【フィシルコム株式会社】唯一無二のMMM SaaS「NeX-Ray」でデジタルマーケティング業界を変えたい
マーケティングSaaS「NeX-Ray(ネクスレイ)」の自社開発と、レコメンドエンジンの受託開発の2軸で事業を展開する、フィシルコム株式会社の経営者、与謝秀作さん。
東京大学のシステム創成学科にて、機械学習を使った鉄の研究をしていた与謝さんは、研究室の推薦で日鉄ソリューションズ(以下:NSSOL)に入社しました。
NSSOLでは、メーカー向けの研究開発システム(PLM)の導入などに従事。その後、AIスタートアップ企業や、株式会社ZOZOテクノロジーズで業務経験を積み、ビジネスにAIを活用する知識とスキルを身につけました。
そして、デジタルマーケティング業界の生産性向上を実現するビジネスモデルを世に送り出すため、2020年10月26日にフィシルコム株式会社を設立。
現在、NeX-Rayを通じて、デジタルマーケティングの戦略策定に貢献している与謝さんに、起業するまでの道のりや経営者として大切にしているマインドなどをお伺いしました。
- 与謝秀作さんのご経歴
- デジタルマーケティング業界に革新的なソリューションを提供したい
- ー現在、経営されている会社名と主な事業内容を教えてください。
- 実際にAIに触れながら、ビジネスモデルを模索した
- ー学生時代、どのような理由でIT業界への就職を決めたのでしょうか?
- ー社会人になり、どのような業務経験を積んで独立されたのでしょうか?
- ー前職から企業に至るまでの背景をお聞かせください。
- freeeのように「想いを体現したプロダクト」に魅力を感じていた
- ー起業の準備として、必要書類の作成や資金調達はどのように進めましたか?
- ー会社経営に関する知識やノウハウを学ぶ機会はありましたか?
- 「NeX-Ray」でデジタルマーケティングのレベルを底上げしたい
- ーフィシルコム株式会社が掲げるミッションについてお聞かせください。
- ーマーケティングSaaS『NeX-Ray』が誕生した背景についてお聞かせください。
- ー「NeX-Ray」というビジネスモデルは、どのようなアイデアから生まれたのでしょうか?
- AIの活用で、より高度なマーケティング戦略を実現できる
- ーサービスの認知拡大で、特に力を入れているアプローチとは何でしょうか?
- ー今後、新たに展開しようと考えているビジネスがあれば簡単にお聞かせください。
- ー経営者として大切にしているマインドを教えてください。
- 自分のサービスにコミットできるのが、経営者の魅力
- ー起業して良かったと思えたことをお聞かせください。
- ー経営者を目指す上で大切な要素とは何でしょうか?
- 独自のグローバルSaaSで、世界のデジタルマーケティングに貢献したい
- ー組織と社員の成長を促すために心がけていることはありますか?
- ーフィシルコム株式会社とご自身の将来ビジョンをお聞かせください。
- ワクワク感と熱量さえあれば、ハードシングスも乗り越えられる
- ー起業を目指している読者に対してメッセージをお願いします。
- 起業や独立に興味を持ったら、まずは「起業の窓口」に登録してみよう!
与謝秀作さんのご経歴
- 2012年〜2016年:東京大学システム創成学科で、ハイパフォーマンスコンピューティングを専攻。ニューラルネットワークを用いた転炉の溶鉱の温度予測を研究
- 2016年4月:日鉄ソリューションズに入社。メーカー向け設計開発システム(PLM)の導入などに携わる(3年9ヶ月)
- 2020年1月:3D画像解析のAIスタートアップ企業で開発などに従事(4ヶ月)
- 2020年5月:株式会社ZOZOテクノロジーズに正社員として入社。ML基盤構築(Kubeflow)のPoCや、深層学習×推薦アルゴリズムの研究開発などに従事(1年9ヶ月)
- 2020年10月26日:フィシルコム株式会社を創業。現在、マーケティングSaaS「NeX-Ray」や、レコメンドエンジンの開発などに従事
デジタルマーケティング業界に革新的なソリューションを提供したい
ー現在、経営されている会社名と主な事業内容を教えてください。
現在、フィシルコム株式会社という会社を経営しています。
主に2つの事業を軸としていまして、1つ目は受託でのレコメンドエンジンの開発です。レコメンドエンジンというのは、WebサイトやECサイト上で、ユーザー様におすすめの商品やコンテンツを表示するシステムを指します。
2つ目は、マーケティングSaaS「NeX-Ray(ネクスレイ)」の自社開発です。Webマーケティング業務の煩雑さの解消と効率化を支援するSaaSとして、2024年9月にリリースしました。
「デジタルマーケティング業界に、革新的なソリューションを」という大きなミッションを掲げて、これら2つの事業をメインに活動しています。
実際にAIに触れながら、ビジネスモデルを模索した
ー学生時代、どのような理由でIT業界への就職を決めたのでしょうか?
実は両親が建設会社を経営していて、何らかの新しい技術で貢献したいなと思っていました。
高校卒業後は、東京大学のシステム創成学科という情報系・IT系の学科に進学し、ニューラルネットワークを用いた鉄の温度予測の研究に携わっていました。
その研究室の推薦で、日本製鉄を母体とするIT企業の日鉄ソリューションズ(以下、NSSOL)に就職したという流れです。
ー社会人になり、どのような業務経験を積んで独立されたのでしょうか?
NSSOLでは、鉄の研究は全くせず、メーカー向けの研究開発システム(PLM)の導入に携わっていました。
4年近く在籍していたのですが、AIの注目度が増してきたタイミングで「自分もAIで何かをやりたい」と思うようになり、3D画像の処理に特化したAIスタートアップ企業に転職しました。
数ヶ月ほど画像解析AIの開発に従事していましたが、あるとき、株式会社ZOZOがこれからAIを活用したビジネスに力を入れていくことが耳に入ったんです。
そして、自分もそれに関わりたいと思い、前職となるZOZOテクノロジーズに転職しました。
ZOZOテクノロジーズでは、ML基盤構築(Kubeflow)のPoCや、深層学習・推薦アルゴリズムの研究開発に1年9ヶ月ほど従事しました。
ー前職から企業に至るまでの背景をお聞かせください。
ZOZOテクノロジーズを退社し、2020年10月26日にフィシルコム株式会社を立ち上げました。
独立したのは、マーケティングSaaS「NeX-Ray」を作るために会社という箱が必要になったからです。
ZOZOテクノロジーズでは正社員として勤務していたので、副業として受託を受けるために起業し、フィシルコムを立ち上げたという背景があります。
freeeのように「想いを体現したプロダクト」に魅力を感じていた
ー起業の準備として、必要書類の作成や資金調達はどのように進めましたか?
事業計画書は最初の段階では作っていなくて、2回目の融資を受けるタイミングで作りました。
起業に諸々書類が必要になりますが、それらはfreee会社設立という法人登記書類を簡単に作れるクラウドサービスで作成しました。
資金調達に関しては、2024年10月までに累計1億4300万円を調達しています。エクイティファイナンスで総額9800万円、日本政策金融公庫からデットファイナンスで2500万円、事業再構築補助金として2000万円という内訳です。
これらの資金調達は、NeX-Rayの開発を加速する目的で行いました。
ー会社経営に関する知識やノウハウを学ぶ機会はありましたか?
本を読むことが大好きなので、とにかく沢山の著書を読み漁って経営に関する知識をインプットしました。
あとは、両親が会社経営者で私はその会社の役員という立場にあったので、経営者の実務というものをこの目で見ることができました。会社経営の基礎的なものを沢山吸収できたので、これまで実務で困ったことはあまりないです。
影響を受けた経営者の一人に、freee株式会社の佐々木大輔社長がいます。freeeは、法人・個人事業主向けの事務管理を効率化するSaaS型クラウドサービスを開発している会社です。
freeeのサービスは、想いとプロダクトが結びついているんです。実際に両親の会社でfreeeを導入して使ってみたとき、想いが体現されているプロダクトであることを肌で感じられました。
佐々木社長のマインドもそうですが、freeeのサービス自体が好きなので、起業の手続きでは大変お世話になりましたね。
「NeX-Ray」でデジタルマーケティングのレベルを底上げしたい
ーフィシルコム株式会社が掲げるミッションについてお聞かせください。
エクセルシートの数値ばかり見ているマーケティング担当の方がいると、「ちょっとそれはイケてないな……」と思ってしまうところがあるんです。
そのような方に対して、マーケティングの生産性を向上させるために、「ワンクリックでバックオフィス業務を簡単に効率化できるサービスを作っていこう!」というビジョンを掲げてスタートしたのが、フィシルコム株式会社です。
私たちは単に集計をサポートするのではなくて、保有しているデータを機械学習に結びつけて、マーケティング戦略の策定をお手伝いしようと考えました。
具体的には、ABテストやt検定の実行、統計情報の収集、AIによる広告の予算配分の最適化などを実現できます。
フィシルコムだからこそ開発できる独自のソリューションで、デジタルマーケティング業界のレベルを底上げしていきたいと思っています。
ーマーケティングSaaS『NeX-Ray』が誕生した背景についてお聞かせください。
NeX-Rayは、事業会社のマーケ部隊の生産性向上を実現するマーケティングSaaSです。
なぜ、NeX-Rayを開発しようと思ったのか。それは前職と密接な関係があります。
ZOZOテクノロジーズでは、マーケティングテクノロジー部門で機械学習のレコメンドエンジンに携わりながら、アナリスト業務も担当していました。
巨大な予算のもと、色んな媒体を使ってデジタル広告やテレビCMなどを打ち出すなか、各部隊がバラバラにマーケティング施策を行なっていたんです。それを見たとき、全体的に最適化されていないことを知り、これは俯瞰して見る必要があるなと思いました。
当時、世の中には便利なPL管理ツールやKPI管理ツールがあるのに、マーケティングの進捗管理ツールは意外となかったんです。
私自身、マーケティングのデータを集計していた当事者でしたし、確実にニーズがあると思い、NeX-Rayの開発に踏み切りました。
ー「NeX-Ray」というビジネスモデルは、どのようなアイデアから生まれたのでしょうか?
当時、Google Analyticsが、ユニバーサルアナリティクス(UA)からGoogle Analytics 4(GA4)へ切り替わるタイミングでした。
当時、自分が手掛けていたレコメンドエンジンはUAをベースとしていたので、サポート終了に合わせてGA4に移行する必要がありました。そのときに、マーケティングの前提が結構違うことに気づき、「ここでパラダイムシフトが起こるんじゃないか?」と感じたんです。
GA4のデータと直接統合しながら高度なデータ分析を行い、マーケティング施策を最適化できるソリューション。それをNeX-Rayで実現しようと思いました。
マーケティングSaaS『NeX-Ray』と謳っていますが、私たちはマーケティングミックスモデリング(MMM)というジャンルで定義付けしています。
最近ではMMM SaaSとも呼んでいて、今のところ他に類を見ない唯一無二のMMM SaaSとなっています。
企業様には、セールスフォースと合わせて私たちのNeX-Rayを使っていただき、より効率よくマーケティングを広めていただくというのが、サービスの全体図です。
AIの活用で、より高度なマーケティング戦略を実現できる
ーサービスの認知拡大で、特に力を入れているアプローチとは何でしょうか?
私たちはマーケティングミックスモデリングそのものなので、オウンドメディア、SNS、動画配信、広告運用などのあらゆるチャネルを活用し、最も優れた施策で認知を獲得していこうと考えています。
オウンドメディアとSNSは現在進行系で活用していて、これからSNS広告も出す予定です。もちろん動画メディアも使いますし、広告もディスプレイからリスティングまで一通りやってみて、最適な戦略を選んでいく形ですね。
デジタルマーケティング業界って、わりと転職される方が多いなという印象があります。だいたい2年くらいの周期で転職する方が多いイメージがあるので、次の会社に移ったタイミングでNeX-Rayを使っていただくのが理想です。ですから、最初はとにかく認知を取るところが大事だと思っています。
ー今後、新たに展開しようと考えているビジネスがあれば簡単にお聞かせください。
データをAI活用するというテーマで、NeX-Rayをより充実させたいと考えています。
たとえば、保有しているデータをAIで解析すれば、信頼区間を出したり、広告がどこまで伸びるのか予測したりできます。時計を出しながら時系列解析もできますし、AIによるモデルの最適化も可能です。
AIの活用でより高度なマーケティング戦略を実現するというところが、今後のプロジェクトの価値になります。
ー経営者として大切にしているマインドを教えてください。
DeNA創業者の南場智子さんが仰る「コトに向き合う力」を常に意識しています。
他人や自分のことをあまり意識せず、コトに向き合うという姿勢は、私の原動力になっています。
今は経営者というより、事業家としての側面が強いと思っています。やっぱり自分で作った事業に思い入れがありますし、この事業をもっともっと伸ばしていこうという強い意思がありますから。
これから経営者として成長していくなかで、「コトに向き合うこと」はずっと大切にしていきたいです。
自分のサービスにコミットできるのが、経営者の魅力
ー起業して良かったと思えたことをお聞かせください。
それは、自分のサービスにコミットできることです。
今振り返ると、プロダクト起点で起業して独立したことが良かったなと思っています。
もし受託を起点に起業した場合、少なからずお客様や取引先の顔色をうかがう場面があります。そうなると「正社員の立場とあまり変わらないのでは?」という印象があるんです。これはあくまで私個人の意見です。
自由を求めて起業しましたから、今までにないプロダクトを自分の手で作り、それをビジネスとして会社を成長させることにすごくやりがいを感じています。
経営者になって、間違いなく人生に張りが出ましたね。
ー経営者を目指す上で大切な要素とは何でしょうか?
経営者を目指すのであれば、「自分の事業を10年継続させる道筋を描く力」が大切だと思います。
起業をして事業を始めるとき、ベンチャーキャピタルの方から「その事業に10年かけられますか?」という言葉をもらったことがあります。正直、アイデアがない頃の私には、事業を10年続けるための方法がわかりませんでした。
そこからGA4のAPIを地道に調べたり、ビジネスになる要素を繋ぎ合わせたりして、10年かけられる事業を確立することができたんです。
マーケティング業界での起業に限ると、私のように数学統計や数字をいじることが好きな人が向いている世界だと思いますね。
独自のグローバルSaaSで、世界のデジタルマーケティングに貢献したい
ー組織と社員の成長を促すために心がけていることはありますか?
弊社は典型的なWeb会社で、多くのエンジニアで組織が構成されています。
会社として「テックを世の中に活かす」というミッションを掲げていて、それを体現できるメンバーを採用しています。ですから、私と同じように技術が大好きなメンバーが集結した組織なんです。
基本的にフルリモートで稼働している会社なので、個別でのやりとりが隠れないように、オープンでフラットな文化づくりを心がけています。
そのとき思った感情をチャットツールでなるべく共有するようにしていますから、ここでは言えないような色んな意見が飛び交うこともありますね(笑)。
ーフィシルコム株式会社とご自身の将来ビジョンをお聞かせください。
会社というよりNeX-Rayをどうしていくかの話ですが、B2B SaaSでのグローバル展開が意外と上手くいくかもしれないと思っています。
現在、日本発のグローバルSaaSで代表的なサービスがないので、それを一個取りに行きたいなと考えているところです。
一応、裏側では海外対応できるような仕組みを整えている段階で、実際に海外からのアクセスもあるので、そのニーズにしっかり応えられるようにしたいですね。
私が目指している憧れの経営者というか、理想とする人物を一人挙げるなら、ファーストリテイリングの柳井社長ですね。
柳井さんは、山口県のさびれた商店街に構えた紳士服店の経営に悩まされていましたが、あるとき思い切ってカジュアルウェアへ大胆に転換したんです。そして誕生したユニクロは、今となっては世界的なアパレルブランドにまで成長しました。
柳井さんの成功ストーリーこそ、私の理想だと思っています。グローバルSaaSという新たなビジネスを展開して、いつかグローバルSaaSカンパニーと呼ばれるような会社を目指したいですね。
ワクワク感と熱量さえあれば、ハードシングスも乗り越えられる
ー起業を目指している読者に対してメッセージをお願いします。
起業すると、大量の書類作成や複雑な手続きなどに追われて、「何で毎日こんなに苦労しているのに報われないんだろう」と思うこともあるでしょう。
でも、経営者にとってハードシングスは絶対に付き物なんです。
私が今、グローバルSaaSの実現に情熱を注いでいるように、自分のビジネスに対するワクワク感と熱量さえあれば、きっと誰でもハードシングスを乗り越えられると思います。
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起業には個人事業主としての開業と会社設立の2種類があり、事業形態に合わせて選ぶことが大切です。また、起業のアイデアをまとめたり、事業計画書を作成したりといった起業の流れを把握し、十分な準備を整えるようにしてください。
一度起業すると、資金や従業員の管理、納税など多くの責任を負わなければなりません。過去の成功事例も参考にしながら、自分なりのビジネスを展開できるよう起業アイデアを練ってみましょう。
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