスローンだけでは資金調達が困難です。
このような状況では複数の融資を組み合わせたり、他の資金調達方法を検討したりする必要があります。
総量規制対象外であるため借りすぎるおそれがある
ビジネスローンは総量規制の対象外であるため、借りすぎるおそれがあります。
総量規制は個人の過剰借入を防ぐために設けられた制度ですが、ビジネスローンは規制の枠外のため、個人事業主が自身の返済能力を超えた借入を行ってしまう危険性があります。
たとえば、年収300万円の事業主が1,000万円のビジネスローンを組むことも理論的には可能です。
しかし、このような過剰な借入は、事業が順調に進まない場合に深刻な返済困難に陥るリスクを伴い、借りすぎによる資金繰り悪化や事業の破綻につながる可能性も考えられます。
ビジネスローンを利用する際は自身の返済能力を冷静に分析し、適切な借入額を慎重に判断する必要があります。
個人事業主がビジネスローンを利用する際の注意点
ここでは、個人事業主がビジネスローンを利用する際の注意点を解説します。
借りすぎに注意して返済シミュレーションを考える
ビジネスローンを利用する際は、借りすぎを避け、適切な返済計画を立ててください。
特に事業の将来性に期待した過剰な借入は大きなリスクを伴います。借りる前に詳細な返済シミュレーションを行い、無理なく利用する姿勢が重要です。
具体的には月々の返済額、返済期間、総返済額を算出し、事業収入と照らし合わせて無理のない計画を立てます。
たとえば、月の売上が50万円の場合、返済額が10万円を超えると資金繰りが厳しくなる可能性が高いといえるでしょう。
また、季節変動や経済状況の変化も考慮に入れ、余裕を持った計画を立てる意識が重要です。慎重な返済シミュレーションは将来の財務トラブルを防ぐ重要な対策になります。
開業したばかりだと借り入れできない可能性が高い
開業したばかりの個人事業主は、収入証明がないためビジネスローンを利用できないケースがあります。
多くのビジネスローン商品は、一定期間の事業実績や安定した収入を証明する書類が求められますが、開業して間もない個人事業主は証明書類の用意が困難です。
たとえば、確定申告書や決算書など、過去の事業実績を示す書類がない場合、融資を受けられない可能性が高くなります。
この問題に対処するためには、創業融資や新規事業向けの特別なローン商品を探すのが有効です。
また、個人の信用力や事業計画の妥当性を重視する金融機関を選べば、融資を受けられる可能性が高まります。開業初期の資金調達は慎重に計画を立てましょう。
金融事故を起こした履歴があると審査通過が難しい
過去に金融事故の履歴がある個人事業主は、ビジネスローンの審査通過が困難になります。
金融事故とは、借入金の返済遅延や債務不履行などのことです。これらの記録は個人信用情報機関に長期間保存されます。
たとえば、過去に住宅ローンの返済を数か月滞納した経験があると、その情報は最長5年間記録されます。
金融機関にとって大きなリスク要因となるため、融資の審査に悪影響を及ぼすでしょう。
金融事故の履歴がある場合は、なによりも信用回復に努める必要があります。滞納している債務がある場合は速やかに返済し、注意深く資金管理を行いましょう。
信用回復には時間がかかりますが、着実な努力が将来の融資可能性を高めてくれるはずです。
複数の会社からの同時借り入れは危険
個人事業主が複数の会社から同時にビジネスローンを借り入れる行為は危険です。返済負担を急激に増大させるほか、資金繰りを圧迫するリスクが高くなります。
たとえば、3社から各500万円ずつ借り入れた場合、合計1,500万円の債務を抱えるため、月々の返済額は大幅に増加します。
さらに複数の借入れは信用情報機関に記録され、将来の融資審査に悪影響を及ぼす可能性もあるでしょう。
また、ひとつの返済が滞ると、ドミノ効果で他の返済も困難になる危険性があります。
資金需要がある場合は1社から必要最小限の金額を借り入れるか、異なる種類の資金調達方法を組み合わせるなど、慎重に判断しましょう。
金利が低めの銀行系ビジネスローンは審査が厳しい
金利が低めに設定されている銀行系のビジネスローンは、その分審査基準が非常に厳しい傾向にあります。
これらのローンは通常、年利2%から8%程度と魅力的な金利設定ですが、審査のハードルは高くなっているのが特徴です。
たとえば、直近3年分の確定申告書や詳細な事業計画書、担保や保証人の提供など、多くの条件が課される場合があります。
また、業歴や年商、収益性などの基準も厳格で、安定した事業実績が求められます。
新規事業や業績が不安定な個人事業主にとってこれらの条件は、満たすのがきわめて難しい場合があるでしょう。
そのため、金利の低さに惹かれて安易に申し込むのではなく、自身の事業状況と照らし合わせて慎重に検討する姿勢が重要です。
個人事業主には「FREENANCE」がおすすめ!
出典:FREENANCE
個人事業主にとってビジネスローンは魅力的な資金調達手段です。しかし、メリットとデメリットを十分に理解し、慎重に利用する必要があります。
すべてを踏まえたうえで、事業の状況や将来計画に合わせて適切な判断を下しましょう。
個人事業主の方は、FREENANCEのような個人事業主向けの専用口座やファクタリングサービスを利用するのも有効です。
業務上のリスクをカバーする保険も提供しているため、資金調達の選択肢を広げられます。
ビジネスローン以外の資金調達方法をお探しの方は、フリーナンスのファクタリングサービスをご検討ください。
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- 記事監修
-
- 中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
- 起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。