助成金とは?事業主がもらえる雇用関係の助成金の種類と申請前のルール
助成金は、国や自治体などが、特定の取組を行う事業者に支給するお金です。従業員の雇用や職場環境の改善に取り組む事業主に対する国の助成金は、厚生労働省が管轄しています。
種類が多く、自分に当てはまるものを探すのは大変です。この記事では、2026年10月5日時点の厚生労働省の公表資料をもとに、事業主向けの助成金の種類と、目的別の選び方、申請前に守る共通のルールを整理します。
大切なのは、取組を始める前に確認することです。助成金によっては、計画の提出や交付決定の前に取組を始めると、対象になりません。
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- 記事監修
助成金とは?
助成金は、事業主が従業員の雇用や職場環境の改善などに取り組んだときに、その費用や賃金の一部を支える制度です。ここでは、助成金の意味と、補助金との違い、この記事で扱う範囲を先に押さえましょう。
事業主の取組を支える返済を前提としないお金です
助成金は、融資と違い、借りるお金ではありません。返済の義務はありません。ただし、不正受給や、支給の要件を満たさなかった場合は、返還を求められます。
国の助成金のうち、従業員の雇用の安定や、職場環境の改善に取り組む事業主に対するものは、厚生労働省が管轄しています。雇用保険法には、雇用安定事業として、事業主に対して必要な助成と援助を行うことが定められています(雇用保険法第62条)。
出典:厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金」、e-Gov法令検索「雇用保険法」(確認日 2026-10-05)
補助金との違い
補助金は、公募されて審査を受け、採択されたものに支給される制度が多く、助成金は、要件に当てはまる事業主が申請する制度が中心、と整理されることが多いです。ただし、制度ごとに仕組みが違うため、募集の案内で確認してください。
違いの詳しい整理は、補助金と助成金の違いの記事にまとめています。創業のときは、創業のときの補助金・助成金の記事も参考になります。
この記事で扱う範囲
この記事は、従業員を雇っている、または雇う予定の事業主向けの助成金を扱います。個人向けの給付金(生活の支援など)は、扱いません。お住まいの自治体や国の窓口で、最新の案内を確認してください。
個別の金額や条件は、キャリアアップ助成金と業務改善助成金の記事で詳しく整理しています。
事業主向け助成金の種類

事業主向けの助成金は、大きく3つに分かれます。国の雇用関係助成金、国の労働条件等関係助成金、そして自治体や団体の助成金です。
雇用関係助成金の分類
厚生労働省の「雇用関係助成金一覧」では、次の13の分類に整理されています。
| 分類 | 取組の内容(厚生労働省の記載にもとづく) |
|---|---|
| 雇用調整助成金 | 休業、教育訓練や出向を通じて従業員の雇用を維持する |
| 産業雇用安定助成金 | 在籍型出向などで、人材の確保やスキルアップを図る |
| 早期再就職支援等助成金 | 離職を余儀なくされる労働者の再就職を支援する。早期に雇い入れる |
| 特定求職者雇用開発助成金 | 高年齢者・障害者・母子家庭の母などの就職困難者を雇い入れる |
| トライアル雇用助成金 | 職業経験の不足などで就職が困難な求職者を試行的に雇い入れる |
| 地域雇用開発助成金 | 雇用情勢が特に厳しい地域で、事業所を設置整備して従業員を雇い入れる |
| 人材確保等支援助成金 | 雇用管理制度や業務負担軽減機器等の導入で、職場定着を支援する |
| 通年雇用助成金 | 季節労働者を通年雇用する |
| 65歳超雇用推進助成金 | 65歳以上への定年引上げなどを実施する |
| キャリアアップ助成金 | 有期雇用労働者等の正社員化や処遇改善に取り組む |
| 両立支援等助成金 | 育児休業の取得や、仕事と介護の両立の支援に取り組む |
| 人材開発支援助成金 | 職務に関連した訓練などを実施する |
| 障害者雇用納付金制度の助成金 | 障害者の雇用に必要な作業施設の設置や介助者の配置などを行う |
出典:厚生労働省「雇用関係助成金一覧」(確認日 2026-10-05)。名称や分類は見直されるため、申請前に最新のページで確認してください。
労働条件等関係助成金
賃金や働き方、安全衛生の取組を支える助成金は、「労働条件等関係助成金」として、厚生労働省の別のご案内ページにまとめられています。雇用関係助成金の一覧のページにも、労働条件等関係助成金はそちらを見るよう記載があります。
| 助成金 | 取組の内容(厚生労働省の記載にもとづく) |
|---|---|
| 業務改善助成金 | 事業場内最低賃金を引き上げ、生産性向上に資する設備投資等を行う |
| 働き方改革推進支援助成金 | 労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進、勤務間インターバルの導入などに向けた環境を整える |
| 受動喫煙防止対策助成金 | 職場での受動喫煙を防止するための対策を行う |
| 団体経由産業保健活動推進助成金 | 事業主団体等が、傘下の中小企業等に産業保健サービスを提供する |
| 高度安全機械等導入支援補助金 | 既存不適合機械等を、最新の構造規格に適合した機械等へ改修または買換する |
| エイジフレンドリー補助金 | 高齢者を対象とする安全衛生確保の取組を実施する |
| 個人ばく露測定定着促進補助金 | 労働者の呼吸域の濃度の測定などを行う |
| 中小企業退職金共済制度の掛金助成 | 新たに中小企業退職金共済制度に加入する。被共済者の掛金月額を増額する |
出典:厚生労働省「労働条件等関係助成金のご案内」(確認日 2026-10-05)。名称や内容は見直されるため、申請前に最新のページで確認してください。
賃上げと設備投資に取り組む事業主向けの業務改善助成金の令和8年度の内容は、別の記事にまとめています。
自治体・団体の助成金
都道府県や市区町村、商工会議所・商工会などが、独自に用意する助成もあります。内容や募集の時期は、地域ごとに違います。「助成金」と検索すると、地域別の一覧ページが多く表示されるのは、このためです。
創業のときに使える制度は、創業のときの補助金・助成金の記事に整理しています。法人成りのタイミングで使える制度は、法人成りで使える補助金・助成金の記事が詳しいです。
自分に合う助成金の探し方
自分に合う助成金は、まず取組の目的から探します。そのうえで、厚生労働省の検索ツールとパンフレットで、最新の内容を確認しましょう。
取組の目的から選ぶ
| やりたい取組 | 候補になる助成金 | 詳しく |
|---|---|---|
| 非正規の従業員を正社員にする・処遇を改善する | キャリアアップ助成金 | 別記事(キャリアアップ助成金) |
| 賃上げと設備投資を同時に行う | 業務改善助成金(労働条件等関係) | 別記事(業務改善助成金) |
| 従業員を新たに雇い入れる | 特定求職者雇用開発助成金、トライアル雇用助成金 | 厚生労働省の一覧ページ |
| 従業員に研修・訓練を受けさせる | 人材開発支援助成金 | 厚生労働省の一覧ページ |
| 育児や介護と仕事の両立を支援する | 両立支援等助成金 | 厚生労働省の一覧ページ |
| 業績悪化などで休業・教育訓練・出向を行う | 雇用調整助成金 | 厚生労働省の一覧ページ |
| 定年の引上げなどを行う | 65歳超雇用推進助成金 | 厚生労働省の一覧ページ |
| 障害者の雇用に必要な施設や介助者を整える | 障害者雇用納付金制度の助成金 | 厚生労働省の一覧ページ |
出典:厚生労働省「雇用関係助成金一覧」(確認日 2026-10-05)。目的が複数あるときは、取組ごとに調べます。
厚生労働省の検索ツールとパンフレット
厚生労働省の「事業主の方のための雇用関係助成金」のページには、雇用関係助成金検索ツール、雇用関係助成金一覧、雇用関係助成金パンフレット、電子申請のページ、申請にあたっての案内が並んでいます。
まず検索ツールで候補を絞り、パンフレットで対象と金額を確かめましょう。年度の途中で要件が変わる助成金もあるため、取組の前に、最新の資料を確認します。
相談先は労働局とハローワーク
詳しい要件や申請先は、管轄の都道府県労働局またはハローワークに問い合わせられます。厚生労働省に「助成金のお問い合わせ先・申請先」のページがあり、窓口の一覧を確認できます。
取組を始める前に、管轄の窓口へ「この取組は助成の対象になるか」を聞いておくのが確実です。
申請前に知っておきたい共通ルール

助成金には、各助成金に共通するルールがあります。雇用関係助成金には、共通の支給要領があり、各助成金の個別の要件に加えて満たす必要があります。ここでは、申請前に確認したい3つを整理します。
取組を始める前に必要な手続きがあります
助成金によっては、取組を始める前に、計画の提出や交付決定が必要です。たとえば、キャリアアップ助成金は、各コースの実施日の前日までに、キャリアアップ計画を労働局へ提出します。業務改善助成金は、交付決定の前に助成対象の設備を導入すると、対象になりません。
取組を始める前に、その助成金の手続きの順番を確認しましょう。
事業主の条件と不支給になるケース
助成金ごとに、対象になる事業主の条件があります。たとえば、キャリアアップ助成金では、雇用保険の適用事業所の事業主であることが前提です。労働保険料の未納や、直近1年間の労働関係法令の違反などがある事業主は、受給できません。
従業員を雇っていない一人親方や個人事業主は、雇用関係助成金の対象にならない場合が多くあります。自分が対象になるかは、助成金ごとの条件で判断します。雇用保険の加入や、従業員を雇う前の手続きは、従業員を雇ったときの社会保険と保険料と、個人事業主が人を雇うときの手続きの記事で確認できます。
不正受給のペナルティ
偽りその他不正の行為で、本来受けられない助成金を受けたときは、全額を返還します。不正に受けた日の翌日からの延滞金と、不正受給した額の2割に相当する額も納めます。
不正受給の決定日から5年間は、雇用関係助成金(不正受給をした以外の助成金を含む)を受けられません。事業主名や代表者名などが公表される場合もあります。
出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金」(確認日 2026-10-05)
助成金の勧誘と代行に注意
助成金は、勧誘や代行をめぐるトラブルの相談も多い分野です。ここでは、厚生労働省が注意を呼びかけている点と、代行を頼むときの確認点を整理します。
厚生労働省を名乗る勧誘
厚生労働省は、厚生労働省の委託事業者を名乗って、助成金の申請や、助成対象の診断、受給額の無料査定をうたう書面を送り、勧誘する者がいると注意を促しています。厚生労働省は、この勧誘に関わっていません。
厚生労働省や労働局が、特定の事業者に助成金の勧誘を委託することはありません。心当たりのない勧誘は、管轄の労働局に確認しましょう。
出典:厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金」、リーフレット「助成金に関する勧誘にご注意ください」(確認日 2026-10-05)
申請の代行を頼むときの確認点
申請書類の作成や手続きを専門家に任せることはできます。依頼するときは、相手の資格や業務範囲を確認しましょう。社会保険労務士法は、社会保険労務士でない者が、他人の求めに応じて報酬を得て、労働・社会保険に関する法令にもとづく申請書類の作成や提出手続の代行を業として行うことを禁じています(同法第2条・第27条。e-Gov法令検索。確認日 2026-10-05)。
キャリアアップ助成金の案内には、申請代理人が不正受給に関わった場合や、知っていて黙認した場合に、申請代理人にも返還の連帯の責任が生じ、事務所の名称などが公表されると書かれています。依頼する側も、内容をよく確認しておきましょう。
よくある質問
個人事業主の方、資金繰りが心配な方、創業時の助成金を探している方から、よく聞かれる疑問をまとめました。答えは、厚生労働省の資料にもとづいています。
個人事業主でももらえますか?
従業員を雇っている個人事業主は、助成金ごとの条件を満たせば対象になり得ます。たとえば、キャリアアップ助成金は、雇用保険の適用事業所の事業主が対象です。従業員がいない一人親方は、雇用の助成金の対象にならない場合が多くあります。まずは、取組の目的から候補を探しましょう。
助成金はいつ支給されますか?
助成金には、取組を行って費用や賃金を支払ったあとに支給されるものがあります。キャリアアップ助成金や業務改善助成金が、その例です。審査の期間は助成金や申請の内容で変わり、一律には言えません。資金が先に必要になる場合は、日本政策金融公庫などの融資を検討する方法もあります。
創業のときにもらえる助成金はありますか?
創業時に使える制度は、国や自治体が用意しています。創業向けの補助金・助成金は、創業のときの補助金・助成金の記事に整理しています。会社設立のタイミングや、法人成りのタイミングで使える制度は、それぞれの記事を参考にしてください。制度の名称や条件は年度ごとに見直されるため、各記事の確認日もあわせて見ておきましょう。
受け取った助成金には税金がかかりますか?
受け取った助成金の会計・税務上の扱いは、個別の事情で変わります。この記事では判断しません。受け取る時期や、帳簿への記録の方法も、あわせて相談しておくと安心です。GMOオフィスサポートが紹介する税理士に、無料で相談できます(GMOオフィスサポートは、起業の窓口と同じグループの会社です)。
専門家に相談したいときは
迷ったときは、まず無料の公式窓口に聞くのが確実です。そのうえで、助成金の進め方を相談できる先を知っておくと安心です。
無料で聞ける公式の窓口
詳しい要件や申請先は、管轄の都道府県労働局またはハローワークで確認できます。厚生労働省の「助成金のお問い合わせ先・申請先」のページに、窓口の一覧があります。問い合わせるときは、取組の内容、雇っている従業員の人数、雇用保険の加入状況を、手元にそろえておきましょう。
起業の窓口の会員登録特典と紹介税理士
起業の窓口に無料会員登録すると、外部の専門家のV-Spiritsによる1時間の無料相談(初回のみ)を利用できます。代表の中野裕哲氏は、特定社会保険労務士・税理士などの資格を持っています(起業の窓口 運営者情報ページの記載。確認日 2026-10-05)。どの助成金が自分の取組に合うか、相談してみましょう。申請書類の作成の代行は、相談の範囲に含まれるかを事前に確認してください。
受け取った助成金の会計・税務上の扱いは、GMOオフィスサポートが紹介する税理士に、無料で相談できます(GMOオフィスサポートは、起業の窓口と同じグループの会社です)。
まとめ
助成金は、従業員の雇用や職場環境の改善に取り組む事業主を、国などが支える制度です。事業主向けの助成金は、厚生労働省の雇用関係助成金、労働条件等関係助成金、自治体や団体の助成金の3つに分けて考えると整理しやすくなります。
進める順番は、取組の目的の確認、候補の助成金の選択、厚生労働省の最新の資料の確認、取組の前の手続き、取組の実施、申請の順です。取組を始める前に確認することが、いちばんのポイントです。まずは、自分の取組の目的に合う助成金を、一覧から探してみましょう。
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- ※本記事は、起業の窓口編集部が専門家の監修または独自調査(アンケート)に基づいて制作したものです。
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