法人税の計算方法|法人税率とは?税率やシミュレーションを徹底解説
本記事では、法人税とはどのように計算されるのか、計算方法から実際にシミュレーションを行った金額、そのほか節税対策の考え方まで詳しく説明していきます。
- 【この記事のまとめ】
- 法人税は企業の収益に対する税金で、利益は売上から原価や費用を引いて算出されます。税務調整後に法人税が課せられます。
- 法人税は4ステップで計算します。利益を算出し課税所得を算出、法人税率を確認し、納税額を求める流れが重要です。
- 法人税率は資本金や所得により異なり、中小企業には優遇措置があります。各企業の条件を確認することが重要です。
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法人税とは
法人税とは、企業が事業活動を行うことで得た収益にかかる税金のことです。法人設立手続きを行い、法律で権利や義務を認められた組織を法人とし、株式会社や合同会社、協同組合、NPO法人が含まれます。個人で儲けた際に支払う所得税と同様に、会社の場合は法人税を支払う義務があります。
法人税は単純な企業の会計上の利益に対して課せられるものではありません。実際は、商品販売や土地売却で得た売上金額から、売上原価・販売費・事故や災害で失った利益などを引いた所得金額に、税務調整を行います。算出された所得金額に税率をかけ、税額控除額を差し引いた金額が法人税額です。
法人税の計算方法
法人税の仕組みは複雑です。まずは、法人税の計算方法を確認しましょう。
次の4つのステップで説明していきます。
- 利益を計算する
- 課税所得を算出する
- 法人税率を確認する
- 納税額を算出する
1.利益を計算する
企業が事業活動をして得た実際の儲けのことを利益といいます。利益額の計算では、各事業年度の収益から費用を差し引いた金額を算出します。差し引く費用は、商品仕入れなどの原価、販売までにかかった人件費や広告費、家賃などの固定費です。
収益から費用を引いた額が会計上の利益となります。期中に会計処理を積み重ね、最終的に損益計算書で会計上の利益額を表します。
2.課税所得を算出する
次に、法人税にかかる所得を確認します。課税所得は、益金から損金を差し引いて算出します。益金、損金とは、法人税法に基づいて事業年度ごとの会計上の利益を調整したものです。
詳細には、益金は商品やサービス提供の収益、株や土地などの譲渡益など、損金は商品の原価や販売費、管理費などを指します。ここで注意しておきたいのが、利益を割り出す上で行った会計と法人税計算のために行った会計では数字が異なる点です。これは公平性を保った税金を徴収するため、法律に則って調整を行うために違いが出ます。
3.法人税率を確認する
続いて、法人税率を確認します。法人税率は、事業内容や利益、資本金によって各企業で異なります。15%以下、もしくは23.20%の税率が当てはまります。
中小企業の場合には法人税の軽減措置があり、資本金が1億円以下や他社法人との関係性など条件を満たした場合に適用されます。そのほか協同組合やNPO法人の場合では税率がやや低くなり、課税所得が800万円以上の場合、19%となっています。
どの税率が適用となるかは、国税庁のサイトで調べるなどしてチェックしましょう。
4.納税額を算出する
最後に、算出した課税所得と法人税率を掛け合わせて、納税額を算出します。益金が3,000万円で損金が1,000万円の企業の場合で、具体的に計算してみます。
益金3,000万円から損金1,000万円を引いて、課税所得は2,000万円です。この2,000万円のうち、800万円の部分までの法人税率は15%、残りの1,200万円の法人税率は23.20%で計算します。120万円と278.4万円を足して398.4万円です。
結果、納税額は398.4万円ということになります。
法人税のシミュレーション
事業を行うなかで、「実際に今、会社にかかっている法人税がいくらぐらいか知りたい」「これからどのくらいの利益を出したら法人税が加算されるのか把握したい」ということもあるでしょう。
インターネット上では、以下のようなざっくりとした金額を算出してくれるWebサイトがあります。
資本金と利益額を入力するだけで、法人税などをシミュレーションして計算します。参考までに使用してみてください。
資本金:1,000万以下
繰越欠損金:0円
税引前当期純利益:500万円
法人税:75万円
ほか
地方法人税:77,200円
法人事業税:264,400円
法人住民税:122,500円
資本金:1億円以下
繰越欠損金:0円
税引前当期純利益:1000万円
法人税:166万4,000円
ほか
地方法人税:171,300円
法人事業税:674,000円
法人住民税:296,400円
法人税の税率
法人税の税率は、企業の資本金や所得に応じて変動し、主に次の区分に応じて制定されています。
普通法人の税率
普通法人とは、法人税法上で規定されているもので、株式会社や有限会社、合同会社などが含まれます。
資本金 | 所得金額 | 法人税率 |
---|---|---|
1億円超の普通法人 | – | 23.20% |
1億円以下の普通法人 | 年800万円以下の部分 | 15.00% |
年800万円以上の部分 | 23.20% |
資本金が1億円以上の普通法人では所得金額にかかわらず一律23.20%です。一方資本金1億円以下の場合、800万円以下の所得までは15%、それ以上からは23.20%が課せられます。
また、上記の表は平成31年4月1日以降に事業を開始した普通法人に当てはまり、それ以前に開業している企業に関しては税率が異なります。それ以前の税率については、国税庁のサイトで確認しましょう。
普通法人以外の税率
普通法人に当てはまらない、協同組合や公益法人、特定の医療法人はそれぞれ以下の税率が充てられます。
対象 | 所得金額 | 法人税率 |
---|---|---|
協同組合 | 年800万円以下の部分 | 15.00% |
年800万円以上の部分 | 19.00% | |
公益法人 | 年800万円以下の部分 | 15.00% |
年800万円以上の部分 | 23.20% | |
人格のない社団 | 年800万円以下の部分 | 15.00% |
年800万円以上の部分 | 23.20% | |
特定の医療法人 | 年800万円以下の部分 | 15.00% |
年800万円以上の部分 | 19.00% |
協同組合や特定の医療法人は、連結親法人である場合などで税率は異なります。公益法人では、公益法人とみなされていない団体などの場合は税率が異なります。また、企業によっては適用除外事業者として認定されている場合もあります。
企業がどの区分に属するか不明の方は、国税庁の電話相談窓口もあるため、そちらで確認するとよいでしょう。
法人税が課税される法人と課税されない法人
法人の目的や特性により、法人税が軽減されたり、課税されなかったりする法人があります。条件は以下のとおりです。
法人税が課税される法人
普通法人や協同組合などは、原則法人税が課税されます。ただし、条件により法人税は軽減されています。
普通法人とは、株式会社・有限会社・医療法人・相互会社・企業組合・日本銀行などです。協同組合には、農業協同組合・信用金庫・労働者協同組合などが当てはまります。
普通法人 | 原則法人税が課税されますが、 中小法人(資本金1億円以下)は税率が軽減されます |
---|---|
協同組合 | 原則法人税が課税されますが、 税率が軽減されます |
法人税が課税されない法人
公共法人や公益法人、人格のない社団などは、法人税が課税されません。公共団体では地方公共団体・金融公庫・事業団など、公益法人は社団法人とは・財団法人・宗教法人・学校法人・社会福祉法人などが挙げられます。
また、人格のない社団とはPTA・同窓会・実行委員会などで、法律上の法人ではありませんが税法上では法人とみなされる団体です。
公共法人 | 非課税です |
---|---|
公益法人 | 原則法人税は課税されませんが、 収益事業から生じた法人税には課税されます |
人格のない社団 | 原則法人税は課税されませんが、 収益事業から生じた法人税には課税されます |
法人税の節税方法
法人には必ず課せられる法人税ですが、節税対策の考え方としては3つの方法があります。
- 損金を増やす
- 特別控除を利用する
- 法人税の軽減措置を利用する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
損金を増やす
損金は、会社の資産を減らす原価や費用、損失です。益金から損金を差し引いたものが法人税の課税所得となるため、損益を増やすことが課税所得を減らすことに繋がります。
実際にかかった費用のすべてが損金として認められるわけではないため、損金として計上できるものをもれなく計上することが節税対策で重要となってきます。
例えば、必要な備品を購入したり、接待交際費や役員への報酬を損金として計上したりする、中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)を活用するなどの方法です。
益金を減らす、つまり会社の売上を調整するということはもちろんNGですが、損金を漏れなく計上するということは重要なポイントです。
特別控除を利用する
特別控除の仕組みを活用すれば、法人税の負担が軽くなります。特別控除とは、本来納めるべき法人税の金額から一定の金額を控除できる特例で、条件を満たす法人に対して適用されます。
特別控除には、中小企業投資促進税制、中小企業経営強化税制、商業・サービス・農林産業活性化税制、中小企業防災・減災投資促進税制、所得拡大税制など、さまざまな税制が存在します。
活用できる控除がないか確認しておきましょう。また制度の活用には、青色申告が必要など複数の条件が含まれているため、よく内容を確認しておくことも大切です。
法人税の軽減措置を利用する
中小法人に対して、法人税の軽減措置が利用できます。条件としては、資本が1億円以下で資本金5億円以上の法人と支配関係がない中小法人が対象です。
法人税が所得の800万円以下の部分について、本来なら15%のところを19%で計算されます。軽減税率に加えて、貸倒引当金や欠損金関係、留保金課税などの部分に関して中小法人向けの税制があり、さまざまな軽減措置を受けることができます。
まとめ
法人税とは、企業などの団体が事業を行い儲けた金額から算出され、徴収される税金です。法人税法の規定に則って制定された益金から損金を引いた額に、該当の法人区分ごとに決められた法人税率を与して計算されます。
法人の事業形態や資本金など、さまざまな条件が組み合わさって法人税が課せられるため、どの条件が適用されるか不明な場合は国税庁のサイトや電話相談窓口から確認しましょう。また、企業形態によって、法人税が控除される場合もあります。
複雑な仕組みの法人税ですが、内容をよく理解して対策を行うことで、節税にも繋がります。まずは、簡単に行える法人税シミュレーターなどを活用し、事業の法人税がどのくらいかかるのかを確認しましょう。
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- 記事監修
-
- 中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
- 起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
- ※本記事は、起業の窓口編集部が専門家の監修のもとに制作したものです。
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