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会社設立・法人化

資本金とは?いくら必要なのか、平均金額や決め方をわかりやすく解説

資本金とは?いくら必要なのか、平均金額や決め方をわかりやすく解説

これから会社設立を考えている方で、資本金のことで悩んでいる方はいないでしょうか。本記事では資本金の概要や特徴、注意点などをご紹介します。また、資本金の決め方や目安などもご紹介します。

資本金の決め方を知りたい方、資本金の注意点が知りたい方はぜひお読みください。

資本金とは

資本金とは

資本金とは、会社に払い込まれる資金です。起業家が会社を設立するときや投資家などが会社に資金を払い込むことを出資といいます。

資本金は貸借対照表で、純資産の部の株主資本に分類されます。

さまざまな企業の資本金を調べると、それぞれで異なります。資本金は事業に活用することができ、資本金が多い企業はより事業を円滑に進めることが可能です。反対に資本金が少ない企業は事業運営の元手が少ないため大きなビジネスができません。いかにして資金調達をするかがポイントになるでしょう。

資本金の特徴

資本金の特徴

企業が事業を進める際の元手といえる資本金ですが、いくつかの特徴があります。そのなかから下記では3つの内容をご紹介します。

  • 会社の信用に影響する
  • 融資を受けやすい
  • 事業を進めるための資金となる

会社の信用に影響する

資本金は会社の信用に影響します。既述のとおり、資本金は事業運営の元手であることから、企業の体力を示すものとしてとらえることが可能です。

例えば、「資本金1億円」と「資本金50万円」の企業を比較すると、どのような印象を持つでしょうか。多くの方が「資本金1億円」の企業と取引する際に安心感を抱くでしょう。取引先として考えるならば、資本金が多い企業を優先したいと考える方が多いでしょう。これは支払い能力があると判断できるからです。

このように資本金の多い、少ないで自社の対外的な信用性が大きく変わります。そのため、事業が好調な企業や新規事業に取り組む企業が資本金を増資するケースがあります。

融資を受けやすい

資本金の金額により融資の受けやすさが変わる場合があります。これは資本金が会社の信用にかかわることが影響しています。資本金が多ければ多いほど、元手があるため、債務超過になる可能性が低いと判断されやすいです。結果として金融機関から融資を受けやすくなります。

一方の資本金が少ない企業は、債務超過に陥る可能性が高くなります。債務超過が見込まれる企業であれば、金融機関から融資を受けることは難しいでしょう。

そのため、金融機関からの融資を受けながら事業拡大を見据える場合は、資本金をより多く集めて資金調達に備えることがポイントです。このように資本金の違いによって、特徴が異なる点も覚えておきましょう。

事業を進めるための資金となる

資本金は事業を進めるための資金です。事業運営はもとより、従業員への給与支払い、社内に必要な物品・設備の購入など、会社の事業や業務に関係することであれば資本金を利用できます。

しかし、資本金を見境なく使ってしまうと、すぐに底をつき企業経営に影響を及ぼす可能性があります。計画的に使用していくことが求められます。

なお、資本金がなくなったからといって企業が倒産するわけではありません。融資を受けたり創業者や役員が会社に対して貸し付けたりする方法があります。

資本金の平均額と目安

資本金の平均額と目安

資本金を決定する際に気になるのが、企業の資本金の平均額や目安ではないでしょうか。資本金の平均額は300万円程度といえます。

政府が公表した経済センサスによると、資本金「300~500万円未満」の企業数が最も多く、平均額もそれに準ずると考えられます。しかし、「1,000~3,000万未満」の資本金の企業も多く、平均額に幅を持たせると3,000万円未満の資本金の企業が多くを占めます。

下記の表で資本金の階級、企業数、割合をまとめましたのでご覧ください。

資本金の階層 企業数(総数:1,777,291) 割合(%)
300万円未満 200,501 11.3
300~500万円未満 578,882 32.6
500~1,000万円未満 253,148 14.2
1,000~3,000万円未満 555,646 31.3
3,000~5,000万円未満 72,933 4.1
5,000万~1億円未満 52,126 2.9
1~3億円未満 17,674 1.0
3~10億円未満 7,337 0.4
10~50億円未満 3,600 0.2
50億円以上 2,319 0.1

参考:政府統計の総合窓口「経済センサス‐活動調査 令和3年経済センサス‐活動調査 速報集計 企業等に関する集計 」

また、会社を設立する際の資本金については、数百万円から1,000万円未満を目安にしてみてください。これは後述する資本金の決め方によって変動します。

資本金の決め方

資本金の決め方

資本金の決め方には、さまざまな視点があります。資本金の主な決め方として下記の内容をご紹介します。

  • 運転資金から考える
  • 税金面から考える
  • 許認可から考える
  • 顧客からの印象で考える

運転資金から考える

運転資金から資本金を考えるには、「固定費や変動費の3~6か月分程度」と「初期費用」の合計から検討します。会社を経営する際にはさまざまな固定費や変動費がかかりますので、それらを算出して決定しましょう。また、初期費用には店舗や事務所を借りる際の敷金や礼金、設備費用などが含まれます。

税金面から考える

税金面から資本金を考えることも有効です。資本金が1,000万円未満の場合は、消費税の納税が免除される期間があります。

許認可から考える

旅行業や建設業、人材派遣業などの特定の業種では基準資産が定められており、資本金を加味して算出していきます。例えば、人材派遣業の場合は、事業所につき基準資産額が2,000万円以上であることが求められます。複数の事業所がある場合は、事業所数分の基準資産2,000万円以上が必要です。

顧客からの印象で考える

顧客からの印象で資本金を考える場合は、具体的な目安額は伝えにくいものの、極端に少ない資本金では対外的な信用が欠ける点は既述のとおりです。特にBtoBのビジネスを展開する場合には、取引先に「資金がある会社」と認識してもらえるかを意識して決定してください。

ただし、取引先が少ない場合や個人を対象としたビジネスの場合は、資本金が少なくても大きな影響がないと考えられます。

資本金の金額と税の関係

資本金の金額と税の関係

資本金の金額によって税に関する扱いが異なり、資本金が1億円、1000万円を境目として、税額や税率が変わります。

下記にいくつか挙げてみます。

法人税の税率
  • 資本金1億円超:23.2%
  • 資本金1億円以下:15%(所得800万円まで)
法人住民税の均等割(赤字でも毎年納めなければならない税金)
  • 資本金1,000万円超:18万円
  • 資本金1,000万円以下:7万円

※各自治体によって違いがある(上記は東京23区に事業所があり従業員数50名以下の場合)

交際費
  • 資本金1億円超:交際費のうち飲食費の50%を損金(経費)にできる
  • 資本金1億円以下:交際費のうち飲食費の50%、もしくは800万円のいずれか大きい方を全額損金にできる
固定資産(資本金1億円以下)
  • 取得した固定資産の減価償却費を上乗せできる(中小企業投資促進税制の適用 新品の機械装置 基準取得価額の30%を限度に上乗せ)
  • 30万円未満の少額な固定資産の取得は上限300万円まで全額損金にできる
繰越欠損金の控除限度額
  • 資本金1億円超:その事業年度の所得金額の50%
  • 資本金1億円以下:その事業年度の所得金額を繰越欠損金を上限に相殺できる

※繰越欠損金:赤字(課税所得がマイナス)である欠損金を翌年度の黒字から控除できる制度。翌年度以降の課税所得と相殺することで税金の負担が軽減される。

消費税
  • 資本金1,000万円以上:設立初年度から消費税を支払う
  • 資本金1,000万円未満:設立3期目から消費税を支払う

上記の内容のように、資本金の違いで税金の負担が大きく変わります。特に資本金が1,000万円以下、消費税の支払いを考えると資本金1,000万円未満の場合に税の負担が軽減されるメリットがあります。

ここで資本金が1,000万円だった場合の税金のシミュレーションをしてみます。

内訳 所得金額など 税金額
法人税 所得金額1,000万円 ・800万円×15%=120万円
・200万円×23.2%=46万4,000円
・合計:166万4,000円
法人住民税の均等割 東京23区に事業所があり従業員数50名以下 7万円
交際費 交際費500万円のうち飲食費300万円 ・交際費全額が経費となる
繰越欠損金 繰越欠損金1,000万円、所得金額1,000万円 ・所得金額1,000万円を全額相殺可能
・翌期への繰越欠損金は0円
消費税 消費税額150万円 ・資本金が1,000万円であるため初年度から消費税納税150万円が発生

資本金に関する注意点

資本金に関する注意点

資本金に関しては留意しておきたい注意点があります。すでに資本金について平均額や目安などを解説しましたが、融資を検討している際は融資を受けたい金額を考慮して資本金を検討する必要があります。

例えば、日本政策金融公庫から融資を受ける際に、融資金額の10分の1以上を自己資金として用意する必要があります。

参考:日本政策金融公庫「新創業融資」

自己資金は資本金として考えることができ、仮に1,000万円の融資を受けたい場合に、資本金が数十万円程度では融資を受けられない可能性があります。

また、法人の設立時には登録免許税や定款認証費などです。資本金だけを用意すれば法人が設立できるわけではありませんのでご注意ください。

資本金を増資する場合

資本金を増資する場合

資本金は増資することが可能です。資本金の増資は、資金調達や会社の信用度向上などの目的から行う場合があります。資本金を増資する際は、第三者割当増資や株主割当増資、利益の組み込みなどで行います。

資本金を増資することで、返済不要な資金が調達できたり、財務体質の強化が可能になります。それらの要因から会社の信用度も向上するでしょう。ときには支援者が増えて事業運営をより効率的に行うことが可能です。

しかし、資本金を増資することで税負担が増える可能性があります。増資にあたり法務局などへの手続きが必要であり、諸経費の負担や時間の負担が増えるでしょう。

また、第三者割当増資を行うと、既存の経営方針に協力的でない株主が議決権の過半数を取得する可能性があります。場合により経営権を奪われる可能性がある点にはご注意ください。

資本金を減資する場合

資本金を減資する場合

資本金は減資することも可能です。資本金の減資は、税負担を軽減したい場合などに行います。減資の方法には、有償減資と無償減資があります。

有償減資は取締役会と株主総会によって決定され、減資と剰余金配当が同時にされます。よって、企業の財産が減る方法といえます。株主は配当を得られるため、メリットになるでしょう。

無償減資は帳簿上の手続きで行い、決算書上の数字が変わるだけです。会社の財産が減ることはありません。無償減資ならば累積赤字の補填ができるメリットがありますし、資本金が1億円を超える企業が1億円以下にする場合は節税につながります。

資本金に関するよくある質問

資本金に関するよくある質問

ここからは資本金に関するよくある質問に回答します。

資本金なしでも会社は設立できる?

会社法の改正により最低資本金制度が廃止され、資本金なし(資本金0円)でも会社を設立することが可能です。ただし、厳密にいうと資本金1円以上もしくは現物出資が必要とされています。よって、資本金なしの場合は現物出資での会社設立となります。現物出資とはパソコンや自動車などの現物を出資することです。

しかし、資本金なしの現物出資で会社を設立してもメリットはほとんどありません。これは会社の信用度などに影響するからです。

資本金に充てられる補助金や助成金はある?

資本金に充当できる補助金や助成金はありません。補助金や助成金でもらったお金は、一般に雑収入となり、資本金にすることはできません。

資本金が少ない有名企業はどこ?

一般的に大企業とは、業種にもよりますが、資本金が3億円以上で従業員数が300名以上の規模を持つ会社のことを指します。しかし、中小企業と言われている会社の中には資本金1億円以下の有名企業はいくつかあります。例えば、減資で資本金を1億円にした企業として旅行会社のJTBや不動産会社のレオパレス21などです。

まとめ

まとめ

資本金は企業規模などを判断する材料になります。資本金によって対外的な印象や融資の可否なども決定されます。資本金の増資や減資によるメリット・デメリットなども踏まえつつ、資本金についてご検討ください。

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記事監修
中野裕哲
中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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