業務委託とフリーランスの違いは?それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説!
業務委託には種類がいくつかあり、一般的なものでいうと委任契約や準委任契約、請負契約などがあります。
企業が業務委託を利用する理由は、人件費のコストダウンをはじめ、教育コストの節約、専門分野の人材を有効活用するためです。
フリーランスが業務委託で働く際は、メリット・デメリットをそれぞれ把握してから契約する必要があります。安定した収入を維持するためには、案件の探し方も重要です。
この記事では、業務委託とフリーランスの違いや、業務委託の契約種類、企業が業務委託を利用する主な理由、メリットとデメリット、案件の探し方について解説します。
- 【この記事のまとめ】
- 業務委託は契約方法、フリーランスは働き方を指します。業務委託契約で働くメリットには自由度の高さ、得意分野に集中できる、高収入などが挙げられます。
- 業務委託で働くデメリットには、収入の不安定さや労働基準法が適用されないなどが挙げられます。
- 業務委託とフリーランスのどちらで働くかを考える際は、それぞれのメリット・デメリットを把握しておくことが重要です。
2024年11月1日より、フリーランス保護法が施行されます。
組織に所属せずに働くフリーランスが安心して働ける環境を整備するために、フリーランスと企業などとの発注事業者間の取引の適正化(契約書等により取引条件を明示する)が主な目的です。
詳しくは次の記事をご覧ください。フリーランス保護法の概要、制定された背景や具体的な内容などを解説しています。
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業務委託とフリーランスの違い
ここでは、業務委託とフリーランスの違いについて解説します。
業務委託とは
業務委託とは、企業がフリーランスなどに特定の業務を依頼し、完了後に報酬を支払う契約方法の一つです。
業務委託契約では、フリーランスが自由な働き方を選択するなかで、自らのスキルを活かした仕事ができます。
フリーランスと企業間の取引では、一般的に業務委託契約が締結されますが、契約を結ばずに業務を行う場合も少なくありません。
例えば、デザインやプログラミングなど特定の技能を持つフリーランスは、企業から委託を受けてプロジェクトごとに業務を行います。
このようなフリーランスは、業務委託社員と呼ばれる場合もあります。
業務委託はフリーランスにとって自由に仕事を選べる一方で、企業は専門的な業務を柔軟に外注する機会を得られます。契約形態としては、双方にとって有益な選択肢になるでしょう。
フリーランスとは
フリーランスとは、企業や団体に所属せず個人で仕事を受注して実施する働き方を指します。
フリーランスはプロジェクトや案件ごとに仕事を請け負い、求められる成果物やサービスを提供することが一般的です。
会社員は雇用契約に基づいて働きますが、フリーランスは労働者ではなく個人事業主として業務を行います。
近年では、フリーランスとして働くさまざまな職種の人が増えています。その背景は、自身の経験や専門スキルを活かし、独立した仕事を求める動きが広がっているためです。
フリーランスの代表的な職種はデザイナー、ITエンジニア、ライター、イラストレーター、カメラマンなどです。
主にクリエイティブ職が多いですが、最近では経理、法務、人事のようなバックオフィス職のフリーランスも増えています。
いずれの職種も企業からの需要が拡大しているため、フリーランスへ発注するケースは珍しくありません。
フリーランスとしての働き方は、個人として独立し、専門性を活かすプロフェッショナルな選択肢です。そして、働き方の自由度をどこまでも高めてくれるでしょう。
業務委託がフリーランスとは限らない
業務委託は、フリーランスに限定されるものではありません。企業や個人が特定の業務を外部に依頼し、完成した成果に対して報酬を支払う契約形態を指します。
発注される業務はフリーランスが受注するだけでなく、専門性を持った他の企業や法人にも適用される場合があるということです。
例えば、あるIT企業がプロジェクトで専門性の高いソフトウェア開発が必要な場合、その技術を持つ他のIT企業に業務委託を行うケースがあります。
製造業なら、特定の部品製造を得意とする工場に製造業務を委託する場合もあるでしょう。
業務委託は業務の外部化という意味合いが強いため、業務を委託される側がフリーランスである必要はありません。
重要なのは、受注者がどれだけ専門性の高いスキルを要しているかです。業務の外注化で、効率化や専門性の向上をどこまで期待できるかが重要になります。
業務委託の契約種類
ここでは、業務委託の契約種類について解説します。
委任契約
委任契約とは、発注者が受注者に法律行為の遂行を委ね、遂行のために必要となる労力や時間に基づき報酬が支払われる契約です。
成果物の納品義務がないだけでなく、発注者は業務の遂行にかかった工数や作業時間に対して対価を支払わなければなりません。
委任契約は明確な成果物の設定が困難な業務や、状況に応じた柔軟な対応が必要な業務に適しています。
受注者は業務遂行に必要な作業によって報酬を得られ、発注者は専門性の高い業務の委託が可能です。
なお、法律行為とは、何らかの法的効果を生じさせる当事者の意思表示を行う行為です。例えば、弁護士による訴訟代理や税理士による確定申告の代行などが挙げられます。
準委任契約
準委任契約とは、発注者が受注者に法律行為以外の業務を委託し、その業務遂行を通じて受注者が報酬を得る契約です。
委任契約と同様に成果物の納品義務がなく、報酬が業務遂行に伴う労力や時間に基づいて支払われます。ただし、対象は法律行為以外の業務です。
例えば、SES(System Engineering Service)やマーケティング施策の実行など、専門的な知識や技術を要する業務などが挙げられます。
明確な成果物の提供よりも、業務遂行の過程や方法に柔軟性が求められる形態です。準委任契約は、特定の専門業務を効率的に進めるための契約として機能します。
請負契約
請負契約とは特定の業務を発注者から受注者に委託し、受注者がその業務を完成させた結果として報酬が発生する契約です。
報酬の支払いは完成した成果物に対してのみ行われるため、成果物を納品できないと対価を得られません。
請負契約は、発注者が期待する成果の受け取りを目的としています。例えば、特定のデザイン作成や記事の執筆などです。
成果物を納期までに確実に受け取りたい発注者にとって最適な契約になります。
受注者に関しては業務を完遂しなければ報酬を支払われないほか、納品した成果物に欠陥がある場合には、修正義務や損害賠償責任を負う場合もあるでしょう。
請負契約は、成果物の品質とタイムリーな納品が求められる契約形態です。発注者と受注者それぞれの責任と義務を明確にする重要な役割を果たします。
企業が業務委託を利用する主な理由
ここでは、企業が業務委託を利用する主な理由について解説します。
人件費のコストダウン
企業が業務委託を利用する理由のひとつは、人件費のコストダウンです。
雇用契約に基づく従業員の採用では、給与の支払いだけでなく、社会保険料の負担や必要な設備・備品の整備にも多額の費用が発生します。
特にプログラマーや弁護士などの専門性を要する職種の場合、コストはさらに高まる可能性があります。
しかし、業務委託で固定費を軽減でき、必要な業務だけを外部に依頼できます。
業務委託は経営の柔軟性を保ちつつ、経済的な負担を最小限に抑えられます。高度な技術や専門知識が必要なプロジェクトにとっては、コスト効率が良い戦略となり得るでしょう。
教育コストの節約
企業が業務委託を利用する理由は、教育コストの節約が挙げられます。新たに従業員を雇用する場合、入社後の研修や教育には多くの時間とコストが必要です。
一方、すでに一定のスキルや経験を持つ外部の専門家を活用した場合は、業務をすぐに開始できるため効率的かつ経済的です。
多くの企業は業務委託によって、教育コストを節約しています。
専門分野の人材を有効活用
企業が業務委託を利用する理由は、専門分野の人材を有効活用できるためです。
業務委託によって、社内の従業員を他の業務に振り分けられるため、人材をより有効活用できます。
最適なポジションへ社内の人材を配置することで、企業全体の生産性が向上するでしょう。さらに、業務の効率化は働き方改革を推進するうえでも大きなメリットです。
業務委託契約で働くメリット
ここでは、業務委託契約で働くメリットについて解説します。
時間や場所の制限がなく自由度が高い
業務委託契約で働くメリットは、時間や場所の制限がなく自由度が高い点です。
フリーランスは、自宅などの好きな場所で空いた時間を利用して仕事ができます。時間や場所に縛られない自由な働き方を実現できるため、労働者にとっては大きなメリットです。
また、時間や場所に縛られない自由な働き方はワークライフバランスの向上にも影響します。
フリーランスが自分の生活リズムに合わせて仕事のスケジュールを調整できれば、家庭生活や趣味の時間を充実させられるでしょう。
業務委託契約での働き方では、仕事とプライベートの調和が取れた生活を送れます。
得意分野の仕事に集中できる
フリーランスが業務委託契約で働くメリットは、得意分野の仕事に集中できる点です。
業務委託は会社員やアルバイトのように、特定の業務を強制されません。契約前であれば責任も生じないため、興味が持てない案件は断れます。
さらに、自身のスキルを活かして業界での評価を高める効果も期待できます。フリーランスが得意分野の仕事に集中するためには、業務委託契約が鍵を握っています。
内容によって高収入も期待できる
フリーランスが業務委託契約で働くメリットは、内容によって高収入が期待できる点です。
業務委託での報酬は、案件の難易度や成果物の内容によって異なります。雇用契約の一般的な固定給と異なり、実力や成果によって高収入を目指せるでしょう。
フリーランス白書2023が公表しているデータによると、年収1,000万円を超えるフリーランスの割合は全体の約10%を占めています。
高い収入を得るためには相応のスキルや専門知識が求められますが、会社員時代と比べると数倍の収入を実現しているフリーランスは少なくありません。
業務委託は、能力を活かして経済的な成功を追求するために最適な働き方です。
業務委託契約で働くデメリット
ここでは、業務委託契約で働くデメリットについて解説します。
自分で仕事を見つける必要がある
フリーランスが業務委託契約で働く場合、自分で仕事を見つける必要があります。
業務委託では、契約から交渉までを自分で行わなければなりません。案件を請け負うだけでなく、営業も自ら行いながら仕事を獲得する必要があります。
さらに、確定申告や税務処理などの作業も加わるため、タスク管理の徹底は不可欠です。
収入が安定しづらい
フリーランスが業務委託契約で働くデメリットとして、収入が安定しづらい点が挙げられます。
スキルや専門性が高い人材であれば、クライアントからの継続的な発注を期待できますが、キャリアが乏しい場合は無収入の期間が長くなる可能性があります。
フリーランスは会社員とは異なり、明確なキャリアアップの道が用意されているわけではありません。収入を安定させるには、引き受ける案件や営業を考慮する必要があります。
労働基準法が適用されない
フリーランスが業務委託契約で働く場合、労働基準法が適用されません。
最低賃金や労働時間に対する明確なルールが定められていないため、案件によっては必要以上の労働を迫られる可能性が高くなります。
フリーランスが業務委託を引き受ける際は、案件のボリュームやスケジュール管理が重要です。
確定申告など税金面の問題
フリーランスが業務委託契約で働くと、確定申告など税務処理も自分で行う必要があります。
専門知識がない場合は税理士に依頼すれば解決できますが、相応のコストがかかります。収入に余裕がない場合は、自分で覚えるほかありません。
確定申告や税金面の問題をクリアできるよう、最善の方法を検討しておきましょう。
厚生年金・雇用保険・労災保険に加入できない
フリーランスが業務委託契約で働く場合、厚生年金・雇用保険・労災保険に加入できないデメリットが挙げられます。
フリーランスは雇用契約を結んでいるわけではないため、建設業などの一部の職種を除いては各種保険に加入できません。
病気やケガをした場合のリスクを考えつつ、民間保険や共済への加入が重要です。
案件の探し方
ここでは、業務委託案件の探し方について解説します。
クラウドソーシング
業務委託案件を最も手軽に探せるのは、クラウドソーシングサービスの利用です。
発注者と受注者を結ぶマッチングをしてくれるほか、自分のスキルや経験を活かせる案件の検索や応募ができます。
報酬を仮入金してもらってから業務を遂行できるため、リスクを最小限に抑えて業務の遂行が可能です。
SNS
業務委託の案件はSNSで探すことも可能です。
XやFacebookには、業務を依頼する投稿があふれています。多種多様なジャンルの求人を見つけられるため、普段からSNSを利用している方にはおすすめの探し方です。
ただし、信用リスクは高めであるため、仕事を請け負う前に信頼に値するクライアントかどうかを確認しておきましょう。
フリーランスエージェント
フリーランスが業務委託案件を探す方法としては、フリーランスエージェントの利用が挙げられます。
受注者やプロジェクトとのマッチングはもちろん、必要な手続きの一部をエージェントが代行してくれるサービスです。
仕事に集中できるほか、スキルや希望にマッチした案件のみを紹介してくれるため、業務委託案件をスムーズに見つけたい方におすすめです。
求人サイト
業務委託案件は、一般的な求人サイトからも見つけられます。募集形態を選べるサイトを利用すれば、業務委託に対応している案件のピックアップが可能です。
ただし、フリーランス向けの案件が乏しいサイトもあるため、業務委託案件を確実に獲得したい場合は、別の方法で探した方がよいでしょう。
まとめ
業務委託とフリーランスの違いは働き方です。さまざまな契約の種類があり、企業が利用する理由はそれぞれ異なります。
フリーランスが業務委託で働く際はメリットばかりに目を向けず、デメリットも把握したうえでの契約が重要です。
また、案件により左右されますが、業務委託契約は安定した収入が得られるとは限りません。労働基準法も適用されないため、理想の案件を見つけることが最大のテーマとなるでしょう。
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- 記事監修
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- 中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
- 起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。