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会社員が個人事業主になるメリット・デメリット|開業手続きや確定申告の方法を紹介

会社員が個人事業主になるメリット・デメリット|開業手続きや確定申告の方法を紹介

近年、会社員として働きながら副業で個人事業主としても働く人が増えつつあります。

本記事では、「会社員が個人事業主になる方法」をメインテーマに、メリットやデメリット、手続きの方法を詳しく見ていきます。

また、サラリーマンをしながら副業を始めたい方や二足のわらじを履くことに不安がある方に、それぞれの解決策も提示しています。

会社員をしながら個人事業主になれる?

会社員をしながら個人事業主になれる?

一般的に、会社員をしながら個人事業主として仕事を請け負うことが可能です。2020年9月、厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を改定し、企業による副業・兼業の適切な取り組みについて提言しました。

これにより、会社員であっても事実上、十人十色のキャリア選択や独立を選べるようになり、開業も可能です。

個人事業主として開業する売上目安

副業として一時的に収入を得るのではなく、ビジネスを継続的に行う場合は開業届を税務署に提出する必要があります。なぜなら、所得税法に「事業を開始した際は、1ヶ月以内に開業届を提出しなければならない」との記述があるためです。

【所得税法第229条(開業届の提出)】

居住者又は非居住者は、国内において新たに不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始し、又は当該事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、若しくはこれらを移転し若しくは廃止した場合には、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日から一月以内に、税務署長に提出しなければならない。

引用元:所得税法

本来は本業・副業を問わず、開業届を提出しなくてはなりません。しかし、届出書を出さないことへのペナルティはなく、期限後であっても開業日にさかのぼって申請することが可能です。

なお、副業では年間所得が20万円を超える場合に、確定申告の必要性が生じます。一時的な副業収入は確定申告で「雑所得」に該当し、「事業所得」には含まれないため、開業届を提出しなくても問題ありません。

以上のことから、「継続的に事業収入を得る可能性があるかどうか」を、開業届の提出条件として考えるとよさそうです。

副業が禁止されている場合

企業の就業規則で副業を禁止している場合は、個人事業主として営利行為に及んだ従業員はルール違反となります。

副業に違法性はなく、業務時間外は自由が保障されているものの、企業側が副業を禁止することも一定の範囲内で認められているためです。一般的に、本業のパフォーマンスに支障が出やすい職種などでは、副業を禁止行為とする傾向にあります。

副業禁止を定めている企業では、違反した社員に免職や減給などの処罰を与えることも難しくありません。仮に、無許可の副業が判明して罰則がなかった場合でも、社内に居づらくなってしまうなどの問題が生じることがあります。

会社員が個人事業主になるメリット

会社員が個人事業主になるメリット

会社員と個人事業主を両立する主なメリットとして、次の3つを挙げることができます。

  • 本業の所得と損益通算できる
  • 青色申告特別控除が受けられる

各項目の詳しい内容については、以下で順を追って解説します。

本業の所得と損益通算できる

給与所得と事業所得の「損益通算」が可能になります。損益通算とは、事業所得などの赤字と給与所得などを相殺し、課税される所得金額を減らすことができる制度です。

例えば、「給与所得が600万円」で「副業の損失額が100万円」の場合、600万円から100万円を差し引いた500万円が算出されます。これにより、最終的な所得額である500万円が課税対象となり、給与所得のみで算出する税額よりも負担が軽くなるメリットがあります。

青色申告特別控除が受けられる

個人事業主として青色申告の承認を受けると、税負担を軽くできるようになります。確定申告には青色申告と白色申告の2種類があり、前者は後者よりも複雑な作業を伴う代わりに、さまざまな節税対策が可能です。

大きくは、青色申告を行うと10万円または65万円の特別控除を受けられます。サラリーマンと個人事業主を掛け持ちする場合は、給与所得控除と青色申告特別控除を併用できるため、より節税効果が期待できるでしょう。

会社員が個人事業主になるデメリット

会社員が個人事業主になるデメリット

反対に、会社員と個人事業主をダブルワークするデメリットは、主に以下の2つが挙げられます。

  • 自分で確定申告する必要がある
  • 失業保険が受け取れない

それぞれ、把握しておくべき注意点やアドバイスも含めて深掘りしていきます。

自分で確定申告する必要がある

大前提として、副業分の所得が年間20万円を超えた場合は、自分で確定申告を行わなくてはなりません。特に、青色申告は税制上の優遇が大きい反面、複式簿記による記帳を行うことから、手続きが煩雑になるのが難点です。

なお令和2年以降、65万円の青色申告特別控除を受けるためには、e-Taxで電子申告または電子帳簿保存を行うことが新たな要件となりました。帳簿の付け方に不安のある際は、確定申告をサポートしてくれるソフトやアプリを活用する手法もおすすめです。

失業保険が受け取れない

本業の仕事を失ってしまった時に失業保険を受け取れない場合があります。

会社員として雇用保険料を納めていたとしても、副業収入がある以上は「失業認定の対象外」となる可能性があります。そのため、副業の売上を上げられていない場合、失業とともに個人事業も廃業する方が得策かもしれません。

個人事業主であっても、雇用保険の受給資格を有している限りは、廃業届を提出することで受給が可能となります。

会社員が個人事業主になるための手続き

会社員が個人事業主になるための手続き

会社員をしながら個人事業主になった場合、開業後に以下2つの手続きがあります。

  • 開業届を提出
  • 青色申告承認申請書を提出

本項では、手続きの流れや注意事項、必要書類について順番に確認していきます。

開業届を提出

開業届(「個人事業の開業・廃業等届書」)は、事業の開始後1ヶ月以内に所轄の税務署へ提出します。

届出書の用紙は、税務署の窓口で取得するか、国税庁のwebサイトからダウンロードが可能です。なお、書類の具体的な作成方法については、以下の1~8を参照してください。

  1. 「個人事業の開業・廃業等届出書」のうち、「開業」を〇で囲む
  2. 所轄の税務署名と提出日を記入
  3. 納税地・氏名・生年月日・個人番号・職業・屋号を記入
  4. 届出区分の「開業」を○で囲む
  5. 開業日を記入
  6. 「青色申告承認申請書」を提出する場合は「有」を、消費税に関する各種届出書は通常「無」を選択
  7. 事業の概要を記入
  8. 給与等の支払いの状況を記入
個人事業の開業・廃業等届書

引用:国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書(提出用・控用)」

青色申告承認申請書を提出

青色申告を行うためには、その年の3月15日までに、税務署へ「所得税の青色申告承認申請書」を出さなくてはなりません。あるいは、申告年の1月16日以降に開業した場合、新規開業日から2ヶ月以内が提出期限です。

申請書の用紙は、税務署に備えられているフォーマットを用いるか、国税庁のHPでもダウンロードができます。青色申告承認申請書の具体的な記入リストは、以下をご参照ください。

【青色申告承認申請書の記入項目】
  1. 所轄の税務署名と提出日
  2. 納税地・氏名・生年月日・職業・屋号
  3. 青色申告を開始する年度
  4. 事業の所在地
  5. 所得の種類
  6. 過去の青色申告の履歴
  7. 開業日
  8. 相続による事業継承の有無(相続開始年月日と被相続人の氏名)
  9. 簿記の形式(65万円控除場合は「複式簿記」、10万円控除の場合は「簡易簿記」)
  10. 帳簿名
  11. その他の事項
  12. 確定申告を代行する税理士名と電話番号
所得税の青色申告承認申請書

引用:国税庁「所得税の青色申告承認申請書」

確定申告の方法

確定申告の方法

確定申告の対象期間は、毎年2月16日~3月15日の1ヶ月間(該当日が土日祝の場合は翌日か翌々日)です。確定申告書や所定の書類は、税務署や確定申告会場、市区町村の担当窓口のほか、国税庁のWebサイトでも入手できます。

また、確定申告において最大65万円分の青色申告特別控除額を受けるためには、以下の手順を踏みましょう。

  1. 「青色申告承認申請書」を提出する
  2. 「青色申告決算書」を作成する
  3. 「確定申告書」を作成する
  4. e-Taxで申告、または電子帳簿保存を利用する
  5. 期限内に申告と所得税の納付を行う

申告書の提出方法は、「税務署窓口に持参」「郵送」「オンライン申請(e-Tax)」の3種類から選択可能です。

はじめて確定申告をされる方は、会計ソフトや国税庁HPの「確定申告等作成コーナー」を利用することで作業をスムーズに進められるでしょう。

会社に副業がバレないようにするには

会社に副業がバレないようにするには

ダブルワークが会社にバレる大きな要因は、副業の所得金額が上乗せされて住民税が増額されてしまうことです。

住民税の納税額は、前年度の所得をもとに市区町村が決定し、特別徴収税額決定通知書と納付書が会社へ送付される仕組みとなっています。

以上のリスクを減らすためには、住民税の納付方法を給与から天引きされる「特別徴収」ではなく、「普通徴収」を選ぶことです。これにより、住民税の通知書が自宅宛てに届き、自分で納付することが可能になります。

まとめ

まとめ

今回は会社員をしながら個人事業主として働くことについて、実情を解説してきました。本業と副業を両立させることで、事業所得で生じた赤字と給与所得を相殺でき、節税効果も高まります。

個人が主体となって営利活動を行う個人事業主は、その多くを自己責任のもとで完結しなくてはなりません。しかし、多様な生き方・働き方を実現できる突破口として、この記事を参考に個人事業主という選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。

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記事監修
中野裕哲
中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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