公務員でもできる副業おすすめ9選!バレるとどうなる?許可はいる?
公務員として働いている方の中には、副業で収入を増やしたいという方もいるでしょう。
公務員といえば副業禁止のイメージが強いですが、近年は副業解禁に向けた話も進んでおり、一部の副業は可能となっています。
しかし、副業のルールについて把握していないと、バレた際に懲戒処分の対象となるケースもあるため注意しましょう。
この記事では、公務員でもできる副業やバレたときの罰則、許可の必要性などを紹介します。
- 【この記事のまとめ】
- 公務員の副業は法律で禁止されていますが副業解禁に向けて話が進んでいます。
- しかし、一部の副業については公務員でも可能です。
- 副業を本業にしたり新しい事業を始める場合は、起業の窓口にご相談ください。
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公務員の副業が禁止されている理由
公務員の副業は法律によって禁止されています。ここでは、国家公務員と地方公務員において副業が禁止されている理由を紹介します。
国家公務員の場合
国家公務員の副業については、法律では下記のように定められています。
”国家公務員法 第103条
職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。”
”国家公務員法 第104条
職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。”
国家公務員法 第103条によると、営利目的で自営業や会社員として働くことは禁止となっており、報酬の有無に関係なく営利企業の役員を兼業することもできません。
一方、国家公務員法 第104条においては、内閣総理大臣やその職員の所轄庁の長の許可を要すると記載があり、許可を得ることで副業ができることを示唆する内容となっています。
地方公務員の場合
地方公務員の副業についても、国家公務員と同様に副業は許可制度を設けています。
”地方公務員の兼業については、公務の能率の確保、職務の公正の確保、職員の品位の保持等のため、国家公務員と同様、許可制が採用されている。(地方公務員法第38条)具体的には、地方公務員は許可なく次の行為を行うことができないこととされている。
(1)営利団体の役員等を兼ねること
(2)自ら営利企業を営むこと
(3)報酬を得て事業又は事務に従事すること”
公務員は国や国民のために働くのが義務であることから、職務を全うするために営利目的での副業が禁止されています。
公務員の副業解禁へ向けた動きは進んでいる
収入に不満を抱えて人材流出することを防ぐためや、公務員としての知識や経験を副業に活かして地域貢献することなどを目的に、公務員の副業解禁へ向けた動きは進んでいます。
例えば、神戸市では平成29年4月に「地域貢献応援制度」を設け、市の職員が知識や経験を活かして市民の立場で地域における課題解決に取り組むことを目的とし、副業できる環境を整えています。
また、山形県新庄市では主任級の職員が報酬をもらいながら、地元NPOの理事長として商店街の活性に向けた取り組みを行う事例もあります。
このように、国や自治体は公務員の副業に対して前向きな姿勢をみせており、今後も副業解禁の流れは加速すると想定されます。
しかし、自治体における副業解禁には温度差もあり、地域によっては昔と変わらず副業が禁止されているところもあるのが現状です。
公務員でもできる副業おすすめ9選
ここでは、公務員でもできるおすすめの副業を9選紹介します。
FX・株式投資・仮想通貨
FX・株式投資・仮想通貨の取引などは、副業ではなく投資による資産運用となるため、公務員でも問題なく行うことができます。
しかし、公務員として銀行などの金融機関に出向する場合は、投資が禁止されているため注意が必要です。
また、FX・株式投資・仮想通貨のセミナーを開くことや商材を販売することは営利目的の副業となるため、副業禁止の規定に抵触します。
不動産投資
不動産投資も投資による資産運用となるため、公務員でも一定の条件を満たせば問題なく行うことができます。一定の条件とは、職員の官職と特別な利害関係がないことや、管理業務を事業者に委ねることなどです。
総務省-地方公務員の社会貢献活動に関する兼業についての中でも、営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する実態調査内で、その他の兼業として不動産の賃貸が許可されている事例があります。
一方、人事院規則14-8の第1項関係によると、下記の規模を超える不動産投資は営利目的となるため、公務員の副業規定に抵触する可能性があります。
- 不動産規模が5棟以上
- 不動産規模が10室以上
- 投資による賃料収入の額が年額500万円以上
不動産投資を行う場合は、規模に注意しましょう。
ポイントサイト
ポイントサイトを利用して稼ぐことは、節約の一環であることから営利活動とはみなされず、公務員の副業規定に抵触することはありません。
ポイントサイトを規制すると、スーパーのポイントカードなども使えなくなります。
しかし、友達を紹介してポイントを稼いで多くの収入を得ることはアフィリエイトとみなされる可能性があり、副業の規定違反になる可能性があるため注意が必要です。
講演会
内閣官房内閣人事局-国家公務員の兼業についてによると、単発的な講演で報酬を得る場合は定期的または継続的に従事しないため、副業に該当しないとしています。
しかし、利害関係者からの依頼で講演をしようとする場合、事前に倫理監督官の承認が必要になることや、本省課長補佐級以上の職員が5,000円を超える報酬を得る場合には、贈与等報告書を提出する必要があります。
また、継続して講演活動を行う場合は副業規定に抵触する可能性があるため、許可を得る必要があります。
執筆活動
内閣官房内閣人事局-国家公務員の兼業についてによると、単発的な雑誌などへの執筆で報酬を得る場合も講演会と同様に継続的に従事しないことから、副業に該当しないとしています。
そのため、作家として単発的な活動、単発的に本を出版することも可能です。実際に公務員でありながら文学賞を受賞し、作家ビューした例もあります。
また、執筆活動においてもWebライターのように、継続的に収入を得る副業については営利目的とみなされ、副業規定に抵触する可能性があるため注意が必要です。
もしライティング力に自身のある方は、ブログを書くというのもおすすめです。
ブログの場合は、書いた記事が残りますし、仮に公務員を退職してもアフィリエイトをおこなうことで収益を得ることができます。
ブログについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
小規模農業
総務省-地方公務員の社会貢献活動に関する兼業についてによると、その他の兼業として農業が許可されている事例があります。
親の農業を継いだり、手伝ったりする必要がある方もいるでしょう。公務員の副業規定では、信用失墜行為の禁止や守秘義務、職務専念の義務が定められていますが、農業はこれらの規定に抵触せずに副業がしやすい傾向にあります。
信用失墜行為や守秘義務のリスクが低いため副業を始めたい方にも、農業はおすすめです。
副業で農業をしたいと考えている方は、ぜひ以下の記事をご覧ください。
家業の手伝い
実家が飲食店などを営んでいる場合、家業の手伝いをすることは無報酬を条件(国家公務員の場合は兼業に従事する時間に制限あり)に副業には該当しません。
しかし、家業の手伝いで報酬が発生する場合は所轄庁の長の許可を得る必要があります。
地方公務員の場合は自治体によって許容範囲が異なり、家業の職種によって手伝いが可能なケースとそうでないケースがあるため、確認しておきましょう。
フリマアプリ
不用品をフリマアプリで売却することは、営利性や継続性が認められない場合は副業として行うことができます。
しかし、チケットや人気ゲームなどを継続して転売し、利益を追求するようなセドリに関しては、営利性や継続性が認められることから副業規定に抵触する行為です。
特に、転売行為は信用失墜行為にも該当する可能性があることから、バレると懲戒処分などの重たいペナルティを受ける可能性があります。
太陽光発電投資
太陽光発電投資は、投資による資産運用となるため公務員でも問題なく行うことができます。
しかし、人事院規則14-8の第1項関係によると太陽光発電設備の定格出力が10kW以上である場合は営利目的となり、公務員の副業規定に抵触する可能性があります。
公務員の副業に関するよくある疑問
ここでは、公務員の副業に関するよくある疑問にお答えします。
副業がバレるとどうなる?
公務員が禁止されている副業を行った場合、懲戒処分の対象となります。例えば国家公務員であれば懲戒処分は国家公務員法の82条に定められており、下記の4つに分類されます。
- 免職:公務員の職を失う
- 停職:1日以上1年以下の期間、職務に就けない(給料なし)
- 減給:1年以下の期間給料が減額となる
- 戒告:文章や口頭で注意を行う処分
参考:総務省-懲戒処分について
どの懲戒処分が適用されるかについては、悪質性や社会に与える影響などによって変わります。副業内容が詐欺にあたる行為、勤務中の副業などは悪質性が高く、過去には免職処分になったケースもあります。
悪質性が低いと判断される場合は、厳重注意のみの処分になるケースもあります。
許される副業の範囲は?
公務員は営利企業の役員兼業や自営兼業の2種類が法律で規制されているため、これに該当しなければ副業を行うことも可能です。
例えば、社会福祉サービスや自治体の地域交流などの公益的活動、FXや不動産投資などの資産運用、農業などは副業として許可されています。
また、名義貸しのように無稼働であっても報酬が発生するようなケースは、営利目的の違反となるため禁止です。
許可は必要?
小規模な農業、資産運用などの一部を除き、公務員が副業をするためには許可を得る必要があります。
国家公務員なら人事院の承認、地方公務員であれば任命権者の許可が必要です。
許可が必要な副業でありながら、無許可で副業をすることは懲戒のリスクを伴うため注意しましょう。
営利目的の副業でなくても、公務員の仕事以外で報酬を得る場合は上司に相談することをおすすめします。
許可を得るためにはどうしたらいい?
公務員が副業の許可を得ようとする場合には、まず下記の3つの条件を満たしていることを確認しましょう。
- 副業が公務員の社会的信頼を損ねることがない
- 副業で秘密を漏らす必要がない
- 副業で支障が出ない
これらに該当しない副業であれば、兼業許可申請書を作成して人事院や任命権者に提出しなければいけません。
地方公務員の場合は、独自に副業許可の基準を設けているところもありますが、許可基準を設けていない自治体は、国家公務員の基準を採用しているケースがほとんどです。
副業の許可を得たい場合は上司に相談し、許可申請の提出先や流れなどを確認しておきましょう。
まとめ
公務員は、条件を満たすことで副業を行うことが可能です。
国家公務員、地方公務員ともに副業解禁の流れが加速しているため、今後は今よりも副業しやすい環境になることが想定されます。しかし、公務員の副業のルールは細かく定められているため、処分の対象にならないためにも、事前に禁止事項を確認しておきましょう。
副業をしている公務員の方の中には、副業の利益が大きくなって独立する方もいます。起業することで、公務員の頃に比べてルールや枠にとらわれない働き方も可能になると言えるでしょう。
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- 中野 裕哲 HIROAKI NAKANO
- 起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP 技能士。 V-Spiritsグループ創業者。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「あの起業本」の著者。著書16冊、累計20万部超。経済産業 省後援「DREAMGATE」で11年連続相談件数日本一。