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会社設立時に申請できる助成金・補助金一覧|注意点も解説

会社設立時に申請できる助成金・補助金一覧|注意点も解説

助成金・補助金とは、事業者の支出に対して自治体や国が支援を行う制度です。しかし、助成金・補助金には複数の種類があるため、会社設立時にどれを選ぶべきか迷う方も多いのではないでしょうか。そこで、こちらでは助成金・補助金の概要や種類などを紹介します。これから会社を設立する方や資金面で支援を受けたい方に役立つ情報を解説しますので、ぜひ参考にしてください。

【この記事のまとめ】

  • 助成金・補助金は返済不要で、事業者の支出を支援します。助成金は雇用環境整備を、補助金は国策促進を目的としています。両者の特徴を理解することが重要です。
  • 会社設立時に申請できる主な助成金・補助金は5つあり、小規模事業者持続化補助金やキャリアアップ助成金などがあります。対象者や金額を事前に確認しましょう。
  • 助成金・補助金は必ず受給できるわけではなく、後払いのため資金確保が必要です。併用不可の制度も多いため、事前に確認することが重要です。

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助成金・補助金とは

助成金・補助金とは

助成金・補助金とは、自治体や国が事業者の支出を支援する制度であり、事業・技術の発展などを目的としています。両者とも原則返済不要な点では共通していますが、支援金額や受給審査のハードルなどに違いがあるため事前に把握しておくことが大切です。

助成金とは

主に、雇用環境の整備に対して受給される制度です。厚生労働省が中心に公募が行われています。助成金額は1回あたり10~100万円ほどの場合が多いです。

補助金と比べて多額の助成は見込めませんが、募集要件に合致し、しっかりと書類を準備すれば受給できます。補助金審査に高いハードルを感じている場合は、助成金を選択するのも1つの方法です。

補助金とは

補助金は、国策の促進や新規事業の促進などを目的に国や自治体が支援を行う制度です。支援金額は助成金よりも多いものが多く、数百万円〜数億円に達することもあります。また、助成金と比べて経費の適用範囲が広く、種類が多いところも補助金の魅力です。ただし、受給できる事業者の件数や予算があらかじめ決まっているため、助成金よりもハードルは高いと言えます。

そのため、たとえ募集要件に合致していたとしても、審査内容によっては落ちてしまう可能性があります。あらかじめ入念な準備を整えておくことが大切です。

会社設立時に申請できる助成金・補助金一覧

会社設立時に申請できる助成金・補助金一覧

会社設立時に申請できる助成金・補助金は、主に5つあります。

  • 小規模事業者持続化補助金
  • キャリアアップ助成金
  • 地域中小企業応援ファンド
  • トライアル雇用奨励金
  • ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金

それぞれ対象者や金額などに違いがあるため、申請前にチェックしておくのがおすすめです。詳細は後述していますので、参考にしながら事業内容に見合った助成金・補助金を見つけましょう。

小規模事業者持続化補助金

個人・法人を問わず小規模事業者を対象とした中小企業庁の制度です。小規模事業者の定義は業種によって異なります。

  • 製造業・その他:従業員数20人以下
  • 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業以外):従業員数5人以下
  • サービス業のうち宿泊業・娯楽業:従業員数20人以下

事業計画に沿った販路開拓や、それに伴う業務効率化などの取り組みを行っていることが応募条件です。補助金を受けられるだけでなく、販路開拓時や事業計画作成時に商工会議所または商工会からアドバイスをもらえるため、起業直後の会社にとって強い味方になるでしょう。

起業の窓口」の特集ページ「AI×起業」では、AIを活用して事業計画書を簡単に作成する方法を紹介!

詳しくは「【できるのか?】ChatGPTを使ってたった1時間で事業計画書を書くアラフォー起業家。《小説「AI起業」シリーズ#01》」をご覧ください。

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応募の際は、応募に必要な書類を作成したうえ、商工会議所または商工会に申請を相談したあとに事業支援計画書の交付を受け、補助金事務局へ交付申請書を提出します。

対象者 小規模事業者(業種によって定義は異なる)
補助金額 上限50万円(令和元年度補正予算・令和3年度補正予算分 通常枠)
補助率 2/3(令和元年度補正予算・令和3年度補正予算分 通常枠)
申し込み方法 商工会議所または商工会に申請を相談し、事業支援計画書の作成・交付を受けたあと、小規模事業者持続化補助金事務局へ郵送または電子で申請

キャリアアップ助成金

非正規雇用従業員の待遇改善やキャリアアップ支援を実施する事業者が対象となる制度です。非正規雇用従業員を正社員化した場合と待遇を改善した場合とでコースが分かれ、支援金額や条件等が細かく設定されているため事前に厚生労働省のHPを確認してください。

助成金の申請は、労働局で行います。まずは、正社員等への転換制度を規定した就業規則とキャリアアップ計画書を労働局へ提出してください。就業規則の規定通りに非正規雇用従業員の転換を行い、6ヶ月間雇用を継続したあと、2ヶ月以内に労働局へ支給申請書を提出したら申込みの完了です。

対象者 非正規雇用従業員の待遇改善やキャリアアップ支援を実施する事業者
補助金額(中小企業の場合)

正社員化コース:約21万~72万円

障害者正社員化コース:45万~120万円

賃金規定等改定コース:約3万~4万円(1人あたり)

賃金規定等共通化コース:約42万~72万円(1事業所あたり)

賞与・退職金制度導入コース:38万~48万円(1事業所あたり)

選択的適用拡大導入時処遇改善コース:19万~24万円(1事業所あたり)

短時間労働者労働時間延長コース:約5万~22万円(1人あたり)

補助率
申し込み方法 正社員等への転換制度を規定した就業規則とキャリアアップ計画書を労働局へ提出し、転換を行った従業員を6ヶ月間雇用したあと、労働局へ支給申請書を提出

地域中小企業応援ファンド

地域中小企業応援ファンドとは、中小企業基盤整備機構と都道府県及び地域金融機関等が一体となって資金を拠出し、基金(ファンド)を作り、ファンドの運用益から、ファンド運営管理法人が創業や販路開拓などに取り組む中小企業者等へ助成する制度です。

地域中小企業応援ファンドは「地域中小企業応援ファンド」と「農商工連携型地域中小企業応援ファンド」の2種類があり、全国約23都道府県の状況に応じ組成されております。

地域中小企業応援ファンドは全ての都道府県に設置されているわけではないため、あらかじめ会社住所地の中小企業支援機関へ確認しましょう。また、募集期間は地域によって異なるため、各中小企業支援機関に相談したうえで申請を行ってください。

対象者(スタートアップ型) 地域密着型の事業へ取り組む中小企業・創業者
補助金額 数百万円から数千万円(ファンドによる)
補助率 1/2~1/1(ファンドによる)
申し込み方法 各中小企業支援機関の窓口にて募集要項を確認のうえ、申請を行う

トライアル雇用奨励金

ハローワークなどを通して採用した求職者を、一定のトライアル期間を期限に雇用した場合に支給を受けられる制度です。求職者と会社の双方の同意があれば、トライアル期間後に正社員として雇用することもできます。ただし、必ずしも正社員として雇う必要はなく、求職者と会社の判断に委ねられるのが原則です。

奨励金申請の前には、ハローワークや職業紹介業者等にトライアル雇用求人を提出し、3ヶ月の期限付きで求職者を雇用します。雇用から2週間以内にハローワークや職業紹介業者にトライアル雇用実施計画書を提出したあと、トライアル期間が終了した翌日から2ヶ月以内に労働局へ奨励金の受給申請書を提出してください。申請に問題がなければ、奨励金が支給されます。

対象者 ハローワーク・職業紹介事業者から紹介を受けた求職者を原則3ヶ月雇用した会社(1週間の労働時間を他の従業員と同等にすることが条件)
補助金額 月4~5万円(労働者1人あたり)
補助率
申し込み方法 雇用から2週間以内にハローワークや職業紹介業者にトライアル雇用実施計画書を提出したあと、トライアル期間終了の翌日から2ヶ月以内に労働局へ奨励金の受給申請書を提出

ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金

中小企業等が行う新たな商品・サービスの開発や、生産プロセスの改善を目的とした設備投資を支援する制度です。補助金の基本形である一般型、海外進出を目的とした事業者が対象となるグローバル展開型、革新的な事業を行う会社を支援する会社が対象となるビジネスモデル構築型の3種類があります。新たに会社を設立する場合は、一般型かグローバル展開型を選ぶ場合がほとんどです。

申込みは、募集期間内にインターネットを使った電子申請によって行います。募集期間と電子申請方法はものづくり補助金総合サイトにて案内があるため、確認のうえ申し込みを行ってください。

対象者 中小企業・小規模事業者(業種によって定義が異なるためものづくり補助金総合サイトで確認)
補助金額

一般型:通常枠750~1,200万円

グローバル展開型:上限3,000万円

ビジネスモデル構築型:上限1億円

補助率 1/2~1/3
申し込み方法 ものづくり補助金総合サイトにて電子申請

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会社設立時に助成金・補助金を申請する際の注意点

会社設立時に助成金・補助金を申請する際の注意点

助成金・補助金の申請時に注意しておきたいことは、以下の通りです。

  • 必ず受給できるわけではない
  • 受給までに時間がかかる
  • 複数の助成金・補助金を併用できないことがある

各注意点の詳細を確認し、滞りなく申請を行えるよう準備を整えましょう。

必ず受給できるわけではない

助成金・補助金を申請するためには、要件を満たしている必要があります。要件を満たしていないと判断された場合、助成金・補助金は支給されません。特に補助金は審査があり競争率が高く採択率が低いため、事前に募集要項を読み込み、採択に必要な資料を揃えておくことが大切です。

また、事業実施確認の際に申請内容と異なる事業を行っていた場合は採択されていたとしても助成金・補助金が支給されないことがあります。必ず、申請した内容と実際の事業内容に齟齬がないようにしてください。

後払い方式

助成金や補助金のほとんどは、採択後自分で調達した資金で補助事業を行い、あとからお金が戻ってくる後払い方式です。さらに受給までに時間がかかります。補助事業の経費総額の資金を確保していないと補助事業ができず、補助金が受け取れなくなります。

複数の助成金・補助金を併用できないことがある

助成金・補助金によっては、複数の制度を同時に受給できない場合があります。例えば、同一の事業内容に対して複数の助成金や補助金を併用することは不可とされる場合がほとんどです。併用の可否は各助成金・補助金によって異なるため事前に窓口で確認を行ってください。

ただし、応募自体は複数の助成金・補助金に対して同時に行えます。いくつかの制度に応募し、採択が決まってから最も好条件のものを選ぶのもよいでしょう。

まとめ

まとめ

助成金・補助金は、これから新たな事業を始める会社にとって強い味方となる制度です。各制度によって対象者や金額などが異なるため、詳細を確認したうえで会社の事業内容に最も近いものを選ぶようにしてください。助成金・補助金を上手に活用して、事業を軌道に乗せていきましょう。

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記事監修
中野裕哲
中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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