学生起業はやめとけと言われる理由は?当てはまるかの確かめ方と始める前に決める撤退ライン
学生起業がやめとけと言われる理由は、主に4つです。学業と両立できなくなる心配、お金が足りず借入を背負う心配、経験が少なく契約や誘いでつまずく心配、新卒で就職する機会を手放す心配です。どれも、学生起業そのものが危ないという話ではありません。当てはまる理由があるのに、対策を決めないまま始めることが危ないという話です。
この記事では、4つの理由が自分に当てはまるかを確かめる問いと、始める前に決めておく撤退ラインを紹介します。向いている人と向かない人、18歳未満が気をつけることも、在学中に起業した人の実話をまじえてまとめました。

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学生起業がやめとけと言われる理由は4つあります
やめとけと言う人が心配しているのは、学業、お金、経験、就職の4つです。反対の言葉は強く聞こえますが、中身を分けると、どれも始める前に確かめられることです。
学業と両立できなくなる心配
まず挙がるのは、学業との両立です。事業は、顧客とのやり取りや納期があり、授業や試験の日程に合わせてくれません。忙しい時期が重なると、授業に出られない、課題が遅れる、単位を落とす、といった形で学業に響きます。
親や先生の反対も、この心配から出ていることがあります。学費を出している親にとっては、卒業が遅れることも大きな負担になります。事業にどれだけ時間を使うのかが見えないと、周りは止める方向に傾きます。
お金が足りず借入を背負う心配
2つ目は、お金です。学生は貯金が少なく、収入も安定していないため、事業に使えるお金が限られます。実績や信用も少ないため、金融機関から借りるのも簡単ではありません。
心配されているのは、足りない分を借りて始め、うまくいかなかったときに返済だけが残ることです。親に保証人を頼むと、影響は自分だけでは済みません。逆に、借りずに手持ちの範囲で始めるなら、この心配はかなり小さくなります。元手を抑えやすい始め方は、学生起業のアイデアや学生起業に向く業種で紹介しています。
経験が少なく契約や誘いでつまずく心配
3つ目は、経験の少なさです。契約書の読み方、代金の受け取り方、税金の手続きなど、社会に出て覚えることを、いきなり自分で判断することになります。友人と始めて、お金の分け方で揉めることもあります。
学生を狙ったもうけ話や、高額な講座の勧誘にも注意が要ります。取材した起業家の上形秀一郎さん(ボンディッシュ)は、起業したばかりの若いころに、ゴルフ場を1円で譲るから経営してみないかと持ちかけられ、乗り気になったそうです。先輩に相談すると、赤字を全部背負うことになると止められ、思いとどまりました(上形さんのインタビュー記事)。失敗しやすい行動は起業に失敗する人の特徴にもまとめています。
新卒で就職する機会を手放す心配
4つ目は、新卒での就職です。在学中に事業に打ち込むと、就職活動の時期を逃したり、内定を辞退したりすることがあります。新卒で入る会社では、仕事の基礎を給料を受け取りながら学べるため、その機会を手放すのはもったいないという意見です。
ただし、在学中に起業しても、就職する道が閉じるとは限りません。事業を小さく続けながら就職活動をする人も、卒業後に就職を選ぶ人もいます。心配されているのは起業そのものより、就職するかどうかを決めないまま時期を過ぎてしまうことです。
その理由が自分に当てはまるかを確かめます
4つの理由は、誰にでも同じ重さで当てはまるわけではありません。授業が少ない学年なのか、貯金がどれくらいあるのか、相談できる人がいるのかで、心配の大きさは変わります。理由ごとに自分へ問いを立てると、どこに対策が要るのかが分かります。

4つの問いで当てはまるかを確かめる
次の表の問いに、いまの自分で答えてみてください。はいと言えない問いがあれば、その理由は自分に当てはまっています。当てはまった理由については、右の列の対策を始める前に決めておきます。
| 理由 | 自分への問い | 当てはまったときの対策 |
|---|---|---|
| 学業との両立 | 授業と試験の時間を残したうえで、事業に使える時間があるか | 1週間に事業へ使う時間の上限を決める。試験の期間は事業を止める |
| お金と借入 | 借りずに、手持ちのお金の範囲で始められるか | 失っても生活と学業に響かない額を上限にする。借入は実績ができてから考える |
| 経験と契約 | 契約やお金の話を、決める前に相談できる人がいるか | 大学の起業相談の窓口、先輩、親など、相談する相手を先に決めておく |
| 就職の機会 | 就職するかどうかを、いつ決めるか決まっているか | 就職活動を始める時期までに、続けるか就職するかを決め直す日を置く |
全部の問いにはいと言えなくても、始めてはいけないわけではありません。当てはまった数だけ、始める前に決めることが増える、と考えてください。
反対する人が何を心配しているかを聞く
親や先生にやめとけと言われたら、4つのうちどれを心配しているのかを聞いてみてください。学業なのか、お金なのか、だまされることなのか、就職なのかで、返すべき答えが変わります。
心配の中身が分かれば、表の対策のうち、どれを相手に示せばよいかも決まります。たとえば、お金を心配されているなら、借りずに始めることと使う額の上限を伝えます。学業なら、事業に使う時間の上限と、試験の期間の扱いを伝えます。親への話し方の全体は、学生起業のやり方の『親と学校に話す』ステップでも紹介しています。
周りから冷ややかに見られる不安は分けて考える
学生起業を調べると、周りから冷ややかに見られるのではないか、という不安の声も目に入ります。SNSで成果を強く打ち出す発信や、友人を勧誘する話が目立つと、学生起業全体がそう見られやすくなるためです。
この不安は、4つの理由とは別のものです。事業がうまくいくかどうかとは関係がありません。気になるなら、何を、誰のために、いつまで試すのかを、自分の言葉で説明できるようにしておくと、周りの受け止め方も変わります。成果を誇るより、試している内容を淡々と伝えるほうが、相談相手も見つかりやすくなります。
始める前に撤退ラインを決めておきます
撤退ラインとは、ここまで来たら事業を縮めるかやめるかを決める線のことです。始める前に決めておくと、うまくいかないときに、使ったお金や時間を惜しんで続けてしまうのを防げます。学生の場合は、お金、時間、見直す時期、学業の4つで決めておくと、親にも説明しやすくなります。

撤退ラインはお金と時間と時期と学業の4つで決める
4つの線は、どれも自分の条件で決めます。金額や期間に正解はなく、生活費や学費をどう払っているかで変わるためです。決めたら、数字か日付で書いておきます。
| 項目 | 決めること | 決め方のヒント |
|---|---|---|
| お金の上限 | 事業に使ってよい合計の額 | 失っても生活費と学費に響かない額にする。借りたお金は含めずに考える |
| 時間の上限 | 1週間に事業へ使う時間 | 授業・課題・アルバイトの時間を先に引き、残りの中で決める |
| 見直す時期 | 続けるかどうかを決め直す日 | 学期の終わりや、就職活動を始める前など、区切りのよい日に置く |
| 学業の線 | 事業を縮めたりやめたりする学業の条件 | 単位を落とした、成績が決めた基準を下回った、などを条件にする |
線は、事業の成果ではなく、自分の生活と学業を守るために引くものです。売上の目標は、別に立てておきます。
決めた線は紙に書いて親と共有する
撤退ラインは、頭の中で決めるだけでは守れません。紙やメモに書いて、親など、身近な人と共有しておくと、線に届いたときに見て見ぬふりをしにくくなります。
取材した起業家の西村成城さん(穴熊)は、大学2年のころから、就職せずに会社を立ち上げたいと親に話していました。親からは、就職するよりも稼げるようになったら会社を立ち上げてもいい、という条件を出されたそうです。そこからWebサービスやアプリの開発を続け、稼げるようになった大学4年のころ、卒業直前に会社を立ち上げました(西村さんのインタビュー記事)。親と条件を決めておくと、始める線にも、やめる線にもなります。
線に届いたら縮めるかやめるかを選ぶ
線に届いたら、続ける、規模を縮める、やめる、のどれにするかを決めます。たとえば、時間の上限を超え続けているなら、受ける仕事を減らします。お金の上限に近づいたら、新しい出費を止めて、それでも足りない理由を見直します。
やめると決めたあとの手続きや、就職活動への影響、立て直し方は、学生起業に失敗したらどうなるかで詳しく扱っています。始める前に線を決めておけば、やめることは失敗ではなく、決めていた判断の1つになります。
学生起業に向いている人と向かない人
やめとけと言われても続けられる人がいる一方で、いまは始めないほうがよい人もいます。分かれ目は、才能やアイデアの大きさより、小さく試せるか、人に相談できるか、決めた線を守れるかです。自分がどちらに近いかを確かめてから、始めるかどうかを決めてください。

向いているのは小さく試して相談できる人
学生起業に向いているのは、いきなり大きく始めずに、手持ちの範囲で試せる人です。友人やSNSで売ってみて、反応を見てから次を決められる人は、うまくいかなくても失うものが小さく済みます。
もう1つは、分からないことを人に聞ける人です。契約やお金の判断を一人で抱えず、先輩や大学の相談窓口に聞ける人は、経験の少なさを補えます。最初の1か月で何をするかは、学生起業は何から始めるかで順番にまとめました。在学中に始めて事業を育てた例は、学生起業の成功例で紹介しています。
いま向かないのは借りて始めたい人や誘いに乗りやすい人
いま始めるのを見送ったほうがよいのは、借りたお金で一気に始めたい人です。手持ちで試せない事業は、うまくいかなかったときの負担が大きくなります。すでに授業についていけず、学業が崩れている人も、先に学業を立て直したほうが選べる道が残ります。
もうけ話や、成功を約束する講座に心が動きやすい人も注意が要ります。勧誘する側は、学生の経験の少なさを知っています。向かない側に当てはまっても、ずっと向かないわけではありません。条件が変わったときに、あらためて考えれば大丈夫です。
迷うなら就職してから起業する道もある
どちらとも言えず迷うなら、就職してから起業する道もあります。会社で仕事の進め方や取引の基本を覚え、貯金を作ってから始めると、学生のときに心配された理由の多くは小さくなります。
在学中は小さく試すだけにして、卒業後に就職する人もいます。取材した上形さんも、在学中に個人で事業を始めたあと、経営を体系的に学ぶために就職を選びました。社会人になってからの起業については、20代で起業するメリットも参考にしてください。
18歳未満で始めるときに気をつけること
高校生など18歳未満の人が事業を始めるときは、大学生とは別の注意点があります。法律では18歳で成年になり、18歳未満は未成年として、契約などに親の同意が要るためです。始める前に、親に話して同意をもらうことが、最初の一歩になります。あわせて、学校の決まりも確かめておきます。
契約には原則として親の同意が要る
民法では、成年は18歳です。未成年の人が契約などをするには、親などの法定代理人の同意を得る必要があり、同意のない契約は取り消せるとされています(民法第4条・第5条)。
取引相手にとってはあとから契約を取り消されるリスクがあるため、未成年と分かると、取引やサービスの申し込みを断られることがあります。仕入れや外注、ネットのサービスの申し込みなど、お金が動く前に親に話しておくと、あとで困らずに済みます。
親が事業を許した場合の扱いと学校の決まりの確認
民法には、親が特定の営業を許した場合、その営業については成年と同じように契約できる、という定めもあります(民法第6条)。どの事業を許すのか、親と具体的に話しておくことが大切です。自分の事業がこれに当たるかどうか迷うときは、一人で判断せず、親と一緒に専門家に相談してください。
もう1つ、学校の決まりも確かめます。高校によっては、アルバイトや校外での活動に届出や許可が要ることがあります。決まりを知らずに始めると、事業より先に学校生活に影響が出るため、担任の先生などに確認しておくと安心です。
学生起業の『やめとけ』に関するよくある質問
学生起業の『やめとけ』について、よく調べられている質問に短く答えます。本当にやめるべきか、失敗したときの就職、親の反対、最初の一歩の4つです。失敗した後のことや始め方は、それぞれの担当記事で詳しく扱っています。迷ったときは、4つの理由のうちどれが自分に当てはまるかに立ち返ると、答えを出しやすくなります。
Q. 学生起業は本当にやめたほうがいいですか?
A. 全員がやめたほうがよいわけではありません。学業、お金、経験、就職の4つのうち、自分に当てはまる理由に対する対策を決めてから始めるなら、学生のうちに試す意味はあります。数字より、自分の条件で撤退ラインを決められるかを判断の基準にしてください。
Q. 学生起業に失敗したら就職できなくなりますか?
A. 起業したことだけで、就職の道が閉じるとは限りません。在学中に事業を始めて、卒業後に就職した人もいます。就職の時期を逃さないよう、撤退ラインを見直す時期を、就職活動を始める前に置いておくと安心です。就職活動にどう影響するか、お金が残った場合にどうなるか、立て直し方は、学生起業に失敗したらどうなるかで詳しく説明しています。
Q. 親に反対されたらあきらめるべきですか?
A. すぐにあきらめる必要はありません。まず、4つの理由のうち何を心配しているのかを聞いてください。心配が分かれば、使う額の上限や時間の上限など、示せる対策が決まります。取材した西村さんのように、親と条件を決めて、それを満たしてから始めた人もいます。
Q. 何から始めればいいですか?
A. 最初は、借りずに手持ちの範囲で、小さく試せることから始めます。友人やSNSで売ってみて、反応を見るところからです。始める前に4つの撤退ラインを書いておくと、試したあとに続けるかどうかを決めやすくなります。最初の1か月の順番は、学生起業は何から始めるかで紹介しています。
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まとめ
学生起業が『やめとけ』と言われる理由は、学業との両立、お金と借入、経験と契約、新卒での就職の4つです。理由ごとに自分へ問いを立て、当てはまる理由については、始める前に対策を決めておきます。撤退ラインは、お金の上限、時間の上限、見直す時期、学業の基準の4つで決め、紙に書いて親と共有すると守りやすくなります。18歳未満の人は、お金が動く前に親に話して同意をもらってください。
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