飲食店の営業許可証を得るための4つの条件!取得の流れについても解説
飲食店を開業する上で欠かせない「飲食店営業許可証」。
しかし、その取得にはどのような手続きが必要なのか、具体的にどのような点に注意すべきなのか、といった疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
この記事では、飲食店営業許可証とは何か、取得するために必要な手続き、そして注意すべき点など、飲食店開業を検討されている方に向けて、分かりやすく解説していきます。
- 【この記事のまとめ】
- 飲食店営業許可証を取得するには、食品衛生責任者の設置や保健所への申請・検査、防火管理者設置、深夜酒類提供の届出が必要です。
- 許可証取得の流れは、保健所への事前相談から始まり、必要書類の準備、申請、保健所の検査、許可証交付、消防署への届け出と進みます。
- 許可証取得には手数料がかかり、交付まで2~3週間程度かかるのが一般的です。更新は5~8年ごとに必要です。
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飲食店の営業許可証を得るための条件
飲食店の営業許可証を得るためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 食品衛生責任者の設置
- 保健所への申請・検査に合格
- 防火管理者の設置
- 深夜酒類提供飲食店営業開始届の申請
食品衛生責任者の設置
まず、食品衛生責任者を設置することが求められます。
食品衛生責任者とは、食品を取り扱う事業所で、衛生管理の中心的な役割を担う人のことです。食品衛生法に基づいて、事業者は食品衛生責任者を置くことが義務付けられています。
食品衛生責任者になるためには、以下のいずれかの資格が必要です。
- 栄養士
- 調理師
- 製菓衛生師
- 食鳥処理衛生管理者
- と畜場法に規定する衛生管理責任者
- と畜場法に規定する作業衛生責任者
- 船舶料理士
- 食品衛生管理者
これらの資格を有している場合は、特別な講習を受けることなく、食品衛生責任者になることができます。
ただし、 食品衛生に関する法規制は頻繁に改正されるため、食品衛生責任者は定期的に講習会を受講し、最新の知識を習得することが求められます。
保健所への申請・検査に合格
次に、保健所への申請を行い、その後の検査に合格する必要があります。この過程では、店舗の設備や衛生状態が基準を満たしているかどうかが厳しくチェックされます。
検査に合格しないと営業できないので注意しましょう。対策としては飲食店の規模、メニュー、設備など、具体的な情報を事前に保健所に伝え、必要な書類や手続きを確認しておくとよいです。保健所によって基準が異なる場合がありますので、必ず事前に相談することが大切です。
防火管理者の設置
さらに、防火管理者の設置も必要です。防火管理者とは、消防法に基づき、一定規模以上の建物や施設において、火災予防や初期消火など、建物内の防火に関する業務全般に対して責任を持って行う者のことを指します。
防火管理者になるためには、消防署が実施する防火管理者選任講習を受講し、合格しなければなりません。講習の内容は、消防法や消防設備に関する法規、火災の種類と消火方法、避難誘導など、幅広い範囲にわたります。
深夜酒類提供飲食店営業開始届の申請
深夜に酒類を提供する予定がある場合は、深夜酒類提供飲食店営業開始届の申請が必要となります。これは、深夜営業に伴う様々な規制や責任を店舗が理解し、遵守することを確認するためのものです。
深夜酒類提供飲食店営業開始届は、深夜0時以降に酒類を提供する飲食店が、警察署に対して提出します。この届出が必要となるのは、居酒屋やバーなど主にお酒をメインに提供する飲食店であり、食事をメインとする飲食店は一般的に対象外です。
飲食店の営業許可証を取得する流れ
飲食店の営業許可証を取得するには、以下のステップを踏みましょう。
- 保健所に事前相談を行う
- 必要書類を用意し営業許可を申請する
- 保健所の検査を受ける
- 営業許可証の交付を受ける
- 消防署に防火管理者の届け出を行う
それぞれ詳しく見ていきます。
1.保健所に事前相談を行う
まず、保健所に事前相談を行うことから始まります。この段階で、営業許可取得に必要な具体的な要件や手続きについて注意点やアドバイスなどを教えてもらえるので、申請プロセスを円滑に進めるために役立つでしょう。
具体的には、以下のような項目を相談してみるとよいです。
- 店舗の場所、広さ、構造など
- 提供する料理の種類や調理方法、使用する食材など
- 厨房設備、給排水設備、換気設備など、どのような設備を導入する予定か
- どのくらいの従業員を雇用する予定か
- 昼夜どちらで営業するのか、持ち帰りや配達をする予定か など
事前に問題点を指摘してもらうことで、必要書類の提出不備や検査の項目漏れなどを防げるため、許可証取得までがスムーズになります。
2.必要書類を用意し営業許可を申請する
次に、必要書類を揃えて営業許可の申請を行います。この際、店舗の図面や設備の詳細、食品衛生責任者の資格証明などの書類が要求されることが一般的です。これらの書類は、店舗が衛生基準を満たしていることを証明するために重要です。
必要書類 | 概要 |
---|---|
飲食店営業許可申請書 | 申請者の氏名・住所、店舗の所在地、名称、食品衛生責任者の氏名などを記入する書類 |
施設構造と設備を示す図面 | 店舗の平面図、立面図、配管図など、施設の状況がわかる図面 |
食品衛生責任者の資格を証明するもの | 栄養士、調理師などの資格を証明する書類 |
水質検査成績書 | 貯水槽や井戸水を使用する場合、水質検査の結果が必要 |
登記事項証明書 | 法人の場合は、会社の登記簿謄本を提出 |
その他 | 建物の賃貸借契約書、構造耐力性能評価書の写しなど、必要に応じて他の書類を提出する場合がある |
ただし自治体によって異なる場合もあるので、必ず事前に確認しておきましょう。
3.保健所の検査を受ける
申請後は、保健所による実地検査が行われます。この検査では、申請書類の内容と実際の店舗設備が一致しているか、また衛生管理の体制が適切に整っているかが厳密にチェックされます。
保健所の立入検査に合格すれば、許可証の交付を受けられます。検査前には、厨房や客席など、施設全体を徹底的に清掃しましょう。そのほか冷蔵庫、冷凍庫、調理器具など、すべての設備が正常に稼働しているか確認しておくとよいです。
4.営業許可証の交付を受ける
検査に合格すると、営業許可証が交付されます。
この許可証は、店舗が法的に認められた基準を満たし、安全に営業を行う資格があることを示す重要な証明書となります。許可証は、店舗の見える場所に設置が必要です。
5.消防署に防火管理者の届け出を行う
最後に、消防署に防火管理者の届け出を行います。防火管理者設置義務のある飲食店は、届け出を行う必要があります。この手続きは、店舗の火災予防対策が適切に講じられていることを確認し、緊急時の対応体制を整えるために必要不可欠です。
飲食店の営業許可証に関するよくある質問
ここからは、飲食店の営業許可証に関して、よくある質問に回答していきます。
営業許可証交付にかかる費用は?
飲食店営業許可証の交付にかかる費用は、申請手数料が主なものです。この手数料は、自治体によって異なり、およそ16,000円~19,000円程度が一般的です。
なお、東京都の飲食店(新規)の場合は18,300円となっています。
参照:東京都保健医療局
営業許可証の交付にはどのくらい時間がかかる?
飲食店営業許可証の交付までの期間は、一般的に2~3週間程度が目安です。しかし、これはあくまでも概算であり、以下の要因によって期間は変動します。
- 申請書類に不備がある場合、修正に時間がかかり、交付が遅れることがあります
- 申請件数が多い時期や、担当者の配置状況によって、審査に時間がかかることがあります
- 店舗の構造や設備が基準を満たしていない場合、是正措置が必要となり、時間がかかることがあります
なるべく早く取得したい場合には、事前に保健所に相談するほか、施設の構造や設備が基準を満たしているか、事前に確認し、必要な工事などを済ませておきましょう。
営業許可証は一度取得すれば更新不要?
飲食店営業許可証は一度取得すれば永久に有効というわけではなく、定期的に更新する必要があります。営業状況の変化や法規制の改訂に対応しているか、などを確認するためです。
有効期間は自治体によって異なるものの、一般的に5〜8年に設定しているところが多いです。
法人登記は「GMOオフィスサポート」で
飲食店の営業許可証取得には、食品衛生責任者の設置、保健所への申請・検査合格、防火管理者の設置、深夜酒類提供飲食店営業開始届の申請が必要です。取得の流れは、保健所への事前相談から始まり、必要書類の準備と申請、保健所の検査、許可証交付、そして消防署への防火管理者届け出と進みます。各段階で衛生管理や安全対策が厳密にチェックされ、法的要件を満たすことで安全な営業が可能となります。この過程は顧客の健康と安全を守るために不可欠です。
営業許可証を取得できたら、法人登記を進めましょう。GMOオフィスサポートでは、法人登記に利用できる印鑑セットを用意しています。代表印だけでなく銀行印や角印、印鑑ケースなどが含まれた便利なセットなので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
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- 記事監修
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- 中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
- 起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
- ※本記事は、起業の窓口編集部が専門家の監修のもとに制作したものです。
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