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家事按分とは?個人事業主が経費にできる家賃・光熱費の割合や計算方法を解説

家事按分とは?個人事業主が経費にできる家賃・光熱費の割合や計算方法を解説

自宅で仕事をしている個人事業主は、家賃や水道光熱費などを経費に計上すれば節税効果が期待できると聞いて、興味を抱いている方もいることでしょう。

しかし、何でも家事按分できるわけではなく、自由に割合を決められるわけではありません。トラブルを回避するためにも、事前にルールを把握しておくことが大切です。

この記事では、家事按分とは何なのか、経費計上するための要件、やり方、経費にできる割合と計算方法、青色申告白色申告の取り扱いの違い、注意するポイントなどを解説します。


【この記事のまとめ】
  • 個人事業主が自宅を事業所として使う場合、家事按分により家賃や光熱費を事業経費として計上することが可能です。合理的な按分方法が必要です。
  • 家事按分の方法には、使用面積や時間、売上に基づく方法があります。個々の事業に適した方法を選び、経費計上を明確に区分することが重要です。
  • 家事按分を適切に行わないと税務調査で問題視される可能性があります。按分率は合理的で、使用記録などを保存することが求められます。

2024年11月1日より、フリーランス保護法が施行されます。

組織に所属せずに働くフリーランスが安心して働ける環境を整備するために、フリーランスと企業などとの発注事業者間の取引の適正化(契約書等により取引条件を明示する)が主な目的です。

詳しくは次の記事をご覧ください。フリーランス保護法の概要、制定された背景や具体的な内容などを解説しています。

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家事按分とは?

家事按分とは?

家事按分(かじあんぶん)とは、個人事業主フリーランスが自宅を事務所として利用する際に、家賃や光熱費などの生活費と事業費を按分(=比率で分ける)して、事業で使用した分の経費を計上する方法です。

例えば、自宅の一部を業務スペースとして使用する場合は、その部分に相当する家賃や光熱費などを事業経費として扱うことができます。

按分の割合は使用面積や使用時間に基づいて合理的に算出されるのが一般的です。この方法で生活費と事業費を明確に区別し、適切な経費計上を行うことが可能になります。

適切な家事按分は税務署からの指摘やペナルティを避けるためにも重要です。

家事按分して経費計上するための要件

家事按分して経費計上するための要件

家事按分して経費計上するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 事業用と生活用の明確な区別
  • 合理的な按分方法
  • 経費の証明
  • 支出割合の基準

家事按分する場合は、事業用に使用している部分と生活用に使用している部分を明確に区別できなくてはなりません。使用面積や使用時間といった客観的な基準に基づいて按分割合が合理的であることも要件に含まれます。

事業用に使用した部分の経費であるということを証明するために、「領収書や記録などを保管する」「事業用の支出が全体の50%を超えている」ことなども求められます。

家事按分のやり方

家事按分のやり方

家事按分のやり方には、以下の4つの方法が挙げられます。

面積按分 自宅のうち事業用に使用している部分の面積に基づいて按分する方法
時間按分 1日のうち事業用に使用している時間に基づいて按分する方法
売上按分 事業の売上に基づいて按分する方法。事業活動の割合に応じて経費を配分
定額按分 定額で一定の割合を経費として計上する方法

面積按分は自宅の一部をオフィススペースとして使用するケース、時間按分は自宅で作業する時間が明確に区別できるケースで適しています。

売上按分は事業の売上が総収入に対して大きな割合を占めるケース、定額按分は簡便に経費を計上したい、基準が定められているケースに向いています。

個人事業主が経費にできる割合と計算方法

個人事業主が経費にできる割合と計算方法

家事按分による経費計上でのトラブルを未然に防ぐためにも、経費にできる割合と計算方法を事前に把握しておくことが大切です。

家事按分の対象となりやすい家賃、水道光熱費、通信費、自動車関連費の4つの支出について経費にできる割合と計算方法を見ていきましょう。

家賃

個人事業主が自宅を事業所として使っていれば、家賃の一部を事業経費として扱うことができます。この際、事業用と生活用のスペースを明確に区分し、合理的な方法で按分しなくてはなりません。

例えば、100㎡の自宅で、そのうち20㎡を事業用として使用しているとしましょう。この場合、使用面積で按分すると、20%を経費として扱うことができます。仮に月額家賃が10万円の場合は2万円が経費です。

また、毎日8時間事業用として使用しているとしましょう。この場合、使用時間で按分すると、24時間のうち8時間、つまり3分の1を経費として扱うことができます。仮に月額家賃が10万円の場合は約3万3,000円が経費です。

家賃の経費計上について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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水道光熱費

個人事業主が自宅を事業所として使用している場合、水道光熱費の一部も事業経費として計上することが可能です。これには、電気代、水道代、ガス代などが含まれます。事業用と生活用の使用部分を明確に区分し、合理的な方法で按分することが重要です。

例えば、100㎡の自宅で、そのうち20㎡を事業用として使用しているとしましょう。この場合、使用面積で按分すると、20%を経費として扱うことができます。仮に月額水道光熱費が1万円の場合は2,000円が経費です。

また、毎日8時間事業用として使用しているとしましょう。この場合、使用時間で按分すると、24時間のうち8時間、つまり3分の1を経費として扱うことができます。仮に月額水道光熱費が1万円の場合は約3,300円が経費です。

通信費

個人事業主が自宅を事業所として使っていれば、通信費の一部についても事業経費に計上することが可能です。通信費にはインターネット料金や電話料金などが含まれます。事業用と生活用の使用部分を明確に区分し、合理的な方法で按分しなくてはなりません。

例えば、1日のうち8時間を事業用としてインターネットを使用しているとしましょう。この場合、使用時間で按分すると、24時間のうち8時間、つまり3分の1を経費に計上できます。仮に月額のインターネット料金が6,000円の場合は2,000円が経費です。

また、1か月のうち、事業用の電話使用が全体の40%を占めているとしましょう。この場合、使用頻度で按分すると、40%を経費として扱うことができます。仮に月額電話料金が5,000円の場合は2,000円が経費です。

自動車関連費

個人事業主が自動車を事業用と私用で兼用しているということも少なくありません。この場合、自動車関連費の一部を事業経費として扱うことができます。自動車関連費にはガソリン代、保険料、修理費用、駐車場代が含まれます。事業用と私用の使用割合を明確に区分し、合理的な方法で按分する必要があります。

例えば、1か月の走行距離が1,000km、そのうち事業用が600kmとしましょう。この場合、走行距離で按分すると、60%を経費として扱うことができます。仮に月額のガソリン代が2万円の場合は1万2,000円が経費です。

また、1日あたりで4時間を事業用として使用しているとしましょう。この場合、使用時間で按分すると、24時間のうち6時間、つまり4分の1を経費に計上できます。仮に月額の保険料が1万円の場合は約1,666円が経費です。

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青色申告と白色申告における家事按分の取り扱いの違い

青色申告と白色申告における家事按分の取り扱いの違い

青色申告では、家事関連費のうち事業のための支出が50%以下でも家事按分が認められています。そのため、法的には青色申告が白色申告に比べて有利です。

しかし、国税庁は実際の家事按分の判断基準において青色申告と白色申告の違いを明示していません。家事按分の可否については、50%以下または50%超かに関係なく、事業用の支出であることを明確にする必要があります。これは青色申告も白色申告も同様の要件です。

法律上は青色申告が家事按分において有利ですが、実務においては青色申告と白色申告の間で家事按分の要件に大きな違いはありません。

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税務調査に備えて家事按分で注意するポイント

税務調査に備えて家事按分で注意するポイント

家事按分に何かしらの不備があった場合は、税務調査で指摘される可能性があります。トラブルを未然に防ぐためには、税務調査に備えて、家事按分で以下のポイントに注意しておく必要があります。

  • 必要以上の按分率で計算しない
  • 経費算入の基準を明確にしておく
  • 生計を共にする家族(親族)に払う家賃は経費に含めない

それぞれの注意点について詳しく説明します。

必要以上の按分率で計算しない

家事按分を行う際には、必要以上の按分率で計算しないことが重要です。過度な按分は税務調査で問題視されて、場合によっては修正申告や追徴課税の対象となるリスクがあるので注意が必要です。

按分率は使用面積や使用時間といった客観的な基準で算出することが求められます。例えば、事業用に使用しているスペースや時間が明確に分かる記録を残しておくことが推奨されます。

また、按分率が高すぎると判断されると事業経費として認められない可能性があるため、適正な按分率を設定することが重要です。合理的な基準による按分率を用いることで、税務調査において自信をもって説明できるでしょう。

経費算入の基準を明確にしておく

家事按分を行う際は、経費算入の基準を明確にしておくことも大切です。税務調査で適正な経費として認められるには、どのような基準で按分を行ったのかを明確に示さなくてはなりません。

例えば、使用面積や使用時間などに基づく按分方法を採用する場合、根拠となるデータや記録を詳細に保管しておく必要があります。具体的には、部屋の見取り図や使用時間の記録、経費の領収書などを整理し、いつでも提示できる状態にしておくことが望まれます。

また、経費として計上する項目の按分の根拠を明示し、合理的な算出方法を説明できるようにしておくことが大切です。これによって、税務調査においても正当性を主張できるため、問題を未然に防ぐことができるでしょう。

生計を共にする家族(親族)に払う家賃は経費に含めない

家事按分を行う際には、生計を共にする家族や親族に支払う家賃を経費に含めないことも重要です。税法上、家族や親族に対する家賃の支払いは、実質的に家計内の移動と見なされ、事業経費として認められないことが多いためです。

例えば、同居する親や配偶者に対して家賃を支払っている場合、その支払いは家計の内部取引と見なされ、経費として計上することは適切ではありません。税務調査では、このような取引が経費として認められない場合があるため、注意が必要です。

経費として認められるのは、第三者に対する支払いのみです。これで、経費の適正な計上が行われ、税務上のトラブルを避けることができます。生計を共にする家族への支払いは、個人的な支出として扱い、事業経費とは区別しましょう。

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自宅を事業所として使用する個人事業主にとって、家事按分は経費を計上し、節税するための重要な手段です。家事按分とは、家賃や水道光熱費などを事業用と生活用に合理的に分けて経費計上する方法です。按分方法や要件を理解することで、適切に経費を計上できます。

税務調査に備えて、按分率を必要以上に高くしないこと、経費算入の基準を明確にすること、家族への支払いを経費に含めないことが重要です。合理的な按分を行い、トラブルを避けながら効果的な節税を目指しましょう。

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記事監修
中野裕哲
中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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