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小規模企業共済は危ない?メリット・デメリットや節税効果について解説

小規模企業共済は危ない?メリット・デメリットや節税効果について解説

近年、組織に所属せずに個人で仕事を受け持つ「フリーランス」や「個人事業主」の人口が増えてきています。この背景として考えられるのは、2018年1月に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定し、企業が副業を解禁して副業人口が増えたことです。


また、コロナ禍による失職者の増加や在宅ワークの普及などで、通勤や労働時間、場所に捉われない働き方にシフトする人が増えたことも挙げられるでしょう。


初めはフリーランスや個人事業主として副業していた人でも、事業が大きくなるにつれて法人化を考える人もいると思います。そこで懸念されるのが、社会保障制度の手薄さです。この不安を解決することができるのかどうか、本記事では「小規模企業共済」について解説します。


【この記事のまとめ】
  • 小規模企業共済は、中小企業経営者や個人事業主が退職金として積み立てる制度です。国の中小企業基盤整備機構が運営しており、毎月の掛金を納めることで、退職や廃業時に共済金を受け取れます。
  • 小規模企業共済は満期や満額がなく、運用利率が低いです。また、死亡保障が加入時の年齢により異なり、資金繰りが悪化するリスクもあります。
  • 小規模企業共済は節税効果があり、掛金を自由に設定できます。また、貸付制度があり、非課税枠も存在します。加入条件や受取条件が緩和され、利用しやすくなっています。

2024年11月1日より、フリーランス保護法が施行されます。

組織に所属せずに働くフリーランスが安心して働ける環境を整備するために、フリーランスと企業などとの発注事業者間の取引の適正化(契約書等により取引条件を明示する)が主な目的です。

詳しくは次の記事をご覧ください。フリーランス保護法の概要、制定された背景や具体的な内容などを解説しています。

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小規模企業共済とは

小規模企業共済とは

小規模企業共済とは、中小企業の経営者や個人事業主などが加入できる、積み立てによる退職金制度です。

国の機関である中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営しており、廃業や退職の際に、事業の再建や、安定した生活の資金の備えとして、社会保障制度の不足分を補充するために始まりました。

毎月1,000~70,000円(500円単位)の掛金で加入することができ、令和5年3月末の時点で、162万人が在籍しています。

加入と、共済金等が受け取れる条件の一例は下記のとおりです。

【加入条件】
  • 建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業などを営む場合(※1)は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社等の役員
  • 商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む場合(※2)は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社等の役員
  • 事業に従事する組合員の数が20人以下の企業組合の役員、常時使用する従業員の数が20人以下の協業組合の役員
  • 常時使用する従業員の数が20人以下であって、農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員
  • 常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員
  • 上記(※1)と(※2)に該当する個人事業主が営む事業の経営に携わる共同経営者(個人事業主1人につき2人まで)

参考:中小機構の共済制度|小規模企業共済に加入をご検討中の方へ

【受取条件】
  • 事業をやめた場合
  • 共同経営者を退任した場合
  • 会社等役員の疾病、負傷または死亡による退職
  • 老齢給付
  • 配偶者や子への事業譲渡
  • 会社等の役員の任意または任期満了による退職
  • 任意解約

また、受取方法は、一括、分割(10年/15年)、一括と分割の併用から選ぶことができます。

参考:中小機構|共済制度

参考:東京商工会議所|小規模企業共済

小規模企業共済が危ないと言われるのはなぜ?

小規模企業共済が危ないと言われるのはなぜ?

小規模企業共済への加入を検討している方の中には、「小規模企業共済は危ない」という噂を耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

実際には具体的に何が危ないのか、デメリットを次の項目ごとに解説します。

【小規模企業共済のデメリット】
  • 満期や満額がない
  • 運用利率が低い
  • 死亡保障は加入時の年齢によって異なる
  • 資金繰りが悪化するリスクがある

それでは見ていきましょう。

満期や満額がない

小規模企業共済には、満期や満額がありません。加入から退職まで続けて納付する必要があります。そのため、加入期間が長ければ長いほど受け取れる共済金は大きくなりますが、必ずしも目標金額を受け取れるとは限りません。

任意解約が可能ですが、20年以上継続して掛金を支払っていないと、掛金以上の額を受け取ることができず元本割れとなります。ただし、65歳以上であれば15年以上の継続で、在籍中でも老齢給付として請求することができます。

運用利率が低い

小規模企業共済の運用利率は、他の金融商品と比べて低いことがデメリットのひとつとして挙げられます。運用利率とは、実際の掛金と比較して、どのくらい共済金を受け取ることができるのか、ということです。

他の金融商品で運用した場合よりも、受け取れる金額が少なくなってしまう可能性があることも、小規模企業共済が危ないと言われる理由の一つでしょう。

死亡保障は加入時の年齢によって異なる

小規模企業共済の死亡保障は、加入時の年齢によって異なります。つまり、年齢が上がるにつれて死亡保障は低くなるということです。

また、通常は死亡保険金の受取人が指定できる生命保険とは異なり、小規模企業共済の死亡時共済金は受取人を予め指定することができません。民法上の相続の一般原則とは異なり、小規模企業共済法に規定された順位に従って請求権が決まります。

小規模企業共済のメリット

小規模企業共済のメリット

小規模企業共済のデメリットを紹介しましたが、もちろんメリットもたくさんあります。

具体的には下記のとおりです。

【メリット】
  • 節税効果がある
  • 掛金を自由に設定できるので退職金を準備しやすい
  • 貸付制度がある
  • 非課税枠がある

それでは詳しく見ていきましょう。

節税効果がある

小規模企業共済の掛金は全額所得控除の対象となるため、節税効果があります。

課税対象の所得が1,000万円、月7万円の掛金を支払った場合の例を見てみましょう。

年間控除額:84万円(7万円×12カ月)
節税額:84万円×(所得税率33.693%+住民税率10%)=367,000円

また年払いに変更した場合は更に控除額が上がり、最高で168万円が控除の対象となり、大きな節税効果があります。

掛金を自由に設定できるので退職金を準備しやすい

小規模企業共済の掛金は、月額1,000円から7万円まで500円単位で自由に設定できます。

さらに加入後も増額・減額できるため、自分の収入に合わせて無理なく退職金準備ができることもメリットです。

ただし、減額の場合には下記注意が必要です。

  • 払い込んだ掛金を所得控除として申告できる額が少ない
  • 月払いで、一括納付している期間の掛金月額は減額できない
  • 半年払い・年払いので、既に前納をしている期間の掛金月額は減額できない

貸付制度がある

共済契約者貸付には、事業資金や生活資金などを借りることができる貸付制度があります。掛金の範囲内で10万円以上2,000万円以内の借入ができる仕組みです。

貸付制度は、簡易迅速に貸付けが受けられる「一般貸付」と、特別な事情がある場合に貸付けが受けられる「特別貸付」の2種類あります。

それぞれ借入期間や条件によって、返済方法や利率が異なること、また、返済が滞った場合には、年利で14.6%の延滞利子が発生するため注意が必要です。

非課税枠がある

小規模企業共済法の共済金受給時には一部非課税となる場合があります。遺族が受け取る救済金は退職手当金等として扱われるためです。

相続税の非課税限度額は、「500万円×法定相続人の数」で算出されます。

例えば死亡により2,000万円の救済金を遺族2人が受け取った場合、以下のようになります。

2,000万円-(500万円×2=1,000万円)=1,000万円

これは、満額2,000万円に対してではなく、非課税額(1,000万円)を控除後の1,000万円に相続税が課されるということです。

積み立てた資金は運用される

毎月積み立てた掛金は、中小機構が運用します。

実際に支払った掛金に対して、共済金の種類によっては120%の受取を期待することもできるのです。国が運用してくれるので、個人や民間の資産運用よりも安心感を持って預けることができます。

小規模企業共済は改正によってメリットが増えた!

小規模企業共済は改正によってメリットが増えた!

小規模企業共済制度は昭和40年12月1日に発足されて以来、改正が繰り返されています。

改定によって加入者が受けられるメリットも増えているのです。

具体的な内容を一部紹介します。

【制度改定によるメリット(一例)】
  • 加入時の申込金(現金払い)が不要になった
  • 分割共済金の支給回数が年4回から年6回に増加
  • 掛金滞納による契約解除の取り扱いが緩和された(災害などやむを得ない事情による場合の滞納など)
  • 共済金を受け取れる範囲の拡大(遺族にひ孫と甥・姪が追加)
  • 貸付制度の上限額が引き上げられた
  • 条件によって共済金の受取額が増えた

改正により、加入・受取の条件が緩和され、事業継承のための保証が手厚くなったと言えるでしょう。

参考:中小機構|制度改正について

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まとめ

今回は、小規模企業共済について解説してきました。小規模企業共済は、社会的保証や退職後の不安が大きい個人事業主・中小企業経営者にとって、心強い制度であることがわかったと思います。特に、資金運用と節税を兼ねている点が大きなメリットと言えるのではないでしょうか。

しかし先述のとおりデメリットもありますので、必ずしも全ての対象者に恩恵がある制度とは言い切ることはできません。ご自身の事業計画によって、よく検討してみることが大切です。

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詳しくは「【できるのか?】ChatGPTを使ってたった1時間で事業計画書を書くアラフォー起業家。《小説「AI起業」シリーズ#01》」をご覧ください。

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記事監修
中野裕哲
中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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