会社を設立する10個のメリット・デメリットを詳しく紹介!
事業を始める際、会社を設立するか個人事業主かという2つの選択肢があります。
会社を設立すると高い節税効果が期待でき、信用力の向上や資金調達がしやすくなるなど、さまざまなメリットがあります。
しかし、事務手続きの増加や設立までに手間とコストがかかる点など、多くのデメリットがあることも忘れてはいけません。
会社を設立する際はメリットとデメリットを把握したうえで、会社の種類や設立時の費用などをしっかりと検討することが重要です。
この記事では、会社設立時に検討すべきポイントや、会社を設立するメリット・デメリットを詳しく紹介します。
- 【この記事のまとめ】
- 会社設立には節税効果が期待でき、経費の範囲が広がるため税負担を軽減できます。
- 設立にあたっては手続きの手間や費用が発生し、設立後も社会保険の加入が義務化され、赤字でも法人住民税の支払いが必要となる点がデメリットです。
- 会社設立においては、会社の種類、税制の有利さ、設立費用の調達方法などを事前に検討し、事業内容に適した形式を選ぶことが大切です。
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会社を設立する際に検討すべき5つのポイント
多くの方は事業を始める際、法人と個人事業主のどちらがよいかと悩みます。
結論からいうと、それぞれ置かれている状況や目標が異なるため、どちらがよいという明確な答えはありません。重要なのは、自身が何を目的に事業を開始するかです。
ここでは、会社を設立する際に検討すべき5つのポイントを詳しく解説します。
会社の種類はどうするか
一口に会社といっても種類はさまざま。会社の種類を決める際に重要なのは、会社を設立する目的とビジョンを明確にすることです。
会社法で規定されている会社の種類は以下の通りです。
- 株式会社
- 合同会社
- 合資会社
- 合名会社
上記の内、合同会社、合資会社、合名会社の3つは持分会社といい、株式会社とは異なり出資者が持分を所有し、経営権を行使することが可能です。
また、株式会社は設立時に最低限必要な資本金が定められているのに対して、持分会社には最低資本金の要件がありません。
株式会社と持分会社では、出資者の地位や資本金の概念、会社の運営と決定権に違いがあるため、どの種類にするかは事前に検討しておく必要があります。
税金面で有利になるか
会社を設立する際は、個人事業主よりも税金面で有利になるかを検討することが重要です。
会社を設立すると法人税が適用されます。法人税は個人の所得税とは異なる税金で、税率や軽減措置があり、中小企業向けの特例控除なども受けられます。
一般的には、年間の利益が500万円を超えると法人が有利になるケースが多いですが、明確なラインが決まっているわけではありません。
設立する会社の事業内容や所在地の税法も関わってくるため、税金面で有利になるかを正確に判断したい場合は、税理士や専門家へ相談してみることをおすすめします。
起業後に何をするか
会社を設立する際は、起業後の運営や成長戦略について検討することが重要です。
まずは具体的なビジネスプランを策定し、将来の方向性や実現に向けた戦略を描きます。資金調達の計画やマーケティング戦略、人材確保や組織構成の方法も含まれます。
起業後にするべきことを事前に決めておくことで、会社を設立した後に何をすればよいか分からないという不足の事態を防ぐことが可能です。
個人事業主でできるかどうか
会社を設立するか個人事業主として事業を開始するかは、事前に検討する必要があります。
長期的に本業として取り組むビジネスプランがあり、従業員を増やして事業を拡大したいと考えている場合は、会社を設立した方がよいといえます。
しかし、事業規模を拡大する予定がない、または副業として続けていきたいと考えている場合などは、個人事業主の方が向いているケースもあります。
また、従業員を雇わずに社長が一人で経営する一人会社という形式もあります。一人で会社を設立するメリットや個人事業主との違いは、以下の記事で詳しく解説しています。
設立時の費用をどのように工面するか
会社を設立する際には、登記費用、手続き費用、顧問費用、設備機器の導入費用、人件費など、さまざまな費用が必要です。
これらの費用をどのようにして賄うかは、会社を設立する前に考える必要があります。
個人の貯蓄や資産を活用する自己資金で賄う場合もありますが、銀行や投資家、助成金や補助金などの資金調達を活用する場合も多いです。
資金調達を活用する場合は、どのような方法が使えるかを検討しておくことが重要です。
会社を設立する6つのメリット
会社を設立するメリットを正確に把握しておくことで、起業すべきか個人事業主でよいかを正しく判断できます。ここでは、会社を設立するメリットを詳しく紹介します。
節税できる
会社は法人税が課税されるため、一定以上の売上がある場合に節税できます。
個人事業主が支払う所得税は超過累進課税であるため、売上が増えるほど税率が上がります。一方、会社が支払う法人税は一定の税率を乗じて計算するため節税効果が高いです。
地域や業種によっては、特定の条件を満たすと税制上の優遇措置を受けることが可能です。これらの措置を活用すると、税金の軽減を図ることができます。
認められる経費の範囲が広い
会社を設立すると、認められる経費の範囲が広くなります。計上できる経費が増えれば、課税される所得を多く減少でき、前述の通り節税効果が高くなります。
主な経費は以下の通りです。
- 従業員の給与
- 福利厚生費
- 広告・宣伝費
- 賃料、光熱費、家具購入費
- 交通費、出張費
- 通信費(電話やインターネット)
個人事業主と同様に、事業用とプライベート用が混在している場合は、しっかりと按分計算を行いましょう
上記に加えて法人で生命保険に加入したり、役員に出張日当を支払ったりといったことで個人事業主にはない節税策が取れるのも法人の強みです。
対外的な信用力が向上する
会社を設立すると、法的な枠組みの下で契約や取引を行うことができます。これにより、取引相手や金融機関などの関係者に対する信用力が向上します。
また、会社は業績や財務状況を透明に示すため、財務情報の公開が求められます。法人としての信用力と相まって、高い透明性により信頼関係の構築に効果的です。
特に取引相手が大企業だと、個人事業主とは取引をしないというケースもあります。事業の拡大を考えている場合、対外的な信用力の向上は大きなメリットです。
自由に決算月を設定できる
会社を設立すると、法的な要件に基づいて自由に決算月を設定できます。
決算月を自由に設定できるメリットは、経営計画の整合性が高まる、経理業務を効率化できる、会計データの精度が向上するなどが挙げられます。
例えば、決算月を適切に設定すれば、特定の税制優遇措置や節税手法を活用でき、決算内に支出や収入のタイミングを調整すれば税務上のメリットを得ることが可能です。
また、決算月を事業の特性や需要に合わせて設定すれば、財務状況や業績をより正確に把握することができ、経営戦略や予算策定の立案に活かすことができます。
資金調達が有利になる場合もある
一般に、会社を設立すると個人事業主に比べ事業に対する信用性が向上するため、資金調達がしやすくなる場合があります。
事業拡大や設備導入、人材確保や広告費など、会社を軌道に乗せるためにはさまざまな費用がかかります。自己資金だけで賄えない分は、資金調達で補填するのが一般的です。
事業継承をスムーズに行える
会社を設立すると、法的な手続きにより事業継承を簡素化できます。
会社は法人として独立した存在であるため、個人の所有権や財産とは分離しています。そのため、経営者や株主の変更による事業継承をスムーズに行えます。
また、法人には相続という概念がないため、事業を継承しても相続税がかかりません。個人事業主の場合は所有する財産すべてが相続税の対象になるため、この点もメリットです。
会社を設立する4つのデメリット
節税効果や信用力の向上、資金調達がしやすくなるなど、会社を設立するメリットは多くあります。
しかし、会社を設立する際はデメリットの存在も把握しておかなければいけません。ここでは、会社を設立する主なデメリットを4つ紹介します。
設立までに手間とコストがかかる
会社を設立すると、法的手続きや書類作成、資本金の用意や税金の支払いなど、さまざまな手間とコストがかかります。
会社の設立にかかる期間は約2週間程度です。
定款の作成、印鑑証明書の取得、資本金の振込、法務局への登記申請を行い、設立後は法人設立届けや社会保険届けを提出する必要があります。
会社を設立する際は、複数の手続きを同時進行で進めなければいけないため、各種手続きにかかる期間を把握したうえで、事前に設立日を決めておくことをおすすめします。
会社設立までのスケジュールと期間については、以下の記事で詳しく解説しています。
社会保険に加入しなければいけない
会社を設立し従業員を雇用する場合、労働者の社会保険への加入が義務づけられます。社会保険制度には、健康保険、厚生年金保険、雇用保険が含まれます。
社会保険に加入すると、雇用者負担と従業員負担の費用が発生します。
雇用者は従業員の給与から一定の割合で社会保険料を控除するため、労働コストの増加を考慮しなければいけません。
社会保険料は従業員の数や給与水準に応じて変動するため、事業拡大時や人員増加時は、負担が増加することを考慮する必要があり、適切な予算化が求められます。
社会保険の手続き方法や必要書類については、以下の記事で詳しく解説しています。
赤字でも税金の支払いがある
会社を設立すると、赤字状態でも税金を支払わなければいけません。
法人には、利益に課せられる税金と、利益とは無関係に課せられる法人住民税均等割があります。法人住民税均等割は、事業が赤字でも支払わなければいけない税金です。
事務手続きが増加する
会社を設立すると、会計や事務手続きの手間が増加します。
法人税の申告は、個人事業主の青色申告よりも申告書作成が煩雑であり、経営や帳簿の管理、税務申告や税金の支払い手続きなど、会計や税務の管理にも手間がかかります。
これらの事務手続きには、時間やリソースの消費はもちろん、専門知識やスキルが要求される場合もあるため、事業規模にもよりますが専門家へ依頼した方が確実です。
専門家へ依頼すれば費用がかかるため、事務手続きが増加する点はデメリットとして挙げられます。
まとめ
会社を設立する前に検討すべきポイントや、メリット・デメリットを詳しく解説していきました。
会社を設立する際は、まず種類はどうするか、税金面で有利になるか、費用をどのように工面するかなどを検討することが重要です。
会社を設立すると法人税が課税され、認められる経費の範囲が広くなることで高い節税効果が期待できます。ほかにも、対外的な信用力が向上し資金調達がしやすくなるなど、さまざまなメリットを享受することが可能です。
しかし、会社を設立するためには手間とコストがかかり、社会保険への加入が必須、赤字でも税金の支払いがあるなど、多くのデメリットがあることも忘れてはいけません。
メリットだけではなくデメリットも把握し、本当に個人事業主ではなく会社を設立するべきかをしっかりと検討することが重要です。
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- 記事監修
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- 中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
- 起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。