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CVC (コーポレートベンチャーキャピタル)とは?VCとの違いやメリットを解説

CVC (コーポレートベンチャーキャピタル)とは?VCとの違いやメリットを解説

2000年代に国内で積極的に設立されたCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)が、近年再び注目を集めています。しかし、CVCが具体的にどのような投資形態なのかわからない方も多いのではないでしょうか。

ここでは、CVCのメリット・デメリットや、似た形態のVC・M&Aとの違いを詳しく解説します。代表的な実例も紹介します。CVC設立を考えている事業会社の方や、投資を受けたいベンチャー企業の方はぜひ参考にしてください。

CVC (コーポレートベンチャーキャピタル)とは

CVC (コーポレートベンチャーキャピタル)とは

CVCとは、「コーポレートベンチャーキャピタル」の略で、主に事業展開を行う会社が社外の未上場企業に投資する活動、または組織を指します。一般的に、自社の事業内容と関連していたり、シナジー(相乗)効果が望めたりするベンチャー企業に対して投資するケースが多いです。

CVCの設立形態には、主に以下の4つがあります。

  1. 自社の本体勘定で直接投資を行う
  2. 自社で子会社・関連会社のVC(ベンチャーキャピタル)を設立する
  3. 新規事業開拓のための専用ファンド(二人組合)を、外部VCと共同で組成する
  4. 他の投資家とともに、複数の投資家が投資するファンドに出資する

②、③、④に関しては、事業会社がLP(有限責任組合員)として出資する点が特徴です。また、③、④においては外部VCに運用を任せる形をとります。

CVCの目的

CVCの主目的は、事業会社が出資先企業とのシナジー効果を獲得することです。CVCによるシナジー効果は、既存事業の拡大・進化や、新規事業の創出・育成につながります。

CVC設立母体が最終的に目指しているのは、将来的な業績アップです。そのために、ベンチャー企業への出資を通じて新規事業に参入したり、事業展開に役立つアイデア・技術を取り入れたりしています。

つまりCVCは、事業会社の成長戦略のひとつなのです。

CVCとVCの違い

CVCと同じく未上場企業に対する投資を行う組織に、VC(ベンチャーキャピタル)があります。両者の大きな違いは、投資の目的です。VCの目的は、出資先が上場した際に株式を売却して投資資金を回収することにあります。VCは出資の対価として当該企業の株式を取得できるため、直接の金銭的リターンが期待できるのです。

一方、CVCはVCの一種で、既に述べたとおり事業を拡大させるためのシナジー効果を得ることを目指しています。投資資金回収の意図が全くないわけではないものの、長期的な成長によって売上を伸ばしていく方が重大な目的です。

目的が違えば出資先の選定基準も異なり、VCでは上場の可能性を、CVCではシナジー効果獲得の可能性を重視します。

CVCとM&Aの違い

事業シナジーを目的とした他社への出資といえば、M&Aも忘れてはいけません。CVCとM&Aの決定的な違いは、出資先への影響力です。

M&Aとは「Mergers and Acquisitions」の略で、直訳すると企業の「合併」や「買収」を意味します。つまり、複数企業がひとつにまとまったり、他社を買収して取り込んだりすることで成長を図る戦略です。M&Aでは一定額以上出資すると買収先の経営権を握り、事業内容を変更させることすらできます。

対してCVCは、比較的少額の出資を行うことである程度の指揮権を持つのが特徴です。事業に関してアドバイスすることは多いですが、基本的に出資先の経営に口出しすることは少ないです。

M&Aは出資先に対する支配力が強い分、失敗時のリスクが大きいこともCVCと異なる点です。

CVCを設立するメリット

CVCを設立するメリット

CVCを設立するメリットは、次の2点です。

  • 新分野への参入コスト・リスクが小さい
  • オープンイノベーションが促進できる

通常、新サービスの開発と運用には膨大な資金と時間を要します。しかし、CVCを設立して出資すると、サービスの開発・運用を外注する形で新分野への参入が可能です。当該分野のノウハウが蓄積されている企業に出資すれば、さまざまなコストが削減できます。開発コストが抑えられるということは、新規サービス参入に失敗した際の損失も、自社単独で参入した場合より小さく済むでしょう。

CVCでは、自社以外の組織が持つノウハウに触れることで新たな発想が得られる、オープンイノベーションの効果も期待できます。ひいては開発期間の効率化や、新規事業の開拓にもつながるため、メリットは大きいといえます。

CVCを設立するデメリット

CVCを設立するデメリット

逆に、CVCを設立する大きなデメリットには次のような2点があります。

  • ノウハウ不足により失敗率が高い
  • 結果が出るまで長い期間を要する

そもそも、CVCは国内で運用ノウハウが十分に蓄積されておらず、手探り状態で出資先をコントロールしなければいけないため、失敗しやすいのがデメリットです。基本的に出資先が事業の経営権を握ることも相まって、自社にとって有利な方向に舵を切るのは容易ではありません。

さらに、CVCの結果がでるまでには、少なくとも数年かかるとされます。自社や出資先企業の将来的な状況を読むのは困難なため、有益な出資先を見つけるのも難しいのです。

CVCはノウハウが確立しておらず、デメリットへの確実な対応策もありません。しかし、開発・事業化・市場競争といった各段階で出資先と密に状況を確認し合うことで、失敗の可能性を減らせます。

CVCから投資を受けるベンチャー企業のメリット

CVCから投資を受けるベンチャー企業のメリット

CVCから投資を受けるベンチャー企業側にも、次のようなメリットがあります。

  • CVC設立母体と密接に連携できる
  • 企業の認知度と信頼性が高まる
  • 資金の弁済義務を負わない

CVC設立母体である事業会社と強く結びつくことは、ベンチャー企業にとって非常に役立ちます。事業会社から開発環境や顧客基盤といった経営資源を提供してもらえる場合が多く、事業の発展につなげやすいためです。

また、信用力の大きい事業会社から投資を受けると、ベンチャー企業は成長性を認められ信頼性が高まります。多くの企業は業務・資本提携の際に提携先の社名が載ったプレスリリースを発信するため、認知度も向上するでしょう。

CVCなどを活用した「投資」による資金調達であれば、弁済義務が課せられず、経営が圧迫されないのもメリットです。金融機関などから借入する「融資」のように、期限までに利息と併せて返済しなければいけない方法よりも、資金調達で有利になります。

CVCから投資を受けるベンチャー企業のデメリット

CVCから投資を受けるベンチャー企業のデメリット

CVCから投資を受けるベンチャー企業のデメリットは、以下の2点です。

  • CVC設立母体の競合他社と取引しにくくなる
  • 経営の自由度が低くなる可能性がある

投資を受けることでCVCを設立した事業会社の印象が強くつくと、設立母体の競合企業からの取引に応じてもらえなくなる可能性がでてきます。連携した設立母体の規模が大きいほど信頼性・認知度が高まる一方で、競合他社も多くなり、事業拡大しにくくなってしまうのです。

また、CVCが投資したベンチャー企業の経営に介入してくるケースがあることに注意が必要です。本来、事業会社はCVCの出資先に対して強い支配力を発揮しませんが、シナジー効果を高めるために経営に口を出して自社の方針に合わせようとしてくるかもしれません。

出資を受けている以上、ある程度意見は受け入れなければいけませんが、企業の根幹を揺るがすほどの介入を許さないよう気をつけましょう。

CVCの事例

CVCの事例

最後に、代表的なCVCの設立事例を、設立の目的や出資先企業の情報とともに紹介します。

事例①GMO Venture partners

GMO Venture partners

画像引用元:GMO Venture partners

GMO Venture partnersは、広くインターネット事業を展開するGMOインターネットグループが設立したCVCです。インターネット事業による産業活性化や、北米・アジア市場への進出を目指すベンチャー企業の支援を主な目的としています。

GMO Venture partnersは、ビジネス用チャットツールで知られるChatWorkをはじめ、多数の未上場企業に数億円単位で出資してきました。出資先には、日本最大級のフリマサービスを運営するメルカリや、印刷通販会社のラクスルなど、現在は上場している企業も多くあります。

事例②NTTドコモ・ベンチャーズ

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画像引用元:NTTドコモ・ベンチャーズ

NTTドコモ・ベンチャーズ(旧NTTインベストメント・パートナーズ)は、大手通信事業者として知られるNTTドコモの100%子会社として2013年に設立されました。運用の目的は、NTTグループとスタートアップ・ベンチャー企業のシナジー効果を生み出し、双方の成長を促すことです。

NTTドコモ・ベンチャーズは、資金をNTTグループのNTT、NTTドコモ、NTTファイナンスから調達しています。これまでに、中古不動産流通サービスを展開するGAテクノロジーズや、スマホゲームの開発会社gumiに出資してきました。

事例③KURONEKO Innovation Fund

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画像引用元:KURONEKO Innovation Fund

比較的新しい事例としては、ヤマトホールディングスのKURONEKO Innovation Fundが挙げられます。物流関連事業における新たな成長モデルの創出と業務の効率化、長期的なファンドによるオープンイノベーションの持続化を目的に、2020年に設立されました。

KURONEKO Innovation Fundは、家電のサブスク・レンタルサービスを提供するRentioや、水を用いた小型衛星用推進機を開発するPale Blueに出資しています。

まとめ

まとめ

CVCは、事業会社とベンチャー企業の密な連携が生み出すシナジー効果によって、事業全体の成長が期待できる投資形態です。出資する側はM&Aほどの費用をかけずに新規事業に参入でき、自社になかった発想が得られる可能性があります。

出資を受ける側にとっても、CVC設立母体の支援を受けながら事業に取り組めるうえに知名度や信頼性が向上するなど、メリットは大きいです。しかし、ノウハウが確立していないなかでの運用は難しく、段階ごとに失敗するリスクがあることも無視できません。

CVCを成功させる可能性を高めるには、事業会社とベンチャー企業の双方が、自社にとって戦略的にも財務的にも有益であるか見極めることが重要です。

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記事監修
中野裕哲
中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。
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