【株式会社NEXT ONE】関わった人の人生を変える会社へ。営業力を原点に、社会課題解決へ挑み続ける
前職の通信関連サービス会社で営業・マネジメント業務を経験した後、2006年12月に北海道札幌市で創業し、2007年6月14日に株式会社NEXT ONEを設立しました。
現在は、新電力サービス「新日本エネルギー」を中心としたコンシューマープラットフォーム事業に加え、スマート農園型障害者雇用支援事業など、時代の変化や社会課題に向き合う事業も展開しています。
営業の現場で自分の可能性を知り、24歳で起業した斉藤さんは、経営を学び直しながら事業と組織を広げてきました。
今回は、起業に至るまでの原体験や会社が伸び悩んだ時期の学び、新規事業への挑戦、AI時代の働き方、経営者に必要な覚悟について伺いました。
斉藤徹さんの経歴
- 千葉県出身
- 通信関連サービス会社に入社し、訪問販売の営業を経験
- 同社札幌支店の立ち上げに携わり、支店長としてマネジメント業務を経験
- 2006年12月:24歳で北海道札幌市にて創業
- 2007年6月:株式会社NEXT ONEを設立
- 2015年8月:本社を東京都渋谷区へ移転
- 2019年5月:株式会社NEXT ONEで新電力サービス「新日本エネルギー」の取り扱いを開始
- グロービス経営大学院経営研究科を修了
- 現在は、新電力サービス「新日本エネルギー」を中心としたコンシューマープラットフォーム事業に加え、スマート農園型障害者雇用支援事業「めぐるファーム」を展開している
営業の現場で知った、自分の可能性

ー学生時代から起業を考えていたのでしょうか?
学生時代から起業したいと考えていたわけではありません。父も会社員でしたし、私自身も会社員として働き、いずれは家を買い、家族と暮らしていくのだろうと考えていました。起業という選択肢は、当時の自分の中にはありませんでした。
考え方が変わったのは、前職に入社してからです。前職の社長からは「大きく考えなさい」とよく言われていました。自分の可能性は、自分がどこまで想像できるかから始まる。その考え方に触れたことは、私にとって大きなカルチャーショックでした。
ー前職での経験は、起業にどうつながりましたか?
最初から営業が好きだったわけではありません。配属された先が営業だったため、訪問販売の仕事を始めました。正直、営業はきつく、辞めたいと思っていた時期もあります。
それでも続けられたのは、当時の上司の存在が大きかったんです。一から丁寧に教えてくれて、私が結果を出せるように真剣に向き合ってくれました。
「ここまでしてくれる人に対して、自分が返せるものは営業成績しかない」と考えたことが、結果を出す原動力になりました。
営業で成果を出し、札幌支店の立ち上げにも携わる中で、セールスとマネジメントの両方を経験しています。「人に教え、組織を動かし、結果をつくる」という経験があったからこそ、起業に対して大きな不安はありませんでした。
「自分には売る力がある」「人を動かす経験もしてきた」と思えたことは、24歳で起業に踏み出すうえで大きな支えになりました。
24歳で札幌から起業。仲間とともに会社を立ち上げた理由
ー起業するときは、どのような思いだったのでしょうか?
もともとは、千葉県出身ということもあり、東京に戻って起業しようと考えていました。
しかし、私が会社を辞めて東京に戻ると伝えたとき、前職の札幌支店のメンバーから「それは話が違う」と言われたんです。さらに「自分たちも一緒にやりたい」と言ってくれる人たちがいました。
もちろん、起業は簡単なものではありません。ついてきてもらう以上、中途半端な気持ちでは困るとも伝えています。それでもメンバーが「やらせてください」と言ってくれたので、まずは札幌で起業し、うまくいったら東京に戻ろうと決めました。
自分一人で始めるというより、同じ思いを持ってくれた仲間と一緒に会社をつくっていく感覚が強かったんです。
また、起業に対して、不安や恐れが大きかったわけではありません。営業力があれば、自分で道を切り拓いていけるという感覚がありました。加えて、マネジメントを通じて人を動かす経験も積んでいたため、自分で組織をつくっていくイメージが持てました。
だからこそ、当時の自分の中にあったのは不安よりも、「この会社をどのような規模にして、どのような世界観でつくっていくのか」という前向きな気持ちです。
順調に見えた会社が伸び悩み、経営を学び直す

ー会社が伸び悩んだ時期はありましたか?
起業してからしばらくは、営業力を土台に会社を伸ばすことができていました。自分自身も若くして結果を出せていたので、どこかで自分の力を過信していた部分があったと思います。
ただ、会社が大きくなり、組織の人数が増えていく中で、だんだん人の話を聞けなくなっていました。会社員であれば、上司や先輩から教えてもらう機会があります。しかし、社長になると、自分が教える側になることが多くなります。
その中で、吸収する姿勢が弱くなっていたんです。27歳から30歳くらいまで、会社は思うように伸びませんでした。営業で成果を出すことはできても、組織の作り方や、そこから先の拡張の仕方が分かっていなかったのだと思います。
会社は安定していましたが、安定しているからこそ、自分の中で次の目標が見えにくくなっていました。やらなければいけないことが明確な苦しさよりも、進む方向が分からない状態の方がつらかったと感じます。
ーグロービス経営大学院では、どのような学びがありましたか?
30歳のときに、改めて経営を学ぼうと思い、グロービス経営大学院に通い始めました。24歳で起業してから、社長と呼ばれながら経営をしてきましたが、当時の自分は経営を手探りで進めていた感覚が強かったんです。
仕事をしながら大学院に通い、経営を体系的に学ぶ時間を持てたことは、自分にとって大きな転機でした。それまで感覚で判断していたことを、経営の考え方として整理できるようになったことが大きいと感じています。
一方で、大学院を卒業した後は、勉強に使っていた時間が空きました。そのときに、自分の人生をどう進めていくのか、会社をどこへ向かわせるのかを改めて考えるようになりました。
目標がはっきりしているときは、やるべきことに向かって進めます。しかし、次の目標を探している時期は、自分の中で迷いが生まれやすいものです。経営を学び直したことで、今度は自分自身と会社の進む方向を見つめ直す時間が必要になりました。
ー社外の経営者に相談することで、どのような変化がありましたか?
「経営者は孤独」と言われますが、本当に孤独だと思います。私自身も、悩みを打ち明けられる相手が長い間いませんでした。
その状況が変わったのは、30歳くらいのころに他の経営者と時間を共有するようになってからです。
「自分が悩んでいることは、周りの経営者も同じように悩んでいるかもしれない。過去に悩んできたかもしれない」そう考えて、いろいろな人に話を聞くようになりました。
同世代の経営者と話したり、そこから先輩経営者を紹介してもらったりする中で、少しずつ相談できる相手が増えていきました。
誰に相談するかで、人生の選択は大きく変わると思っています。相談できる人は、見つけようと思ってすぐに見つかるものではありません。
いろいろな人に会い、この人の話をもっと聞きたいと思える相手を探していく -その積み重ねによって、自分自身の進む道も少しずつ見えてきました。
電力事業への参入。安定の先で、もう一度挑戦を選んだ
ー電力事業を始めた背景を教えてください。
電力事業を始めた当時、会社が安定していた一方で、このまま同じ事業を続けているだけでは、次の成長はつくれないと感じていました。
当時の事業は、営業力を活かして売上をつくるフロー型の要素が強いものでした。社員が増えるなかで固定費はかかる一方、売上は営業成果に左右されやすい状態でした。だからこそ、継続的に収益が積み上がるストック型の事業をつくる必要があると考えるようになりました。
その中で参入したのが、電力事業です。電気は生活や企業活動に欠かせないインフラであり、市場規模も大きい領域です。会社としてもう一度挑戦するなら、社会に必要とされ、長く価値を提供できる事業に取り組みたいと考えていました。
もちろん、最初から電力に詳しいメンバーがそろっていたわけではありません。それでも、新しい領域に踏み出し、分からないことを一つずつ乗り越えていく経験そのものが、会社の力になると考えました。実際に電力事業は、大きな収益源となっています。
安定にとどまらず挑戦を選んだことが、NEXT ONEにとって次の成長につながっています。
新規事業で大きな失敗を経験しても、挑戦を止めない理由

ー新しい事業に挑戦するとき、大切にしていることはありますか?
新しい事業に挑戦するときは、最初からすべてを分かっている必要はないと思っています。電力事業を始めたときも、社内に電力に詳しいメンバーがそろっていたわけではありません。実際に、電力事業で大きな損失を出した月もありました。
障害者雇用支援事業も、立ち上げ当初は試行錯誤の連続でした。運営体制や事業モデルを整える中で、改善すべき点も多く見えてきました。ただ、やってみて初めて気付くことは多いものです。
失敗そのものを恐れすぎると、何も進められません。挑戦して痛みを知るからこそ、次の打ち手が見えてきます。時間は限られた資産なので、迷い続けるよりも、まず動いて学びを得ることを大切にしています。
AI時代に求められるのは、自分の価値を高め続ける姿勢
ー若い世代は、仕事と学びをどう捉えるべきでしょうか?
これからの時代は、会社で働いている時間だけで成長しようとするのではなく、仕事以外の時間をどう使うかが大事になると思っています。会社で働く時間は限られており、長時間働くことで差をつける時代ではありません。
「資格の勉強をする」「AIについて学ぶ」などの積み重ねによって、自分の価値は変わっていきます。限られた時間の中で、どれだけ価値を高められるかを考える必要があります。
もちろん、仕事だけが人生ではありません。ただ、自分の可能性を広げたいのであれば、仕事以外の時間で何を学び、何を身につけるかが大きな差になるはずです。
ーAIはこれからの働き方にどのような影響を与えると思いますか?
AIの進化によって、仕事の進め方は大きく変わっていくと思います。調べる・整理する・文章をつくるといった作業は、AIを活用することで以前よりも効率化しやすくなりました。
ただし、AIを使えばすべてが解決するわけではありません。大事なのは、AIから出てきた答えをどう受け止め、どう判断し、自分の仕事に活かすかです。
AIを使う人と使わない人では、学びのスピードやアウトプットの質に差が出ます。だからこそ、AIを避けるのではなく、自分の思考力や判断力を高めるための道具として使っていく姿勢が必要だと思っています。
採用で重視するのは、スキル以上に「信頼できる人柄」であること

ー採用で大切にしている基準を教えてください。
私の言葉でいうと、まず「いいやつ」であることです。私の中では、自己中心的ではない・人の迷惑になることをしない・相手が嫌だと思うことをしないといった人柄を重視しています。
仕事での失敗は、大きな問題にはなりません。失敗したとしても、原因を見つけて正していけばいいからです。ただ、信頼を損なう行為や不誠実な行動は、会社にとって大きな問題になります。
だからこそ、採用ではスキルだけを見ません。もちろん、スキルも大切です。ただ、その前提として、人として信頼できるかどうかを見ています。
もう一つ大切にしているのは、素直であることです。どれだけ能力があっても、アドバイスを受け入れられなければ成長しにくいものです。
会社のことを中心に考えられる人かどうかは、経営者として必ず見なければいけないポイントだと思っています。営業をしていく中で、相手の考え方や人柄を見る力も養われ、その経験を採用にも活かしてきました。
社員の成長が、会社を経営する喜びになる
ー起業してよかったと感じる瞬間はありますか?
起業してよかったと感じるのは、社員が成長していく姿を見たときです。昨日までできなかったことが今日できるようになる。そうした変化を見ると、会社を続けてきてよかったと感じます。
私自身、前職で人生が変わるような経験をしました。だからこそ、NEXT ONEに関わった人にも「この会社に入ってよかった」「自分の人生が変わった」と思ってもらえる会社にしたいんです。
会社は、売上や利益をつくるだけの場所ではありません。働く人が成長し、自分の可能性に気づける場所でもあります。社員の変化を近くで見られることは、経営者として大きな喜びです。
ー社員を大切にするうえで、なぜお客様を優先するのでしょうか?
社員を大切にしたいからこそ、まずはお客様を大切にしなければならないと思っています。お客様から選ばれ、価値を感じてもらえる会社でなければ、社員を守ることもできません。
会社が利益を出せるのは、お客様がサービスに価値を感じてくださるからです。その前提を忘れて、社員だけを見てしまうと、会社として長く続けることは困難です。
お客様に価値を提供し、その結果として会社が成長すれば、社員に還元できるものも増えていきます。社員を守るためにも、まずお客様に向き合う姿勢を大切にしています。
起業に必要なのは、やりたいことより「やらなければいけないこと」を選ぶ視点
ー起業したい人は、何から考えるべきでしょうか?
起業したいと思える時点で、自分の可能性をどこかで信じているのだと思います。だからこそ、石橋を叩きすぎて動けなくなるよりも、まずは挑戦してみることが大切です。
ただ考え続けているだけでは分からないことも多くあります。実際に動いてみるからこそ、自分に足りないものや、事業として向き合うべき課題が見えてきます。
起業は、計画通りに進むものではありません。だからこそ、動きながら学び、修正し続ける姿勢が必要です。
最初から完璧な答えを出そうとするよりも、自分が向き合うべきことを見極めながら前に進むことが大事だと思っています。
ー「やりたいこと」と「やらなければいけないこと」は、どう違うのでしょうか?
起業では、「やりたいこと」よりも「やらなければいけないこと」を考えるべきだと思っています。やりたいことだけを優先すると、自己満足で終わってしまう可能性があります。
また、自分にできることを事業にするだけでは、他の人でもできる仕事になりやすいものです。大切なのは、社会やお客様にとって何が必要とされているのかを考える視点です。
事業は、誰かに必要とされ、価値を感じてもらえるからこそ成り立ちます。
だからこそ、起業するときは「自分が何をやりたいか」だけでなく、「何をやらなければいけないのか」を見極める視点が必要です。
経営者に必要なのは、会社を優先する覚悟

ー経営者を目指す人に、最も伝えたいことは何ですか?
経営者に必要なのは、会社や社員、お客様に対して責任を持ち、時には自分の都合よりも会社の判断を優先する覚悟だと思っています。
私自身も、起業するときに個人である「斉藤徹」として生きるのではなく、「株式会社NEXT ONE、同社の事業であるめぐるファームの代表取締役としての斉藤徹」として、生きる覚悟を決めました。会社を背負うということは、自分一人の都合だけでは判断できなくなるということです。
もちろん、経営者にも個人としての人生があります。ただ、会社が苦しいときに、「自分を優先するのか、会社を優先するのか」その問いに向き合う覚悟がなければ、経営を続けることは難しいと思います。
起業は自由に見えるかもしれませんが、実際には多くの責任を背負う選択です。それでも、自分がつくった会社を通じて、人の人生や社会に価値を届けたいと思えるのであれば、その覚悟は必ず力になると思っています。
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起業には個人事業主としての開業と会社設立の2種類があり、事業形態に合わせて選ぶことが大切です。また、起業のアイデアをまとめたり、事業計画書を作成したりといった起業の流れを把握し、十分な準備を整えるようにしてください。
一度起業すると、資金や従業員の管理、納税など多くの責任を負わなければなりません。過去の成功事例も参考にしながら、自分なりのビジネスを展開できるよう起業アイデアを練ってみましょう。
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