起業時の法人口座開設におすすめの金融機関は?開設のメリットや審査の難易度を解説
しかし、起業した方の中には「どこの法人口座で口座を開設すればよいのか分からない」という方も少なくありません。
この記事では、「起業時の法人口座開設におすすめの金融機関」「口座開設のメリット」などについて解説します。
この記事を最後まで読んでいただければ、法人口座をどこで開設すればよいのかを理解していただけるでしょう。
- 【この記事のまとめ】
- 起業時の法人口座開設には、都市銀行、信用金庫・信用組合、地方銀行、ネット銀行の4種類があります。それぞれの特徴やメリットを理解し、自分に合った金融機関を選ぶことが重要です。
- 法人口座は、社会的信用の向上や資金管理の明確化、法人名義のクレジットカード作成など、多くのメリットがあります。起業において必ず開設すべき重要な口座です。
- 金融機関選びでは、手数料、ATMの営業時間、所在地が重要なポイントです。これらを考慮して、利便性の高い金融機関を選びましょう。
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起業時の法人口座開設におすすめの金融機関は?
法人口座を開設する場合の選択肢として、以下の4種類の金融機関があります。
- 都市銀行
- 信用金庫・信用組合
- 地方銀行
- ネット銀行
それぞれの金融機関について詳しくみていきましょう。
都市銀行
都市銀行とは、全国に支店を展開する「メガバンク」と呼ばれる大手銀行です。
日本国内に限らずアジアや欧米にも支店や提携銀行を持ち、グローバルなネットワークを所有する銀行も都市銀行の中にはあります。具体的な都市銀行としては「三菱UFJ銀行」や「みずほ銀行」「三井住友銀行」などが挙げられます。
また、都市銀行で法人口座を開設するメリットとしては、「全国に支店があることでATMや銀行窓口を利用しやすいこと」です。
他にも、大手都市銀行であるからこその、大口融資にも柔軟に対応できる資金力と会社の信用力は他の金融機関にはない魅力です。
信用金庫・信用組合
信用金庫・信用組合とは、特定の地域や職域を対象とした会員の出資からなる共同組織の金融機関です。
主に地域繁栄を目的としている金融機関であり、具体的な金融機関としては、「城北信用金庫」や「城南信用金庫」などが挙げられるでしょう。
信用金庫や信用組合で口座を開設するメリットは、「地域に根差した企業を応援する点」にあります。
また、起業間もない時期の法人や小規模企業にも親身に相談に乗ってくれやすいため、都市銀行よりも口座を開設しやすいメリットも考えられます。
地方銀行
地方銀行を一言で説明すると「地域密着型の銀行」であり、地域を限定して店舗展開している特徴があります。具体的には都内だと「きらぼし銀行」や、都心部以外だと「北國銀行」などが地方銀行に挙げられます。
地方銀行で法人口座を開設するメリットとして、「特定の地域で事業を展開しており、都市銀行と比較して親身な対応を受けられる」という点があります。
また、特定の地域によっては都市銀行よりも口座を開設しやすい可能性もあるため、都心部以外で起業を考えている方におすすめの金融機関です。
ネット銀行
ネット銀行は、インターネットを利用した取引が主となる銀行を指します。具体的な銀行名としては、「楽天銀行」や「GMOあおぞらネット銀行」などが挙げられます。
店舗数が少なく窓口での相談がしにくいデメリットがありますが、手数料の低さや金利など様々な面で優遇措置を受けやすいメリットも考えられるでしょう。
また、ネット銀行で口座を開設する場合、あらゆる手続きをネット上で行うことができ、利便性や預金金利の高さなどのメリットも期待できます。
そもそも起業した際に法人口座は開設するべき?
「法人口座って本当に必要なの?」と考える方もいるかもしれません。結論から言うと、起業時に法人口座の開設は必ず行うべきです。
起業には「個人事業主として起業するケース」と「法人設立して起業するケース」の2種類がありますが、どちらの場合でも、取引先からの入金や仕入先への振り込み手続きなど、業務上のお金のやり取りが必ず必要になります。
いち企業として対クライアントからの信用を得たり、会社のお金を分かりやすく管理したりするためにも、法人口座は重要となります。
また、会社とプライベートのお金を混同しているのではないかと疑われるリスクも考えられるため、法人口座の開設はした方がよいでしょう。
なお、法人口座の開設は審査に時間が必要であり、すぐに開設できるものではありません。そのため、起業時に法人口座を開設することで、事業をスムーズにスタートさせることができます。
法人口座を開設するメリット
「法人口座は開設した方がよい」とお伝えしましたが、法人口座を開設することには具体的にどのような利点・メリットがあるのでしょうか。
法人口座を開設するメリットには、以下の3つが挙げられます。
- 【法人口座を開設するメリット】
-
- 社会的信用を得やすくなる
- 企業のお金の動きが分かりやすくなる
- 法人名義のクレジットカードを作成できる
社会的信用を得やすくなる
法人口座を開設することで、「社会的な信用を得やすくなる」というメリットがあります。
たとえ社員が1人の場合であっても、法人登記を行うと法律上は法人としてみなされます。「まだ立ち上げて間もないから」「個人口座でも事足りるから」と法人口座を開設していないと、関わる企業からの信用が揺らいでしまう可能性もあります。法人口座を開設することで、今後取引を行う企業やクライアントにも信頼感を勝ち取りやすくなるでしょう。
また、会社のお金と個人のお金を分けて管理していることも法人としての社会的な信用力アップに繋がるため、開設しましょう。
企業のお金の動きが分かりやすくなる
法人口座を開設することで「起業のお金の動きが分かりやすくなる」というメリットも考えられます。
法人口座を通してお金のやり取りを行うと、必然的に会社のお金の流れのみが見えるようになります。預金残高や入金残高をこまめに確認することで、資金状況の分析もしやすくなるでしょう。
法人名義のクレジットカードを作成できる
法人口座を開設することで「法人名義のクレジットカードの作成」ができるようになります。
起業をする上で会社のお金を利用する頻度も当然増えていきます。そのため、お金の入出金のたびに現金で支払ってはお金の管理が十分にできない可能性もあるでしょう。
法人口座を開設して法人用のクレジットカードを作成すれば、経費処理もスピードも格段にスムーズになり、業務の効率化も期待できるでしょう。利用明細もデータ上で管理できるため、管理の利便性が上がることも考えられます。
金融機関を選ぶときのポイント
ここからは、法人口座を開設する金融機関を選ぶ際のポイントを3つ紹介します。
- 【金融機関を選ぶときの3つのポイント】
-
- 手数料
- ATMの営業時間
- 場所
手数料
金融機関を選ぶ上で「手数料」は重要なポイントです。
各金融機関によって手数料は異なります。金融機関によっては手数料が安い機関もあれば高い機関など様々です。また金融機関によっては、手数料が無料だったとしても、無料で利用できる回数に制限があることもあります。
手数料は1回の取引にあたり、数百円単位で必要になる費用です。1回1回の手数料の積み重ねが、やがて大きな出費となるでしょう。
金融機関を選ぶ際には「手数料」についてよく考えてから自分にとって最適な法人口座を選びましょう。
ATMの営業時間
「ATMの営業時間を考慮すること」も、金融機関選びにおいて重要なポイントです。
ATMによっては無料で利用できる時間帯と有料になる時間帯があります。そのため、お金を入出金したいタイミングにATMを無料で利用できない場合には、振り込み手数料を負担しなければいけません。
また、金融機関によっては24時間対応できるATMもあれば、使用できない時間があるATMもあります。いざというときにATMが使えないと非常に困ります。ATMの営業時間は法人口座を開設する上で大切になってくるでしょう。
場所
金融機関を利用する上では、利便性も大切です。法人口座を開設する金融機関を選ぶ場合には、「金融機関の場所」も重要視しましょう。
まずは、職場や自宅から行きやすい場所に窓口やATMがあるのかを確認してみましょう。自宅や職場から遠く離れた場所にしか窓口・ATMがない金融機関で口座を開設すると、不便でしかありません。
法人口座開設の手順
口座を開設する金融機関を決めたら、さっそく開設の手続きを始めてみましょう。
ここからは法人口座を開設する手順について説明します。
- 【法人口座開設の手順】
-
- 金融機関の決定
- 必要書類の提出
- 金融機関の審査
- 開設完了
金融機関の決定
法人口座を開設するための第1ステップとして、口座を開設する金融機関を決めます。
金融機関については、ご紹介した4つの金融機関(都市銀行、信用金庫など)の中から自分にとって最適な金融機関で口座を開設しましょう。4つの金融機関によって、口座を開設するメリットが異なります。
まずはじっくり考えた上で、最適な金融機関を選んでみてください。
必要書類の提出
金融機関を決めた後は、審査に必要な書類を準備します。法人口座を開設する上で必要になる書類については、以下の表を参考にしてみましょう。
法人口座開設の際の必要書類 | |
---|---|
履歴事項全部証明書 | 必須 |
銀行の届出印 | 必須 |
手続きする方の身分証明書 | 必須 |
定款の写し | 金融機関により必須書類 |
法人の印鑑証明書 | 金融機関により必須書類 |
事業計画書 | 作成していれば提出 |
必要書類を準備した後は、書類に記入漏れがないか再度確認を行って、問題が無ければ提出しましょう。
なお、ネット銀行以外で法人口座を開設する場合には、ネットで手続きが完結させられるよう、法人向けのインターネットバンキングも併せて開設することをおすすめします。
「起業の窓口」の特集ページ「AI×起業」では、AIを活用して事業計画書を簡単に作成する方法を紹介!
詳しくは「【できるのか?】ChatGPTを使ってたった1時間で事業計画書を書くアラフォー起業家。《小説「AI起業」シリーズ#01》」をご覧ください。
金融機関の審査
必要書類の準備が完了した後は、金融機関の審査を受けます。
法人口座開設の審査では、口座開設に必要な書類の確認以外にも事業内容の確認も入ります。
また、最近では、マネーロンダリングのような不正行為の防止策として、金融機関も審査が厳しくなっている傾向があります。そのため、審査に落ちてしまったときのことも想定して、なるべく余裕を持った状態で申し込みを行うことをおすすめします。
開設完了
口座開設の審査が通った後は無事、開設完了となります。
法人口座開設の受付から口座が開設されるまで、数週間の期間が必要となります。金融機関によっては、半月以上の時間が必要になるケースも考えられるため、開設後のスケジュール調整と準備は念入りに行いましょう。
金融機関による審査の難易度
法人口座開設の場合、どの金融機関でも審査が厳しくなる傾向があります。そのため、口座開設を行う中で意識したいポイントは以下を参考にしてください。
- 【法人口座開設の際に意識したいポイント】
-
- 説明の準備を念入りに行う
- 書類の不備を最小限にするもしくはなくす
- 紹介を受けた上で口座開設の審査を行う
特に法人口座の開設時には、審査した金融機関から事業内容について質問されるケースが多いです。そのため、事業内容についての情報や質問事項について正しい答えを回答できるように準備しておくことも重要です。
また、審査書類に不備がある場合には、それだけ審査を通過するスピードが遅くなります。書類提出時には不備がないのかを再度確認しておくことが重要です。
さらに、事業を行う上で知人や身内からの紹介が可能であれば受けましょう。
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- 記事監修
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- 中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
- 起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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