起業の成功例8選 取材した起業家の売上と立て直しのリアルな軌跡
起業の成功に決まった形はありません。短期間で売上を伸ばした人もいれば、小さく始めて時間をかけて育てた人、大きな落ち込みを立て直した人もいます。この記事では、起業の窓口が実際に取材した起業家の中から、話した内容が数字で確かめられる8人を、成功の形ごとに紹介します。
起業家として有名な会社の話ではなく、実際に話を聞いた人の言葉と、その会社自身の実績だけを載せています。あわせて、生存率など起業の成功を測る数字の読み方も紹介します。

- 記事監修
起業の成功とはどういうことですか
起業の成功に、共通の定義はありません。売上が伸びること、事業を長く続けられること、立て直せたこと、狭い分野で強い立場を築けたことなど、成功の形は起業家によって違います。今回は、取材した起業家の実績をもとに、その成功の形を4つのパターンに整理して解説します。
数字より続けられているかを見る
売上や店舗数などの数字は分かりやすい目安ですが、数字だけが成功を表すわけではありません。事業を続けられているかどうかも、成功を測る材料になります。
この記事で紹介する8人にも、順調に伸びた人だけでなく、売上が大きく落ち込んでから立て直した人がいます。数字が伸びた場面だけでなく、苦しい時期にどう対応したかもあわせて紹介します。
この記事で紹介する数字の基準
紹介する数字は、話を聞いた本人が自分の今の会社の実績として話した内容だけを使っています。前の会社での実績や、今後の目標として話された数字は含めていません。
達成した時期が話の中で分かる場合は、あわせて書いています。時期が特定できない数字は、その旨を明記しています。
短期間で売上を伸ばした成功例
まずは、創業から数年のうちに売上を大きく伸ばした3人を紹介します。3人に共通しているのは、最初の事業をそのまま続けるのではなく、途中で力を入れる範囲を絞り込んだことです。
株式会社FREEDiVE 今井渉平さん
モバイルWi-Fiレンタルなど通信系のサービスを運営する株式会社FREEDiVEの今井渉平さんは、創業当初、SEOやリスティング広告の代行を手がけていましたが、他社との違いを出せずに苦戦していたと話しています。
そこで「思い切って事業をアフィリエイト一本に絞り、徹底的にエッジを効かせた」ところ、クライアントが一気に増え、2年目で年商1億円を突破しました。学生時代の最初の起業は失敗し、コロナ禍では扱う端末が入荷できない時期もあったそうです。
Michikusa株式会社 臼井拓水さん
生成AIの研修事業を手がけるMichikusa株式会社の臼井拓水さんは、起業当初24歳で実績がなく、「ChatGPTって結局嘘つくでしょ?」とあしらわれることもあったと振り返っています。
そこで「無料で研修する代わりに、研修実績をつくらせてください」とお願いして実績を積み、実名で発信したインスタグラムのショート動画がバズったことで、個人向け案件を多く獲得できたと話しています。
株式会社MD 石井賢介さん
化粧品ブランドの開発とOEMを手がける株式会社MDの石井賢介さんは、noteに書いたマーケティングの記事が話題になり、問い合わせが殺到したことから、創業2ヶ月目には月商500万〜600万円に達したと話しています。
そこで得た資金を元手に化粧品ブランドとOEM工場の買収に進み、自社ブランドの取扱店数は当初の約6,000店舗から、現在は約12,000店舗まで拡大したそうです。
小さく始めて大きく育てた成功例
次に、小さな規模から時間をかけて事業を育てた2人を紹介します。どちらも、始めた当初は小さな一歩からのスタートでした。

株式会社ササフネ 大島純二さん
テイクアウト専門の海鮮丼店『丼丸』を展開する株式会社ササフネの大島純二さんは、業績が伸び悩んでいた居酒屋とブティックを、海鮮丼専門店に転換したことで事業が大きく変わったと話しています。
周囲から安すぎると言われた500円の海鮮丼が反響を呼び、加盟店をルールで縛らない「のれん分け」の方式で全国に展開しました。2014年に100店舗だった『丼丸』は、2024年9月に加盟店を含めて400店舗を超えています。
株式会社MAJOLI 横幕真理さん
オンラインのヨガ資格講座を運営する株式会社MAJOLIの横幕真理さんは、対面講座の予定が新型コロナの影響で中止になったことをきっかけに、業界に先駆けてオンラインでの資格講座を始めたと話しています。
起業した当初は思うように動けず、年商は30万円にとどまっていたそうですが、外出を控える人が増えた時期とオンライン講座のニーズが重なり、受講生は3,000名を突破しています。
苦しい時期を乗り越えた成功例
売上が伸びるだけが成功ではありません。売上が大きく落ち込む苦しい時期を経験し、そこから事業を立て直した例もあります。苦しい時期を乗り越えた経験は、順調な事例以上に参考になります。
株式会社Crowd Moove 信濃拓実さん
中小企業向けのオンライン業務代行を手がける株式会社Crowd Mooveの信濃拓実さんは、創業から半年ほどで売上が一気に95%減少し、毎月数百万円の赤字が続く時期があったと話しています。
そうした中、採用支援の顧客に自分のアシスタントを貸したところ全部署で使われたことから、業務代行への潜在的なニーズに気づき、事業の方向を大きく見直しました。今はオウンドメディアのSEOにも力を入れ、効果が出てきていると振り返っています。
専門分野でシェアを取った成功例
事業の規模を広げるのではなく、特定の分野で強い立場を築いた例もあります。狭い範囲に絞ったことが、かえって強みになった2人を紹介します。扱う相手や地域を絞り込むことで専門性の高さが伝わりやすくなり、競合が多い市場でも差別化を図りやすくなります。
株式会社COFFISO 白﨑誠志朗さん
高校生向けのキャリア教育と高卒採用支援を手がける株式会社COFFISOの白﨑誠志朗さんは、創業1年目は学校や教育委員会に否定され続け、資金もほぼゼロの状態でのスタートだったと話しています。
「教育を有料で提供するとそれを理由に否定されてしまうので、無料で提供することで断られる理由を潰していきました」と振り返る取り組みが実を結び、2年目から教員の口コミで広がりました。現在は関西の高校生の新卒採用市場で、約8割のシェアを持っていると話しています。
株式会社スイセイ 松村幸弥さん
AIを活用したBtoB向けの導入事例制作を手がける株式会社スイセイの松村幸弥さんは、前職で事例制作を担当していた経験から、AIで定型作業を効率化し、事例制作に絞ったサービスを始めました。
創業から半年ほどで、すでに130社以上の企業と事例制作を進めてきたと話しており、「制作コストを大きく抑えられている点が大きな強みです」と、専門特化による効率の良さを挙げています。
起業の成功率はどれくらいですか
起業の成功率を示す決まった数字はありません。よく使われる5年後の生存率81.7%という数字は、中小企業庁の資料にある調査結果ですが、対象と集計の条件を知っておかないと読み違えます。廃業と失敗の関係も含め、数字の背景を理解することが重要です。
5年後の生存率81.7%の読み方
この数字は、平成29年版中小企業白書のコラムで紹介されている、帝国データバンクのデータベースに登録された企業だけを対象にした集計です。白書自身が「高めに算出されている可能性がある」と注記しています。
登録されていない小規模な会社や個人事業主は含まれていないため、起業した人全体の生存率とは異なる可能性があります。この数字はあくまで一つの目安となります。
廃業は必ずしも失敗ではない
会社を廃業したことがそのまま失敗を意味するわけではありません。帝国データバンクの調査では、休業や廃業・解散をした企業のうち、直前期の決算が黒字だった割合が約半数にのぼるという結果も出ています。
黒字のうちに事業をたたむ判断をした人も一定数いるということです。生存率の数字だけで成功・失敗を判断せず、自社に合った事業継続の形を検討する必要があります。詳しい生存率の読み方は、起業の成功率を解説した記事で紹介しています。
自分に近い成功例を探すにはどうすればいいですか
紹介した8人以外にも、起業の窓口では年代や状況ごとの成功例を取材記事やまとめ記事で紹介しています。自分の状況に近い記事を探してみましょう。

状況別の成功例をまとめた記事
一人で起業したい方は「ひとり起業のビジネスモデルの成功例」、学生のうちに起業したい方は「学生起業のやり方」をまとめた記事をご覧ください。
女性の起業は「起業する女性におすすめの職種」、地方での起業は「田舎での起業」、資金をかけずに始めたい方は「0円で始められる起業アイデア」をまとめた各記事で、それぞれの状況に近い例を紹介しています。
起業家インタビューで実際の声を読む
起業の窓口では、この記事で紹介した8人を含め、これまでに54本の起業家インタビューを公開しています。業種や起業のきっかけは一人ひとり違うので、起業家インタビューの一覧から、自分の事業に近い人を探してみるのもおすすめです。
判断に迷う点があれば、起業の窓口に無料で会員登録すると、起業・経営支援を行うV-Spiritsによる1時間の無料相談を受けられます(初回のみ)。

起業の成功例についてよくある質問
起業の成功例を探している人から、よく聞かれる質問をまとめました。うまくいく人の共通点や、成功する時期、失敗からの立て直しについて気になる方が多いようです。この記事で紹介した8人の事例も交えて回答します。
起業して成功する人に共通点はありますか?
この記事で紹介した8人に共通するのは、うまくいかない時期があっても、事業の力を入れる範囲を見直したり、地道に実績を積み重ねたりして、状況を変える行動を取っていたことです。
最初の計画どおりに進んだ人はむしろ少なく、途中で方向を変えた人が目立ちます。うまくいかない時期があっても、それ自体は珍しいことではありません。
起業して1年目から成功する人はいますか?
この記事で紹介した中では、株式会社MDの石井賢介さんが、創業2ヶ月目には月商500万〜600万円に達しています。ただし、こうした早い伸びは全員に当てはまるわけではありません。
多くの人が、実績のない最初の時期を無料の対応や地道な営業で乗り越えてから、事業を伸ばしています。1年目に大きな成果が出なくても、珍しいことではありません。
起業して早い時期に失敗したら立て直せますか?
この記事で紹介した株式会社Crowd Mooveの信濃拓実さんは、創業から半年ほどで売上が95%減少する経験をしています。それでも、顧客のニーズに気づいたことをきっかけに事業の方向を見直し、立て直しています。
売上が大きく落ち込んでも、そこで終わりとは限りません。事業や顧客のニーズを見直す機会にもなります。
まとめ
起業の成功に決まった形はありません。短期間で売上を伸ばした人、小さく始めて時間をかけて育てた人、大きな落ち込みを立て直した人、専門分野でシェアを取った人など、成功の形はさまざまです。
生存率などの数字は目安にはなりますが、対象や集計の条件によって読み方が変わります。数字だけで判断せず、自分に近い状況の起業家の話を参考にしてみましょう。
起業の準備全体の進め方は、「起業は何から始めるか」をまとめたページで確認できます。
- ※本記事は、起業の窓口編集部が専門家の監修または独自調査(アンケート)に基づいて制作したものです。
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