合同会社の定款作成方法|詳細な記載事項や注意点も徹底解説!
定款は、会社を設立する際に欠かせない存在です。
株式会社だけでなく、持分会社である合同会社にも必要なため、必ず作成しなければいけません。そのためこの記事では、合同会社が定款を作成する際に記載する事項や注意点、作成方法についてお伝えしていきます。今後会社を設立し、定款を作成する際の参考になさってください。
- 【この記事のまとめ】
- 合同会社の定款は会社の基本情報や規則を定めるルールブックです。
- 定款は紙媒体または電子媒体で作成でき、認証手続きは不要なため費用を抑えられます。
- 合同会社の定款は自由度が高い反面、変更や修正には全社員の同意が必要となるため、初めから慎重に作成することが重要です。
「起業の窓口」では、AIインフルエンサーの茶圓氏とコラボをおこない、AIを活用してビジネスの効率化を図るための貴重な知識を提供しています。
特集ページ「AI×起業」では、最新のAI技術やツールを使った実践的なアプローチを紹介しており、起業家や個人事業主の業務をよりスマートにサポートします。
AIの力で業務の負担を軽減し、ビジネスの成長を加速させたい方に最適な情報が満載です。ぜひご覧ください。
「起業の窓口」の特集ページ「起業家インタビュー」では、実際に成功を収めた起業家たちの貴重なインタビューが充実しています。リアルな体験や苦労、成功までの道のりを通じて、これから起業を目指す方々に向けた実践的なアドバイスを提供しています。
さまざまな分野で活躍する起業家の声を通して、ビジネスのヒントやインスピレーションを得られるコンテンツが満載です。ぜひインタビューを参考にして、自分のビジネスに活かしてみてください。
定款とは
定款とは会社の基本情報や規則が記されたルールブックや憲法のようなもので、会社を作る際に必ず作成する必要があります。
記載する内容は法律で予め定められており、会社の名前や事業内容、住所といった会社の基本情報の他に会社の指針となる様々な規則を記載しなければなりません。記載漏れがあった場合は公証役場で受理されないため注意しましょう。
一から自作することは不可能ではないですが、専門知識がないと難しいため、司法書士や行政書士に依頼する方法もあります。
合同会社の定款とは
合同会社とは、出資者と経営者が同一な会社形態のことです。出資した全ての社員が会社の決定権を持ち、経営を行っていきます。そのため株式会社と比べ設立費用やランニングコストが安くすみ、さらに経営の自由度が高いので、小規模の事業やB to Cの企業の経営に適しているでしょう。
合同会社の定款に関しても、株式会社のケースと比べると定められる範囲が広く自由度が高いため、作成する際には細部の文言まで正しく記し、独自ルールも漏らさず詳細に記載しておくことが重要となります。
株式会社の定款との違い
株式会社と合同会社、どちらにしても定款は必ず作成しなければなりませんが、内容は異なります。
合同会社の場合は、株式会社と違い比較的作成しやすいことが特徴です。定款の記載は、基本的には公序良俗や会社法などに反しない限り、組織構成や利益配分なども自由に定めることができます。株式会社の場合は株主構成や株式の譲渡制限、発行株数の記載が必要ですが、合同会社には株式の概念がないため関係がありません。
さらに株式会社と合同会社の違いとして、定款の認証の必要性も挙げられます。株式会社では会社を設立する際に、公証役場で認証してもらう必要がありますが、合同会社では定款認証の手続きが不要です。認証にかかる費用を削減できます。
合同会社 | 株式会社 | |
---|---|---|
意思決定 | 総社員の同意 | 株主総会 |
代表者の名称 | 代表社員 | 代表取締役 |
決算公告 | 不要 | 必要 |
定款 | 認証不要 | 認証必要 |
設立費用 | 約10万円~ | 約25万円~ |
合同会社の定款が必要となるタイミング
定款は会社設立時だけでなく、事業開始までの間に幾度も必要となります。定款の写しを提出しなければ、起業時に必要な申請に支障がでるためご注意ください。必要となるのは以下の3つのケースです。
- 【合同会社の定款が必要となるタイミング】
-
- 金融機関と取引するとき
- 「法人設立届出書」を提出するとき
- 許認可・補助金・助成金の申請をするとき
まず金融機関との取引時の場合ですが、法人口座の開設をしたり一定金額を超える大口取引を行ったりする際に定款の写しが必要になる可能性があります。次に「法人設立届出書」の提出に関してですが、会社を設立した場合、税務署や自治体に税金を納めなければなりません。会社の設立と概要を知らせるため法人設立届出書を提出しますが、その際にも定款の写しが求められる場合があります。許認可・補助金・助成金の申請に関しても申請の際に必要となるため、定款の写しをいくつかあらかじめ準備しておきましょう。
合同会社の定款に記載する事項
合同会社を設立するには、その社員となる者が定款を作成し、紙か電子いずれかで提出する必要があります。作成する際に気を付けなければならないのが、記載する内容が会社法という法律で定められていることです。「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つを記さなければならないため、それぞれの項目について詳しく解説していきます。
- 【合同会社の定款に記載する事項】
-
絶対的記載事項 - 目的
- 商号
- 本店の所在地
- 社員の氏名又は名称及び住所
- 社員の全部を有限責任社員とする旨
- 社員の出資の目的及びその価額又は評価の標準
相対的記載事項 - 持分の譲渡の要件
- 社員又は業務執行社員が2人以上ある場合における業務の決定方法
- 合同会社を代表する社員の指名又は互選
- 存続期間又は解散の事由
任意的記載事項 - 業務執行社員の員数
- 業務執行社員の報酬
- 事業年度
絶対的記載事項
絶対的記載事項とは、定款に必ず記載しなければいけない内容です。下記の内容に漏れや違法性があると、定款が無効になるため注意しましょう。記載事項は登記の変更手続きをし、登録免許税を支払えば後から変更可能です。
絶対的記載事項 | |
---|---|
記載項目 | 記載内容 |
目的 | 会社で何をしようとしているのか、具体的な事業内容について記載する |
商号 | 商号とは社名のことで、最初か最後に必ず合同会社を入れる |
本店の所在地 | 事業所の住所のこと。法律上の住所のため、実際の事業活動地と異なっていても構わない |
社員の氏名又は名称及び住所 | 合同会社における社員とは出資者又は経営者のことなので、全員の氏名及び住所が必要になる |
社員の全部を有限責任社員とする旨 | 合同会社の社員は有限責任です。定款には、社員全員が有限責任であることを記載しなければいけない |
社員の出資の目的及びその価額又は評価の標準 | 社員の出資目的と出資した形態、金額を記載する |
相対的記載事項
相対的記載事項は定款に記さなくても問題ないが、記載がないと効力を持ちません。しかし、後々にもめごとが起こらないように予めルールを記載しておいた方が、万が一問題が起きた際に助けとなるでしょう。
相対的記載事項 | |
---|---|
記載項目 | 記載内容 |
持分の譲渡の要件 | 業務を執行する役員は、他の社員全員の承諾があれば持分を他人に譲渡できる |
社員又は業務執行社員が2人以上ある場合における業務の決定方法 | 出資者が複数人いる合同会社ではそれぞれが代表権を持っているため、会社の方針を決める際に問題が起こる場合があります。 |
合同会社を代表する社員の指名又は互選 | 出資者が複数人いる合同会社ではそれぞれが代表権を持っているため、会社の方針を決める際に問題が起こる場合があります。定款に記載することで代表社員を決定することが可能です。 |
存続期間又は解散の事由 | 合同会社は予め存続を決めることができる。解散事由に関しても予め定款に定めておくことが可能です。 |
任意的記載事項
任意的記載事項は、定款に記載してもしなくても問題ありません。定款に記載しなくても、社内規則に明記すれば効力を得られるため、よく考えて記載するか決めるとよいでしょう。
任意的記載事項 | |
---|---|
記載項目 | 記載内容 |
業務執行社員の員数 | 人数を予め定めておきたい場合は記載しておきましょう |
業務執行社員の報酬 | 業務執行社員には役員報酬が支払われるため、予め報酬の決め方を定款で定めることが可能 |
事業年度 | 事業年度とは会社が決算書を作成する際に区切る年度のことを指す。1年を超えなければ、好きな時期に定めることが可能である |
合同会社の定款の作成方法
定款は紙媒体で作成するのが主流ですが、現在は電子データとして作成する方法も認められています。紙媒体と電子データの違い、かかるコストや手間についてお伝えしますので、どちらが自社にとってよいか検討してみてください。
紙媒体による作成
紙媒体で作成する場合、以下の2通を書面で作成するのが基本です。
- 法務局で登記申請するときの定款
- 会社で保管する定款
2通をパソコンのWord等の文章作成ソフトで作成します。
電子媒体による作成
電子媒体で作成する場合、紙媒体のときと同じくパソコンのWord等の文章ソフトで作成します。作成できたらPDF形式に変換し、そのPDFファイルを電子定款として保存しましょう。
その後電子署名を付与するのですが、そのためにまず電子証明書を読み込む必要があります。電子証明証はマイナンバーカードのICチップ内に保管されているため、ICカードリーダライタを使用し電子証明証を読み込みましょう。ICカードリーダライタで電子証明書を読み込んだ後に特定のソフトを使用し、電子定款のPDFデータに挿入すれば電子署名が付与されます。
合同会社の定款を作成する際の注意点
合同会社の定款を作成する際には、以下の3つのポイントに注意しましょう。
- 変更・修正には全社員の決議や変更登記が必要になる
- 人によって解釈に差が出ないようにする
- 定款の修正が無いように細心の注意を払わなければならない
それぞれ詳しく説明するので、定款を作成する前に確認しておいてください。
変更・修正には全社員の決議や変更登記が必要になる
出来上がった定款は変更・修正することも可能です。しかし、原則として会社設立時に作成された原始定款を直接変更することはできません。原則として全社員の合意を以て変更します。
人によって解釈に差が出ないようにする
作成する際は、内容だけでなく表現の仕方や表記方法にまで気を配りましょう。些細な表現の違いが、後に大きな問題になる可能性はゼロではありません。社員の氏名や住所は、印鑑登録証明証と相違ないように記載し、番地等も省略せずに正しく表記しましょう。
「または」や「および」という表現は断言が必要な条項に使用できないため、「または」を使用する際はどちらかのものを選べるとき、「および」はどちらも選べるというときに記載してください。句読点の位置や選んだ言葉で意味が大きく変わってしまうと、混乱の原因となるため注意しましょう。
定款の修正が無いように細心の注意を払わなければならない
株式会社と違い、合同会社などの持分会社では公証人の認証が不要です。合同会社は、公証人による認証を受けられないというわけではありません。公証役場は、中立の立場で公的な証書の作成や認証を行う国家機関です。契約や事実関係に関してのトラブルを防ぐ、法律のエキスパートが在籍しているため、問題のない定款を作成したいのであれば公証人を活用するのも1つの方法でしょう。
まとめ
合同会社の定款に関してお伝えしました。定款は会社を設立する際に必ず作成する必要のある憲法のようなもので、株式会社と違い合同会社は最低限の基本を押さえれば、後は自由にルールを定めることが可能です。出来上がった内容を変更することもできますが、手間やコストがかかるため、修正の必要がないようによく考えて作成しましょう。
これまでは紙媒体での作成が主流でしたが、現在では電子媒体での作成も認められているので、今後データの電子化が進んでいくことを考慮したうえでどちらを選ぶか決めることが大切です。
起業や独立を考えている方に朗報
起業・経営のプロ監修のオリジナル冊子『会社設立完全ガイド』を無料でプレゼント!
「起業の窓口」では、起業に必要なノウハウや成功者のインタビューなど、さまざまなコンテンツを完全無料で提供しています。また、GMOインターネットグループが展開するビジネスの立ち上げや拡大に役立つ各種サービスをおトクな特典付きでご紹介しています。
会社設立や資金調達などのノウハウが詰まった『会社設立完全ガイド』をGETして、夢の実現への一歩を踏み出してみませんか?
- 記事監修
-
- 中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
- 起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。