【株式会社FREEDiVE】MUGEN WiFiで掴んだ信頼とポジション。利他の循環が生み出す企業成長の真髄
大学時代はアーティストを目指すも、音楽業界の変化で挫折。友人の誘いで初めての起業に挑むも失敗を経験しました。
その後、インターネット広告会社でアフィリエイト営業を担当し、新卒1年目でMVPを複数回獲得。さらなる成長を求め、WEBマーケティング会社に転職。顧客と真剣に向き合うなか、価値を還元できる手段がアフィリエイトだと確信し、独立を決意しました。
そして2016年、「Surprizz Infinity株式会社」を創業し、アフィリエイトマーケティング事業を展開。同年に「株式会社FREEDiVE」へ社名を変更し、モバイルWi-Fiレンタルサービスで急成長を遂げました。
現在、モバイルWi-Fiレンタル業界を牽引する今井さんに、起業するまでの道のりや経営者として大切にしているマインドをお伺いしました。
今井渉平さんのご経歴
- 2012年、大学在学中に「株式会社Resonator」を設立。
- 2014年、インターネット広告事業・コンサルティング事業を営む「株式会社レントラックス」に新卒で入社。
- 2015年、デジタルマーケティング事業を営む「株式会社フルスピード」に転職。
- 2016年、「Surprizz Infinity株式会社」を設立し、代表取締役に就任。アフィリエイトマーケティング事業/WEBマーケティング事業/モバイル通信事業/ブライダルメディア事業を開始。
- 2016年6月3日、社名を「株式会社FREEDiVE」へ社名を変更。モバイルWi-Fiレンタル事業/WEBメディア運営事業/ライフラインサポート事業を開始。ベストベンチャー100を4年連続で受賞。創業から6年で年商30億を超える企業に成長。
モバイルWiFiレンタル業界を牽引する「株式会社FREEDiVE」

ー現在、経営されている会社名と主な事業内容を教えてください。
株式会社FREEDiVE(フリーダイブ)という会社を経営しています。
メインの事業はWi-Fiルーターのレンタルで、「MUGEN WiFi」「AiR-WiFi」「5G CONNECT」という3ブランドを展開中です。最近では、eSIMサービス「SkyeSiM(スカイイーシム)」にも注力しています。
WEBメディア事業も手がけていて、自社メディア「Wi-Fi TIMES」と「AiR-WiFi Magazine」の運営を通じて、インターネット回線やモバイルWi-Fiの情報発信も行なっています。
アーティストになる夢を諦め、経営で世の中を変える道へ
ー学生の頃、どのような夢や憧れを持っていましたか。
大学2年くらいまでは、本気でアーティストを目指していました。
実は高校時代に精神疾患での入院などを経験したことがあって…そのときに出会ったのが尾崎豊でした。世代は違うんですけど、孤独や心情を代弁してもらえたような感覚があって、「音楽ってこんなに人を救えるんだ」と衝撃を受けたんです。そこから、自分も音楽で世の中を変えたいと思うようになりました。
自分のオリジナル楽曲をネットにアップしたり、バンドを組んで活動したり、とにかく音楽活動に夢中でしたね。
ー経営に興味を持ったきっかけを教えてください。
YouTubeをはじめとする無料で音楽を聞ける媒体が増えてきたことから、現実的に音楽で食べていくのは厳しくなってきました。
当時は「アーティストの時代はもう終わり」なんて言われて、ボーカロイドが出てきたり、音楽が一過性のトレンドとして消費されやすくなっていました。評価されるのも曲そのものより「アイドル的な人気」や「ファンがつくかどうか」で、収益もライブ頼み。自分に才能があるのかもわからず、このまま続けていいのか不安でした。
そんな悩みを抱えたまま大学2年生になって、友人から「起業するんだけど一緒にやらない?」と声をかけられました。「面白そうだな」と思って飛び込んだのが、ブランド品の買取サービスです。初めての起業でしたけど、そのプロジェクトは全然うまくいかず、時間をかけても成果が出ないことに苛立ちも感じました。
でも振り返ると、「経営って音楽と同じで世の中に影響を与えられるんだ」と気づいたんです。経営者なら長く続けられるし、ビジネスの可能性は幅広い。音楽じゃなくても、経営という手段で世の中を変えられる——そう実感して、経営者を目指したいと強く思うようになりました。
ー大学卒業後、起業ではなく就職を選択した理由を教えてください。
その理由はシンプルで、周りに経営者がいなかったからです。僕の大学は芸術系だったので、フリーターやアーティストになる道を選ぶ人が多かったんですよ。もちろん起業する人なんてほとんどいませんでした。
将来的には起業したいという気持ちもあったので、まずは就職という形でビジネスを学べる環境を探していました。
クリエイティブを武器に、新卒1年目から広告会社で躍進

ー就職活動ではどのような業界を検討されたのでしょうか?
金融、不動産、コンサル、そして広告の4つの軸で考えていました。
金融は幅広く企業の悩みを知れると思ったんですが、僕の性格的に合わなくて。自由にアイデアを出して形にしたいタイプなので、ワークフローに縛られる仕事は違うなと感じました。
不動産は「営業力を鍛えたい」と思って興味を持ちました。起業するなら稼ぐ力=営業力は絶対必要ですから。ただ当時の業界は“ギラギラ営業”全盛期で、「金こそすべて!」みたいな風潮が強く、自分の価値観とは合わなかったんです。
コンサルは純粋に学歴の壁が高くて、芸術系の自分は門前払いでした。ここは現実的に無理でしたね。
最終的に自分にマッチすると思ったのが、クリエイティブを活かせる広告業界です。音楽やデザインに関わってきましたし、Photoshopで画像をいじったり、ホームページを作ったりもしていました。広告という分野なら自分の感性を活かせるし、営業も学べる。当時、「これからWEB広告が伸びるだろう」と感じていたので、ベンチャー企業を中心に就職先を絞って、インターネット広告事業とコンサルティング事業を手がける「株式会社レントラックス」に入社したという経緯になっています。
ー「レントラックス社」を選んだ決め手とは何でしょうか?
実は大手のWEBマーケティング会社にも受かっていたんですが、最終的には社員20名ほど(2013年内定当時)の小さなベンチャーであるレントラックスさんを選びました。
面接でお会いした社員の方々がとにかく魅力的でした。企業理念を全員が重んじて、誠意をもって顧客に接する姿勢や、経営陣も未だに尊敬できる人ばかりです。「ここなら経営を学べる、絶対伸びる!」と直感しました。今でも鮮明にその場面を覚えています。
レントラックスさんを選んだ理由として、新規営業をやらせてもらえるという点もすごく大きかったです。広告やマーケティングを実践的に学べる環境なら、売れる商品の裏側がわかりますし、小規模の会社ならクライアントも開拓し放題の状況でした。この会社で絶対に働きたいと思いましたね!
ー「レントラックス社」での担当業務と成長体験をお聞かせください。
新規営業チームに配属されたのは同期13人のうち3人で、上司は一人だけでした。
上司は超多忙でタフな方で、盲腸で倒れて手術した翌日にもう出社してこられるようなパワフルな方でした(笑)。心の底から尊敬していますが、ただ少人数での環境で社内制度も整えている途中だったため、上司にしっかりと相談できる環境はなく、わからなくても自分で実践する環境が必要で手探りで闇雲に動き、成果も出せずに悩みました。
そこで、「成果を出している人はなぜ伸びているのか」を徹底的に分析したんです。学歴がいいとか頭がキレるとか、そういうことじゃない。結局は「良い案件と良いメディアを持っている人が強い」というシンプルな法則に気づいたんです。
特にアフィリエイト業界では、個人事業主として活動しているアフィリエイターが多かったので、彼らに出会えるチャンスを増やすことが重要だと考えました。
今となってはもう時効だと思うのですが、当時は勝手に土日出社をして、ひたすらアフィリエイターに電話をかけ、会いに行く回数を増やしていました。土日は他の社員が動かないので、僕はあえてその時間をアポイント専用にしていたんです。そうやって数を重ねるうちに、信頼できるメディアと繋がれるようになり、大きな案件を任せてもらえるようになりました。
もちろん周りの支えや、アドバイス、たくさんのお叱りをいただいたことだけなので、キラキラした話ばかりではありませんが、結果として新卒1年目という立場で、月間MVPを何度かいただくことができ、予算達成率500%という大きな数字目標達成を出せたこともあります。
本当にたくさんのチャンスをいただけたので、刺激的で楽しかったです!でもハードな環境ではあったので、悔しくて涙がこぼれてしまうこともありました…。
レントラックスさんは、もちろん私だけの力などごく一部にすぎず、本当に底力の強い社員や幹部が多く、業績をみるみる上げ、入社1年後には上場企業にまで成長しました。ただ、僕が在籍したのは1年間だけで、その後「株式会社フルスピード」に転職しました。
WEBマーケティングを極めるために選んだ、新たなキャリア
ー転職先として「株式会社フルスピード」を選んだ理由を教えてください。
理由はシンプルで、「もっと幅広く学びたい」と思ったからです。
レントラックスさんは、時代の波に流されることなく未だに成長を続けられるすばらしい会社です。しかし、「この環境のままでは、自分が求める起業をするための知識を学べないかもしれないのではないか」と感じるようになりました。周りにも社長にも大反対をされましたが「WEBマーケティングの全領域を体系的に学んで、もっと極めたい!」という想いがどんどん強くなっていったんです。
レントラックスさんに残っていれば、ストックオプションもありましたし、上場で大きなリターンも得られたはずです。今考えると、学べることはたくさんあったと思います。でも、自分がどれだけ幅広く最速で社長になれる成長できる場所にいけるかにこだわりました。
転職先をフルスピードさんに決めた理由は、営業はもちろん、マーケティング全般を学べる環境があったからです。「このフィールドなら次のステージに進める」と感じましたし、オファーをいただいたときは迷わず決断しました。
フルスピードさんに入社後は、営業の現場のみに留まらず、マーケット全体を理解し、戦略や差しどころを学ぶことができました。まさに独立するための「修行の場」となりましたね!
ー「株式会社フルスピード」に在籍中、どのような理由で起業を決意されたのでしょうか?
フルスピード時代は、主にディスプレイ広告とSEOのコンテンツマーケティングを顧客にコンサルしていました。ただ、なかなかCPA(費用対効果)が合わなかったり、パフォーマンスが出るまで時間がかかるものが多かったり、当時お客様から不満の声が上がることも多かったんです。
どうすれば顧客に価値を返せるか——その課題と真剣に向き合ったときに、レントラックス時代に培ったノウハウが活かせると気づきました。
当時、アフィリエイトを語れる人間が社内にほとんどいなかったので、勝手に提案フォーマットを作って、アフィリエイトでの提案を始めたんです。その結果、お客様にはすごく喜んでいただけましたが、「与えられたミッションをきちんとやりなさい!」と上司に怒られました(笑)。
自分としては最善を尽くして成果を出したつもりでも、組織に属していると勝手な行動はどうしても評価されにくいです。自分のやり方でもっと自由に動くには、起業するしかないと思い、そこから準備を始めた形です。
広告運用の知識を徹底的に深め、「Surprizz Infinity株式会社」を起業

ー実際に起業されたタイミングについてお聞かせください。
夜中に会社に寝袋を持ち込んで、ありとあらゆる提案資料を全部読み漁りました。まるで映画を観るように、「こういうロジックで売るんだ」「こういう発注フローなんだ」と徹底的に研究しましたね。
土日も自主的に出社して学び続け、営業もマーケティングも自分の力で理解できるようになったところでフルスピードを退社し、2016年に「Surprizz Infinity株式会社(現:株式会社FREEDiVE)」を設立しました。
個人的に最高の広告は”口コミ”であると定義していました。その原点は”驚き”であると様々な論文や書籍から導き出し、そこから「サプライズ×バズ」を掛け合わせた「Surprizz Infinity」という社名にしています。
ー「株式会社FREEDiVE」が誕生した経緯をお聞かせください。
「Surprizz Infinity」から「FREEDiVE」へ社名を変更したのは、シンプルに読みづらく、お客様に覚えられにくかったからです(笑)。
当時、経営理念が固まっていないまま起業したので、3年目くらいに「本当に自分がやりたいことは何か」を考え直しました。自分が本当に実現したいのは「自己実現できる社会をつくること」。そのために必要なのは「自由」と「多様性」だと結論づけました。
運気の良い画数や、Google検索結果で競合がいないなどの観点も考え抜き、たどり着いたのが「FREEDiVE」——今の理念を象徴する社名になったと思っています。
得意分野のアフィリエイト一本に絞り、創業2年で年商1億を達成
ー創業時のビジネスモデル構築において、どのようなアイデアや戦略があったのでしょうか?
創業当初は、インターネット上で新しいビジネスが次々と立ち上がるようなプラットフォームを作りたいと思っていました。でも資金調達がうまくいかず、まずはキャッシュエンジンを作るために広告代行事業を始めたという経緯があります。
最初はSEO対策やGoogleリスティングの運用代行を提案していたんですが、競合と差別化を図れず…。クライアントもゼロから開拓しなければならなかったので苦戦しましたね。
その状況を打開するために「お客様に最も評価されてきたもの」を改めて振り返り、「アフィリエイト広告」という答えにたどり着きました。
当時、アフィリエイトに特化した代理店はほとんどなくて、競合が少ないポジションだったんです。そこで思い切って事業をアフィリエイト一本に絞り、徹底的にエッジを効かせたんです。その転換が功を奏して、クライアントも一気に増え、2年目で年商1億円を突破することができました。
ービジネスモデルを考えるうえで、大切にしている視点は何でしょうか?
深い理論はいろいろあるんですが、ざっくりまとめると「マーケットの隙間を突け」というのが僕の基本戦略ですね。
これはマーケットがすでに存在していることが前提で、その中の空いているポジションを見つけて入り込む——これが一番効率的に成長できる方法だと思っています。
アフィリエイト市場に注目したのは、規模が大きく、成長性もあり、その中で自分たちが戦えるポジションを見出せると判断したからです。現在のWi-Fi事業も同じで、「市場の波に乗れるかどうか」を基準にしています。
知識ゼロから始めた起業準備——苦労したのはビジネスモデル選び
ー起業準備はどのように進めたのでしょうか?
正直、経営に関しては何も分からない状態からのスタートでした。
簿記を少し勉強していたので仕分けは分かるんですが、実際にどう処理するのか、どんな書類が必要なのかは全く未知で。結局、会計や税務は専門家に聞くしかなく、外注に頼って起業の準備を進めました。
ー起業準備において、特に苦労されたことは何でしょうか?
間違いなく「どんなビジネスモデルを選ぶか」です。ここが見つからないのが一番大変でした。
僕は今、ありがたいことに経営者へのメンタリングもしています。年商100億の会社から1億規模の会社まで、去年だけで30〜40人ほど支援しましたが、そこで確信したのは「大きな市場に乗っていれば会社は伸びる」ということです。
いくら経営者が優秀でも、市場選びを間違えれば絶対に伸びない——逆に言えば、市場規模が大きく、成長しているマーケットであれば、経験がまだまだ浅い経営者でも十分に伸びる可能性があると思っています。
「どの市場のどんな隙間を埋めにいくのか」を決めるのが、経営者の最重要の仕事だと考えています。
ー起業前に経営ノウハウや成功事例などを学ぶ機会はありましたか?
強いて言うなら「読書」です。創業時は周りに経営者の知り合いもいませんでしたし、メンターと呼べる人もいませんでした。だから本から学ぶしかなかったんです。前職で提案資料を夜な夜な読み漁ったのも、もともと読書好きだったから集中してできたんだと思います。
特に印象に残っている一冊は、『鏡の法則 人生のどんな問題も解決する魔法のルール』という本です。「人は写し鏡だ」という考え方にものすごく共感できて、自分のあり方次第で相手の反応が変わるということに腑に落ちた感覚がありました。
ただ、本をあまり人に勧めないようにしています。人に勧められた本って、自分の課題と合っていないことが多いからです。結局「自分が今どんな課題を抱えているか」によって読むべき本は変わると思うんですよね。
例えば、マーケティングを深めたいならその分野の本を読むべきですし、組織マネジメントで悩んでいるなら組織論の本、人材採用で悩んでいるならその領域の本を読む。だから「起業するならこの1冊!」みたいなものは存在しないと僕は思っています!
自由と多様性をテーマに、自己実現社会を創る「株式会社FREEDiVE」

ー株式会社FREEDiVEが掲げる企業理念とミッションをお聞かせください。
「利他の循環を通じ、自己実現の文化を創る」。これが僕たちの理念です。
今の日本では新しい産業がなかなか生まれていません。かつて”ものづくり日本”と呼ばれ、パナソニックや東芝といった世界的企業がありましたが、今では家電一つとっても韓国製や中国製が増えてきています。先進国ではあるものの、技術も含めて一歩ずつ遅れている印象があります。
その要因のひとつが「どれだけ頑張っても給料が上がらない」ことです。いわゆる“失われた30年”で生活は厳しくなり、消費税も上がり続けました。
だからこそ、必要なのは「日本人が再びチャレンジする気持ちを取り戻すこと」。そして、「チャレンジが正しく報われる仕組みをつくること」だと思っています。
一人ひとりが夢を描き、挑戦できる環境がなければ、日本は先進国としての地位を失いかねません。日本はまさに世界の縮図であり、日本が元気になれば世界も良くなる——そう信じて、まずは日本から自己実現社会を築きたいと強く思ったんです。
そのためのキーワードが「自由」と「多様性」。これを文化として根づかせて、自己実現できる人を増やしていくことが僕たちのミッションなんです。
ー「利他の循環」について、その意味を詳しく教えてください。
「利他の循環」という言葉は、幹部の富塚と大山が考えてくれたものです。
僕自身の経営哲学の中に「収益の本質は“ありがとう”の積み重ね」という考え方があります。お金を稼ぐ=利益を出すことですが、その利益は「価値」によって成り立っているんです。
そして価値は、誰かの問題を解決することで生まれる——つまり「ありがとう」を積み重ねていくことこそが、ビジネスの根幹だと考えています。その「ありがとうの循環」を広げることが、最終的に自己実現文化をつくることにつながるんです。
顧客に”安心感”を届ける——「MUGEN WiFi」誕生の裏側
ー御社のサービス「MUGEN WiFi(モバイルWi-Fiレンタル事業)」が誕生した背景を教えてください。
MUGEN WiFiは、2019年秋にリリースしてちょうど6年ほど経つサービスです。これまで何度かコンセプトを変えてきました。
当時、モバイルWi-Fiのレンタルサービス自体は数多くありましたが、解約違約金や初期事務手数料が高く、月額料金も割高でした。必要性はあっても「いきなり契約するのは不安」というお客様が多かったんです。
そこで当社では、「30日間お試しモニター」を用意して、気軽に試せる唯一のモバイルWi-FiサービスとしてMUGEN WiFiをリリースしました。
ーMUGEN WiFiはどのようにお客様の信頼を獲得してきたのでしょうか?
リリース後、すべてが順調に進んできたわけではなくて、一時はコロナ禍で端末が入荷できず、苦労したときもありました。
そこで再開後に取り組んだのが「解約の見直し」です。当時、総務省が電気通信事業法を改正し、高額な解約金が問題視されていました。競合他社はサイト上から解約ページを隠すなどして、解約しづらくする方向に動いていたんです。
そこで僕らは、逆に「解約方法を堂々と表示する」という真逆の戦略をとりました。すると不思議なことに、解約率はむしろ下がったんです。「いつでも解約できる」という安心感があったからこそ、お客様は継続して使ってくれたんだと思います。
2023年12月には「MUGEN WiFiプレミアムクラブ」を導入しました。契約と同時に公式LINEを友だち登録していただくと、毎日ポイントが貯まり、継続利用に応じてブロンズ・シルバーと会員ランクが上がっていく仕組みです。つまり「ただWi-Fiを契約して使う」だけでなく、使えば使うほど生活にプラスになる仕組みに進化させました。
僕たちが目指しているのは「通信業界だからこうだよね」という常識にとらわれないことです。他業界や競合の良い部分も積極的に学び、一番お客様の望みを叶えられるサービスにしていく。結果的に「ありがとう」を積み重ねられる存在であることが、MUGEN WiFiの目指す姿です。
デュアルファンネルで顧客と伴走するマーケティング戦略
ーサービスの認知拡大において、特に力を入れたアプローチとは何でしょうか?
創業時から得意だった「アフィリエイト広告」に注力して、効果的に認知を広めていきました。
例えば、比較記事やおすすめ記事で検索上位表示を狙って、まずは知ってもらう。あとはメディアさんとのつながりを活かして、掲載先を広げていったのがスタートですね。その後は、Google広告やYahoo!広告といった運用型の広告にも挑戦し、SNSにも幅広く展開していきました。
広告以外では、通信の専門事業者として、正しい情報をお客様にきちんと伝えていくためのオウンドメディア「AiR-WiFi Magazine」を立ち上げました。広告だけでは伝えきれない部分を、記事を通じて補完できたのは大きかったですね!
ーマーケティングでは、どのようなことを意識していましたか?
マーケティングで最も意識していたのは「デュアルファネル」という考え方です。
お客様は、いきなり商品を購入するわけではありません。まずはサービスを知る(認知)があり、そこから「少し興味がある」と感じ(興味・関心)、次に比較・検討をして購入に至る。そして実際に使って満足いただければリピートにつながり、やがて他の商品も利用してくださる。最終的に“ロイヤル顧客”となり、長期的な関係を築ける。このプロセスをどう設計するかが、マーケティングの根幹だと考えています。
ですから、オウンドメディアやSNSも「とりあえず発信すればいい」ではなく、認知から理解、比較、購入、リピートまでの動線をどう描くかを重視していました。お客様がどの段階で、どんな情報を求めているのかを想定しながら設計することが大切なんです。
「購入後の体験」も非常に重要な要素です。広告を大量に出してお客様を“刈り取る”だけでは、一度は購入していただいても継続にはつながりません。むしろ解約されたお客様は、二度と戻ってこないことのほうが多いんですよ。だからこそ「買って終わり」ではなく、「どうすれば次も使っていただけるか」を徹底的に考えてきました。
その一つがオンボーディングです。具体的には、Wi-Fiの使い方をサポートするメールを送ったり、利用開始後も不安なく継続できるように情報提供を続ける。こうした小さな積み重ねこそが、長く信頼されるサービスをつくるうえで欠かせないアプローチなんです。
「SkyeSiM(スカイイーシム)」で広がる、新しい通信の未来

ー今後、新たに展開しようと考えているビジネスがあれば簡単にお聞かせください。
新しい挑戦として「SkyeSiM(スカイイーシム)」というeSIMサービスを始めています。
きっかけは、コロナ禍が落ち着き始めた頃に海外渡航者が一気に戻ってきたことでした。特に27〜34歳の女性が増えていて、SNSでの発信や地図アプリの利用、家族との連絡など、旅行中の通信ニーズがとても高かったんです。
従来はモバイルWi-Fiを利用する人が多かったのですが、「重くてかさばる」「返却が面倒」「紛失が不安」といった声が多く、必ずしも満足度が高いわけではありませんでした。そこで「もっと手軽でスマートな選択肢」を与えるために誕生したのが、eSIMです。
ちょうどこの1年でeSIMの認知度は急上昇していまして、iPhoneの完全eSIM化も追い風になっています。市場は確実に伸びていくと思います!だからこそ、僕たちがこれまで培ってきた顧客サポートやオンボーディングの強みを活かして、「安心して海外で使えるeSIM体験」を提供していきたいと考えています。
「人は鏡」——感謝と在り方が経営を映し出す
ー経営者として大切にしているマインドや、座右の銘を教えてください。
当社には22個のCredoがあって、それに僕が大切にしてきたマインドの多くが反映されています。

その中で最も意識しているのが、「人は鏡」という考え方です。自分が不満ばっかり抱えていると、周りにも不満を持った人しか集まらないんです。逆に「誰かの役に立ちたい」っていう気持ちで行動すると、自然と協力してくれる人が増えていく。結局、世界は自分の在り方を映す鏡なんだと思っています。
その考え方に影響しているのが、僕がずっと個人的に研究している神道や古代史です。多くの人は神社を「お願いをする場所」だと思っていますが、本来は「ここまで生きてこられたことに感謝を伝える場所」なんです。
実際、本殿に祀られているのは仏像ではなく“鏡”で、これは「自分自身も八百万の神である」という意味が込められていると言われています。鏡に映る“我”を取り除けば”神”になる——つまり、自分の在り方そのものがすべてなんですよね。
だからこそ、表面的な感謝ではなく、礼儀や作法に心を込めることが大切だと思っています。例えば、お賽銭一つにしても、ただ投げ入れるんじゃなくて丁寧に納める。その姿勢が自分自身を映し出し、結果的に良い運を引き寄せるんだと思います。
経営も同じだと思うんですよね。「普段からどう人と向き合うか」が、すべて会社に反映される。だから僕は、社員に対してもお客様に対しても、一つひとつ丁寧に、本気で向き合うことを意識しています。経営者として一番大事なのは、自分の在り方を常に正していくことじゃないかなと思います!
組織の透明性が、社員の成長と夢を育てる
ー組織と社員の成長を促すために心がけていることはありますか?
組織づくりで一番大事なのは「土壌と水」だと思っています。
植物がきれいに育つには、良い土壌と澄んだ水が欠かせませんよね。ビジネスにおいて土壌はビジネスモデル、水は「魂」です。濁った水をかけても植物が育たないように、組織も透明さを失えば成長できないんです。
僕がずっと研究してきたテーマのひとつに「エンゲージメント」があります。最終的に行き着いた答えは「透明であること」。やるべきことが明確で、経営者は誠意をもって嘘偽りなく社員と向き合う。社員もまた、悪い報告も含めてきちんと上げて、自由にアイデアを出せる。そういう透明な環境が整っていれば、自然と良いものが生まれるし、不誠実な人も残らないんです。
もう一つ大事にしているのは「人生の3分の1は仕事だ」という視点です。残りの3分の1は睡眠、もう3分の1は余暇。つまり社会人としての人生の大部分を仕事に費やすわけです。その時間をダラダラ過ごすのか、本気で燃やして夢を追うのかで、見える景色は全く変わります。
もちろん夢を目指せば壁にぶつかり、涙を流すほど苦しい経験もします。でも、その先にしか見られない景色がある。だから社員に対して「夢を持ちなさい」とは言いません。「目指したいものや欲しいものを見つけなさい」と伝えています。その過程でこそ、人は本気になれるし、成長できるのだと思います。
己の知識と経験を社会に還元する、”マスター”のような存在になりたい
ー今井さんの将来ビジョンをお聞かせください。
「10兆円の資産を持ち、100兆円の売上を持つ企業のオーナーになる」という目標があります。
これは一人の経営者としての夢ではなく、「多くの企業や産業に影響を与えられる存在になりたい」という意味です。株主や投資家として企業を支えながら、世の中に「誰もが自己実現を目指せる仕組み」をつくっていきたいと思っています。
今もそうですが、僕は「何をやるか」というより「与えられた事業にどれだけ本気になれるか」を大事にしてきました。Wi-Fi事業もそのひとつで、本当に大好きですし、一緒に育ててくれた仲間にも感謝しています。ただ、そこに留まるつもりはなくて、今後は事業をさらに多角化し、より幅広く企業を育てていきたいです。そのために、自分の知識や経験を他の会社にも還元しながら、ファンドとして多くの事業を動かしていければと考えています。
将来的には、僕自身がメンターでありマスターのような立場になって、社会に貢献できる存在になりたいですね!FREEDiVEという会社の成長はもちろんですが、その先にある「多くの人や企業が自己実現できる社会」を実現することが、僕自身の大きなビジョンです。
起業家との出会い、仲間と市場を動かす喜びが待っている

ー経営者になってよかったと思えたことをお聞かせください。
わかりやすいメリットは、やっぱり「お金には困らなくなった」こと。でも、それ以上に「起業家たちと出会えたこと」が一番大きいと思っています。
起業家って、本当にピュアで真っすぐな人が多いんですよ。自分を自由に表現して、自分の信じる道を突き進む——時に頑固で人の話を聞かないように見えることもありますが(笑)、でもそのぶん本気でぶつかってくるから、こちらも素直に向き合える。そういう仲間と交流できるのは、経営者だけが味わえる特権だと思います!
もう一つは「世の中を動かしている実感」を持てることです。例えば、Wi-Fiルーターのウェブ販売シェアは、僕たちがナンバーワンを取っています。「自分たちの会社が一つのマーケットを動かしている」という感覚は、経営者にならなければ得られなかったものですし、本当に面白いと感じています。
さらに言えば、社員の成長を見る瞬間もたまらないですね!当社の幹部たちも、ほとんどが新卒や未経験スタートでした。昨日まで何者でもなかった人間が、本気で努力して年収を上げて、いつの間にか「自分はこうなりたい」「こう挑戦したい」と語る姿になっていく。それを見られるのは、経営者にとって最高に幸せな瞬間なんですよね。
経営の本質は、利他の精神と利益の両立
ー経営者を目指すうえで大切にすべき要素とは何でしょうか?
「収益の本質は感謝の積み重ねである」ということです。
相手をだましてお金を取ろうとした瞬間、会社は必ずどこかで崩れますし、そんな姿勢じゃ怪しい人材ばかり集まってきます。自分だけが得をしようと考える会社って、長くは続かないんですよ。
やっぱり大切なのは「利他」の姿勢です。社員やお客様を含めて、関わる人すべてが「ハッピーだよね」と言える事業をつくり続けること。それが中長期で潰れない会社作りにつながります。
実際、FREEDiVEがここまで成長し続けてこられたのは、仲間に支えられてきたからこそです。僕一人のアイデアに限界が来ても、幹部たちが「こうしてみましょう」「こうやったら上手くいくと思います」と提案してくれますし、そうやって事業が前に進んでいくんです。
そこまで力を尽くしてくれるのは、彼らに対して本気で向き合ってきたからだと思います。「人は鏡」という考え方そのままで、相手に本気で貢献するからこそ、自分にも返ってくる。
でも、誤解してはいけないのは「利益はいらない」というスタンスでは、会社は成り立たないということです。利益を取るのは当然で、それは自分たちが価値あるサービスを提供して、お客様に満足してもらった証だからです。
経営者の本質は、きちんと価値を提供して、その対価として利益をいただくこと。そして、それを社員やお客様と共に分かち合えることだと僕は考えています。
社会のために価値を生み出したいという意志が、起業を成功へと導く
ー起業を目指している読者にメッセージをお願いします。
「起業なんて大変だし、苦しいだけだからやめたほうがいい」
もしそう言われたら、あなたはどう感じますか?
それでも「自分はこの事業をしたい!」「こういう経営者になりたい!」と本気で思えるのであれば、それこそが“自由”であり、起業を選ぶ意味があると思います。
起業のきっかけは「お金持ちになりたい」という動機でも全然構わないんです。でも、最終的に「社会のために価値を生みたい」という視点を持てる人が、大きく突き抜けていく存在になると感じています。
そして何より大切なのは「諦めないこと」。経営者として成功してきた、松下幸之助さん、本田宗一郎さん、井深大さん、永守重信さん——皆さんが口を揃えて言っているのは、「成功するまでやり続けたから成功した」ということです。途中でやめてしまうから失敗になる。諦めなければ、必ず成功にたどり着けます!
もちろん、起業すれば100%の確率で壁にぶつかります。その時にやるべきことは「要素分解」。問題を起こした人を責めるんじゃなくて、なぜその事象が起きたのかを分解し、仕組みとして改善することです。人のせいにしている限り、経営者にはなれないと思ってください。自責他責ではなく、「仕組み責」で考える——これが僕の経営哲学です。
「起業を諦めたほうがいい」と言われても、それでもやり抜く強い意志があるならぜひ挑戦してください。その覚悟と気持ちが、きっとあなたを成功へ導いてくれるはずです!
起業や独立に興味を持ったら、まずは「起業の窓口」に登録してみよう!

起業には個人事業主としての開業と会社設立の2種類があり、事業形態に合わせて選ぶことが大切です。また、起業のアイデアをまとめたり、事業計画書を作成したりといった起業の流れを把握し、十分な準備を整えるようにしてください。
一度起業すると、資金や従業員の管理、納税など多くの責任を負わなければなりません。過去の成功事例も参考にしながら、自分なりのビジネスを展開できるよう起業アイデアを練ってみましょう。
起業や開業、独立に興味を持ったら、まずは「起業の窓口」に登録してみよう!
「起業の窓口」では、起業に必要なノウハウや成功者のインタビューなど、さまざまなコンテンツを完全無料で提供しています。
会員特典として、起業・経営支援のプロ「V-Spirits」が監修するオリジナル冊子『会社設立完全ガイド』を無料プレゼント。さらに、V-Spritsによる1時間の無料起業相談や、GMOインターネットグループが展開するビジネスの立ち上げや拡大に役立つ各種サービスをおトクな特典付きでご紹介します。
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- ※本記事の内容は取材時点の情報に基づいて作成されたものであり、今後変更される可能性があります。
- ※本記事は一般的な情報提供を目的としております。個人の状況に応じた具体的な助言が必要な場合は、専門家にご相談ください。
- ※本記事に掲載された情報によって生じた損害や損失に対し、弊社は一切の責任を負いません。
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