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個人事業主は厚生年金に加入できる?日本の制度とおすすめの年金を紹介

個人事業主は厚生年金に加入できる?日本の制度とおすすめの年金を紹介

個人事業主は、会社員に比べて老後の備えが不十分といわれています。しかし、個人事業主の老後に対する不安を解消するために設立された制度は、多数存在するため、有効活用しましょう。

本記事では、個人事業主が厚生年金の代わりに加入できる4つの制度を網羅的に解説しています。将来に不安を抱えている個人事業主の方は、ぜひ本記事を参考にして、さまざまな制度への加入を検討しましょう。

【この記事のまとめ】
  • 個人事業主は厚生年金保険に加入できません。厚生年金保険は会社員向けの制度で、従業員を雇った場合はその従業員が加入できますが、個人事業主は対象外です。法人化すれば加入が可能になるため、事業の形態を見直すことが重要です。
  • 個人事業主は日本の年金制度を理解することが必要です。国民年金、厚生年金保険、企業年金の三つがありますが、個人事業主は厚生年金保険や企業年金には加入できません。年金の知識を得ておくことで、法人化時などにスムーズに対応できます。
  • 個人事業主が厚生年金保険の代わりに加入できる年金制度には、国民年金基金、付加年金、個人型確定拠出年金、小規模企業共済があります。これらの制度は、老後の不安を軽減し、節税対策にも有効ですので、自分に合った制度を選ぶことが重要です。

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個人事業主は厚生年金保険に加入できない

個人事業主は厚生年金保険に加入できない

個人事業主は、厚生年金保険に加入できません。

厚生年金保険は、企業に勤めている会社員に向けて作られた制度です。個人事業主が従業員を雇った場合、従業員は厚生年金保険に加入できますが、個人事業主の加入は認められていません。

しかし、法人化した場合は、事業主も厚生年金保険に加入できます。法人化した段階で、個人事業主は、第2号被保険者に変わるためです。

厚生年金保険に加入できない個人事業主は、会社員に比べて老後に受け取れる年金の額が少なくなります。多くの個人事業主が老後に不安を抱えていますが、日本では厚生年金保険に変わる制度が多数用意されています。

本記事でも、厚生年金保険に変わる制度を後ほど紹介しているため、ぜひこのまま最後までお読みください。

個人事業主が理解しておくべき日本の年金制度

個人事業主が理解しておくべき日本の年金制度

次に、個人事業主が理解しておくべき日本の年金制度を3つ紹介します。

  • 国民年金
  • 厚生年金保険
  • 企業年金

厚生年金保険と企業年金に関しては、個人事業主に加入資格はありません。しかし、年金に関する知識を蓄えておくことにより、法人化や厚生年金保険への加入義務が発生した場合に、スムーズな対応ができるでしょう。

国民年金

国民年金とは、日本に住んでいる20~60歳未満の方が加入者となる年金制度です。個人事業主だとしても、毎月国に納めなければならない国民の義務です。

国民年金を支払い続けることで、65歳を過ぎたら老後基礎年金を受け取れます。また、老後だけでなく、万が一の障害に対する保障が充実していることも特徴の1つです。

現在、国民年金は、一律16,520円です。国民年金の金額は、毎年1月末ごろに厚生労働省が定めるため、今後も変化していくと予想されます。

厚生年金保険

厚生年金保険とは、会社に勤務している方が加入できる2階建ての年金制度です。先述した通り、個人事業主は加入できません。

厚生年金保険に加入している会社員は、国民年金と厚生年金保険が老後に受け取れるため、個人事業主に比べて得られる収入が上がります。厚生年金保険は、事業主が半額を負担する仕組みのため、実際には自分が納めている倍の額が正しい保険料といえます。

本来、国民年金と厚生年金保険を受け取れる年齢は、60歳でした。しかし、2025年からは65歳に引き上げられることが決定しています。

企業年金

企業年金とは、企業に勤めている方が加入できる3階建ての年金制度です。厚生年金保険や国民年金との大きな違いは、加入が任意である点です。

企業年金の受け取り方は、2パターンあります。年金として老後に分割で受け取る方法と一時金として退職時に一括で受け取る方法です。

しかし、企業年金も厚生年金保険同様に、個人事業主は加入できないため、気にする必要はないでしょう。また、企業年金制度を設けていない会社も存在します。

企業年金は、主に以下の2つが存在します。

  • 確定給付企業年金(DB)
  • 企業型確定拠出年金(DC)

企業に勤めている方は、上記2つの違いを押さえておくのがおすすめです。

確定給付企業年金(DB)

確定給付企業年金とは、あらかじめ退職時に受け取る金額が決まっている企業年金制度です。確定給付企業年金は、運用成績による金額の変動がないことや退職時に全額受給できることから、老後の蓄えとして人気のある制度です。

確定給付企業年金には、大きく分けて2種類の型が存在します。

  • 基金型
  • 規約型

基金型と規約型の違いは、企業年金基金設立の有無です。基金型は、企業年金基金を設立する必要があり、複数事業主型を選択すれば、中小企業でも比較的導入しやすい制度といえます。

規約型は、企業年金基金を設立する必要がありません。その代わり、会社が主体となって資産運用をする必要があります。

運用に失敗した場合も、従業員に支払う金額は変化しないため、不足分を会社が補填しなければなりません。

企業型確定拠出年金(DC)

企業型確定拠出年金とは、加入者自らが資産の運用を行い、企業が毎月の拠出を実施する年金制度です。企業型確定拠出年金は、受け取る金額が定められておらず、運用結果により変動します。そのため、運用に失敗した場合は、受給額が少なくなるリスクがあると覚えておきましょう。

企業型確定拠出年金は、60歳になるまで引き出せないことも大きなデメリットです。また、確定拠出年金には個人型と呼ばれる制度があります。個人型は、自分でお金を積み立て運用する方法です。

一見、企業型確定拠出年金はデメリットが目立ちますが、企業が掛け金を拠出してくれることや運用に成功した場合に受給金額が増えることなど、メリットも多くあるのが特徴です。

個人事業主が厚生年金保険の代わりに加入できる年金は4つ

個人事業主が厚生年金保険の代わりに加入できる年金は4つ

本章では、個人事業主が厚生年金保険の代わりに加入できる制度を4つ紹介します。

  • 国民年金基金
  • 付加年金
  • 個人型確定拠出年金
  • 小規模企業共済

資産運用をせずに安定して将来に備えたい個人事業主の方は、国民年金基金や付加年金がおすすめです。個人型確定拠出年金と小規模企業共済は、節税対策に優れた制度といえます。

ぜひ、このまま最後まで読み、自分に合う制度を検討しましょう。

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国民年金基金

国民年金基金とは、会社員と個人事業主の老後に受給できる年金額の差を極力なくすために設立された、公的な年金制度です。

国民年金基金は、全国国民年金基金と職能型国民年金基金の2種類が存在します。職能型国民年金基金は、対象となる職業に従事する方が加入できる制度です。

現在では、以下の3つの職業に該当する方が加入できます。

  • 歯科医師
  • 司法書士
  • 弁護士

国民年金基金は、掛金を全額所得控除にできます。そのため、節税対策を望んでいる個人事業主や将来が不安な方は、ぜひ加入を検討しましょう。

付加年金

付加年金とは、個人事業主が老後基礎年金の受給額を増やす1つの方法です。毎月400円を国民年金額にプラスして支払うことで、200円×付加保険料納付月数の額が将来的に受け取れます。

付加年金は、個人事業主が手軽な掛金で老後に備えられるように設立されました。

注意点として、付加年金は国民年金基金と併用できません。まだどちらの制度も活用していない個人事業主の方は、自分に合う制度を吟味してから加入することをおすすめです。

個人型確定拠出年金(iDeCo)

個人型確定拠出年金とは、自分で決めた額を自分で資産運用し、60歳以降に受け取る年金制度です。企業型確定拠出年金との違いは、掛金の積み立てを自分で行う必要がある点です。

個人型確定拠出年金は、別名iDeCo(イデコ)と呼ばれ、国が国民への加入を促進しています。現在では、厚生年金保険の被保険者も加入できる制度になっており、令和5年7月末に加入者が300万人を突破しました。

個人型確定拠出年金の大きな魅力は、節税対策です。加入者が拠出した掛金は、全額所得控除になるため、数万円単位の税金対策が見込めます。

60歳まで引き出せないデメリットはありますが、将来に備えたい個人事業主は加入を検討しましょう。

小規模企業共済

小規模企業共済とは、個人事業主や小規模企業の経営者等に向けられた中小機構が運営する退職金制度です。老後に備えられることや節税効果が高いことから、2022年3月現在では、約159万人が加入しています。

小規模企業共済の魅力は、掛金の柔軟性です。毎月1,000〜70,000円の間で500円単位の掛金を設定できます。加入後も増額と減額に対応しており、収入が不安定な個人事業主に向いている制度といえるでしょう。

個人事業主は、廃業時に共済金を受け取れます。一括で受け取る方法と分割で受け取る方法に対応しているため、自分に合う方を選択しましょう。

また、個人型確定拠出年金のように60歳以降でなければ受け取れないという制約もありません。

個人事業主の厚生年金保険におけるよくある質問

個人事業主の厚生年金保険におけるよくある質問

ここからは、個人事業主の厚生年金保険におけるよくある質問に回答していきます。

厚生年金保険の加入義務が適用される条件とは?

個人事業主に厚生年金保険の加入義務が適用される条件は、以下の2パターンです。

  • 法人化した場合
  • 常時5人以上の従業員がいる場合

法人化した場合は、第1号被保険者から第2号被保険者に変わります。そのため、事業主と従業員全員が、厚生年金保険に加入しなければなりません。また、法人化していない場合でも、常時5人以上の従業員がいる個人事業所は、厚生年金保険への加入義務が適用されます。

しかし、個人事業主で厚生年金保険への加入義務が適用されるのは、建設業などの法定業種だけです。また2022年10月からは弁護士や税理士、行政書士などの士業事務所も法定業種に追加されました。サービス業や農林漁業に従事している場合は、例外となります。

個人事業主は従業員を何人雇っている場合に厚生年金保険に加入する必要があるの?

先述した通り、個人事業主は、常時5人以上の従業員を雇っている場合に厚生年金保険への加入義務が適用されます。厚生年金保険への加入義務があるにもかかわらず、加入手続きをしていない事業所には、年金事務所からの加入指導が実施されます。

それでも加入しない事業所には、年金事務所による立入検査が実施される可能性があるため、注意しましょう。厚生年金保険へ加入する場合は、日本年金機構に新規適用届及び被保険者資格取得届を提出する必要があります。

まとめ

本記事では、個人事業主が覚えておくべき年金制度や厚生年金保険の代わりに加入できるおすすめの制度を詳しく解説しました。個人事業主は、厚生年金保険に加入できないことから会社員よりも老後に備える必要があります。節税対策になる制度も多数存在するため、迷っている方は、ぜひ加入することをおすすめします。

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記事監修
中野裕哲
中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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