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電子帳簿保存法の対象書類は?対応や注意点をわかりやすく解説

電子帳簿保存法の対象書類は?対応や注意点をわかりやすく解説

個人事業主の中には、電子帳簿保存法の改正によって、何がどのように変わったのか気になっている方もいることでしょう。改正内容を正確に把握していないと、誤った方法で対応してしまい、後でトラブルに発展する可能性があるため、正しい知識を身につけておくことが大切です。

この記事では、電子帳簿保存法の対象書類や対応、注意点について、わかりやすく解説します。


【この記事のまとめ】
  • 電子帳簿保存法は、企業が電子的に作成した帳簿や書類を保存するための基準を定めた法律です。1998年に制定され、経理業務の効率化や紙書類削減を目的としています。
  • 2022年の改正により、電子取引データの保存が義務化されました。企業はタイムスタンプを付与し、データ改ざんを防止するシステムを導入し、7年間保存する必要があります。
  • 改正により、事前承認制度や適正事務処理要件の廃止、タイムスタンプ要件の緩和などが実施されました。これにより、企業の運用負担が軽減され、より柔軟なデータ管理が可能になりました。

2024年11月1日より、フリーランス保護法が施行されます。

組織に所属せずに働くフリーランスが安心して働ける環境を整備するために、フリーランスと企業などとの発注事業者間の取引の適正化(契約書等により取引条件を明示する)が主な目的です。

詳しくは次の記事をご覧ください。フリーランス保護法の概要、制定された背景や具体的な内容などを解説しています。

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電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法(でんしちょうぼほぞんほう)は、日本において企業が電子的に作成した帳簿や書類を保存する際の基準や要件を定めた法律です。

この法律は、紙の帳簿よりも電子データの保存が容易であり、企業の経理業務の効率化を図ることを目的としています。1998年に制定され、その後何度も改正されています。

電子帳簿保存法を適用することで、企業は膨大な紙の書類を削減し、より迅速かつ正確なデータの管理が可能です。また、税務調査時の対応も容易になるといったように多くのメリットがあります。

電子取引について

参考:国税庁|電子帳簿等保存制度特設サイト

【義務】電子取引

電子帳簿保存法の一部として、電子取引に関するデータの保存が義務付けられています。具体的には、電子メールやウェブ上で受け取った請求書、領収書、契約書などの取引情報を電子データとして保存しなくてはなりません。

この義務は、電子取引が普及する中で取引における透明性と信頼性を確保し、税務署の監査をスムーズに行うために導入されました。

保存方法としては、データの改ざんを防ぐためのタイムスタンプの付与および検索機能の確保が求められます。また、保存期間も通常の紙の帳簿と同様に7年間が基本です。企業はこれに対応するために適切な電子保存システムの導入が必要となります。

【任意】電子帳簿等保存

電子帳簿保存法において、電子帳簿等の保存は企業に対して任意とされています。具体的には、企業が紙の帳簿や書類を電子データに置き換えて保存することが許可されているものの、必須ではありません。

この任意の措置は、企業の経理業務を効率化し、保管スペースの削減や検索の迅速化を図ることを目的としています。企業は、電子データとして保存する場合に、データの改ざん防止措置としてタイムスタンプを付与し、必要な検索機能を備える必要があります。

また、電子保存を選択した場合でも保存期間は従来の紙の帳簿と同様に7年間です。企業が電子帳簿等の保存を選択することで、業務効率化やコスト削減が期待できますが、適切なシステムの導入と運用が求められます。

【任意】スキャナ保存

電子帳簿保存法で、スキャナ保存は企業に対して任意で認められています。具体的には、紙の領収書や請求書などの書類をスキャナで電子データに変換して保管することが可能です。

この任意の措置は、紙の書類の管理を効率化し、保管スペースを削減することを目的としています。スキャナ保存では、スキャンした画像データが改ざんされないようにタイムスタンプを付与し、必要な検索機能を確保することが求められます。

また、電子データの保存期間は紙の書類と同様に7年間です。企業はスキャナ保存を選択することによって、紙の書類管理に伴う手間やコストを削減できる一方で、適切なスキャナ機器と保存システムの導入および運用が必要です。

電子帳簿保存法の対象書類

電子帳簿保存法の対象

電子帳簿保存法の対象書類となるのは、大きく分けて以下の3つです。それぞれについて詳しく解説します。

国税関係帳簿

国税関係帳簿とは、税務署に提出する帳簿や書類などのことです。

例えば、以下のような書類が該当します。

  • 総勘定元帳
  • 仕訳帳
  • 売上台帳
  • 補助元帳
  • 現金出納帳
  • 固定資産台帳

国税関係書類

国税関係書類も税務署に提出するための書類です。

例えば、以下のような書類が該当します。

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電子データ取引

電子データ取引とは、インターネットや電子メールを通じて行われる取引情報のことです。

例えば、以下のようなデータが含まれます。

  • 請求書
  • 領収書
  • 納品書
  • 契約書
  • 見積書
  • 注文書

国税関係帳簿、国税関係書類、電子データ取引のいずれも電子データとして保存することで、業務の効率化と管理の精度向上が期待できるでしょう。

電子帳簿保存法の改正によって個人事業主に求められる対応

電子帳簿保存法の改正によって個人事業主に求められる対応

電子帳簿保存法は時代の変化に合わせて適宜改正が行われています。2022年(令和4年)の改正では、以下の5つの点で改正が実施されました。

  • 電子取引データ保存の義務化
  • 事前承認制度の廃止
  • 適正事務処理要件の廃止
  • 条件を満たす場合にタイムスタンプ要件の緩和
  • 検索要件項目の緩和

それぞれの改正によって個人事業主に求められる対応について詳しく見ていきましょう。

電子取引データ保存の義務化

電子取引データ保存の義務化により、企業は電子メールやウェブ上で受け取った請求書、領収書、契約書などの取引情報を電子データとして保存しなければならなくなりました。

具体的には、保存するデータに対してタイムスタンプを付与し、データ改ざんを防止する措置が求められます。また、検索機能を確保し、必要な情報を迅速に抽出できるようにすることも重要です。(※小規模事業者など対応が困難な事業者に対しては緩和措置あり。)

保存期間は従来の紙の帳簿と同様に7年間であり、企業はこれらの要件を満たすために適切な電子保存システムの導入と運用が必要となります。

この改正は、電子取引の普及に対応し、取引の透明性と信頼性を向上させることを目的としています。

事前承認制度の廃止

改正において、事前承認制度が廃止されました。これによって、企業は税務署の事前承認を得ることなく、電子帳簿や電子取引データの保存を行えるようになりました。この変更は企業の手続き負担を軽減し、迅速なデータ保存の実施を可能にすることを目的としています。

具体的には、従来必要だった税務署への事前申請および承認手続きを省略できるため、企業は保存システムを柔軟に導入しやすくなります。しかし、データの改ざん防止や適切な検索機能の確保などのような法的要件を満たすための内部統制や運用体制の整備が引き続き求められます。

この改正で、企業はより効率的かつ迅速に電子データを管理できるようになり、業務の効率化が期待できるでしょう。

適正事務処理要件の廃止

改正では、適正事務所利用件も廃止されました。これによって、電子帳簿や電子取引データの保存に際して、特定の事務処理プロセスを遵守する必要がなくなりました。この変更は企業の負担を軽減することで、より柔軟なデータ保存が可能になることを目的としています。

具体的には、これまで求められていた一定の事務手続きを省略でき、自社に最適な方法で電子データを管理することが可能です。しかし、データの改ざん防止措置としてのタイムスタンプの付与および必要な検索機能の確保などの基本的な法的要件は引き続き求められます。

企業は内部統制の強化や適切なシステムの導入で、これらの要件を満たしつつ業務の効率化を図る必要があります。

条件を満たす場合にタイムスタンプ要件の緩和

改正によって一定の条件を満たす場合、タイムスタンプ要件が緩和されました。具体的には、電子取引データの保存で企業が内部統制を整備し、改ざん防止のための適切な措置を講じている場合、タイムスタンプの付与が必須でなくなるケースが導入されました。

この変更は企業の運用負担を軽減し、柔軟なデータ保存を促進することを目的としています。対応として、企業は内部統制システムの強化が求められます。

例えば、改ざん防止のためのログ管理や、アクセス制御といったような適切なセキュリティ対策の実施です。また、これらの対策が有効に機能していることを証明するための文書化や監査プロセスも重要です。企業はこれらの条件を満たすことでタイムスタンプに依存せず、法令遵守を果たしながら効率的なデータ管理を行えるでしょう。

検索要件項目の緩和

改正には、検索要件項目の緩和も盛り込まれました。具体的には、電子取引データの保存における検索機能の要件が緩和され、企業が求められる検索機能の実装がより柔軟になりました。

この変更は企業の負担を軽減し、電子データ管理の利便性を向上させることを目的としています。対応として、企業は従来よりも簡便な検索機能を実装することが可能になりますが、依然データの迅速かつ正確な検索が求められます。

例えば、取引年月日や取引金額など、基本的な検索項目を確実に検索できるようにするなどです。また、内部統制の観点から、検索結果の信頼性を確保する適切なシステム管理と運用が必要です。企業はこれらの要件を満たしつつ、効率的なデータ管理を行うことで法令遵守と業務効率化を両立させることが求められます。

個人事業主が電子帳簿保存法に対応するためにやること

個人事業主が電子帳簿保存法に対応するためにやること

個人事業主が電子帳簿保存法に対応するためにやることとして、以下の3つが挙げられます。それぞれを詳しく説明します。

1.電子データの保管方法を決める

個人事業主が電子帳簿保存法に対応するためにはまず電子データの保管方法を決める必要があります。具体的には、紙の書類をスキャナでデジタル化し、タイムスタンプを付与するなどの改ざん防止措置を講じることが求められます。

また、データを迅速に検索できるようなシステムを整備することも重要です。

2.データの保管場所を決める

次に、電子データの保管場所を決めることが必要です。クラウドストレージや社内サーバーのような信頼性とセキュリティが確保された場所を選択します。

保管場所についてはデータのバックアップを定期的に行って、災害やシステム障害からの復旧を容易にするための対策を講じなくてはなりません。

3.電子帳簿保存法対応の会計システムを導入する

最後に、電子帳簿保存法に対応した会計システムを導入します。このシステムは、電子データの保存、タイムスタンプの付与、検索機能の提供などのような法的要件を満たすものでなくてはなりません。

適切なシステムを導入することで、事務処理の効率化とコンプライアンスの確保が可能になります。

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個人事業主が電子帳簿保存法に関して注意するポイント

個人事業主が電子帳簿保存法に関して注意するポイント<

個人事業主は電子帳簿保存法に関して以下の4つのポイントに注意が必要です。それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

紙での管理を避けてペーパーレス化を検討する

個人事業主は紙での管理を避け、ペーパーレス化を検討することが重要です。電子データは検索や共有が容易であり、保管スペースの節約にもつながります。

紙の書類は紛失や劣化のリスクがあるため、電子データ化することによりこれらのリスクを回避し、効率的なデータ管理が可能になります。

保存期間までデータを残しておく

電子帳簿保存法では、データを一定期間(一般的に7年間)保存することが義務付けられています。個人事業主はこの期間中、データを確実に残しておかなくてはなりません。

データが途中で失われた場合は、税務調査などにおいて問題となり、罰則を受けるリスクがあります。適切な保存対策を講じましょう。

データ管理しやすいように保存しておく

データは管理しやすいように保存することが求められます。分類やタグ付けを行い、必要な情報を迅速に検索できるように整備しましょう。

これにより、業務効率が向上し、税務調査時にもスムーズに対応できます。適切な管理が行われていなければ、必要なデータが見つからず、業務に支障をきたすリスクがあるので注意してください。

定期的にバックアップをとる

定期的にデータのバックアップをとることは、データ喪失のリスクを軽減するために、非常に重要です。ハードウェアの故障やサイバー攻撃といった予期せぬ事態に備えるためにも、バックアップを別の場所に保存することを推奨します。

バックアップがなければ、データ喪失時に業務が停止し、回復が困難になるリスクがあるので注意してください。

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出典:FREENANCE

この記事では、電子帳簿保存法の概要と改正内容などを解説しました。改正で電子取引データの保存が義務化され、事前承認制度や適正事務処理要件が廃止されました。また、タイムスタンプ要件や検索要件の緩和も行われました。

個人事業主が対応すべき具体的な方法や注意点についても説明し、ペーパーレス化、データの適切な保存、定期的なバックアップの重要性を強調しました。正しい知識を身につけ、法廷に準拠したデータ管理を行うことで、業務の効率化と信頼性向上を図りましょう。

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記事監修
中野裕哲
中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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