【virapture株式会社】世界に歓喜を広げ、幸せを運ぶデジタル感情Maker!

中学生の頃からHTMLに親しみ、ITの世界にのめり込んできた伊藤さんは、新卒で入社した「エキサイト株式会社」でアプリ開発やインフラ業務を担当し、実践的なスキルを着実に積み上げていきました。
その後、「株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)」ではOracle Databaseのコンサルタントとして活躍し、「コインチェック株式会社」ではエンジニア兼iOSチームリーダーとしてインフラやセキュリティ領域まで幅広く携わります。
2018年には、スマホアプリ開発を手がける「ラグナロク株式会社」の創業メンバーとしてCKOに就任。さらに翌年、これまでの知見を活かして「virapture株式会社」を立ち上げ、代表取締役に就任しました。
現在、自らを”デジタル感情Maker”と称し、ITイノベーションで幸せの輪を広げる伊藤さんに、起業までの道のりや経営者として大切にしているマインドなどをお伺いしました。
- 伊藤大樹さんのご経歴
- 感情が動くようなデジタル体験を追求する、「virapture株式会社」
- ー現在、経営されている会社名と主な事業内容を教えてください。
- 幼い頃から触れてきたパソコン。将来、仕事にするなら”これ”だと思った!
- ー新卒でIT業界に進まれた理由をお聞かせください。
- アプリ開発/インフラ領域の実践的なスキルを磨いた社会人時代
- ー新卒で入社した「エキサイト株式会社」、転職先となった「株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)」での成長体験をお聞かせください。
- ー「コインチェック株式会社」では、どのような業務経験をされたのでしょうか?
- デジタル感情Maker「virapture株式会社」の誕生
- ー「virapture株式会社」の創業に至るまでのエピソードをお聞かせください。
- ービジネスモデルの構築において、どのようなアイデアや戦略があったのでしょうか?
- 未来なんて分からない。だから、今できることを積み重ねていく
- ー起業準備において苦労されたことや、スムーズに進んだことをお聞かせください。
- ―会計に関しては、どのように対応されていますか?
- ゼロからの挑戦。経営の学びは”現場”と”対話”から
- ー起業前に経営ノウハウや成功事例などを学ぶ機会はありましたか?
- ー起業を目指す方におすすめのビジネス書はありますか?
- 経営面・精神面・実務面を支えてくれた、3人の大切なメンター
- ーこれまでのキャリアにおいて、影響を受けた人物やメンターの存在はありますか?
- デジタル体験を通じて小さな革命を起こし、歓喜を広げていきたい
- ー「virapture株式会社」の企業理念やミッションを教えてください。
- ー御社の「アプリ/Webサービスの企画・開発・運用、システム構築」の強みを教えてください。
- 『シュタインズ・ゲート』の伏線回収こそ、感情が動かされる最高の瞬間
- ―伊藤さんが考える「最も感情が動く瞬間や体験」についてお聞かせください。
- 認知度を高め、社会課題解決に貢献できるサービスも展開していきたい
- ー「virapture株式会社」の認知拡大において、力を入れているアプローチとは何でしょうか?
- ー今後、新たに展開しようと考えているビジネスがあれば簡単にお聞かせください。
- 誰かと一緒に体験することで生まれる価値を、もっと多くの人に知ってもらいたい
- ー経営者として大切にしているマインドを教えてください。
- 相手の感情に共鳴するように聴く。これが信頼関係構築の秘訣
- ー組織と社員の成長を促すために心がけていることはありますか?
- ー「virapture株式会社」とご自身の将来ビジョンをお聞かせください。
- 見える世界が変わり、可能性も幅もどんどん広がるのが経営者の特権
- ー経営者になってよかったと思えたことをお聞かせください。
- ビジョンに沿った意思決定を軸に、スピーディーにアクションする
- ー経営者を目指すうえで大切な要素とは何でしょうか?
- ー意思決定における重要な判断軸とは何でしょうか?
- 死ぬこと以外かすり傷。失敗してもそれを糧に再起すればいい!
- ー起業を目指している読者にメッセージをお願いします。
- 起業や独立に興味を持ったら、まずは「起業の窓口」に登録してみよう!
伊藤大樹さんのご経歴
- 2010年4月〜2015年10月:「東京工科大学コンピュータサイエンス学科」を卒業後、「エキサイト株式会社」に入社。アプリからインフラまで幅広い領域の業務を経験。
- 2015年11月〜2017年12月:国内インターネット接続事業者「株式会社インターネットイニシアティブ (IIJ)」で、Oracle Databaseコンサルタントを務める。
- 2018年1月〜2018年8月:「コインチェック株式会社」でエンジニアを担当し、iOSチームリーダーも歴任。
- 2018年8月〜:スマホアプリの制作・開発、技術コンサルティングを行う「ラグナロク株式会社」の創業メンバーとなり、CKOに就任。
- 2019年2月〜:スマホアプリ・Webサービスなどの企画・開発・運用、ITコンサル事業を行う「virapture株式会社」を創業し、代表取締役に就任。
感情が動くようなデジタル体験を追求する、「virapture株式会社」

ー現在、経営されている会社名と主な事業内容を教えてください。
「virapture(バイラプチャー)株式会社」という会社を経営しています。主な事業はアプリのコンサルティングで、スマホアプリやWebサービスの企画・設計・改善提案などを中心に行っています。
私たちは、自称“デジタル感情Maker”として、「デジタル体験を通して、感情をつくり出していく」ことをミッションに掲げているところです。
社名の“virapture”は、「viral(バイラル=拡散)」と「rapture(ラプチャー=歓喜)」を組み合わせた造語で、歓喜を広げることを企業理念としています。歓喜とは、人の感情がネガティブな状態からポジティブな方向へと上がっていくときに、感情の揺れ動きが起こって、その中で関係性や共感が生まれる——そういった瞬間に価値があると考えています。
そういった「感情が動くようなデジタル体験とは何か?」をいろんな方と一緒にディスカッションしながら、体験設計やご提案を行っています。ただのアプリ制作ではなく、アプリコンサルティングとしてご支援させていただくというスタンスです!
viraptureを創業する前に、「ラグナロク株式会社」の創業にも携わっていまして、現在も役員として在籍しています。
幼い頃から触れてきたパソコン。将来、仕事にするなら”これ”だと思った!
ー学生時代、会社経営に憧れを抱いたエピソードがあればお聞かせください。
学生時代の時点では、まだ「会社経営」に対する憧れは特になくて、どちらかというと職業としての憧れのほうが強かったですね!
父がNECで働いていて、家にNEC製のパソコンがあったんです。小さい頃から自然と触れる機会があって、触っていくうちに「パソコンって楽しいな」と思うようになりました。中学生になる頃にはHTMLにも興味を持ちはじめて、どんどんハマっていきました。そういった体験から、「将来はパソコンを使って何か制作する仕事がしたいな」と考えるようになったんです。
「経営」という意識が芽生えたのは、だいぶ後になってからですね。ラグナロク株式会社の現代表である西本と、別の会社で一緒に働いていた時期がありまして。ある日、突然「今から社長に辞表出しに行くんだけど、一緒に出したら面白くない?」って言われたんです(笑)。面白そうだったので、ノリでそのまま二人同時に辞表を提出して、その流れでラグナロクを立ち上げる手伝いを始めました。「自分の会社を持ちたい」という気持ちが芽生えたのは、その出来事がきっかけでしたね。
結果的に、西本の行動に感化された形で、経営の世界に飛び込んだ感じです!
ー新卒でIT業界に進まれた理由をお聞かせください。
中学生の頃からIT業界に進もうと決めていましたし、情報系学科がある大学に進学し、就職活動でもいろんなIT企業の説明会に参加しました。
正直、自分は「できるタイプの学生」ではなかったので、就活は楽しくても、なかなか上手くいかなかったんです。そのなかでも重視していたのが、「自分と会社の相性」でした。しっくりくる会社を探して、納得いくまで動く。そこは譲れなかったんですよね。
就活も後半に差しかかった頃、「エキサイト株式会社」の会社説明会に参加しました。その説明会では、実際に現場で働いている先輩社員の方が登壇されていて、その方が「自分の1日」について話していたんです。その姿がとにかく楽しそうで。「この会社なら自分も楽しく働けそう!」と直感的に思えました。その説明会がきっかけでエキサイトに魅力を感じて、入社を決めた形ですね。
アプリ開発/インフラ領域の実践的なスキルを磨いた社会人時代

ー新卒で入社した「エキサイト株式会社」、転職先となった「株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)」での成長体験をお聞かせください。
「エキサイト株式会社」には5年半ほど在籍し、アプリ開発からインフラ領域まで幅広い業務に携わることができ、実践的なスキルがしっかり身につきました。
その後に転職したのが、法人向けに電気通信サービスを提供している「株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)」です。「ORACLE MASTER Platinum(オラクルマスタープラチナ)」という資格があって、その試験会場で出会った方に誘っていただいたのが転職のきっかけでした。
IIJの案件は銀行系が多かったので、その分、求められる作法や対応も厳しく、正直大変でしたね。でも、それは耐えられない辛さではなくて。むしろ貴重な経験として捉えていました!
技術面では、Oracle Databaseの専門的な知識を活かしつつ、「お客様に対してどう価値を提供するか」という視点を持って仕事をしていました。裏側の技術だけでなく、それを「どう伝えるか」「どう提案するか」といった対話の場面も多かったです。お客様との対話やセッションを通じて、自分にとっての成長機会が多くありましたね。
IIJには約2年間在籍し、その後、暗号資産取引所である「コインチェック株式会社」にエンジニアとして入社しました。
ー「コインチェック株式会社」では、どのような業務経験をされたのでしょうか?
ちょうど私が入社したタイミングは、例の暗号資産約580億円の流出事件(※2018年1月のNEM不正流出事件)の直前で、入社してすぐに事件が発生しました。事件後の社内最優先事項はその対応でしたが、各部署がバタバタしていて、かなり緊迫した雰囲気だったことを覚えています。
iOSチームリーダーという役割を与えられたのですが、私はバックエンドの経験もあったので、「ちょっと他のチームも手伝ってもらえませんか?」という流れで、モバイルに限らず、インフラやセキュリティ領域までいろいろ関わることになりました。
最終的には、“iOSチームのリーダー”という肩書きのまま、インフラやバックエンドも含めて社内の各チームを横断しながら、足りない部分を埋める“遊撃部隊”のような立ち回りをしていましたね。各領域にオーナー(責任者)がいる中で、その人たちと連携しながら、技術的に補強すべきところをサポートする役割です。
結果的に、非常に幅広い技術領域を体験できた貴重な期間でした。マネジメントと現場支援の両方を横断できたことは、今の自分にも大きく活きていると思います。
デジタル感情Maker「virapture株式会社」の誕生
ー「virapture株式会社」の創業に至るまでのエピソードをお聞かせください。
コインチェックには2018年1月から8月まで在籍し、その後、スマホアプリ開発や技術コンサルティングを手がける「ラグナロク株式会社」の創業メンバーとしてCKOに就任しました。
ラグナロクはちょっとユニークな組織体制で、いわゆる“フルコミット”を前提としない方針を取っているんです。メンバー全員がそれぞれ別のプロジェクトや仕事を持っていて、ラグナロクの仕事もそのうちの一つとして関わっているというイメージですね!
私自身も例外ではなく、そのスタイルに合う形で「自分の会社もやってみよう」と思い、同年に「virapture株式会社」を立ち上げました。今もラグナロクには役員として名を連ねていますが、viraptureと並行して活動している、いわば“二足のわらじ”を履いているような状態です。
ービジネスモデルの構築において、どのようなアイデアや戦略があったのでしょうか?
現在のアプリコンサルティングという事業に関して言うと、まず前提として、私は昔から「ITで何かをつくること」が純粋に好きでした。ITは自分にとって得意分野であり、絶対的なスタンダードなので、その延長線上に今の事業があります。
インフラからフロントエンドまで、一通りの技術領域を経験してきたので、「何をどう作れば、どんな体験ができるのか」が全体的に見える。そういう技術の横断力は、自分の強みだと思っています!
ただ、単にアプリをつくるだけではなく、私たちが重視しているのは「感情の設計」です。自称“デジタル感情Maker”として、人の感情をどう動かし、どう価値を感じてもらうかというところまで踏み込んで設計しています。
私自身、ゲームアプリの開発経験もあるので、「人がどんな瞬間に心を動かされるか」「どんな体験に対してお金を払いたくなるのか」といった感覚は、常に意識していますね。今の時代は、機能や価格だけでなく、“感情が動く体験”こそが価値になっていると強く感じています。
さらに言えば、ITという分野そのものにも大きな可能性を感じています。人が手を動かす“労働主役型”のビジネスだと、どうしても人的リソースに限界がありますよね。ITなら仕組みやプロダクトを通じてスケールできるんです。それこそ、無限の可能性がある領域だと思っています!
だからこそ、私は「ITにコミットしない理由が見つからない」とすら感じていて。そういった価値観に共感してくれる相手と一緒に取り組みたいという思いもあり、仕事相手の選び方にも繋がっていると思いますね。
未来なんて分からない。だから、今できることを積み重ねていく

ー起業準備において苦労されたことや、スムーズに進んだことをお聞かせください。
苦労した点で言えば、やはり営業の部分ですね。私自身あまり営業が得意なタイプではないので、新規開拓をどう進めていくか、事業の広がりをどう生み出すかという点は、今でも試行錯誤しています。
事業計画の立て方にも難しさを感じた部分がありました。もちろん事業計画はしっかり作っているんですが、実際にはその通りにスムーズに進むことは少なくて。
特に日本では、「3年後・5年後の計画を立てる」ことがビジネス上求められる文化がありますよね。でも、アメリカでは「3年後なんて誰にも分からない」として、あえて細かい計画を作らない企業も多い。私もどちらかというと、そのスタンスに近くて、「未来は読めないけれど、今できることを積み重ねていこう」というポジティブな考え方を大切にしています。
とはいえ、「じゃあ事業計画って意味あるの?」という疑問も出てくると思いますが、私は意味があると思っています。なぜかというと、事業計画を作らないと、他の事業や領域にどれくらい投資すべきかという「金額の目安」が見えてこないからです。どのくらいの予算をかけるのか、どれくらいのリターンを見込めるのか。そういった感覚って、計画を立てて初めて見えてくるものなんですよね。
たとえ計画通りに進まなくても、金銭的な感覚を養うためのツールとして事業計画はとても大事なので、毎年しっかり全体像を見直しながら、計画を立てるようにしています!
―会計に関しては、どのように対応されていますか?
当社はそこまで大きな規模ではないので、経費の入力や仕訳など、日々の数字はすべて自分で管理しています。というのも、何かあったときに自分の口でしっかり説明できるようにしておきたいんですよ。
お金の動きを自分で見ていないと、「何に使ったか」を正しく把握できなくなりますから。そこを他人任せにしてしまうと、感覚が鈍ってしまいそうで。それが嫌なので、数字は毎月きちんとチェックしています!
一方で、決算などの専門的で工数の大きい部分は、プロにお任せしています。やはりそこは自分でやるよりも、専門家に任せた方が圧倒的にコスパがいいですし、安心感もあります。日々の把握は自分で、処理の精度は専門家にという形で、うまく役割分担しながらやっています。
ゼロからの挑戦。経営の学びは”現場”と”対話”から
ー起業前に経営ノウハウや成功事例などを学ぶ機会はありましたか?
正直に言うと、起業前には経営に関する知識やノウハウはほとんど持っていなくて、ゼロベースからのスタートでしたね。実際に経営を始めてから、いろいろな課題が見えてきて、その都度「じゃあどうしようか」と動き出すような流れが多かったと思います。
課題解決の手段としては、本を読んだり、セミナーに参加したり、経営者交流会に足を運んだりといったスタイルが多かったです。そういった場で情報収集をしながら、自分の引き出しを増やしていきました。
他の経営者の方と話す中で、自分の事業について“壁打ち”ができたり、フィードバックをもらえたりする機会もあって、そうしたやり取りは非常に勉強になりましたね!
ー起業を目指す方におすすめのビジネス書はありますか?
ビジネス書として一番おすすめしたいのは、元キーエンスの方が書かれている『付加価値のつくりかた』です。かなり実践的な内容で、「価値をどう設計するか」「どう届けるか」といった視点が非常にわかりやすくまとまっていて、個人的にすごく勉強になりました!
もうひとつ、体験設計という視点で面白かったのが、『「ついやってしまう」体験のつくりかた』という本です。これは任天堂でゲーム開発に携わっていた方が書いたもので、ゲームの設計思想をベースに、「人が思わず夢中になる体験とは何か?」を解説している内容です。読んでいるだけでも面白いんですが、デジタル感情の設計にも通じるものがあって、学びが多かったですね!
あとは、『7つの習慣』も印象に残っています。これはビジネスというより自己啓発の枠ですが、長く多くの方に読み継がれているのにはやっぱり理由があると感じました。自分の内面をどう整えるか、どう主体的に動くかといった視点は、起業家としてもとても刺さる内容でしたね!
経営面・精神面・実務面を支えてくれた、3人の大切なメンター

ーこれまでのキャリアにおいて、影響を受けた人物やメンターの存在はありますか?
私を支えてくださっているメンターの方が3人いらっしゃいます。みなさん異なる視点をもった方々で、とても大切な存在です。
まず一人目は、昔からの付き合いがあり、今も共にラグナロク株式会社を経営している西本氏です。私のことをよく理解してくれていて、信頼もしています。経営者としてかなり先を走っている方なので、単純に話を聞くだけでも学びが多いですし、必要なときには気軽に相談できる存在です。本当にやばいときの”駆け込み寺”のように頼らせていただいています。
二人目は、人生全体におけるメンターのような方で、株式会社OMOJINの永井氏です。どちらかというと「自分がどう生きるとより幸せになれるか」といった、気持ちやマインドの面での支えですね。コーチングに近い立場で関わってくださっていて、思考の整理や方向性の確認を一緒にしてもらっています。その方は必要に応じて他の専門家をご紹介くださることもあり、そういった繋がりも事業に活かせています。
そして三人目は、営業面におけるメンターの方で、株式会社トゥエルブの近藤氏です。自分の課題でもある営業に関して、「どう見せていけばいいか」「どう価値を伝えるか」など、かなり具体的な壁打ちをしてくれる方です。私はどちらかというと営業が得意ではないので、その方との対話を通じて、事業の伝え方や営業戦略を一緒に考えていただいています。
この3タイプのメンターの方がいることで、経営面・精神面・実務面、それぞれの角度から支えられている実感があります。
デジタル体験を通じて小さな革命を起こし、歓喜を広げていきたい
ー「virapture株式会社」の企業理念やミッションを教えてください。
企業として掲げている理念は、「歓喜を広げること」です。そして、アプリコンサルティング事業におけるミッションとしては、「挑戦する企業様に対して、ITイノベーションを通じて“幸せの輪”を広げていくこと」を目指しています。
具体的には、デジタル体験を通じてイノベーションや小さな革命を起こし、その体験が価値となって多くの人に伝わっていく。そして、その波が次の新しいサービスを生み出すような、“価値の連鎖”が生まれる世界をつくっていきたいと考えています。
特に、「新しいことに挑戦したいけれど、デジタルでどう表現すればよいか分からない」という企業様は多くいらっしゃいます。そういった方々に私たちは寄り添い、一緒に悩みながら伴走するーーそういう支援を大切にしていきたいと思っています。
また、「プロダクトを作ってみたけれど、思ったように回らない」「改善がスムーズにできない」といったご相談も多いです。たとえば、「オフショア開発で進めたものの、品質やスピードに課題を感じている」といったケースも何度も耳にしましたし、自分自身も経験してきました。
そうした場面においても、これまでに培ってきた金融業界などでの開発経験や技術力を活かして、プロダクト改善や再設計のご支援ができればと考えています!
ー御社の「アプリ/Webサービスの企画・開発・運用、システム構築」の強みを教えてください。
今、サービスやプロダクトは本当に溢れていて、正直なところ、ほとんどの課題は既存サービスでもある程度解決できてしまう時代なんです。
そんな世の中で「使われるサービスとは何か?」を考えると、やはり「感情が動くかどうか」がカギになってきていると感じています。ユーザーがそのサービスに触れたときに、何かしらの驚きや喜び、楽しさといった感情が動くかどうか。これこそが、価値としての差別化になっていると思うんです。
私たちは“デジタル感情Maker”として、「感情をどう生み出すか」という視点で体験設計をしているのが大きな強みです!AIは既存の情報をもとに新しいものを生成するのは得意ですが、「人の感情を動かす設計」はまだまだ難しい領域。だからこそ、そこには人間の手による繊細な設計力が必要だと考えています。
加えて、当社ではゲームアプリなども手がけており、「つい触りたくなる体験」を設計するノウハウも培ってきました。さらに、金融系のシステム開発などで培った堅牢なシステム設計の知見も活かせるのが、もう一つの大きな強みです!
つまり、私たちは「感情を動かす体験設計」と「長期的に価値を届けられる堅実なシステム設計」という、ふたつの視点を融合させながらプロダクトを企画・開発しています。単に作って終わりではなく、使われ続けるプロダクトづくりに強いこだわりを持っているんです。
『シュタインズ・ゲート』の伏線回収こそ、感情が動かされる最高の瞬間

―伊藤さんが考える「最も感情が動く瞬間や体験」についてお聞かせください。
やはり「伏線回収」をした瞬間だと思います。大きな感情の揺れ動きって、意外とそこにあるんじゃないかと思っていて。
個人的に大好きなゲームに『シュタインズ・ゲート』という作品があります。秋葉原を舞台とした、科学的事象を物語の骨格に組み込んだSFサスペンス作品で、アニメ化もされています。シュタゲは、伏線の張り方がとにかくすごいんです!最初から細かく伏線を張っておいて、それを終盤で一気に回収する。もう、それが本当に見事で……!
「記憶を消してもう一度最初からやりたい」と思えるほど、感情を動かされる作品なので、ぜひご覧になってみてください(笑)。
こうした体験って、まさに「感情が動くデジタル体験の原点」だと思っています。私たちも驚きや納得を生むようなサービス設計ができれば、それが大きな価値に繋がると考えています。
認知度を高め、社会課題解決に貢献できるサービスも展開していきたい
ー「virapture株式会社」の認知拡大において、力を入れているアプローチとは何でしょうか?
今、特に力を入れたいと考えているのは、自社が持つ知見を積極的に外部に公開・還元していくことですね。ノウハウや実績をオープンに発信していくことで、少しずつでも認知度を高めていけたらと考えています。
今回のように、インタビューという形で取り上げていただけるのも本当にありがたい機会ですし、こうした露出を通じて、viraptureの考え方や価値観を知っていただけるきっかけになると嬉しいです!
当面は、Webメディアや記事の形で情報を発信していくことが重要だと捉えていて、「どういう視点でデジタル体験を設計しているか」などを文章で伝えていくことが、今まさに取り組むべきテーマだと感じています。
さらにもう少し先の展開としては、社外向けのセミナーやイベントなども視野に入れています。ある程度準備が整った段階で、蓄積してきた知見をベースにした発信の場を定期的に設けていけたらと考えています!
ー今後、新たに展開しようと考えているビジネスがあれば簡単にお聞かせください。
サンクスカードの仕組みをアプリ化したサービスを、これから本格的に展開していくところです。このアプリは、特定技能で日本に来ている海外人材と、介護・福祉業界を中心とした企業の日本人スタッフとの間で起きがちな「コミュニケーションの壁」を解消することを目的としています。
現場では、文化や言語の違いから意思疎通がうまくいかず、孤独を感じて母国に帰ってしまう外国人スタッフも少なくありません。そういった課題を、“感謝を伝え合う”という仕組みで解決しようと考えました!
具体的には、「○○してくれてありがとう」といった感謝の言葉を、カード形式で送り合えるようになっています。この文化はすでに一部の大手企業などでも取り入れられていて、「感謝を通じて相手の良さに気づき、人間関係が深まる」という効果があります。
多言語対応しているアプリで、日本語が苦手な外国人でも感謝を伝えられるように設計しています。さらに、音声録音による送信や、その日本語の発音に対してスコアをつける機能も実装しています。これによって、ありがとうを伝える中で自然と日本語の発音力も上がっていく仕組みなんです。
この仕組みは、将来的に日本語能力の向上や日本語検定受験にも繋がると考えていて、結果として企業側も「外国人スタッフが定着しやすくなる」というメリットがあります。人手不足が深刻な高齢化社会の中で、海外人材を受け入れる体制をいかに整備するかは、もはや避けては通れない課題ですよね。
そのために、感謝の循環を起点としたコミュニケーション改善を提供し、海外の方々が安心して日本社会に馴染み、長く働ける環境をつくる。最終的には、多様性が根づく社会づくりの一助になれたらと考えています!
誰かと一緒に体験することで生まれる価値を、もっと多くの人に知ってもらいたい
ー経営者として大切にしているマインドを教えてください。
個人的に大切にしているのは、「人との繋がりの中にある楽しさ」や「幸せの輪」を広げていくことです。そういった繋がりから生まれる楽しさに、全力でコミットしていきたいと考えています。
もともと人と一緒に何かをするのが好きなタイプで、特にゲームは昔からハマっていました。今で言うと『スマッシュブラザーズ』や『スプラトゥーン』のような、みんなでワイワイ遊べるゲームが好きで、友達がプレイしているのを見ているだけで楽しいんですよ。
他にも、趣味のスノーボードも一人で滑るより、仲間と一緒に行くと何倍も楽しくなります。たとえばジャンプが決まった時に、誰かが「ナイス!」って言ってくれるだけで、喜びが何倍にもなるんですよね!そういう、共有された体験の中にある喜びって、すごく価値のあるものだと思っているんです。
だからこそ、「一人で完結する楽しさ」ではなく、「誰かと一緒に楽しむことで生まれる価値」を、もっと多くの人に知ってもらいたいんです。その体験を広げていけるような仕組みやサービスをつくっていきたい、というのが私の根底にある想いです。
そして、そんな思いを実現するためには、自分自身が常にベストを尽くすことが大切だと感じています。個人的に好きな言葉があって、それが「なぜベストを尽くさないのか」。これはTVドラマ『トリック』の上田教授の名台詞なんですが、怠けそうになったときにふと頭に浮かんで、「そうだ、やらなきゃ!」って気持ちになるんですよね。
まだまだ自分には小さな力しかないかもしれませんが、「今の自分にできるベスト」を尽くし続けること。その積み重ねが、きっと誰かの役に立つと信じて日々向き合っています。
相手の感情に共鳴するように聴く。これが信頼関係構築の秘訣
ー組織と社員の成長を促すために心がけていることはありますか?
当社のビジョンにもある「歓喜を広げる」という考え方を、社員一人ひとりとしっかり共有しながら、個人と組織の両方が前向きに成長できる組織をつくることを意識しています。
その中で特に大切にしているのが、定期的な1on1ですね。メンバーが元気にやれているか、困っていることがないか、日常の延長線上でしっかり会話する時間を持つようにしています。何か問題があれば、解決に向けて一緒に動きますし、何よりもまず、「その人の声をきちんと聴く」ことを大切にしています!
対応としては、2つのスタンスを意識しています。
1つ目は、自分がすでに答えを持っているケース。この場合、あえてすぐに答えを伝えることはしません。なぜなら、それをしてしまうと“ティーチング”になってしまって、相手にとっての気づきや学びに繋がりにくいからです。できるだけ本人に考えてもらって、自分で解決の道を見つけてもらうというのが基本スタンスです。
2つ目は、自分でもすぐに答えが見つからないような難しい課題に対して。この場合は一緒に考えながら提案しつつ、本人に選択してもらいながら前に進めていくようにしています。
全体的に意識しているのは、ティーチングよりもコーチング。特に意識しているのが、感情に寄り添う聴き方ですね!『7つの習慣』にも通じるところですが、ただ話を「聞く」のではなく、相手の感情に共鳴する形で聴く。共感や関心を持って向き合うことで、より深い信頼関係が生まれると感じています。
基本的に、私から一方的に話すことはほとんどなくて、できる限り「聞き役」に徹するようにしています。その時間は、私にとっても大切な学びの時間ですし、仲間にとっても自分自身と向き合う時間になってくれたらいいなと思っています!
ー「virapture株式会社」とご自身の将来ビジョンをお聞かせください。
まず、会社としての将来ビジョンですが、やはり2桁億円規模の事業体を目指したいと考えています。ある程度のスケールがなければ、世の中に与えられる影響力も限られてしまうと思っていて。しっかりとした規模を持つことで、より多くの人に“幸せの輪”や“豊かさ”を届けていきたいと考えています!
そして、個人としてのビジョンで言えば、人と人が繋がることで生まれる楽しさや幸せをもっと広げていきたい、という想いがやはり根底にあります。その究極形として、「どこでもドアをつくりたい」と思っているんです(笑)。冗談のように聞こえるかもしれませんが、私はけっこう本気で考えています!
実際、AIに「どこでもドアをつくるにはどうすればいい?」と聞いてみたら、「10兆円あれば可能性がある」なんて答えが返ってきたこともあります(笑)。本当かどうかはさておき、アインシュタインの相対性理論やワームホール理論、あるいは素粒子や光の研究など、まだまだ人類が到達していない領域には希望があると感じていて。
たとえば、欧州にある大型研究機関「CERN(セルン)」と何かしら連携できれば、実現に近づく一歩になるかもしれません。実は『シュタインズ・ゲート』にも登場するんですが、現実世界にもちゃんと存在する研究機関なんですよ。将来的には欧州にも拠点を構えて、こうした研究機関とコラボレーションできるようなプロジェクトを立ち上げてみたいなと思っています。
「どこでもドアなんて絶対無理でしょ」と思うかもしれませんが、かつて空を飛ぶことが不可能だと言われていた時代に、ライト兄弟が飛行機を生み出したように、不可能を可能に変える力は、挑戦する意志に宿ると信じています!
見える世界が変わり、可能性も幅もどんどん広がるのが経営者の特権

ー経営者になってよかったと思えたことをお聞かせください。
一番大きかったのは、「見える世界が変わった」という感覚ですね。会社員時代は、物事を二次元で捉えていたような感覚でした。それが経営者になってからは、三次元や俯瞰の視点で物事が見えるようになりました。そこが大きな違いですかね。
経営をしていく中で、自分のチームだけでなく、事業全体や社会に対して、どう貢献するかといった視点が求められるようになって、考える範囲や視野が一気に広がったんです。その分、可能性の幅もどんどん増えていく実感があります。
これから起業に挑戦する方にも、この視点の広がりを体験してほしいと心から思っています!
ビジョンに沿った意思決定を軸に、スピーディーにアクションする
ー経営者を目指すうえで大切な要素とは何でしょうか?
まず大切なのは、「とにかく動くこと」ですね。人間って、どうしてもネガティブなことを考えてしまいがちで、あれこれ悩んだ結果、結局動けずに止まってしまうことが多いんです。経営者を目指すなら、まずは動いてみること。やってから考えるくらいのスピード感が大事じゃないかなと感じています!
もうひとつ大事なのは、「自分がやるべきこと」と「他の人に託すべきこと」をしっかり見極めることです。会社員時代だと、「自分でやった方が早い」と思って全部抱えてしまう人も多いですが、それでは事業はスケールしません。経営者であれば、「自分がやらなくてもいいことは信頼して任せていく」という思考を持たないと、次のステージには進めないと思います。
それに加えて、やっぱり時間は有限なので、何に優先順位をつけ、どう行動するかは常に意識しています。最終的には結果を出さないと意味がないので、「どうしたらその結果にコミットできるか」を日々考えながら動くようにしていますね!
ー意思決定における重要な判断軸とは何でしょうか?
意思決定の際に大切にしている判断軸は、大きく2つあります。
まず1つ目は、「自分が他のメンバーのボトルネックになっていないか」という視点です。自分の判断や行動によって誰かの足を止めていないか、チームの進行を妨げていないか、これを常に意識するようにしていますね。スピード感のある組織づくりをしたいなら、こういった配慮は不可欠だと考えています。
2つ目は、「歓喜を広げる」という自社のビジョンに沿ったアクションができているかどうかです。どんなに魅力的に見える選択肢でも、ビジョンとズレていれば、長期的にはブレに繋がる可能性があります。だからこそ、意思決定のたびに「この選択は自社の目指す世界観にフィットしているか?」と自問するようにしています。
とはいえ、日々が挑戦の連続であることには変わりありません。たとえば過去には、新規事業立ち上げの際に「人を巻き込むこと」の難しさを痛感する経験がありました。
当時は、事業を推進するために多くの関係者を巻き込もうとしたのですが、私自身が「人を巻き込む力」に長けていなかったこともあって、信頼関係を十分に築けず、「信頼されていない」とフィードバックを受けてしまったんです。
この経験を通じて、信頼をベースにしたチームビルディングと、弱点をカバーするための仕組みづくりの重要性を知りましたね。
死ぬこと以外かすり傷。失敗してもそれを糧に再起すればいい!
ー起業を目指している読者にメッセージをお願いします。
結論から言うと、「日本からもっとユニコーン企業を生み出そう!」というのが、私からのメッセージです。
現在の日本には、ユニコーン企業が非常に少なく、2024年7月時点ではたった8社ほどだったと言われています。これは、主要国と比べても圧倒的に少ない数字なんですよ。日本の未来を考えるうえでも、もっと多くの人が起業にチャレンジして、スケールする企業を増やしていく必要があると感じています。
とはいえ、日本では「失敗したくない」という文化が根強くあって、なかなか一歩を踏み出せない方も多いです。でも、日本ほど安全でチャレンジに優しい国ってないんですよ。
もしチャレンジに失敗して無一文になったとしても、生活保護や各種制度といったセーフティーネットがあります。つまり、失敗しても生きていけるんです。だからこそ、失敗を恐れずにどんどん挑戦してほしいです。むしろ、失敗こそが最大の経験であり、成長の糧になると私は思います!
実際、私の周囲にも、親が経営していた会社が倒産し、自宅の財産まで差し押さえられた経験を持つ友人がいます。でもその人は、日本の制度をうまく活用して再起し、今では再び起業家として活躍しています。
「死ぬこと以外はかすり傷」……そんな言葉もありますが、まさにその通りです。自分の可能性を信じて、まずは動いてみてください!
起業や独立に興味を持ったら、まずは「起業の窓口」に登録してみよう!

起業には個人事業主としての開業と会社設立の2種類があり、事業形態に合わせて選ぶことが大切です。また、起業のアイデアをまとめたり、事業計画書を作成したりといった起業の流れを把握し、十分な準備を整えるようにしてください。
一度起業すると、資金や従業員の管理、納税など多くの責任を負わなければなりません。過去の成功事例も参考にしながら、自分なりのビジネスを展開できるよう起業アイデアを練ってみましょう。
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